2011-06-27

数理科学II(第7回)

今日の授業では、プログラミング言語 Scheme の紹介に入りました。

今日は、atom と pair、Scheme (LISP) の基本関数、関数の実行と定義の方法を紹介しました。1学期の授業は今日で終わりなので、残りの部分は、2学期の最初に説明したいと思います。

2011-06-24

フレッシュマンセミナー(第9回)

今日は、1学期のフレッシュマンセミナーの最終回で、「フレッシュマンセミナー」という授業科目も、1学期完結なので、授業科目としても最終回です。ただし、新しい授業科目として、このコマの授業は通年で続きます。

今日は、先日、社会工学類の人達が授業の一環で実施したアンケート調査の関連で、研究成果を発表していただきました。

これは、社会工学類の「都市計画実習」という授業で、都市(具体的には、主として大学のあるつくば市周辺)の現状と問題点を把握し、それに対する対策について、実験を行ったりして提案するという授業のようです。

履修者は、テーマ毎にいくつかの班に分かれて調査、研究を行います。今回、私達にアンケート調査を行った人達の班は「社会的ジレンマ」というテーマで研究を行っていました。「社会的ジレンマ」とは、市民が短期的に利益を得る行動を行うことによって、その周辺社会が長期的には不利益を受ける問題、と説明されましたが、最初はよくわかりませんでした。後で資料(PDFファイル)を読み直してわかったのですが、たとえば、誰かがイオンの裏の道路に路上駐車をする(=駐車場に停めるより近いという利益のため)ことにより、特に夕方はその道路で渋滞が発生する(=そこを通る人達にとって不利益)といった構造の問題のようです。

彼らは、社会的ジレンマとして、今年の東日本大震災に伴って発生した原子力災害を取り上げ、主につくば周辺の農産物に対する放射線の風評被害をいかに軽減するかという課題を設定して研究を始めたそうです。しかし、今回の放射線被害が、かつてのJCO臨界事故で起きた風評被害とは異なり、本当に放射性物質による被害が起こったことで、当初の課題設定の再検討を行い、消費者が、放射線に関する正しい知識を身につけ、能動的な情報収集の動機づけを行うことにより、「未知に起因する恐怖」を低減させることを目指すという課題に修正したとのことでした。

そのための取り組みとして、放射線に関する知識や、放射線による汚染を防ぐための方法を記したポスターやパンフレットを配りました。このような活動を「リスクコミュニケーション」と言うのだそうです。そして、リスクコミュニケーションの効果を調べる手段としては、アンケート調査になるわけですが、たとえば、数学類の1年生を、パンフレットを見せたグループと見せないグループに分けて、それぞれ、パンフレットを見せる前と後で、放射線に対する知識や意識を調べたというわけです(これまでのフレッシュマンセミナーにおける2回のアンケート調査が該当します)。

調査結果は多岐にわたるので、詳細は略しますが、ポスターやパンフレットによる説明は、放射線に対する未知の恐怖感を和らげる効果があったこと、ポスターよりもパンフレットの方が効果がより高かったことなどが報告されました。

今回の研究報告を聞きますと、途中で課題の軌道修正が必要になったなど、苦労もあったようですが、全体的によく練られた調査・研究を行っていた印象を受けました。数学ではこのような授業は皆無ですので、カリキュラムの面からの興味もありましたし、指導をされた先生方も、かなりの労力を割いて指導に当たったであろうことがうかがえました。私達のリクエストに応じて丁寧に報告をして下さった学生さん達に感謝したいと思います。

さて、1学期の授業はこれで終わりで、次に会うのは2学期ですが、それぞれ、有意義な夏休みを過ごし、また元気に再会できることを望みます。

数学特別講義I(第10回):大学数学の勘どころ・・・歩きながら考える

この授業も今日が最終回ということで、今日の授業は、数学類長の磯崎洋先生による「大学数学の勘どころ・・・歩きながら考える」でした。

授業の内容は、だいたい、昨年とそれ程変わりありませんでしたので、詳細は昨年のレポートに譲りますが、今回の授業では、数学に限らず、自分の身の丈に合った知識を使いこなせるようになることが大切であること、数学においてはそれが「線形代数」と「微積分」であること、使いこなせるようになるためには、自分の手を動かして逐一計算してみることが大切であること、といったお話が印象に残りました。

