2013-04-30

線形代数I(第5回)

今回は、まず内積に関する公式の証明を行いました。教科書の証明をより一般的な状況で考える必要があることが、自分が予習をやっていてわかりました。

引き続いて複素数の説明に入りました。複素数の説明では、複素数の定義を行い、複素平面を考えることにより、複素数と平面ベクトルを対応づけることができることを説明しました。

次回は複素数の後半として、偏角の定義や四則演算を説明し、それから一般の数ベクトル空間を紹介して、行列の定義に進む予定です。

授業サポートページ:https://www.math.tsukuba.ac.jp/~terui/la1-2013

2013-04-26

線形代数I(第4回)

今日は「任意の平面ベクトルがそれらの線形結合で表されるようなベクトルはどのようなものか?」という疑問から、平面ベクトルの線形独立(1次独立)の概念の導入を行い、ついで平面ベクトルの基底の定義を説明しました。それから、残りの時間で平面ベクトルの内積の定義を行い、内積に関する公式を提示したところで時間となりました。

次回は内積に関する公式の証明を行い、複素数の説明に進む予定です。

授業サポートページ:https://www.math.tsukuba.ac.jp/~terui/la1-2013

2013-04-24

数理科学IIA(第3回)

今回はまず、アルゴリズムの基本的な事項として、アルゴリズムの要件と記法、制御構造について説明しました。後半では、1変数多項式の四則演算をアルゴリズムの形で書き下すことにし、今回はまず加法のアルゴリズムについて説明しました。

次回は、今回に引き続き、1変数多項式の四則演算のうち、減算からアルゴリズムの形で書き表すことについて説明します。

2013-04-19

線形代数I(第3回)

今日は、まず平面ベクトルの「生成」(「張る」ともいう)という言葉を定義した後、平面ベクトルの幾何的意味づけをするために、平面上の有向線分と平面ベクトルの対応づけについて説明しました。

普段は平面上の矢印をベクトルとして扱っていると思いますが、本来、平面上の有向線分は、図形として平面ベクトルとは関係をもたないものと見ることができますので、それらの対応を定義として与えることにより、平面上の有向線分と平面ベクトルを同じように扱うことができるようになります。これを経て、最後に、平面ベクトルの「生成」の幾何的な意味について説明しました。

次回はベクトルの線形独立の説明から始める予定です。なお、授業中に連絡を忘れてしまいましたが、来週4月23日(火)は学生定期健康診断の時間が重なるために休講にし、次回の授業は1週間後の4月26日(金)に行います。

授業サポートページ:https://www.math.tsukuba.ac.jp/~terui/la1-2013

2013-04-17

数理科学IIA(第2回)

今日は、多項式演算を考える上での基礎として、まず、多項式環の中での記法や概念の定義に関する説明を行いました。

その後、多項式演算のうち、計算代数特有のものとして「擬除算」の説明を行いました。最後に、擬除算の計算を1題、レポート課題として出題しました。

次回はアルゴリズムの基本的な事項や記法について説明する予定です。

2013-04-16

線形代数I(第2回)

今日から本格的な授業が始まりました。

今日はまず、数学における「定義」や「定理」などの議論の進め方を紹介しました。数学に置ける議論の進め方は、チェスや将棋のようなゲームの分析の進め方と対応づけることができると思います。線形代数といった理論は、ある世界にルールを設定してゲームを行うようなもの、ともとらえることができます。数学における「定義」によってゲームのルールを設定し、「定理」は、ゲームにおけるある盤面(が存在すること)で、定理の証明は、ゲームのスタートからルールに従ってゲームを進め、ある盤面に到達可能であることを示すといった具合です。

次に、これから行う春学期の授業内容について、概要を説明しました。春学期の「線形代数I」では、数ベクトルと行列、連立1次方程式を行列の消去法を使って解く解法、行列式の定義と性質、数ベクトル空間と線形写像、といった内容を説明します。

その後、数ベクトルの定義に入り、ベクトルのスカラー倍や和の演算、線形結合の定義を行いました。

次回は、平面ベクトルの幾何的な意味を説明し、線形独立(1次独立)の概念を説明します。

授業サポートページ:https://www.math.tsukuba.ac.jp/~terui/la1-2013

2013-04-12

線形代数I(第1回)

今年度は、春学期の「線形代数I」(化学類対象)の講義を担当することになりました。内容は、数ベクトル、連立1次方程式の解法、行列式といった内容で、線形写像に入る手前までを扱います。

今年度の2学期制への移行により、時間割がだいぶ変わりました。これまで、線形代数の講義や演習は水曜日に行われることが多かった(近年、一部の学類では水曜日以外に移動もしていた)のですが、今年の講義は、火曜日と金曜日の週2回、毎週2時限ずつ行われます。

今日は、昨年の微積分の講義のときのように、最初の授業でしたのでガイダンスに徹しました。授業の概要、教材、単位などについて説明した後、大学での数学の学び方に関する話をしました。昨年のガイダンスはここまででしたが、今回は、線形代数の成り立ちや応用といった紹介も含めました。

