2012-12-28

RIMS研究集会「数式処理 – その研究と目指すもの –」一般講演

今年の暮れも迫った12月25日から27日にかけて京都大学数理解析研究所で開催された RIMS 研究集会「数式処理 – その研究と目指すもの –」において、一般講演を行いました。

この研究集会は、日本の数式処理研究で最も伝統のある研究集会で、毎年11月から12月にかけて、京都大学数理解析研究所で開催されています。ただし、ここまで年末に開催されたのは、私の記憶の限りでは初めてだったと思います(クリスマス直前に開催されたことはありましたが)。

今回、私は「Syzygyの近似計算による1変数多項式の近似GCDの計算」というタイトルで発表しました。内容は、私がここ数年取り組んでいる、1変数多項式の近似最大公約子 (GCD) 計算のアルゴリズムに関するもので、3個以上の多項式の近似GCDを計算するアルゴリズムの改善の試みです。今回は、部分的な成果にとどまりましたが、今後、より一般性のある性能改善を目指しています。

ご参考までに、今回発表に用いたスライドを載せておきます。

Calculating approximate GCD of univariate polynomials with 'approximate' syzygies

2012-12-20

微積分演習(生物)(第3回)

今日の授業は、当初、次のテーマである重積分の変数変換を扱う予定でしたが、水曜日の講義の方でレポート課題が出たとのことで、レポート課題に関するテーマを扱いました。

レポート課題では、ベクトル解析の線積分と面積分の課題が出されたようですが、今日は、ひとまず線積分の定義と計算方法を復習したところで時間になりました。

今年の授業は今回で終わりで、次回は来年となります。上記のレポート課題の締め切りは、次回の演習の授業より前だそうですので、次回の授業はレポート課題の締め切りには間に合いませんが、次回以降の授業内容は、本来進むべきところだった重積分の話題か、あるいは今回扱ったベクトル解析の話題か、履修者の人達と相談して進めたいと思います。

2012-12-19

微積分III演習(第3回)

今日も、前回に引き続き、数列の極限の証明問題を中心に発表してもらいました。問題を解く過程の随所で、あいまいな部分をきちんと考えて説明してもらったりもしました。

来週の水曜日、12月26日は、今年最後の授業日ですが、金曜の振替授業日なので、今年のこの授業は今日で終わりで、次回は来年となります。演習問題の方は、例年ですと、現在解いている「数列の極限」の次に「関数の極限」を扱うのですが、今年の講義では実数の連続性を先に学んでいるようですので、今日は、実数の連続性に関する演習問題を先に配りました。また来年もよろしくお願いします。

2012-12-14

卒業研究 (2013) スタート

10月下旬から募集が始まった卒業予備研究ですが、11月の募集と人数調整を経て、今日からスタートしました。

11月までに行われた募集と人数調整では、いくつかありましたが、最終的に4人の学生とともに始めることになりました。今日は、セミナーのスケジュールを決めたり、連絡用のグループウェアのユーザ登録を行ったりしました。

チーム内の連絡用のグループウェアは、いくつか無料のサービスを検討した結果「サイボウズLive」を使うことにしました。私も本格的に使うのは初めてですので、どのくらい活用できるかはこれから使ってみないとわかりませんが、もしうまい使い方が見つかりましたら、レポートしたいと思います。

2012-12-13

微積分演習(生物)(第2回)

今日は、前回配布した演習問題を黒板で解いて発表してもらうことを中心に行いました。

授業の前半は、主に累次積分の計算を行いました。授業後半では、積分順序の変更の問題を取り上げ、何問か解いてもらった後で、残りの問題を次回までのレポート課題にしました。

次回は、重積分の変数変換の問題を取り上げる予定です。

2012-12-12

微積分III演習(第2回)

微積分演習は、今日から実質的な授業となりました。今日は、主に数列の極限に関する問題を扱いました。

授業が始まった時は黒板が真っ白(緑?)でしたが、次々に答案が書かれて黒板がびっしり埋まりました。その後、発表をしてもらい、私が補足説明をしつつ、授業が進みました。解答に吟味を要した問題もあり、今日の授業では板書された問題の半分程度が残ってしまいました。

次回は、今日板書をしてもらいながらやり残した問題を中心に進める予定です。

2012-12-11

計算機演習(第1回)

今日から、全学計算機システムのサテライト端末を使っての実質的な授業が始まりました。

今日は、授業で使うe-ラーニングシステムの使い方と、数式処理システム Mathematica の使い方の基本を説明したので、説明にやや時間がかかりました。

来週12月18日は月曜日の振替授業日なので、来週は授業はありません。次回(そして今年最後)の授業は再来週12月25日になります。再来週、私は出張で授業に出られないので、皆さんとお会いするのは来年1月8日になる予定です。それまで頑張ってレポートを仕上げてほしいと思います。

余談になりますが、全学計算機システムは今年度末に新システムの入れ替えが予定されており、現在の端末で授業を行うのが今年が最後です。現在のシステムは Windows Vista を使っていますが、今のシステムが入ったのが3年前、ちょうど Windows 7 が出始めた頃でした。そして、今度の新しいシステムが入るタイミングも、Windows 8 が出た直後ですので、新システムはたぶん Windows 7 を入れるのでしょう。

私自身、今年に入ってぼちぼち Windows 7 を使い始めた感じですので、最新より1世代前の「枯れた」システムを入れるのは(メーカーのサポートがある限り)いろいろな面で安心かも、と思ったりもします。

2012-12-06

微積分演習(生物)(第1回)

筑波大学数学類では、生物学類の授業科目「微積分」と「微積分演習」も担当しています。今回「微積分演習」の3学期の授業を担当することになりました。

演習では、講義の趣旨を尊重しつつ、講義の受講にあたって有用と思われる微積分の基礎的事項を、問題演習を通して学ぶことにし、3学期は重積分を主に扱います。

今日は、授業のガイダンスを行った後、重積分の定義と累次積分について説明した上で、演習問題に取り組んでもらいました。累次積分では、1変数関数の積分の復習にもなると思いますので、各自確認してもらえればと思います。

今回の授業は履修者数が7名と少ないですが(学生さん達に尋ねたら、生物学類は1学年80人くらいだそうですが、他のほとんどの人達は、同じ時間に、生物の他の専門科目や第2外国語を履修しているそうです)、じっくり演習問題に取り組めるものと思います。次回から、演習問題の答案を板書、発表してもらう予定です。

2012-12-05

微積分III演習(第1回)

今年度の微積分の授業ですが、1学期の講義(物理学類)、2学期の演習(化学類)に引き続いて、3学期の「微積分III演習」(化学・地球学類対象)を担当することになりました。

今日は、第1回目の授業ということで、授業の進め方に関するガイダンスを行った後、演習問題を配って各自問題に取り組んでもらいました。今年も、履修者数は15人程度ということで、昨年同様、板書と発表で授業を進めていく予定です。

2012-12-04

計算機演習(第0回)

今年度も、数学類の授業科目「計算機演習」を担当することになりました。内容は主に数式処理システム Mathematica の体験と実習です。

今年度は、これまでとはちょっと変わった点があります。この授業科目は、私が着任して以来、長らく私が1人で担当してきましたが、今年は、天野勝利先生にも加わっていただき、2人で担当することになりました。天野先生は代数分野ですが、計算機に近い分野の仕事もされていると伺っており、計算機の扱いにも慣れていますので、これから2人で共同で仕事をするのが楽しみです。

それから、この授業の主な履修者は数学類の2年生ですが、今回はちょうど、私がクラス担任をしている学生さん達にあたります。昨年度は、彼ら/彼女らと毎週顔を合わせていましたが、このような形でまとまって定期的に顔を会わせる機会は久しぶりのことです(これが最後になるかもしれません)。

今日は、ガイダンスということで、Mathematica の紹介や、単位のとり方などの説明を行いました。実際の授業は、来週から、サテライト端末を使って行います。

2012-11-16

数学特別講義I (2010) オープンコースウェア (OCW) を公開

おととしの授業ですが、私が世話人を務めた「数学特別講義I」のオープンコースウェア (OCW) が公開されました。

「数学特別講義I」は、学類が現在の形に再編される前、旧自然学類の1年生を主な対象として、数学の魅力や実社会とのかかわりなどを、1学期のオムニバス形式(10人程度の教員が週替わりでそれぞれが持ってきたテーマで話をする形式)で行う講義でした。2007年の学類再編後は、旧自然学類に対応する、数学・物理・化学・地球の各学類の1年生を主な対象として開講されてきました。

3年前の2009年度に、私が担当になった時に、授業資料や授業録画の公開を企画し、世話人の先生や他の講師の先生方の協力も得て、この授業科目としては初めて OCW で教材を公開したのに続き、2010年度には、科目世話人を仰せつかり、講師の人選や依頼、スケジュールの取りまとめなどを行いました。その後、OCW の編集がずっと滞ってしまいましたが、今回、ようやく公開に至りました。

来年度からの2学期制移行に伴うカリキュラムの変更により、数学特別講義Iの授業は消えます。もともと、この授業科目ができた背景には、自然学類だった当時は、学生が数学・物理・化学・地球科学の各専攻を選ぶのが入学後の2年生になるとき(私が学生だった時代は3年生になるとき)でしたから、数学の魅力をアピールして、数学専攻に進む学生を増やそう、という意図もあったと思います。この点については、学類再編により、意義が薄れてしまったとも思えますので、授業がなくなるのはやむを得ない点もあるかもしれません。 一方で、数学の魅力を授業として専門内外の学生に宣伝する機会としては、総合科目が引き続き開講されると思いますので、こちらがその役割を果たしていくと思います。

最後に、この授業でご協力下さった先生方に感謝いたします。アクセス先は以下の場所です。

FB11651 - 数学特別講義Ⅰ, 2010
http://ocw.tsukuba.ac.jp/25a0-v-1-65705b66985e/copy3_of_65705b66727952258b1b7fa9i

2012-11-14

微積分II演習(第10回)

今日は、この授業科目の最後の授業でした。内容は、先週の講義で「陰関数定理」を扱ったということでしたので、陰関数の接線と法線を求める問題を出しました。その他、期末試験に代わるレポート課題も出しました。