一生かかって読む本を探すのもいいでしょう、というお話を聞き、私としても、数学を一生楽しむ楽しみ方を、学生さん達がこれから見出し、実際に楽しんでいくことを願わずにはいられません。そんな私は・・・というと、一生かかって読む本の前に、今すぐ勉強が必要な本や論文が結構あるので、のんびり楽しむのはまだ先のことになりそうですが。

さて、今年の授業も終わりましたが、今年も、毎回の各先生方の授業を楽しませてもらいました。世話人の守屋先生にも感謝したいと思います。来年はどうしようか・・・その前に、まずは自分の担当回の成績をつけなければなりませんね。頑張りましょう。

2011-06-20

数理科学II(第6回)

今日は、前回に引き続き、計算機のしくみの話からで、メモリの配置とワードの説明をした後、計算機上の数の表現ということで、多倍長整数の表現として、リスト表現を含む表現について説明しました。その後、一般の情報のリスト表現へ話をつなぎました。

次回からはプログラミング言語 LISP(実際は Scheme)の説明に入る予定です。Scheme の話は2〜3回続く予定ですが、1学期の授業は次回で終わるので、残りの部分は2学期に引き続き行います。

2011-06-17

フレッシュマンセミナー(第8回)

今日のフレッシュマンセミナーでは、アンケートが2件ありました。1件目は、学内のアドミッションセンターによるアンケートで、受験生への広報活動に関する内容を中心としたアンケートでした。

2件目は、先々週にサテライトで実施した数学類新入生アンケートで、こちらは、アンケート結果を集計していて、私が質問を1つ忘れたことに気づき、今日は紙で追加のアンケートを行いました。

それから、図書館フレッシュマンセミナーの日程も相談しましたが、2学期冒頭は学園祭に向けた準備を行う可能性があるため、学園祭が終わって落ち着いてから、という方向で日程を調整することになりそうです。

数学特別講義I(第9回):無限の不思議

今日の授業では、講義が始まる前に、世話人の守屋先生から、無記名のレポートの2件の捜索願いがありました。先週も口頭で連絡があったのですが、今日は、実際に、それらのレポートの表紙の一部分を、書画カメラで教室内に掲示しました。成績にかかわりますから、これで書き手が見つかるとよいですが。

さて、今日の講義は、塩谷真弘先生よる「無限の不思議」でした。

冒頭で、今回は、無限はあるものと考えて、話を進める、というアナウンスがありました。引き続き、「本質的に」異なる無限がたくさんあること、それらを区別するために、無限が「同じ」という概念をはっきりさせる必要があると説明されました。

たとえば、2つの集合の無限の度合い(集合論では「濃度」といいます)が等しいかどうかを調べるのに、両者の集合の間の写像の存在を調べます。両者の集合の間に全単射が存在することを、ここでは2つの集合が「合同」であると呼ぶことにし、集合の「合同」が同値関係であることや、自然数、整数、有理数、実数の集合、もしくはそれらのいずれかの直積集合に対する「合同」の性質をいくつか紹介しました。そして、自然数の集合と実数の集合が「合同」でないという、Cantorの定理と、その証明に出てくる対角線論法が紹介されました。

次に、集合どうしの「合同」の概念を拡張した「大小比較」について説明されました。そして、この定義による、異なる「大きさ」の無限集合が無数に存在するという内容が説明されました。

最後のテーマは「選択公理」でした。詳しくは略しますが、選択公理は、微積分で、関数の連続性を考える時に、ε-δ 論法を点列の収束で表すのに必要である点が指摘されました。また、選択公理を認めることにより、「Banach-Tarskiの逆説的分解(Robinsonの定理)」のように、ある球体を分解して、もとの球体と同じ体積の球体を2個作ることができるといった、直感的にはちょっと信じ難いことも数学的には成り立つという事実が紹介されました。

本来は、この後、命題論理と述語論理の話が続く予定だったようですが、残念ながら時間切れとなりました。しかし、今日の講義では、無限をめぐるさまざまな内容が、この時間内では十分な分量でわかりやすく示されていたと思いますし、微積分に現われる選択公理については、私も授業をしていてあまり意識していなかった部分でしたので、よい教訓になったと思います。

この授業も早いもので次回が最終回ですが、次回も楽しみにしたいと思います。

2011-06-13

数理科学II(第5回)

今日は、前回レポート課題としていた、1変数多項式の乗算と除算の計算量について、レポートを回収してから答え合わせをしました。あいまいだった部分についても議論しながら細かく確認できたので、学生さん達のためにもなればと思います。

講義の方は、計算機のしくみに関する説明に入りました。今日は「計算機の5大装置」と「ビット」の単位の話をしました。これから3〜4回かけて、計算機上で整数や有理数を扱うためのデータ構造や、リスト表現に関する話につなげていきたいと思います。

