2023-09-08

キューバ渡航のあれこれ(2023年夏)

このたび、国際会議でキューバ共和国(以後「キューバ」と書きます)に行ってまいりました。

キューバに行く際には渡航情報をいろいろ調べましたが、コロナ禍以降情報が更新されていないものもありました。そこで、2023年夏現在の渡航準備や現地での滞在事情などについて、わかったことをまとめておきます。

入国準備

キューバへの入国に当たって必要なものは以下のものです。

  1. パスポート
  2. ツーリストカード
  3. 海外旅行保険の保険証
  4. オンラインフォーム D'Viajeros (Advance information of travelers)

パスポートは言うまでもないとして、残りの項目について記します。

ツーリストカード

ビザに代わるもので、入国は1回30日以内に限ります。メキシコシティ国際空港などでも発給を受けられるそうですが、なるべく日本を出発する前に発給を受けた方がよいとされています。発給はキューバ領事館、または領事館が発給業務を委託する旅行会社が行います。

キューバ領事館での発給は直接窓口で受けようとすると日時が限られているとか、郵送で受けようとすると追加費用がかかるといった事情があります。 領事館が発給業務を委託する旅行会社ですと割安で手続きも早い場合があります。

筆者はキューバ領事館に行く時間がなかったので「かもめツアー」さんに発給をお願いしました。メリットはいくつかありました。

  • 提出書類はパスポートの券面のページのスキャン画像のみで、領事館のように写真の提出は不要。
  • 料金は「通常対応」であれば領事館に郵送で申請する場合の料金より若干高い程度。
  • 料金の振り込みが確認されればその日のうちに発給されて送ってもらえるので早い。

海外旅行保険の保険証

英文の保険証が必要とされています。 損保ジャパンのオンライン契約の保険ですと、オンラインですぐに英文の保険証が得られます。

オンラインフォーム D'Viajeros (Advance information of travelers)

税関や健康状態などの申告などをまとめたものです。

入国予定日の72時間前から入力が可能になります。入力が終わるとQRコードが表示されます。これを印刷するか携帯端末に保存し、入国時にスキャンしてもらうことで手続きが済みます。

メキシコシティを出発する際に税関申告書が配られることもありますが、オンラインフォームで申告しておけば紙の申告書の提出は不要です。

ハバナ国際空港に着陸して無料のwifiのチャネルを選ぶと、このオンライフォームへのリンクが表示され、そこで入力することもできますが、これは非常手段と思った方がよいかもしれません。
(ちなみに同じwifiのチャネルに「30分間wifi無料」のリンクがあり、そこを選ぶとパスポート番号を入れてボタンを押すようになっていましたが、エラーが出てうまく動きませんでした。)

入国ルート

記事執筆時点で日本からキューバへの直行便はありませんので、近隣国で飛行機を乗り継ぐことになります。

ここで注意点はアメリカ乗り継ぎです。2023年現在、キューバに入国歴がある日本人はアメリカに入国する際にビザが必要になります(ビザなしプログラムの対象外になります)。

従って、アメリカのビザを持っていない場合はアメリカ以外の国を経由する必要があります。筆者の場合はメキシコシティ経由としました。メキシコシティへは現在成田空港から Aeromexico と ANA の直行便があります。

その他、会議で会った人のルートには以下のものがありました。

  • 中国(上海)〜フランス(パリ)〜キューバ(ハバナ)
  • 〜トルコ(イスタンブール)〜キューバ(ハバナ)

キューバのモバイルインターネット事情

コロナ禍前の情報ではハバナなどではwifi接続が必要とされていたようです。現在では旅行者用のSIMを渡航前に購入し、ハバナの国際空港でピックアップできるようになっています。

こちらのサイトで購入手続きを行い、ピックアップ先を指定しておきます。すると、電話会社から登録したメールアドレスにメールが届きます。そこには受付番号とピックアップ場所が書いてあり、ハバナ国際空港の場合は「預入荷物受取台のホールCのところにカウンターがある」と書かれていました。

私がハバナ国際空港に到着した際は預入荷物受取台がホールD(受取台はホールCとDの2箇所です)で、そこでスーツケースを受け取ってホールCに行ってみたら、電話会社のカウンターはありましたが人がいません。立ち尽くしていると空港職員と思われる人が近づいてきて電話会社の人を探すのを手伝ってもらいましたが「いない」とのことでした。

一応、SIMカードは市内の電話会社 (ETECSA) の窓口でもピックアップできると書かれていたので、しょうがないかと思い、ホールDに戻って後ろを振り向いたら、なんとここにも電話会社のカウンターがあってしかも人がいるではありませんか!無事SIMカードをピックアップできました。ですので、実際には荷物を受け取ったホールをキョロキョロ見回してカウンターを探した方がよさそうです。

キューバの為替レート

以前のキューバの通貨は「兌換ペソ (CUC)」と「国内流通用のペソ (CUP)」に分かれていたようですが、現在では1種類の通貨 (CUP) に統一されています。略称は「カップ」と呼ばれるようです。