早いもので2学期の授業はもうおしまいというわけですが、今回のクラスは、学生の皆さんの出席もよく、授業態度もよく、演習問題にも積極的に取り組み、レポートも全員が(「ほぼ」といった修飾語もなく、本当に全員です)欠かさず出し、全体として意欲的に取り組んでくれたことに感謝します。大半の人達は2学期で数学の授業から離れてしまうと思いますが、今後、各自の専門分野で数学が必要になった時に、また教科書やノートをひっくり返して思い出してもらえればと思います。

3学期には「微積分III」で、微積分のより厳密な取り扱いを学びます。私は「微積分III演習」の、化学類と地球学類対象のクラスを担当するので、今回担当したクラスの中で、もし微積分IIIも学ぶ人がいれば、引き続きご一緒することになりますが、3学期はクラスの人数もずっと減るので、板書や討論をまじえた演習の授業に様変わりすると思います。意欲ある人達の挑戦をお待ちししています。

2012-11-12

計算数学の挑戦 — Webページの重要度を定めるPageRankの技術 —

今日は、筑波大学総合科目「数学の美しさと奥深さ」という授業の中で「計算数学の挑戦 — Webページの重要度を定めるPageRankの技術 —」というタイトルで講義を行いました。

筑波大学の授業科目の一つである「総合科目」は、大学の教養的科目の一つで、全学群、学類の必修科目とされています。大学創設以来(少なくとも私が学生だった頃から)存在する科目ですが、最近までに、いくつか制度改革も行われたようで、現在では、各学期完結で1単位を出す授業科目を組み合わせて受講するのが基本になっているようです。

授業は、教養教育推進機構が開設する「筑波大学特別講義〜大学と学問〜」など、全学的な特別の科目のほか、各学類が開設し、3学期合わせて年間150科目程度が開講されます。数学類では、1学期に「数学との出会い」、2学期に「数学の美しさと奥深さ」、3学期に「数学の美しさと面白さ」という科目を開講しています。

今回、私は1回の講義を担当するということで、Web 検索において、検索結果からより重要な web ページをランクづけする「PageRank(ページランク)」と呼ばれる技術と、その背後にある数学の話をしました。

内容は、昨年度、自然系の学類(数学・物理・化学・地球)を対象にした授業「数学特別講義I」で扱った内容とほぼ同じですが、今回は、より幅広い分野の学生が受講しているため、演習問題のうち、授業中にやってもらう簡単な課題以外は、ほとんどを自由課題にして、レポート課題は最小限にとどめています。

それから、この授業科目のタイトルには、数学の「美しさ」という言葉がありますが、数学を用いて現実の問題に立ち向かう際には、しばしば泥臭い解決策が必要な場合があります。もちろん、泥臭いノウハウの後ろには、数学の美しさもあり、両方をうまく使いこなして問題解決に至るケースもいろいろあると思います。そういう意味も込めて、今回の講義は「数学の美しさ+泥臭さと奥深さ」とでも言える話ができたのではないかと思います。

以上が授業に関する話で、以下は余談ですが、今回は、講義資料の配布に合わせて、講義資料の PDF ファイルも公開し、学生に周知しました。その際、もともとは資料共有サービスの Scribd を使う予定でしたが、アップロードされた資料の日本語がうまく表示されなかったので、とりあえず Google Documents で公開しました。

その後、ちょっと調べてみたところ、増井俊之さん言及されているように、 Scribd へのアップロードの際、日本語のフォントを埋め込んだ PDF ファイルをアップロードすれば日本語も問題なく表示されることがわかったので、講義資料については Scribd にアップロードしなおしました。以下に講義資料とスライドを埋め込みで紹介します(クリックでそれぞれダウンロードできます)。

計算数学の挑戦 – Webページの重要度を定めるPageRankの技術 –(2012年11月12日)

計算数学の挑戦 – Webページの重要度を定めるPageRankの技術 –(2012年11月12日)

2012-11-07

微積分II演習(第9回)

今日の授業では、3重積分の計算を扱いました。直交座標の累次積分と、極座標に座標変換する積分の演習問題を出しています。

この授業も、残すところ来週の1回となりました。来週の内容は、講義の進度に合わせてこれから考えますが、履修者の人達にはぜひ最後まで頑張って問題を解いてもらえればと思います。

2012-10-31

微積分II演習(第8回)

今日の授業では、広義積分の問題を扱いました。「積分領域が有界でない場合」と「被積分関数が積分領域で有界でない場合」の二通りの例題を説明しました。

早いものでこの授業も残すところあと2回です。次回の内容は、講義の予定をもとに検討したいと思いますが、履修者の皆さんには、残り2回、頑張ってもらいたいと思います。

2012-10-24

微積分II演習(第7回)

今日の授業では、重積分の変数変換について、極座標の場合と、一般の変数変換の場合に分けて取り上げました。 今日の演習問題は計算がやや面倒かもしれませんが、履修者の人達の健闘に期待します。

次回は広義積分の話題を中心に取り上げる予定です。

2012-10-19

卒業予備研究募集開始

このたび、来る3学期から始まる「卒業予備研究」と、それに引き続く「卒業研究」を担当することになりました。

筑波大学数学類の卒業研究は、数年前から、毎年、全教員の中から「卒業研究を担当する教員」を決め、学生はその中から自分がつく教員を選ぶ制度になっています。卒業研究を担当する教員は、代数・解析・幾何の分野からは各分野4人ずつ、情報数学分野からは6人(数理論理学、数理統計学、計算機数学から各2人)の合計18人が担当します。あと、分野によっては、これらの教員(主担当教員)を補助する教員(副担当教員)がつく場合があるので、実際の担当教員は18人より若干多い数になります。

数学類で、卒業研究に関わる授業科目は、3年次3学期の「卒業予備研究」と、4年次通年の「卒業研究」に分かれています。通常は、卒業予備研究と卒業研究を、同じ先生のもとで履修することになりますので、自分の興味に合った先生(研究室)を選ぶことが重要になります。

さて、私が担当する卒業研究ですが、初めて担当するもので、今回はテーマを絞り、計算代数(数式処理)のアルゴリズムにしました。計算代数は、Mathematica のような数式処理システムの根幹をなす理論で、計算機で数式を扱う「数式処理」の中でも、多項式などの代数的な計算を中心に扱います。卒業研究の中で学ぶ理論の選択肢として、多項式の最大公約式 (GCD)、因数分解、グレブナー基底、多項式の高速算法を用意しました。

そして、今回の卒業研究では、学んだアルゴリズムを計算機上で動かすことも目標に入れています。そのために、プログラミング言語の基礎も学ぶことにしました。数学類のカリキュラムでは、プログラミング言語を学ぶ機会がありませんので、学生と選んだプログラミング言語を基礎から学びます。今回は Java を選びました。Java を選んだのは、ソフトウェア業界でも広く使われているプログラミング言語に触れること、現在一般的に広まっているオブジェクト指向の基本に触れること、実装は、とりあえず動かすことを目標にし、効率の追求は他の機会に譲ること、などの理由によるものです。

さらに、今回は、フリーソフトウェアと、研究・開発でよく使われる計算機環境を体験するために、Linux を自分達でインストールして、開発環境を整えるという計画も入れました。ついでに、卒業論文を書くために TeX (LaTeX) を、プレゼンテーションを作るのには LaTeX 上の beamer パッケージを使うことを予定しています。

こういったプランをいろいろ考えて練った結果、卒業研究のシラバスを作ったら、20ページの冊子になりました。3年生に配るシラバスはA4、1ページとなっていますので、配布資料に、より詳しい冊子のアドレス (URI) を掲載して、読んでもらうことにしました。

計画の段階でかなりボリューム感がありますが、実際には、学生さん達の希望や興味や進度に合わせて、じっくり取り組めればと思います。

最後に、学生に配布したシラバスと、詳しい案内書のリンク先を載せておきます。なお、配属までのスケジュールですが、11月上旬まで研究室訪問や希望調査を行い、その後の調整を経て、11月下旬に配属先が決定されるようです。

2012-10-17

微積分II演習(第6回)

今日は、重積分の話題に入りました。手始めに、累次積分の手順を復習し、累次積分の計算と、積分順序の交換に関する演習問題をレポート課題として出しました。

レポート課題の締切はいつも通り来週の授業時です。来週は、重積分における変数変換などを取り上げる予定です。

2012-10-10

微積分II演習(第5回)

今日の授業では、偏微分の最後の話題として、2変数関数の極値の判定を扱いました。

今日は、当初、2次関数の特徴づけから極値判定の説明を解説する予定でしたが、学生さんの講義ノートを見せてもらったところ、予定していた内容がすでにきちんと説明されていたようだったので、その部分は省略し、実際の問題の解き方と答案の書き方を説明しました。

今回で2学期の授業も折り返し地点に到達しましたが、次回からは重積分を扱う予定です。

2012-10-03

微積分II演習(第4回)

今日は、合成関数の微分と Taylor 展開の問題を扱いました。

前回のレポートの答案で、sin(x)/x の極限値が 1 になることを用いている人が何人かいましたが、残念ながらそれらの解答には誤りがありました。それは、x の値の近づけ方が適切ではなかった点です。本来、sin(x)/x が 1 に近づくのは、x が 0 に近づくときですが、今回の用いられ方では、x が無限大に発散しており、この状況下では、sin(x)/x は 0 に収束することは明らかです。こういった極限値の扱いにも注意してほしいと思います。

講義の方は、昨日の講義で、重積分に入ったとのことですが、来週は学園祭の都合で火曜日の講義は休講になりますので、演習の進度は、来週の授業で追いつくことができると思います。学園祭でいろいろ忙しい人もいるかと思いますが、ご健闘をお祈りします。

2012-09-26

微積分II演習(第3回)

今日は、関数 z=f(x, y) 上の与えられた点 (a, b, f(a, b)) における接平面および法線の計算と、高階偏導関数の計算問題を扱いました。

それから、前々回のレポート課題を返却しました。評価したところ、ほとんどの人はよく理解できているようでしたが、細かい部分で指摘がある点については個々に指摘しています。

あと、前回のレポート課題を回収しました。今回も全員出席、全員提出でした。

2012-09-24

数理科学II(第14回)

今日は、多変数多項式の一般 Hensel 構成の概要を述べ、「一般化された Hensel の補題」を証明しました。最後に、多変数多項式の因数分解の一連の計算を行った計算例を、資料を配って紹介しました。