2011-06-10

クラリンピック

今日のフレッシュマンセミナーは、自然系学類(数学・物理・化学・地球)総合プロジェクト推進委員会(通称:SP)の主催によるスポーツイベント「クラリンピック」の時間になりました。

この「クラリンピック」、「クラス」+「オリンピック」の造語と思われますが、私が自然学類に在学中の頃はなかったはずで、私が大学院に進学してから、名前を聞き始めた記憶があります。当時、自然学類は、2年生に上がる時に各専攻に分かれることになっており、1年の段階では、専攻の区別なく8つのクラスに分かれていたので、クラスマッチ的な位置づけだったと思います。

さて、今年のクラリンピックは、当初、春日地区(旧図書館情報大)の春日体育館でバレーボールの予定でしたが、予約がとれなかったそうで、同じ春日地区の春日グラウンドで、ドッジボールとなりました。

今回、私は、数学類関連の写真撮影の依頼があり、その任務もありましたが、もともと興味があったので、数学類のもう1人の担任の梁先生とともに足を運んだわけですが、ふつう、こういうイベントに担任は来ないもんですかねぇ。なかなかおもしろかったです。

さて、今回は、数学・物理・化学・地球の各学類とも2クラスあるので、合計8クラスによる対抗戦になりました。結果は、優勝が物理2クラス、準優勝が地球1クラス。3位決定戦の末、3位が化学2クラス、4位が数学1クラスとなりました。4月のオリエンテーション合宿の際は数学は勝ち星がなかったのですが、今回は1クラスが1勝したので、勝ち星を挙げられたのはよかったな思います。皆さんお疲れさまでした。

数学特別講義I(第8回):折り紙と数学:角の三等分作図不可能性

今日の講義は、川村一宏先生による「折り紙と数学:角の三等分作図不可能性」でした。

授業では、まず、渡された紙を折ることで、折り紙による角の三等分を行いました。ユークリッド以来の初等幾何学で、定規とコンパスを使って「角の三等分」をするというのは一般にできない、という話はよく覚えているので、折り紙で角の三等分ができる!というのは、話を聞いたことはありますが、実際にやってみると新鮮なものでした。

では、なぜ、折り紙ではできる角の三等分が、定規とコンパスではできないこととされるか?それには「定規とコンパスによる作図」がどういうものか、その定義をきちんとすることから始まります、ということで、お話が始まりました。

「定規とコンパスによる作図」では、まず、単位長さ(これを1とおきます)が与えられると、それを基準にして、整数、有理数(倍の長さの直線)が作図可能であることが説明されました。そして、任意の有理数qの平方根も作図可能であることも説明されました。これは、代数の言葉を使うと「有理数体Qに実数(q)^(1/2)を添加して得られる数体」の元(数)を表せることになります。

さらに、それまでに得られた数(長さ)を用いて描いた2つの円の交点の座標は、それまで得られた数体のある元(数)Aの平方根(A)^(1/2)をさらに添加して得られる数体に属することが言えます。これを繰り返すことにより、定規とコンパスによる作図を繰り返すことは、有理数体から始まって、それまでに作った数体に、そこから選んだある数Aの平方根(A)^(1/2)を添加して、数体をどんどん「膨らませていく」操作に他ならないということが説明されました。

さて、角の三等分が、数体をどんどん膨らませていく操作とどのような関連があるかを見るために、今度は、角の三等分を、代数方程式を解く観点から見ます。与えられた角度θを三等分することを考えると、余弦 cos θ の3倍角の公式から、a=cos θ とおくと、求める角 θ/3 の余弦 cos (θ/3) は、方程式 4 x^3 - 3 x - a = 0 の根であることが言えます。ところが、この a が、先に述べた、定規とコンパスによる作図で、数体をどんどん膨らませていく操作では一般に表せないものであることから、定規とコンパスによる作図で、角の三等分は一般には不可能、という結論にたどり着きました。

今回のお話は、幾何の問題を代数の問題に置き換えることにより、紀元前から問われていた問題が、19世紀になってようやく解けたという部分も興味深かったですし、方程式の果たした役割は、先日の天野先生の講義とも関連がある部分で、興味深いものがありました。最後に、定規とコンパスで不可能な角の三等分が、折り紙で可能ということは、折り紙の作図には定規とコンパスでは不可能な操作が含まれているはずですが、それは何でしょうか?というのは、今回のレポート課題の一つですが、こちらも興味深い問題です。