授業で用いる教科書ですが、入荷が遅れており、今日、講義を担当される先生方と急きょ教科書の第1章の範囲をコピーして、履修者に配りました。納期等については、今後の状況を見なければわかりませんが、とりあえず、第1章を勉強している間に入荷することを期待しています。

今年も、昨年の微積分同様、授業のサポートページを作りました。今後の情報はサポートページの方にまとめていく予定です。 https://www.math.tsukuba.ac.jp/~terui/la1-2013

2013-04-10

数理科学IIA(第1回)

今日から今年度の大学院の授業が始まりましたが、早速、私の授業も始まりました。

私が担当する大学院の授業は、これまでと内容は同じで、5回目の担当になりますが、授業編成で昨年度からの変更点がいくつかあります。まず、2学期制への移行に伴い、これまでの「数理科学II」が、春学期(前期)の「数理科学IIA」と秋学期(後期)の「数理科学IIB」に分割されました。春学期の「数理科学IIA」を私が担当し、秋学期の「数理科学IIB」を田島慎一先生が担当される構成は昨年度と同じです。次に、この授業は今年度から教育研究科 教科教育専攻 数学教育コースの授業「情報数学概論IIA」を兼ねての開講になりました。

春学期の「数理科学IIA」では、おもに1変数多項式の最大公約式 (GCD) を計算する部分終結式算法を中心に、多項式演算やアルゴリズムの概要について説明します。今日は授業のガイダンスとして、授業内容の説明と、参考書や主な数式処理システムの紹介を行いました。次回から数学の話に入ります。次回は多項式環の基本的事項から説明する予定です。

今年度から教育研究科の授業を兼ねたためか、これまで片手で数えられるくらいだった履修者数が、今日は大幅に増えました。皆さんいずれ履修科目の取捨選択を行うとは思いますが、より多くの人が理解できる授業にしていきたいと思います。

2013-04-01

研究集会「数式処理研究と産学連携の新たな発展」開催のお知らせ

このたび、関係者の皆さんの協力のもと、私が研究代表者として、標記研究集会を開催することになりました。

詳細は下記の通りです。今回は、特に数式処理と産学連携がメインのトピックですが、従来の研究集会同様、数式処理の理論/実装/応用に関するさまざまな話題も歓迎しますので、ふるってのご応募/ご参加をお待ちしております。

以下、参考資料です。詳細な情報は追ってお知らせします。


このたび、下記の通り研究集会を開催いたします。

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九州大学 マス・フォア・インダストリ研究所 共同利用
研究集会「数式処理研究と産学連携の新たな発展」

2013年8月21日(水)〜23日(金)
九州大学伊都キャンパス
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●研究集会のあらまし

本研究集会は、これまで毎年夏に京都大学数理解析研究所にて開催されてきた RIMS 共同研究「数式処理研究の新たな発展」のシリーズの一つですが、今年は、九州大学 マス・フォア・インダストリ研究所 (IMI) の共同利用研究として、数式処理研究の産学連携や産業界への応用を特に視野に入れて開催します。
※申請内容の詳細は IMI ホームページにて公表されています。 http://www.imi.kyushu-u.ac.jp/joint_research/detail/20130003

今回は、数式処理の産業への応用研究や、産業界からの数式処理への期待と課題などについて、海外および国内の招待講演者による
チュートリアルセッションを企画します。

一般講演の方は、今年は特に、数式処理研究の産学連携や、産業界における諸問題への応用、応用分野から数式処理に対する問題提起などの発表を歓迎しますが、例年通り、数式処理の理論、実装、応用に関するさまざまな取り組みに関する研究発表(特に、大学院生や若手研究者の方々の応募)も歓迎しますので、ふるってご応募ください。

●主要日程

今回は、講究録を予稿集として発刊し、会議の際に参加者に配布します。
講演者の皆様には、あらかじめ予稿原稿を作成、提出していただきますのでご留意下さい。

詳細アナウンス:4月中旬
講演募集開始:5月初旬
講演申込締切:6月初旬
予稿原稿締切:6月末
会議:8月21日(水)〜23日(金)

●組織委員

照井 章(筑波大学, 研究代表者)
小原 功任(金沢大学)
濱田 龍義(福岡大学)
横山 俊一(九州大学)
穴井 宏和(富士通研究所/九州大学)
横田 博史(東芝インフォメーションシステムズ)

●今後の情報提供について

本研究集会の詳細(応募要領やホームページなど)については、追って皆様にお知らせいたします。
本研究集会に関するお問い合わせや、本研究集会の周知にかかわるご連絡先の追加や変更、削除などのご希望がございましたら、照井までお知らせ下さい。
関連分野の皆様に広くお知らせいただければ幸いです。

照井 章(筑波大学)

p.s. 本状の送付日が4月1日となっておりますが、エイプリルフールではございませんのでご了承ください。

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照井 章 
筑波大学 数理物質系 数学域