これで、本授業科目で今年度の私の担当分の授業は終わりました。多変数多項式の因数分解の部分では、与えられた多項式がモニックでない場合の主係数の扱いなど、残った部分もあります。この辺は将来まとめたいところですが、ひとまず、今回は多項式の因数分解について一通り説明しました。今後、履修者の皆さんが、パソコンなどで多項式の因数分解をする際に、その舞台裏への理解を深めてもらえれば嬉しく思います。

来月からの後半は、田島慎一先生の担当で、多項式環のグレブナー基底と微分作用素環の話が行われる予定です。履修者の皆さんの今後のご成功をお祈りします。

2012-09-19

数理科学II(第13回)

今回は、前回の Hensel 構成の説明を踏まえ、Hensel 構成に基づく整係数1変数多項式の因数分解の流れを説明しました。

次回は、私が担当する最終回ですが、多変数多項式の因数分解で中心的な役割を果たす一般 Hensel 構成を説明する予定です。

2012-09-12

微積分II演習(第2回)

今日の授業では、2変数関数の偏微分と全微分可能性を扱いました。

今日の授業は、防災訓練の直後の時間だったので、授業時間が短くなることを見込んで例題を少なくしていたのですが、防災訓練は案外早く終わりました。しかし、例題の説明の時間はそれなりにかかったので、今後はこの程度の例題を出すようにしようと思います。

先週出題のレポートは全員が提出しました。これから評価して次回の授業で返却する予定です。

来週9月19日は月曜日の振替授業日のため、次回の授業は再来週の9月26日になります。

防災訓練

今日、全学(筑波地区)の防災訓練が行われました。

午後1時30分に大地震が発生したとの想定で、まずは屋外に避難。人数確認や、災害時の各係分担が行われました。訓練終了まで、事務は窓口業務を停止、中央図書館は照明を消したりするようで、この辺は前回までよりも気合いが入っていたのではないかと思います。

大学の安否確認システムも稼働しました。統一認証システムでのログインにも対応したようです。しかし、今年5月の竜巻の直後は、動き出したサービスがあったにもかかわらず、統一認証システムの復旧が遅れ、ログインできない事象も見られたようですので、こういう場合も想定しておく必要はあるでしょう。この点、統一認証システムにログインしなくても入力できるシステムが並行して運用されていることは妥当ではないかと思います。

あと、これまで、学内には屋外の放送設備というのが見当たりませんでしたが、今回、整備したようです。私の仕事場から見える学群棟にも、写真ではちょっと小さいですが、数か月前だったと思いますが、スピーカーが取り付けられました。何の設備だろうと不思議でしたが、緊急時の放送設備のようです。

放送設備にしても安否確認システムにしても、大学の電源が生きていればこそ役に立つものです。東日本大震災の際は、地震発生とほぼ同時に全学が停電しました。電源の復旧は、各建物の中をチェックし、漏電や火災の危険がないことを確かめてからでなければ電気を通せなかったので、かなり時間がかかりました(週明けの3月14日頃に復電)。停電した場合の対応も考えておく必要があるでしょう。

ラジオは貴重な情報源になり得ます。震災の際、近くにいた大学院生の人がたまたまタブレット端末radiko でラジオのニュースを流してくれて、どれだけ助かったかわかりません。それ以来、私は携帯用のラジオを持ち歩いています。

停電などで大学のサーバが止まったの際の情報伝達手段として、大学では Facebook に公式ページを設けたそうです。これは歓迎しますが、この機会に、より周知を徹底させた方がよいのではないかと思います(そろそろ学生さん達も気づいたでしょうか?ならよいのですが)。

その他、課題はまだあると思いますが、まずは訓練で試せる部分だけでも試しておくことが、本番の(ないことを祈りますが)備えにつながると思います。私の場合、安否確認システムにすぐにはログインできず、後から職員証を確認した上でログインしたので、訓練として役に立ったかなと思います。

2012-09-10

数理科学II(第12回)

今日は、1変数多項式の Hensel 構成について「Hensel の補題」の証明を中心に説明しました。

次回は、1変数多項式の Hensel 構成を用いた因数分解の全体について説明します。なお、来週は17日(月)が敬老の日で休みですが、19日(水)が月曜の授業日なので、次回の授業は19日(水)となります。

2012-09-05

微積分II演習(第1回)

2012年度の2学期は、化学類対象の「微積分演習II」を担当することになりました。今日、初の授業が行われました。

今日は、2変数関数の極限値と連続性の問題を取り上げました。化学類の演習は人数が多い(50人弱の化学類生全員が1クラスで演習の授業を行う)ので、まず、授業の前半で、私が例題を解説し、その後、各自が演習問題に取り組むという形式で授業を行います。学生の板書による発表も、全員分やってもらう時間と場所がないので、演習問題はレポートで提出してもらい、成績を評価します。

今日は最初の解説の時間がやや長くなってしまったのが反省点で、次回からはなるべく演習問題を解く時間をとれるようにしたいと思います。授業はティーチング・アシスタント (TA) の大学院生2人と進めますが、TAの2人は1学期のこのクラスの演習を担当しており、私よりも「先輩」に当たるわけで、早速学生さん達の質問に対応しており、助かります。

次回は、前の授業時間の終了時より防災訓練が予定されているので、防災訓練が終わり次第、授業を始めたいと思います。

2012-09-03

数理科学II(第11回)

今日から2学期の授業が始まりましたが、今回から、整係数1変数多項式の因数分解(Hensel 構成)の話題に入りました。

今回は、準備として、拡張 Euclid の互除法に関する定理をいくつか説明しました。次回には、Hensel 構成の説明に入りたいと思います。

2012-08-20

微積分I・II 科目連絡会

大学もお盆の一斉休業を終え、今日から通常業務に戻りましたが、今日、標題のミーティングがありました。

筑波大学数学類が開講する、1年生向けの数学(微積分と線形代数)の授業は、学期毎に科目が分かれており、2学期からは新しい授業科目で、内容は前の学期の内容の続きとして、授業が始まります。 その際、授業によっては講義や演習の担当者が変わることがあるので、1学期の授業の進行状況を2学期の授業に引き継ぎ、授業の「継ぎ目」をなめらかにすることや、各授業間で授業の進行スケジュールを確認することなどを目的として、毎学期の授業開始前(あるいは開始直後)に、このような連絡会を開催しています。今回、私は1学期の「微積分I」の講義担当者として、連絡会に出席しました。

連絡会では、各授業の講義と演習ごとに、授業担当者が1学期の授業の進度、履修者数、成績評価状況などを報告し、2学期の授業担当者と、授業の進度を確認しました。全体でのミーティングは1時間程度で終わりました。

私は、2学期は「微積分II演習」の化学類向けの授業を担当します。その昔、自然学類だった頃は、1学年8クラス(1クラスの人数が30人程度)でクラス単位に分かれて演習の授業を行っていましたが、学類改編で数学・物理・化学・地球の4学類に分かれてからは、化学類と地球学類は演習の授業が1クラスになったため、演習の1クラスの人数が増えました。化学類は50人程度の履修者数が見込まれています。このような大人数での演習の授業を担当するのは私は初めてですので、1学期担当された先生と打ち合わせを行い、授業の進め方についていろいろ教えていただきました。この打ち合わせも含めて、お昼前にミーティングが終わりました。

授業開始まであと2週間となりましたが、徐々に準備を進めたいと思います。

2012-08-01

RIMS 共同研究「数式処理研究の新たな発展」一般講演

ほぼ1か月前になりますが、去る7月4日に、京都大学数理解析研究所で開催された RIMS 共同研究「数式処理研究の新たな発展」にて、2件の発表を行いました。

1件目は、田島慎一先生、小原功任氏との共同で「行列の最小消去多項式候補を利用した固有ベクトル計算の並列化」という発表でした。実際のところ、発表した内容は、昨年の同じ研究会で発表した、行列多項式に対するホーナー (Horner) 法の並列化の試みで、発表の時点ではまだいろいろ検討の余地が残されています。

もう1件は、単独で「近似GCD 算法GPGCD の最近の進展」という発表でした。内容は、主に、同時期に採録された論文において、新たに行った実験結果の報告でした。

GPGCD: An iterative method for calculating approximate GCD of univariate polynomials (to appear in Theoretical Computer Science)

(English text follows Japanese)

今回、標題の論文が、Theoretical Computer Science の特集号(数式・数値融合計算に関する国際会議 SNC 2011 Symbolic-Numeric Computation)に採録され、掲載されることになりました。

論文の内容は、1変数多項式の近似公約子 (GCD) 算法の一つとして私が研究してきた "GPGCD" と呼んでいるもので、2009年に国際会議で出版した2本の論文の成果をまとめ、新たな成果を加えたものです。

一般的に、国際会議の論文はページ数に制約があり、細かい部分まで丁寧に説明できないことがあるので、この論文ではそうした部分も詳しく書いています。それから、計算機実験では、新たな問題例を取り上げるとともに、これまでに比較した1つの近似GCD算法に加え、新たにもう一つの近似GCD算法とも比較を行い、それぞれの算法の長所や短所を明らかにしています。

論文のプレプリントは、プレプリントアーカイブ arXiv からダウンロード可能です。http://arxiv.org/abs/1207.0630


My newest research article entitled as in the above has been accepted for publication in Theoretical Computer Science: Special issue of SNC 2011 (International Workshop on Symbolic-Numeric Computation).

This paper contains "GPGCD", an algorithm for calculating approximate greatest common divisor (GCD) of univariate polynomials which has been presented in two international conferences in 2009, with integrating previous results and adding new results.

Sometimes it may be difficult to present every research result in detail in conference proceedings since they usually have upper limit of pages that are usually tighter than those in scientific journals. In the present article, I explain topics that have been omitted or left by just short explanation in detail. Moreover, in computer experiment, I have compared my algorithm with two competitive algorithms, one of which is newly added in this version, with many new examples to discover advantages and disadvantages of each algorithms.

You can obtain preprint at the preprint archive arXiv (http://arxiv.org/abs/1207.0630).

