2015-03-25

平成26年度 卒業式に寄せて

今日、私が4年間クラス担任を務めた数学類の学生が、卒業式を迎えました。ここに、彼ら/彼女らに寄せたメッセージを載せたいと思います。


皆さん、ご卒業おめでとうございます。私からは3点、最初の1つは過去と現在のこと、あとの2つは未来のことをお話したいと思います。

まず、皆さんにお伝えしたいのは、このたびの卒業のお祝いと、これまで4年間を一緒に過ごしてきた皆さんへの感謝です。思えば、私がクラス担任になるための「教習」とも言えるFD(ファカルティ・ディベロップメント)研修会に参加したのが4年前の3月10日、このときは、その翌日に未曾有の大震災に見舞われるとは夢にも思っていませんでした。

幸い、当時の本学関係者に人的被害はなかったようですが、大学における私や周囲の被災状況は、それが奇跡的に思える程のものでした。それは、少なくとも私にとって、4月から通常通り新学期を始めることに大きな困難を感じるものでした。しかし、皆さんの中にも、震災に伴う困難に直面しながら筑波に来た人もいるかもしれませんが、震災を経た筑波にやってきた皆さんの姿に勇気づけられて、新学期を始めたように思います。

以来、私がクラス担任として皆さんにできたことは、数々の書類にはんこを押すことと、日々歩み続ける皆さんを見守ることくらいでしたが、これまで、折々の皆さんの姿に、私の方が励ましを受けたり、元気をいただいたりしてきたことの方が多かったと思います。皆さんと、このような充実した時間を過ごせたことに、心から感謝したいと思います。

また、皆さんの中には、震災を筑波で迎え、若干長い大学生活を送った人もいるかと思います。事情は皆さんそれぞれと思いますが、そのいずれもが、皆さん各々の人生において決して無駄なものではなく、これからの人生において何らかの糧になるものと信じています。自信を持って、これからの人生を歩んでいかれることを望みます。

皆さんにお伝えしたいことの2つ目は、これからの人生を進む皆さんへの願いとして、私達が生きるこの世界が、いくらかでもよりよいものになるよう、生きてほしいということです。私たちが大学で学ぶことの目的や意義について、すでにいろいろな人が論じていますが、その中に「よりよい世界を築くために学ぶ」ということに、私も同感です。そして、「よりよい世界を築く」ための貢献として、何も、有名になるようなことだけでなく、当たり前の毎日を、当たり前に生きる、これも、立派な貢献だと思います。そして、皆さんが、自分や自分の周りの大切な人達を愛おしく思えるような、そんな人生を築いていかれることを願っています。

皆さんにお伝えしたい最後のことは、「20年後」です。私は、大学を卒業して今年でちょうど20年を迎えます。私が卒業した頃にはまだありませんでしたが、現在、本学には「ホームカミングデー」という行事があり、大学を卒業してちょうど20年の節目の年に、卒業生が母校に再び集まり、かつての同級生達と旧交を温めるということを行っています。今年はちょうど自分がホームカミングデーの代になりますが、20年後は皆さんがホームカミングデーの代になります。20年後、2035年に、この仲間で、再び、今の笑顔で元気に再会できることを願っています。残念ながら、4年前に入学したメンバー全員が、今回揃ったわけではありませんが、今回揃わなかったメンバーも含めて、今後の再会を願っています。

以上、長くなりましたが、もう一度、今日の門出を迎えられた皆さんにお祝い申し上げるとともに、これからの皆さんの人生に、より多くの幸せが訪れることを祈り、メッセージといたします。

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