2011-06-03

フレッシュマンセミナー(第6回)

今日は、アンケート調査が3件ありました。

1件目は、先日、社会工学類の3年生の人達が授業の一環で実施したアンケート調査の第2弾で、今回は、2グループに分かれて異なる調査を行っていました。どうやら、風評被害の印象に、ポジティブなキャンペーンがどれだけ貢献できるかという調査のようです。調査結果については、3週後の6月24日のフレッシュマンセミナーで発表してもらうことになりましたので、結果を待ちたいと思います。

2件目は、学類(学生)の授業改善?委員会による、授業評価アンケートでした。これは、2学期のクラス連絡会(学生と教員の懇談会)の議題のメインの1つになる、授業評価のための基礎資料になるものですが、1年生の数学の授業を調査するので、調査量が多く、なかなか時間がかかっていました。調査ごとにマークシート用紙8枚+記述式の用紙を配っていたようです。

最後に、数学類の新入生アンケートを行いました。これは、私達担任が実施したもので、入試の印象や、数学類の特徴の認知度、今後大学や学類に期待することなどを尋ねました。来週の数学専攻教員会議までに資料を作らなければならないので、今回、オンラインでのアンケート調査を試してみました。データは何とか集まったので、これから集計ですね。

来週は、学類対抗のスポーツ大会「クラリンピック」ですので、学生さん達の健闘を祈ります。

数学特別講義I(第7回):微分方程式の話

今日の授業は、久保隆徹先生による「微分方程式の話」でした。

授業では、まず、久保さんがご専門の流体力学の話から始まり、流体力学の使い道として、航空機の騒音の低減などの設計や、ゴルフボールがよく飛ぶための設計などの例のお話がありました。ゴルフボールのようなボールに凹凸がないと、ボールが飛んでいる時にボールの後ろに気圧が小さい領域ができ、これがボールを後ろに引っ張るという話は、初めて聞きましたが、これがゴルフボールに小さな凹凸を設けている理由と聞き、なるほどと思いました。

それから、微分方程式の中から、今日は、比較的単純な微分方程式の解法の例として「変数分離法」を取り上げ、例題を実際に解きながら説明を進めていきました。この辺の計算は、大学の新入生クラスにはちょうどよいレベルの計算問題だったのではないかと思います。ちゃんと板書で答え合わせをやっていたのも助かりました。

今度は、微分方程式の応用例として、実際の問題を微分方程式でモデル化して解くことにより、ある学説が数学的に裏付けられるかや、モデルが妥当かどうかの考察を行いました。今回考察した例題は

  • マルサスの人口論
  • 冷却に関するNewtonの法則に基づく、水の冷却問題
  • バネの単振動から、共鳴や共振の現象を考察する
  • 惑星の運動は、Newtonの万有引力の法則が正しいと仮定すると、楕円になる例
  • 化学反応の速さの考察
  • 食物連鎖の例(イワシをマグロが食べるとイワシが減り、イワシが減るとマグロが減り、イワシがまた増える・・・の繰り返し、さらに人間が漁獲管理を行ったらどうなるか、など)
  • 電気回路網の問題(キルヒホッフの法則)
と多岐にわたり、私達をとりまくあらゆる分野で、微分方程式が使われていることを知る上でよい機会になったと思います。

最後に、偏微分方程式の話に入りました。私は次のフレッシュマンセミナーの準備があったので、残念ながらこの部分を残して教室を出なければなりませんでしたが、全体的に、基本的な内容を丁寧に説明されており、かつ、身近な例題も豊富に出されていたので、大変興味深く聴くことができました。自分がこのような講義を大学1年の時に聴いていたら、微分方程式ももう少しまじめに勉強したかも、と思える講義でした。

2011-06-01

iPad 講習会

今日、大学の学術情報メディアセンター(以下「センター」と書きます)が教員向けに開催する「iPad 講習会」に参加してきました。

今回の講習会は、センターがアップルジャパンに依頼して行われたものです。大学では、最近、アップルジャパンと連携して、大学の学生や教職員の個人購入の割引制度や、各種のセミナー、トレーニング等を行っているようですが、そのような中で、今回は、iPad を教員向けに宣伝する企画の一環として実施されたようです。

もともとは、3月に行われる予定で、教員向けに連絡がありましたが、震災の発生により、当然かと思いますが、延期され、今回の実施に至ったものです。講習会は今日の午前と午後の2回に実施され、各回定員30名で、応募者多数の場合は抽選で、という条件で募集されました。受講者には、iPad 本体が貸し出されて実際に操作可能で、すでに自分で持っている人は持ち込みも可能、というものでした。