2012-06-26

微積分I(第10回)

今回がこの授業科目の授業の最終回でした。今回は、三角関数の有理関数の積分 (u = tan(x/2) の置き換え) と、広義積分(絶対収束を除く部分)について説明しました。

以上で、1変数関数の積分法を一通り説明しましたが、教科書に記載がある部分で説明できなかったものは以下の通りです。

  • Riemann 積分の定義
  • 無理関数の積分
  • 広義積分の絶対収束(ガンマ関数やベータ関数を含む)
  • 定積分の応用(曲線の長さ)
微分のときもそうでしたが、時間の都合上、割愛しなければならなかった話題の中にも、今後各自が必要とするかもしれない話題も含まれていると思いますので、必要に応じて学習を補ってほしいと思います。

さて、これで1学期の授業が終わりました。私もこの講義は初めての担当で、手探りで進めてきた部分もありますが、1学期の内容をよく理解して、さらに2学期、3学期と微積分の学習を続けてもらえればと思います。1学期間ありがとうございました。あとは来週の期末試験に向けて、1学期の内容をよく復習した上で、試験に臨むことを期待します。

授業サポートページ:https://www.math.tsukuba.ac.jp/~terui/calculus1-2012

2012-06-25

数理科学II(第10回)

今回は、まず、前回証明していた定理(triangular idempotent form と呼ばれる形式の行列 L に対し、L の零空間の基底は、 I-L (I は単位行列)の非ゼロの行ベクトルで表されること)の証明の残りの部分を説明しました。そして、因数分解の計算例を説明して、授業を終えました。

これで、有限体上の1変数多項式の因数分解を行う Berlekamp の算法の説明は一通り終わり、1学期の授業も今回で終わりました。私の担当は、今年度の前半の予定ですので、2学期の9月いっぱいとなりますが、2学期は、整係数1変数多項式の因数分解(Hensel 構成)と多変数多項式の因数分解(一般 Hensel 構成)について説明する予定です。今日は夏には程遠いような涼しい(肌寒い)気候ですが、それでは皆さん、よい夏休みを。

2012-06-19

微積分I(第9回)

今回の授業の前半では、いくつかの基本的な不定積分の公式を説明した後、置換積分法と部分積分法について説明しました。後半では、有理関数の積分として、部分分数分解について説明し、その後、部分分数分解で得られる各項の積分の計算を一通り説明しました。

次回が1学期の授業の最終回(したがって、この授業科目の最終回)ですが、次回は、三角関数の有理関数の積分の計算と、広義積分を中心に説明する予定です。

授業サポートページ:https://www.math.tsukuba.ac.jp/~terui/calculus1-2012

2012-06-18

数理科学II(第9回)

今回は、まず、f-reducing polynomial の計算が、ある行列の零空間の計算に帰着されることを示しました。次に、因数分解の計算の流れを示した後、行列の零空間の基底の計算の具体的な方法について説明しました。

行列の零空間の基底の計算では、与えられた行列を、列基本変換を用いて triangular idempotent form と呼ばれる形式に変換し、その行列を L とすると、行列 I-L (I は単位行列)の非ゼロの行ベクトルが零空間の基底になることを、定理で説明しましたが、定理の証明の最後の部分を残して時間となりました。

次回は、今回残った定理の証明を述べた後、因数分解の算法の残りの部分を説明し、有限体上の1変数多項式の因数分解に関する説明を終えたいと思います。

2012-06-12

微積分I(第8回)

1学期の微積分の授業も残すところあと3回ですが、今回から積分の話に入りました。

今回は、前半で、積分学の成り立ちについて、特に、高校で習った順番との違いを取り上げながら説明しました。

高校の微積分の授業や教科書では、まず原始関数の一般的な形を不定積分と習い、原始関数を用いて定積分を定義するので、「微積分学の基本定理」を学んだ際、どうも当たり前のことにしか思われず、わざわざ定理として記述することの意義を、高校生だった頃の私も不思議に感じたものです。しかし、歴史的な経緯をたどると、原始関数と定積分は独立に考えられ、「微積分学の基本定理」において、両者が関連づけられています。今回は、こういった内容を説明しました。

授業の後半では、定積分の基本的な性質と「微積分学の基本定理」について説明しました。

次回は、基本的な不定積分の計算をいくつか取り上げて説明する予定です。

授業サポートページ:https://www.math.tsukuba.ac.jp/~terui/calculus1-2012

2012-06-11

数理科学II(第8回)

今回の授業では、中国剰余定理の証明を説明し、これに基づいて、f-reducing polynomial の存在性について説明しました。その後、f-reducing polynomial の計算法の説明に入りましたが、途中で時間となりました。

次回は、f-reducing polynomial の計算法の続きから始めて、実際に帰着させて解く問題の解法を説明します。

なお、今回、1学期のレポート課題を出題しました。これに加えて、この授業のサポートページを作り、「計算量」までの部分の講義ノートを PDF ファイルで掲載しました。

授業サポートページ:https://www.math.tsukuba.ac.jp/~terui/ms2-2012

2012-06-05

微積分I(第7回)

今回は、前半では、前回の Taylor の定理の補足を述べた後、漸近展開について説明しました。後半では、漸近展開を用いた不定形の極限値の計算を、例題を解きながら説明しました。

今回でようやく微分の話が終わりました。今学期の授業はあと3回ですが、次回から積分の話に入ります。

授業サポートページ:https://www.math.tsukuba.ac.jp/~terui/calculus1-2012

2012-06-04

数理科学II(第7回)

今回は、Fermat の小定理について説明し、因数分解の準備として、f-reducing polynomial の導入を説明しました。

次回は、f-reducing polynomial を用いた因数分解の理論的根拠として、中国剰余定理を説明し、因数分解の具体的な手順に進む予定です。

2012-05-29

微積分I(第6回)

今回は、まず、前回の初等関数の微分で残った Arctan x の導関数の導出を行った後、前半では、ロルの定理を経て平均値の定理の証明を行いました。後半では、平均値の定理の応用として、導関数の正負に対するもとの関数の増減に関する性質を示した後、Taylor の定理の証明を行いました。

次回は、微分の話の締めくくりとして、漸近解析の説明を行い、積分の話に入りたいと思います。この講義もあと4回ですので、なるべく積分の話も十分できるようにしたいと思います。

授業サポートページ:https://www.math.tsukuba.ac.jp/~terui/calculus1-2012

2012-05-28

数学特別講義I (2010) の講義録画を公開

このほど、おととし(2010年)の授業「数学特別講義I」で行った講義のビデオ録画を公開しました。

今回公開した講義の内容は、前年 2009 年の講義と内容はほぼ同じものです。今回公開した 2010 年の録画は、授業直後から編集を行い、動画ファイルの準備を進めていましたが、最終の動画ファイルをエンコードして作る直前になって、編集に使っていたパソコンが故障し、動画を作れなくなってしまいました。

幸い、録画のファイル類に損傷はなく、その年度末にデータを取り出すのに成功しましたが、直後に震災が起きたりして、作業が延び延びになっていました。今年になってから、YouTube のファイルアップロードの時間制限が緩和されたことに気づき、2009年の動画に引き続いて、今回作業を行ったものです。

ついでに、技術面で、編集作業の際に気づいたことですが、最初に編集して作った動画ファイルは、YouTube にアップロードして再生してみたたところ、途中で音声が切れたりして、うまく再生できませんでした。編集過程をよく調べてみると、録画素材(ビデオカメラで記録されたファイル)の音声の入り方が少々奇妙なことに気づきました。5.1チャンネルの音声チャンネルで記録しているのですが、実際に音声が入っているのが3チャンネルだけというものです。そこで、録画素材を読み込む際に、音声は1チャンネルのステレオに変換して読み込み、あとは同様に動画ファイルを作ってアップロードしたところ、今度はうまく再生されました。

そんなわけで「編集の際は音声トラックの構成にも注意」という教訓を得たわけですが、録画とスライドは以下より参照できます。あと、今回の講義の他にも、私が公開している講義の録画類は、YouTube のチャンネル (https://www.youtube.com/user/atelieraterui) で視聴できます。

数学特別講義I: くらしの中のコンピュータと数学(2010年4月16日)

2012年度オープンキャンパスの web ページを公開

去る5月12日に開かれた、数理物質科学研究科オープンキャンパスの web ページを作りました。 http://nc.math.tsukuba.ac.jp/graduate/opencampus/2012/
Web ページでは、当日の要項や写真を載せています。懇談会など、それなりに雰囲気を知っていただければと思います。

ついでに、オープンキャンパスの一般情報のページも更新しました。 http://nc.math.tsukuba.ac.jp/graduate/opencampus/
ここでは、各年のオープンキャンパスの情報もここからたどれるようにしたいと思います。

なお、筑波大学 数学域/大学院数理物質科学研究科 数学専攻/理工学群 数学類の公式 web サイト (http://www.math.tsukuba.ac.jp/) は、この4月にリニューアルし、コンテント管理システム NetCommons (http://www.netcommons.org/) で動いています。公式 web サイトは http://www.math.tsukuba.ac.jp/ から http://nc.math.tsukuba.ac.jp/ にリダイレクトされるようになっており、公式 web サイト以外の web ページは、従来通りの URI (アドレス)でアクセスできます(私のホームページ https://www.math.tsukuba.ac.jp/~terui/ もです)。

数理科学II(第6回)

今回は、前回残った無平方分解の計算の説明を行い、引き続いて有限体上の1変数多項式の因数分解の話題に入りました。その中で、今日は、有限体の基本的事項(有限体の定義、標数など)の復習を行いました。

次回は、Fermat の小定理から始めて、今回に引き続き、有限体上の1変数多項式の因数分解の準備を行います。

2012-05-22

微積分I(第5回)

今日は、授業の前半で、まず、無限小に関するランダウの O 記号の説明を行い、関数の組み合わせの微分として、線形結合、積、商の関数の微分、合成関数の微分や、逆関数の微分、高階導関数の説明を行いました。

授業の後半では、主な初等関数の導関数の計算について説明しましたが、 Arctan x の導関数の導出が残りました。

次回は、今日の授業で残ったArctan x の導関数の導出を行った後、平均値の定理を経て、Taylor の定理の周辺まで進みたいと思います。

授業サポートページ:https://www.math.tsukuba.ac.jp/~terui/calculus1-2012

2012-05-21

微積分I:授業アンケート

前回の授業で、授業に関するアンケート調査を行いましたが、その結果を集計しました。

今回は、講義については、主に授業の進め方(板書、話し方、授業の進度の速さ)について尋ねました。演習については、演習の授業を履修しているかという点と、要望事項について尋ねました。その他、自由に記述してもらった回答もあります。