この CUP の為替レートが、公称のものと実際のものでは結構ずれがあったので戸惑いました。

公称の為替レートは 1 USD ≒ 24 CUP とされています。しかし、入国時に国際空港からホテルまでタクシーに乗ったら「35 USD か 6000 CUP」と言われました。これですと 1 USD ≒ 171 CUP の計算になります。

ホテルでユーロを CUP に両替した際は、日にもよりますが 1 EUR = 140 〜 170 CUP の計算でした。あるレストランではメニューの価格は USD = EUR を基本にしていて、CUP で払う場合は 1 USD = 190 CUP で計算しているところもありました。また、お店によっては米ドルやユーロが使えるところも結構ありました。多くの場合、米ドルとユーロの為替レートは 1 USD = 1 EUR でした。計算が楽なのでしょう。

ひとまず、こんな事情があったので記録しておきます。

2021-12-03

チームのInstagramとwebサイトを作ってみた

数学類の4年生も1月の卒業研究発表会を控え、卒研モードに入りつつあると思います。あ、今年は対面かオンラインかは未定ですが、とにかくリアルタイムでの卒業研究発表会が2年ぶりに開かれることになりました。(昨年度(今年)はコロナ禍で、卒研資料を配布するだけのオンデマンドの発表会でした。)

そんな感じでわがチームも卒研発表の資料をまとめ始めましたが、今年はこれと並行して、LEGOのロボットをパソコン+数式処理で動かしてみよう、という実験を並行して始めています。

ロボットは数年前の先輩達が組み上げていたのですが、本格的な制御は初めてのことですので、一同(私も)勉強をしながら始めたところです。すべてが初めての経験ですので、この様子をチームから情報発信するのはどうかな、と思い、その方法4年生のメンバーに相談したところ、Instagramを使ってみようということになりました。

チームのInstagramアカウントを作るために下調べをしてみると、webサイトもあった方がよいとかということで、(ついでに)webサイトも開設しました。今は本当に看板程度のものですし、インフラもwikiを使っているので、見てくれも洗練されているというわけではありませんが、これから内容を増やしていきたいと思います。

ひとまず、初投稿は数日前の実験の様子となりました。今後もお見知り置きのほど、よろしくお願いいたします。

Team SNAC Tsukuba: https://www.math.tsukuba.ac.jp/~snac/

Instagram: https://www.instagram.com/teamsnactsukuba/

2021-02-08

計算機数学 (2020) 第15回

今回は、前回から説明している同時因子分離分解の中で、係数体が奇標数の場合に、ある条件下で無作為に与えられた多項式が分離多項式になる確率に関する補題を証明しました。

その後、係数体が偶標数の場合に成り立つ同様の補題を証明し、同時因子分離分解のアルゴリズムを提示した上で、計算量の見積もりを行いました。

今学期の授業内容はここまでです。今学期は、1変数多項式の最大公約子 (GCD) 計算と、有限体上の1変数多項式の因数分解のアルゴリズムを紹介しました。この話は、一意分解整域上の1変数多項式の因数分解へとつながっていくわけですが、この辺の話題はまた機会がありましたら別の授業などで触れることにしたいと思います。

2021-02-01

計算機数学 (2020) 第14回

今回から、有限体上の1変数多項式の因数分解を行うもう一つの手法として、因子次数分離分解 (Distinct Degree Factorization) と同次因子分離分解 (Equal Degree Factorization) を組み合わせたアルゴリズムの解説に入りました。

今回は、因子次数分離分解の手法を説明し、同次因子分離分解の中で、係数体が奇標数の場合に、ある条件下で無作為に与えられた多項式が分離多項式になる確率に関する補題を紹介するところまで進みました。

次回(最終回)は、今回提示した補題の証明を行い、引き続いて係数体が偶標数の場合の分離多項式の探索について紹介します。

2021-01-25

計算機数学 (2020) 第13回

今回は、前半で、f-簡約多項式と f を使って f の既約因子を分離する方法について説明しました。後半では、その分離のために用いる多項式を早く見つけるために、f-簡約多項式の最小多項式を用いる方法について説明しました。

Berlekamp の因数分解のアルゴリズムの説明は今回で終わりましたので、この授業の残り2回で、有限体上の1変数多項式の因数分解のもう一つのアルゴリズムとして知られる、カンターとザッセンバウスによるアルゴリズムを紹介する予定です。

2021-01-13

計算機数学 (2020) 第12回

今回は、まず前回の授業に引き続き、f-簡約多項式の個数と f の既約因子の個数の関係について調べました。その後、f-簡約多項式を求める方法として、ある行列で定まる線形写像の零空間の基底を求めることによる方法を紹介しました。

次回は、f-簡約多項式から f の既約因子を求める方法に関する議論から始めたいと思います。

2020-12-28

計算機数学 (2020) 第11回

今回から、有限体上の1変数多項式の因数分解に入りました。今回は、Berlekamp(バールカンプ)の因数分解アルゴリズムのうち、f-簡約多項式の存在性に関する議論を行いました。

次回は f-簡約多項式の存在性に関する議論の続きを行ったのち、f-簡約多項式の計算方法の説明に進みます。