2020-10-26

計算機数学 (2020) 第4回

今回は、一意分解整域上の1変数多項式環における擬除算の定義から入りました。擬除算の定義を行い、Euclid互除法の除算を擬除算に置き換えることで、一意分解整域上の1変数多項式環でも最大公約因子 (GCD) を計算できるというものです。

後半では、多項式剰余列の定義を行いました。擬除算による多項式剰余列の計算の際、係数膨張が発生することを指摘し、対応策の一つとして、擬剰余を計算するたびに原始的部分 (primitive part) を計算することによる係数膨張の回避を紹介しました。この手法では、原始的部分の計算に係数部のGCD計算が必要になりますが、これを回避する方法として、部分終結式を用いる手法などがあります。

次回は、拡張Euclid互除法から進みます。

2020-10-19

計算機数学 (2020) 第3回

今回は、一意分解整域上の多項式環における最大公約因子 (GCD) や最小公倍因子 (LCM) の定義を行いました。それから、体上の1変数多項式環におけるEuclid互除法の計算量の評価を行いました。

次回は、商体を導入せずに最大公約因子の計算を行うためのアイディアとして、擬除算の定義から解説します。

2020-10-12

計算機数学 (2020) 第2回

本年度、秋学期の数学学位プログラム「計算機数学」を担当します。

今年は、及川一誠先生が数値解析、私が計算機代数のテーマで、それぞれ1コマずつ担当します。

先週はガイダンスでしたが、今週から授業が始まりました。これからしばらく、1変数多項式の最大公約因子 (GCD) 計算を扱います。今回は、GCD や 最小公倍因子 (LCM) 、ユークリッド整域などの定義を行い、ユークリッド互除法を導入しました。

次回は、擬除算を導入して多項式剰余列を扱う予定です。