この講義の進め方については、回答を見る限り、おおむね問題はなさそうで、ホッとしていますが、板書の際の色分けなど、よりわかりやすい強調の仕方については、改善の要望もありましたので、工夫したいと思います。あと、自由記述欄で「物理的な意味についてもっと触れてほしい」という要望がありました。講義の準備は毎回ギリギリですが、何とか要望にも応えられるように準備したいと思います。

演習に関する要望では「演習の方が進度が速い」という指摘がありました。これは、毎年そうですが、微積分の講義の最初の方では、それ以降で使う概念や術語の定義が結構な量にのぼり、これらの説明に時間が割かれる一方、演習では、そのちょっと先で、数列や関数の極限や、導関数の計算などの計算練習に時間を割きたいものですから(私も過去に演習の授業を担当した経験上)、1学期の特に前半で、進度の差が生じることが多いと思います。

これについては、講義もなるべく演習のペースに追いつけるよう努力したいと思いますし、私の方では、毎週、講義の進度を演習の担当の先生に連絡し、演習の担当の先生にも、講義より先を行く際は、新しい概念をなるべく丁寧に説明してもらうようお願いしていますので、もし授業を受けていてわからない点がありましたら、積極的に質問してもらいたいと思います。

以上、履修者の皆さんの回答に感謝し、1学期の残りの期間、皆さんにとってよりためになる授業になるよう取り組みたいと思います。

数理科学II(第5回)

今回は、前回の続きで、計算量の話題のうち、1変数多項式の乗算と擬除算の計算量の話題から入りました。今回は、出席者がちょうど2人いたので、実際に黒板の前で計算量解析を説明してもらいました。計算量解析も、自分でやってみるとより理解できるのではないかと思います。

授業の後半では、多項式の因数分解の話題に入りました。今回はまず、最初のステップである「無平方分解」の途中まで進みました。次回は、無平方分解の実際の手順を説明し、先に進みたいと思います。

2012-05-15

微積分I(第4回)

今回は、前半で、連続関数とその性質、初等関数の説明を行いました。連続関数の性質では、一様連続性は今回はスキップしています(積分の時に説明する予定です)。後半では微分の定義を行い、微分可能性に関する説明を行いました。

次回は、ランダウのO記号の説明を行い、初等関数の微分まで行ければと思います。

それから、今日は授業アンケートを実施しました。アンケートの集計結果についてはあらためて書きたいと思います。

授業サポートページ:https://www.math.tsukuba.ac.jp/~terui/calculus1-2012

2012-05-14

数理科学II(第4回)

今回は、前回行った1変数多項式の四則演算のアルゴリズムのうち、残っていた擬除算のアルゴリズムの説明を行いました。

次に、計算量に関する説明を行い、1変数多項式の加減算の計算量の説明まで行いました。

次回は、1変数多項式の乗除算の計算量の説明を行います。基本的事項はこれで終わりで、引き続いて多項式の因数分解の話に入りたいと思います。

2012-05-12

数理物質科学研究科 オープンキャンパス

筑波大学 大学院数理物質科学研究科のオープンキャンパスが行われました。

今日は、まず、午前中に、研究科全体での説明が行われた後、午後には、各専攻での説明会が行われました。

数学専攻では、午後1時から、自然系学系棟D509セミナー室にて、専攻説明会を行いました。学務委員の田島先生より数学専攻の概要説明の後、代数、幾何、解析、情報数学/数理科学の各分野のスタッフや研究内容の紹介を行いました。今回、私は情報数学/数理科学の紹介を担当し、情報数学/数理科学分野を構成する、数理論理学、数理統計学、計算機数学の各研究グループを紹介しました。

その後、参加者と、数学専攻のおもに大学院生との懇談が行われました。今回の参加者は、事前登録者だけで34人ということで、これは前年度の参加者数に匹敵する数字です。実際には、それを上回る人達が参加されたと思われ、セミナー室が満杯になるほどの盛況ぶりでした。懇談も、多くの人が時間いっぱいまで、在学生の人達らと活発に情報交換を行っている模様でした。

今年度の数学専攻博士前期課程(修士課程)の新入生は33人と過去最大級でしたが、個人的には、来年度もたくさんの人が受験されることを望みます。

大学での数学の学び方のアドバイス (2012)

先月から微積分の講義を始めたわけですが、その第1回の最初の時間のガイダンスの中で、大学で数学を学ぶ上でのアドバイス、というか、コツ、といったような話をしました。

自然系の学類(数学、物理、化学、あと地球もか?)では、毎年、1年次の1学期から2学期の基礎教育の授業に関する授業アンケートを行い、通常ですと、秋に「学生と教員の懇談会」を開きます。この際に、授業アンケートの回答内容を基に、授業改善のための討論を行います。

このとき、学生からは、授業が速過ぎる、もっとわかりやすい授業をしてほしい、大量の板書をノートに書き写すのが大変、といった意見が毎年出ています。一方、それらに対し、教員からは、大学で学ぶ内容はそれ程易しいものではないので、そのつもりで勉強する必要がある、とか、大学では、高校までの学習方法や学習習慣から変化させる必要がある、といった意見や指摘が出ています。

そこで、今回、1年生で最も基礎的かつ重要な授業の一つである「微積分」の講義を受け持った機会ということで、教員の側から先手を打って、学生に対し、高校までの学習習慣や学習方法に対し、大学の授業に合わせた対応の変化を促すための話をしました。具体的な内容は、同時に配布した資料(下記を参照)にありますが、大まかには、大学の単位制度として、1単位とるためにどれだけの時間の勉強が必要とされているかという制度に触れたあとで、大学の、主に数学の授業科目における予習、授業、復習のサイクルの中で具体的にどのようなことを行ったらよいか、その一例を説明しています。

この時の模様は、第1回の授業の録画にも含まれていますが、大学の数学の授業を始める上でのガイダンスの1つとして有効かもと思いましたので、この説明の部分を抜粋してお届けします。この他の授業の録画は、YouTube のチャンネルページをご参照いただければ幸いです。

大学での学び方のヒント (2012)

微積分の講義の録画を公開しています

今年度、1学期に「微積分I(物理学類対象)」の講義を担当していますが、毎回の講義の模様を録画し、公開しています。

以前は、数学科の微積分の板書の授業をビデオで録画してインターネットに流しても、大して意味はないんじゃないの、と思っていましたが、いろいろな大学のオープン・コースウェア (OCW) で微積分や線形代数の授業の録画を載せていることを知り、まぁさらに1つ同じような授業を載せても無駄かもしれないけど、悪いことではないだろう、と思うようになりました。

まっとうな理由はそれ程あるわけではありませんが、数学域で録画や中継の用途に業務用ビデオ機材一式を提案して入れていただいたこともあり、なるべく元をとるように使った方がよさそうな気がしたり、実際に講義のビデオ録画を継続的に公開するために必要なコスト(設備、費用、労力)をためしに調べてみよう、という気持ちもあります。

一方で、教員になってそれなりに時間も経ち、誰かに「叱ってもらう」機会が減ったと感じ、自分の仕事に謙虚な姿勢で臨むことを忘れないために、自分が行っている授業を見ていただいてご批判をいただく、といったような機会にもなるのではないかと思いました。履修者の人達に対しては、どのような効果があるか、あまり見当はついていませんが、逆に、私が予想しないような録画の活用方法などを提案してくれればおもしろいのではないかと思います。

録画は YouTube のチャンネルページにて公開しており、録画も含めた授業全般の情報は授業のサポートページに掲載しています。
YouTube チャンネルページ:http://www.youtube.com/user/atelieraterui
授業サポートページ:https://www.math.tsukuba.ac.jp/~terui/calculus1-2012

2012-05-08

微積分I(第3回)

今日は、授業の出席をとってみることにしました。現在のところ、出席状況を授業の成績に反映させるかどうかは決めていませんが、決めたら連絡します。連休明けの授業ですが、ほとんどの人が出席していたようです。

今日の授業では、前回残ってしまった連続性公理の説明を終えました。引き続いて、数列の収束と発散、関数、関数の収束と発散について説明しました。数列や関数の収束と発散については、時間の都合で ε-N 論法や ε-δ 論法による収束や発散の定義を省略せざるを得ませんでした。これらは3学期の「微積分III」にて扱いますが、講義ノートの方にはこれらの定義と解説も記載していますので、参考にしてもらえればと思います。

今回の講義から、講義ノートの内容のうち、授業で実際に講義した部分については、ノートの左端にオレンジ色の線を入れました。講義ノートの内容は「本来私が講義したい」内容ですが、残念ながらその全部を実際に講義する時間はないので、各自、講義ノートを参照の上、必要に応じて内容を補ってほしいと思います。講義ノートの入手方法は、いつも通り「授業サポートページ」から PDF ファイルでダウンロードできます。

次回は、連続関数、初等関数について説明した後、微分の定義に入る予定です。

授業サポートページ:https://www.math.tsukuba.ac.jp/~terui/calculus1-2012

2012-05-07

数理科学II(第3回)

今日は連休明けの授業で、最初人が揃わなくてちょっと様子見モードになりましたが、間もなくほとんどの人が揃ったので授業を始めました。

今日は、前回に引き続き、アルゴリズムの記法について一通り説明した後で、1変数多項式の四則演算をアルゴリズムの形で書き下して説明しました。最後の「擬除算」が残ったので、これは次回になりますが、各自考えてもらえればと思います。

2012-04-24

微積分I(第2回)

今日は、健康診断のため、授業が短縮されて1時限のみとなりました。

今回は、前回に引き続き、Cantor の区間縮小法による実数の連続性の公理を説明しました。その後、教科書に記載されている実数の連続性の公理「有界な単調列は収束する」の説明のために、集合の上界、下界、上限や下限、数列の有界性といった用語の定義や性質を説明しましたが、結局、公理の説明までに至らずに、時間となりました。

次回は、今回の授業で残った連続性公理の説明をして、数列の収束や発散の定義や、数列の極限の性質について説明する予定です。なお、来週5月1日は木曜日の授業を振り替えて行うため、次回の授業は連休明けになります。

授業サポートページ:https://www.math.tsukuba.ac.jp/~terui/calculus1-2012

2012-04-23

数理科学II(第2回)

今日から実際の授業に入ったわけですが、今日はまず、学部(数学科相当)の授業でやるような、代数の基本的事項の復習(Euclid 整域、一意分解整域 (UFD))や、多項式を扱うのによく使う用語(次数や主係数)の復習を行いました。

その後、1変数多項式の四則演算のうち、計算代数に特有の「擬除算」について説明しました。残りの時間で、アルゴリズムの基本事項の説明に入ったところで時間となりました。

次回は、アルゴリズムの基本事項の続きを行います。(計算量の説明の準備です。)来週4月30日は「昭和の日」の振替休日なので、次回の授業は5月の連休明けになります。

2012-04-17

微積分I(第1回)

今年度は、微積分I(1学期、物理学類対象)の講義を担当することになりました。

今日の前半の1時間は、ガイダンスを行いました。ガイダンスの前半は、よくあるように、担当教員や教材の紹介、単位の取り方などを説明しました。後半では、大学での学習の意識や方法に関して、学生側の意識と、教員が学生に期待するものの間にギャップが感じられることから、大学の制度の特徴、望ましい心構えや学習方法の例について、説明しました。

後半の1時間は、集合や実数の区間の概念や記法について説明した後、実数の構成の説明に入り、有理数の構成まで行ったところで時間になりました。

次回の授業では、有理数の構成法の一つとして Cantor による区間縮小法を取り上げ、実数の連続性の公理などについて説明する予定です。なお、次回は、学生定期健康診断のため、4限は休講とし、5限のみの授業とする予定です。

あと、授業のサポートページを作りました。こちらに、授業の配布資料などを載せています。

2012-04-16

数理科学II(第1回)

今年度の大学院の授業は先週から始まっていますが、私が担当する授業は今日からです。

今年で4回目になる「数理科学II」の講義ですが、今回は、授業を行う1年間(3学期、9か月間)を前半と後半に分けます。前半は私が担当し、おもに1変数/多変数多項式の因数分解を中心に、多項式演算やアルゴリズムの概要について説明します。後半は田島慎一先生が担当され、多変数多項式環上のグレブナー基底や、微分作用素環とグレブナー基底の話をされる予定です。

今日はひとまず、授業のガイダンスとして、授業内容の説明に引き続き、参考書や主な数式処理システムの紹介、数式処理の(特に数値計算と比較した)特徴について説明しました。次回から数学の話に入り、次回は多項式環の基本的事項から説明する予定です。

2012-04-10

数学専攻内で KNOPPIX/Math 2011 dojo DVD を配布しています

このたび、筑波大学 数学域/数学専攻の計算機室にて、KNOPPIX/Math 2011 dojo DVD の配布を始めました。

KNOPPIX/Math は、DVD から起動可能な Linux オペレーティングシステムの1つである KNOPPIX に、各種のフリーな数学ソフトウェアを添付し、 数式処理、数値計算、可視化等のさまざまな機能を利用できるようにしたものです。

KNOPPIX/Math 2011 dojo は、科学技術振興機構 戦略的創造研究推進事業 CREST 数学領域 "数学と諸分野の協動によるブレークスルーの探索" の研究課題「現代の産業社会とグレブナー基底の調和」等の補助を受けて制作されたものです。

今回配布の DVD には、以下の3種類があります。

  • Bootable DVD(青色のパッケージ):パソコンのDVDドライブに挿入して起動し、直接利用するためのもの。
  • Virtual Machine(黄色のパッケージ):仮想マシンソフトウェア VMWare 上で動作する仮想マシンのイメージ。
  • Multimedia(緑色のパッケージ):本システムの宣伝やチュートリアル用のマルチメディア資料。
なお、これらの DVD は、ダウンロード可能な ISO イメージファイルも提供されています。

今回配布の DVD は、私と同じく計算機数学分野所属の田島慎一先生が配布元から配布を受け、私が管理して配布しています。 今年度の筑波大学 大学院数理物質科学研究科 数学専攻の新入生全員にも配布しています。制作、配布に携わったプロジェクトの方々に感謝します。専攻内で広く利用していただければと思います。

2012-03-26

日本数学会 2012 年度年会 一般講演

このたび、昨日から東京理科大学 神楽坂キャンパスで開催されている日本数学会 2012 年度年会の函数論分科会にて、田島慎一先生と共同で「行列の最小消去多項式を利用した固有ベクトル計算」という題目で一般講演を行いました。

これは、田島先生と以前から共同研究をさせていただいているテーマで、行列のレゾルベントの留数解析に関する田島先生らの研究成果に基づいて、行列の固有ベクトル計算を速くしようというテーマです。

行列の(厳密な)固有ベクトルの計算は、一般に手間のかかる計算で、計算代数の分野としてもこの計算の効率化は興味深いトピックの一つであると思います。田島先生らは、従来から、行列のレゾルベントの留数解析に基づき、これらの計算を多項式計算を用いて効率化を図る研究に取り組んでいます。今回の話では「最小消去多項式」を利用して固有ベクトル計算を効率化するというテーマで私もお誘いいただきました。田島先生は算法の理論面を作られ、私は主に算法の実装やベンチマークテストを担当しています。

今回の発表は、昨年開催の同学会年会で発表予定でしたが、東日本大震災の影響を受け、年会が中止になりました。その後、日本数学会の取り扱いにより、昨年の年会の研究発表は成立したものとし、その時の一般講演を、昨秋の秋季総合分科会か、今回の年会で発表できることになりました。本発表はこの制度に基づいて今回発表したものです。

参考までに、今回発表に用いたスライドを載せておきます。より詳しい資料は、追って掲載したいと思います。

行列の最小消去多項式候補を利用した固有ベクトル計算

2012-03-03

数学特別講義I (2009) の講義録画を公開しました

だいぶ古い話になりますが、3年前の2009年春に「数学特別講義」で行った講義を収録したビデオ録画を公開しました。

録画の公開は、講義を引き受けた時から念頭にあって、講義の模様を収録し、ティーチング・アシスタント (TA) の人に編集、マスタリングもしてもらって、あとは公開するだけの状態になっていました。しかし、大学のオープンコースウェア (OCW) では、動画ファイルをまるまる置いてダウンロードする形態で、現在一般的なストリーミング再生に対応していないこと、大学のセンターにあるストリーミング対応の設備を使うには費用や手続きがいろいろあること、Youtube などでは長時間の動画のアップロードができないこと、などから、しばらく作業を保留していました。

しかし、最近になって、Youtube が、携帯電話のメールか SMS の認証で、長時間の動画のアップロードに対応したことを知り、今回、公開してみました。録画は以下の通り参照できます。

あと、こちらは以前にも紹介しましたが、講義の際のスライドも、あらためて紹介しておきます。

数学特別講義I:くらしの中のコンピュータと数学(2009年4月17日)

2012-02-29

線形代数演習(第9回)

この授業も今日が最終回となりましたが、今日は、2つのベクトル空間の基底とそれらの間の線形写像が与えられた時に、線形写像の表現行列を求める問題と、グラム・シュミットの直交化法の問題を発表してもらいました。

グラム・シュミットの直交化法は、ちょうど今日講義されたとのことです。解答者は、定理の計算手順通りに計算を行うことはできていたのですが、計算の意味まではまだあまり理解できていなかったようで、黒板の前で、私と一問一答を繰り返しながら徐々に計算を進めていきました。今日の講義の直後で大変だったとは思いますが、計算の意味を理解することも大切なことですので、今後よく復習して理解を深めてほしいと思います。

今学期のこの授業は、人数が30人程度と、板書と討論を行う授業としては人数がやや多めでしたが、発表を2回行うと単位を保証すると言ったこともあり、早々と2回発表して姿を見せなくなった人もいる一方、学期末の方では、やる気のある人が残り、授業の雰囲気もよかったのではないかと思います。次週は期末試験を行いますが、講義の試験にも生かせるよう、よく復習して試験に臨んでほしいと思います。

微積分演習(第9回)

今日はこの授業の最終回でしたが、無限級数の収束判定の問題、関数の一様連続性に関する問題、実数列の上限や下限に関する問題を発表してもらいました。今回は期末試験は行わず、最終的な成績は期末レポートで判定しますので、レポートの提出も忘れずに行ってほしいと思います。

今年のこの演習のクラスは、前年度に増して受講した学生さん達が積極的に参加してくれたおかげで、授業で用意した演習問題は、実数の連続性に関するやや難しい問題を除き、ほぼ全部が授業で解かれました。授業中の討論にも多くの人が積極的に参加し、有意義な授業にしてくれたことに感謝します。皆さんの今後のさらなるご活躍を祈ります。

2012-02-28

計算機演習(第9回)

今回は、最終回のレポート課題の締切日ということで、質問を受けつけるオフィスアワーとし、自由参加としました。参加者は15人くらいでした。

授業時間の最後の30分で、先週配布した KNOPPIX/Math のデモンストレーションを行いました。最初持参したノートパソコンのビデオ端子から信号が出ず、急きょ古いノートパソコンを取りに行ってデモをすることができました。

デモでは、幾何学の可視化ソフトウェア GeoGebra と、数式処理システム Sage を紹介しました。短い時間の紹介にとどまりましたが、興味のある人には試してもらえればと思います。

2012-02-22

線形代数III演習(第8回)

今週も、先週に引き続き、ベクトル空間の基底や次元に関する演習問題を発表してもらいました。

与えられたベクトルが生成する部分空間の次元を計算する問題では、与えられたベクトルから行列を構成し、この行列のランクを求めることにより、部分空間の次元を計算する手順がよく用いられますが、それがなぜ可能かということを理解しておくことも重要と思います。

次回は最終回の授業ですが、少しでも多くの演習問題が解かれるよう期待します。

微積分演習(第8回)

今日も、前回に引き続き、無限級数や連続関数に関する演習問題を発表してもらいました。

次回は最終回ですが、残りの演習問題もなるべく多く解かれることを期待します。

2012-02-21

計算機演習(第8回)

今日は、授業の最終回で、フラクタル図形の描画に取り組みました。レポートの方はちょっと大変かもしれませんが、やりがいもあると思いますので、より多くの人が完成して提出することを望みます。

次回は「予備日」としていましたが、今回出題のレポートの締切日ですので、質問がある人のためのオフィスアワーとし、自由参加とします。

それから、今回の出席者に KNOPPIX/Math の DVD を配布しました。これは、DVD から起動できる Linux ディストリビューションの一つである KNOPPIX に、いろいろなフリーの数学ソフトウェアをインストールしたものです。次回、もし機会がありましたらデモンストレーションを行いたいと思います。

2012-02-20

数理科学II(第21回)

今日は、本年度最後の授業でしたが、多変数多項式の因数分解における一般 Hensel 構成として「一般化された Hensel の補題」を説明しました。そして、多変数多項式の因数分解の計算例を提示しました。授業時間をちょっと超過してしまいました。すみません。

以上で今年度の授業が終わりましたが、残念ながら、当初目指した、多項式の因数分解の実装にまでは至りませんでした。しかし、計算機やアルゴリズムの基本、多項式の表現や四則演算の実装を、Scheme の処理系とともに示した一方、因数分解のアルゴリズムにかかわる数学の説明を一通り行いましたので、計算数学の理論と実践の両面に触れたことが、履修者の皆さんにとってよい収穫になってくれることを願っています。

2012-02-17

数学類セミナー(第24回)

今回が、1学期のフレッシュマンセミナーから続いてきた、金曜6限の授業の最終回となりました。今日は、3学期の授業アンケートをとって終了しました。

冒頭、学生の皆さんにも申し上げましたが、来週は前期日程入試、早いもので受験した人達は1年が経つことと思います。昨年の入試の後で、震災があり、オリエンテーションの初日に入学式ができず、普段着で記念写真を撮ったり、オリエンテーション合宿では大きな余震に遭ったり、入学式を陸上競技場で行ったり... で、これから先どうなるか、と、新入生の皆さんの身を案じたことが幾度となくありましたが、全員元気でここまでくることができて、本当によかったと思います。

私ともう1人の担任の先生は、ともに、学年進行で持ち上がり、今年度の新入生の人達が卒業するまでのつきあいとなります。皆さんの今後のさらなる活躍を祈ります。

なお、このセクションの情報は、今後も、この学年に関するイベント等がありましたら随時載せていきたいと思います。

数学特別演習(第16回)

今日はこの科目の最後の授業で、まず、前回の続きとして、「オイラー線」に関する定理のうち、重心と外心の座標を計算し、ついで、定理の証明をしてもらいました。

最後の発表者は、第7章の残りの部分の解説で終わるだろうと思っていたところ、ぜひ次の章も発表したいとのことで、第7章の残りの部分は手早く済ませ、第8章「オイラーと組み合わせ論」を発表してもらいました。

第8章の内容は「撹乱順列」と呼ばれる順列の問題です。彼は、これを「居酒屋の帽子の問題」として、次のように説明してくれました。

n 人の友達どうしが、全員、異なる帽子をかぶって居酒屋に行き、マスターに帽子を預けて飲む。飲んだ後で、マスターから帽子を受け取ってかぶるが、その際、全員が、行きと異なる帽子をかぶる組み合わせは、全部で何通りあるか?
それから、オイラーが、撹乱順列の個数を、n に関する漸化式で表したこと、ついで、これを n の(閉じた)式で表したことが紹介されました。そして、与えられた n に対し、居酒屋を出た全員が行きと異なる帽子をかぶる確率が、n をどんどん大きくすると 1/e (eは自然対数の底) に収束するという性質が紹介されました。

組み合わせ論の話に e が出てくるというのは、なんとも驚きです。最後に、彼は「e は(事実はともかくとして)実はオイラーの頭文字でないかという気がする」という話をして、発表を締めくくりました。

これまで、約半年にわたって、オイラーの数多くの業績のほんの一部に触れてきたわけですが、それでも、多くの数学者によって数学が紡ぎ継がれていく様子や、その中でのオイラーの見事な(時には大胆な)発想力など、得るものが大きかったのではないかと思います。ある人は、感想の中で「e や π といった神秘的な無理数が、数学に内在するあらゆる垣根を越えて登場する」ことから「数学の絆」を感じたと書いていましたが、この授業に出てきた私達も、授業を通して、数学の絆で結ばれていたのかな、と思いました。

授業に出てくれた皆さんには、これからも、このような数学の絆を見つけ、これを楽しみ、また、これを身の回りに広めていってくれれば、と思います。

2012-02-15

線形代数III演習(第7回)

今日も、先週に引き続き、ベクトル空間の基底や次元に関する問題を解いてもらいました。

今日の発表では、論証をたどるのにだいぶ時間をかけ、発表を聴いている人もなるべく理解できるようにしたつもりです。発表した人はおおむね問題の答えを理解していたようですが、聴く人によく伝わるような説明を心がけることが大切だと思います。

次回も引き続き、今回と同様の演習問題と取り上げます。

微積分演習(第7回)

今日は、実数の連続性に関する問題に加えて、無限級数に関する問題も解いてもらいました。

問題発表の際に、「... が成り立つのは... なぜだっけ?」と詰まった人がいましたが、その場でちょっと議論をして、ちゃんと内容を理解して先に進むことができました。自分で問題を解いている際は気づかなかった部分も、発表の際に気づくことがあります。このような意味でも、人前で発表したり説明したりすることの意義があると思います。という場面に出会った今日の授業だったと思います。

来週も、引き続き、これまでに出題した演習問題を解いてもらいます。

2012-02-14

計算機演習(第7回)

今日は、プログラミングの初歩として、再帰的なルールに基づくプログラミングを行いました。

今回のレポート課題では、関数の微分を行うプログラムを作ってもらいましたが、微妙なところでプログラムがうまく動かず、TA の人達のサポートを受けながら作業を進める人が、例年よりやや多かったような印象を受けました。レポートの締切まで1週間ありますので、うまく動くプログラムが作られることを期待します。

次回は最終回で、フラクタル図形の描画を行います。

2012-02-10

数学類セミナー(第23回)

今日は特に行事はなく、出席をとったのち、解散となりました。

金曜日の授業日程の都合で、次回はこの授業の最終回になります。3学期の授業アンケートが予定されています。

数学特別演習(第15回)

今日の授業では、第7章「オイラーと幾何学」に入りました。この章では、平面幾何におけるオイラーの業績を紹介しています。

前半は「ヘロンの公式」のオイラーによる証明を発表してもらいました。ヘロンの公式は、三角形の3辺の長さから面積を求める公式で、公式自体は古くから知られているものですが、オイラーによる証明は、いくつもの三角形の相似を巧みに用いることによって公式を導いており、理論は中学校の数学の範囲で理解できるものですが、証明の巧みさには驚かされます。

後半では、三角形の垂心、重心、外心が1直線上に並び(オイラー線)、しかも垂心と重心の距離が、外心と重心の距離の2倍になるというものです。ここで、オイラーの証明は、平面の直交座標系に三角形を置き、垂心、重心、外心の座標を直接計算することによるもので、オイラーのたぐいまれなる洞察力と計算力を垣間見ることができます。

今日の授業では、後半のオイラー線の話のうち、垂心の座標の計算で終わったので、次回は、残りの重心と外心の座標を計算し、定理の証明に進む予定です。

2012-02-08

線形代数III演習(第6回)

今日は、これまでにも扱った、線形写像や部分空間、線形結合の問題に加え、ベクトル空間の基底や次元に関する問題も扱いました。

今日の証明問題でも、証明のステップを細かくフォローしました。幸い、問題を解いて発表した人は、内容はそれなりに理解しているようでしたが、「それなり」をより明確に理解できるように、また、自分で問題を解く際の考え方のヒントになるように議論したつもりですので、参考にしてもらえればと思います。

次回も引き続き、今回と同様の演習問題を取り上げる予定です。

微積分演習(第6回)

今日の授業では、関数の極限値と実数の連続性に関する問題を取り上げて発表してもらいました。

その後、連続関数の性質と、無限級数に関する演習問題も配布しましたので、こちらの方も併せて学習を進めてもらえればと思います。

2012-02-07

計算機演習(第6回)

今日は、微積分の2回目ということで、主に積分に関する内容を扱いました。不定積分、定積分、微分方程式の解法を扱っています。

あと、微積分とは直接関係ありませんが、リストのさまざまな操作法も扱いました。今日のレポート課題では、リスト操作を用いて数値積分の計算をする課題があり、数値積分の計算の手法の一つという意味では微積分の問題の解法と関連があります。

次回は、Mathematica による初歩的なプログラミングを扱います。

2012-02-06

数理科学II(第20回)

先週は不本意ながらも休講してしまいましたが、今日は、整数上の1変数多項式の因数分解のまとめを行いました。Hensel 構成に基づく算法は、最後の「試し割り」の段階で、因子の組み合わせの個数が因子の個数の指数関数になり、理論上は多項式時間ではありませんが、実用上は、数次から数十次の多項式の因数分解には問題ないことなどを説明しました。

引き続いて、多変数多項式の因数分解における一般 Hensel 構成の紹介を行いました。私の担当はあと2月20日のみとなってしまいましたが、次の1回で、一般 Hensel 構成について、できるだけ説明を行いたいと思います。

2012-02-03

数学類セミナー(第22回):平成23年度第2回 数学類クラス連絡会

今日は、2学期に第1回が行われた、学生と教職員の懇談会が行われました。

会場は、前回と異なり、4階の教室でしたが、プロジェクタの投影でトラブルがあり、前回に引き続いて、私のプロジェクタの出番になりました。不具合が起きることはやむを得ないかもしれませんが、事前に動作確認を行っておいた方がよいと思いました。

会議では、前の学期と同様、授業評価アンケートの結果発表と、それに関連する討論が行われましたが、前回に比べると、議論は低調だったと思います。学生の積極性の問題もありますが、運営するクラ代会(クラス代表者会議)の論点の設定のしかたや議論の掘り下げ方に、より一層の工夫が望まれます。

今回は、議論の成果は残念ながら前回ほどではなかったと思いますが、このような機会は貴重なので、今後とも意義のある集まりとして存続できるよう、クラ代の人達の仕事に今後も期待したいと思います。

数学特別演習(第14回)

前週、私の病気で急きょ休講にしてしまいましたが、今回は、前回に引き続き、代数方程式の解法に対するオイラーの挑戦を見た後、エピローグとして「代数学の基本定理」について発表してもらいました。

代数方程式の解法については、オイラーは完全な答えを与えることができませんでしたが、それは、同時代の他の数学者にもできなかったことであり、あと半世紀ほど数学の進化を待たなければならなかったので、やむを得なかったことでしょう。それでも、4次以下の代数方程式の解法について、オイラーがすぐれた洞察で根の計算法を与えたことは、彼のたぐいまれなる才能と努力を示していると思います。

次回からは、第7章「オイラーと幾何学」について学びます。

2012-02-01

線形代数III演習(第5回)

今日は、数ベクトル空間やベクトル空間の演習問題で、部分空間の判定や、線形結合などに関する問題を扱いました。

今日の授業もそうでしたが、「だいたい」わかっていて「なんとなく」証明できているような人の発表に対しては、この問題は何を示すべき問題かとか、議論の過程などを詳しく確認しながら発表してもらいました。発表する人は、内容を「だいたい」理解しており、理解していることはよいことですが、残りの「もやもや」とした部分をはっきり詰めるのは大切なことです。聞いている人にも参考になればと思います。

次回も、今回に引き続き、ベクトル空間の基本的な性質に関する問題を取り上げる予定です。

微積分演習(第5回)

今日の授業も、関数の極限値を中心に演習問題を解きました。今日は、前回残してしまった問題も一通り解くことができました。

次の演習問題として、実数の連続性に関する問題を配りました。難易度はやや高いかもしれませんが、次回以降はこのテーマにも進んでいきたいと思います。

2012-01-31

計算機演習(第5回)

今回から2回にわたって、微積分の題材を扱います。今日は、関数の定義、極限値の計算、導関数の計算、 Taylor 展開を扱いました。今回のレポート課題は、これまでに比べて質問がやや多かったようです。

余談ですが、この授業時間、端末室の利用については、空き端末を授業履修者以外にも開放していますが、この授業時間の利用者はかなり多いようで、端末の稼働率は目測で毎回8割程度かそれ以上のようです。8割程度というと、ぱっと見、ほぼどの端末も埋まっているように見えます。

次回は、今回に引き続き微積分で、積分などの話題を扱います。

2012-01-30

数理科学II(休講)

今日は、授業開始前に所用で事務に立ち寄ったところ、思いの外時間がかかり、4〜5分程度遅れて教室に着きましたが、教室に誰もおらず、それから10分程度待っても誰も来ませんでした。

この直後、総合研究棟(B棟)の院生室を訪ねてわかったのですが、授業開始時刻に来ていた人達がおり、私が先週インフルエンザにかかっていたのを知っていたそうで、私が復帰していないものと推測し、退出していたことがわかりました。私の遅刻が原因でしたので、お詫びいたします。その後、一部の人は帰ってしまったということで、残っている履修者が1人になっていたため、今日は休講としました。

次回は、前回の続きで、Hensel 構成に基づく整係数1変数多項式の因数分解について、順を追って説明します。

2012-01-27

数学類セミナー(休講)

今日の数学類セミナーは、1クラス担任の梁先生が所用とのことで、私が担当で授業を行う予定でしたが、インフルエンザにかかってしまったため、休講となりました。

次回は、数学類のクラス連絡会(学生と教職員の懇談会)が開催されます。

数学特別演習(休講)

今日は、予定にはありませんでしたが、担当教員の私がインフルエンザにかかってしまったため、休講としました。授業が遅れることをお詫びいたします。

次回は、前回の続きの部分を、前回指名した担当者の発表で読んでいきます。

2012-01-25

線形代数III演習(第4回)

今日は、主に数ベクトル空間の演習問題で、与えられた条件を満たす部分集合が部分ベクトル空間になるかどうかの判定問題や、与えられた線形写像 f に対する像空間 (image of f), 核空間 (kernel f) を求める問題などを解いてもらいました。

学生さん達の声を聞きますと、3学期になり、線形代数の授業がそれまでと比べて格段に難しくなったという人が少なからずいるようです。これは、線形代数のカリキュラムともたぶん関連があって、1, 2学期は、連立1次方程式や行列、行列式など、具体的な計算を伴う対象を中心に扱いますが、3学期から、一般的なベクトル空間や、線形写像など、より抽象的な対象を中心に扱うことも影響しているものと思われます。

このような場合においては、まず、単純な例題を用いて具体的に問題を考えることで、それぞれの概念を理解する助けになると思うので、演習問題ではそのような問題をなるべく多く用意したつもりですし、ぜひ各自が自分で問題にチャレンジしてほしいと思います。

次回は、引き続き、ベクトル空間の基本的な性質を扱います。

微積分演習(第4回)

今日は、関数の極限値に関する証明問題を中心にやりました。

今回も何問か板書してもらったものを残してしまいましたが、次回はもうすこし先に進めるようにしたいと思います。

2012-01-24

計算機演習(第4回)

今回は、線形代数の2回目ということで、グラム・シュミットの直交化や、リストのさまざまな扱い方について行いました。

内容としては、Mathematica の操作もそうですが、線形代数の内容(グラム・シュミットの直交化)の復習が必要な人もいるようです。頑張ってレポート課題を解いてほしいと思います。

次回からは微積分の題材を扱います。

2012-01-23

数理科学II(第19回)

今日は、前回に引き続き、1変数多項式の因数分解の話で、今回は、Hensel 構成の中心となる定理「Hensel の補題」を説明しました。その前に、導入として、中国剰余定理に基づく因数分解の発想もできるけれども、手間の面から効率的ではない点についても触れました。

その後、Hensel 構成に基づく因数分解の手順について、順を追って説明することになりますが、今日はその導入部で終わってしまったので、残りはまた次回説明したいと思います。

2012-01-20

数学類セミナー(第21回)

今日は、再来週2月3日のクラス連絡会で討論するための、学内の福利厚生に関する要望の調査(討論形式)が行われました。

議論を聞いてみると、以前から要望を出していてもなかなか改善されていないところがあったり、自分も見聞きしていた部分もあったりしました。クラス連絡会の際に、有益な議論ができるといいですね。

ついでにお知らせですが、来週1月27日(金)に、数学類の卒業研究発表会が行われます。時間や場所は追って連絡があると思います。

数学特別演習(第13回)

今日は、第6章「オイラーと代数」に入りました。この章では、オイラーが最終的に成功しなかった事例である「代数方程式の基本定理」と「根の公式」について扱いますが、注意したいのは、オイラーの時代においてはこの問題を解決できた人は誰もいなかったということと、最終的な解決には至らなかったものの、オイラーの研究成果はやはり優れたものであったということです。

代数方程式の根の公式に関する話題では、オイラーによる4次方程式の根の公式の導出をたどりました。ついで、代数方程式の基本定理の部分では、まず、4次の実係数1変数多項式が、2つの2次の実多項式の積に分解できることを示す定理で、証明の途中まで紹介されました。

今回発表してもらった部分は、細かい計算も多く、読者が補う部分もこれまでに比べると比較的多い(しかし難易度はそれ程でもない)ですが、発表者はどちらもきちんとフォローしており、よかったと思います。次回は、代数方程式の基本定理に関するオイラーの挑戦の続きを見ていきます。

2012-01-18

数理科学II(第18回)

今日は、今年最初の授業ということで、整係数1変数多項式の因数分解の話題に入りました。ここでは Hensel 構成による因数分解を説明しますが、今日はその準備として、有限体上の拡張 Euclid 互除法におけるいくつかの性質について説明しました。

今日は、就職活動で出席率が半分でしたが、次回は Hensel 構成の説明に入りたいと思います。今の時期、M1 の人達も、就職活動が大変と思いますが、ご健闘をお祈りします。

2012-01-17

計算機演習(第3回)

今日は、線形代数の1回目ということで、ベクトルや行列の表現、行列の対角化による n 乗の計算といった話題を扱いました。

今回のレポート課題は比較的易しかったかもしれませんが、頑張って仕上げてほしいと思います。なお、第2回のレポート課題は今日が締め切りで、これから私と TA で採点の予定です。

2012-01-12

数学類セミナー(第20回)

今日は年明け最初の授業でした。今日は特に行事はありませんでしたが、ほとんどの人が、休み明けも元気に出ているようでした。

今後の予定は、2月3日にクラス連絡会が行われるとのことです。明日と16日(月)は、大学入試センター試験対応のため、授業は臨時休業となります。

数学特別演習(第12回)

今回は、年明け最初の授業です。今回は、第5章「オイラーと複素数」の後半を読んでいきました。

最初の内容は、いわゆる「オイラーの公式」で、オイラーによる、3つの異なる証明が紹介されました。それから、エピローグとして、複素数の正弦 (sine) や余弦 (cosine) の計算、複素数の対数の計算、最後に、虚数単位 i の i 乗の計算を、オイラーがいかに導いたかを読んでいきました。

複素数の三角関数では、純虚数の余弦が実数になることや、複素数の対数は一般にたくさん存在すること、i の i 乗の値は実数でしかも無限個存在することなど、従来の認識を破りつつ、複素数に対する認識を数学界に広めていったオイラーの偉大さが感じられたと思います。

なお、今回の授業は、年初めのせいか、若干空席が目立ちました。次回はこれまで通り席が埋まることを望みます。

2012-01-11

線形代数III演習(第3回)

新年最初の授業である今回は、板書も揃って授業を始めました。

今日は、線形写像の判定や、部分空間の判定などの問題を取り上げました。演習問題の方はまだ残っていますので、次回も活発な発表に期待します。なお、来週は水曜日が月曜日の振替授業日なので、次回の授業は再来週になります。

微積分演習(第3回)

今回は、冬休みをはさんで新年最初の授業でしたが、今回も皆さん積極的に発表していました。今回の授業も、数列の収束や発散に関する問題を中心にやりました。関数の極限値に関する問題が残ってしまいましたので、それらは次回に持ち越しになります。

来週は水曜日が月曜日の振替授業日になるため、次回の授業は再来週になります。

2012-01-10

計算機演習(第2回)

今年初めての授業となりましたが、今日の授業では、Mathematica への入門の第2回として、連立方程式の求解やグラフィックス、アニメーションなどに関するより発展的なテーマを扱いました。

今回のレポート課題では、アニメーションの描画がありますが、今日の授業を見る限り、興味深い作品がいくつか見られましたので、履修者の皆さんの力作が楽しみです。

次回からは線形代数に関するテーマを扱います。