講習会は、最初に、センターの人の説明で、各自の iPad を学内無線LANに接続する作業を行いましたが、ここが結構やっかいなステップでした。学内の無線LAN接続から学外へアクセスするには

  1. 学内無線LAN接続の認証
  2. 学外へのネットワーク接続の認証
の2段階の認証が必要です。慣れればそれ程困難でもありませんが、最初は面倒かもしれません。

さて、LAN接続が無事すんだところで、アップルの人の説明となりました。前半では、iPad の概要と特徴の説明が行われ、後半では、iTunes に接続してアプリケーションやデータを転送する実演を見てから、各自いろいろ操作するセッションになりました。

iTunes との接続の段階では、結構質問が出ましたので、受講者の関心が高かった情報をまとめます。

  • iPadは何台のパソコンで管理できるの?すでに iPod を持っていても大丈夫?
    iPadを管理できる(母艦になれる)パソコンは1台のみです。これに対し、1台のパソコンは、iPad, iPod, iPhone を何台でも管理できます。
  • iPad をパソコンにつないで、何を管理するの?
    大きく分けて、2つです。
    • iPad のアプリケーション。
    • iPad のアプリケーションで扱う、文書や音楽や画像などのデータ。
  • iPadのアプリケーション(以下、「iPadアプリ」と略)はどうやって入手できるの?
    以下の2つの方法があります。
    • iPadの本体で直接App Storeにアクセスしてダウンロード/購入する。
    • 母艦(パソコン)のiTunesでダウンロード/購入を行い、iPadに転送する。
  • 母艦(パソコン)を買い替えたら、有料のiPadアプリの使用権はどうなるの?
    今使っているiTunesでのiPadアプリの認証(使用権)を解除して、データを新しいパソコンへコピーし、新しい母艦(パソコン)のiTunesでiPadアプリの認証を再設定することにより、使用権の移動が可能です。
    なお、iTunes Storeで購入したiPadアプリや音楽は、最大5台の異なるパソコンで利用することが可能です。
  • iPadアプリやデータがいっぱい(iPadに入りきらない程)になったらどうすればいいの?
    母艦(パソコン)のiTunesで、iPadに転送するものと、母艦のみに残しておくものを取捨選択することが可能です。

他にもいくつか質問が出ましたが、こんな感じで、けっこうな時間、説明が続き、最後の実際の操作の時間は20分くらいでした。

今回のデモ機は、初代iPad, 16GB でしたが、ソフトウェアは有料版のものも結構入っていました。個人的には、今回、iPadが、論文の束を持って歩く代わりの選択肢になり得るかを見ようと思い、あらかじめ、ファイル共有サービスの Dropbox に、論文のコレクションや、自分の講義ノートをスキャンしたPDFを入れておきました。それから、今回のデモ機に、プレゼンテーションソフトの Keynote が入っているのを知り、先日の講義で使ったプレゼンテーションのファイルも急いで Dropbox に追加しました。

結局、お試し時間はちょっと足りませんでしたが、クラウド型メモ帳的記録サービスの Evernote、PDF等の閲覧ソフトの GoodReader、プレゼンテーションソフトの Keynote、科学文献管理ソフトの Papers for iPad を試すことができ、どれもなかなかの手応えでした。論文などのPDFファイルは、指でめくるような操作「スワイプ」や、親指と人差し指をニューッと広げて(ピンチ)拡大する操作など、直感的な操作が便利に感じました。あとは、論文への書き込みをどうするかが(自分が使う上での)課題だと思いました。

それから、デジタルフォトフレームとしても使うことができるとか、ちょっと気の利いた機能もなるほどと思いました。

私自身は、まだiPadを持っていません。個人的には、昨年、iPadが発表されたとき、もちろん興味がわきました。しかし、自分は、この業界の仕事人として、こういうものを使う(使われる)前に、まだ自分で作るべきものがあるのではないか、と思いました。「作るべきもの」が、必ずしもiPadアプリを指すわけではありませんが、自分も何かしら、動くものをもっと作らなきゃ、と思ったわけです。今回、実際にiPadを操作してみて、いろいろ便利な機能は魅力的でしたが、この辺のところをもう少し考えたいと思います。

それから、最後に番外編ですが、アップルの方のプレゼンテーションはやはり素晴らしいものでした。講習会が終わってから、デモンストレーターの方にお話を伺いましたが、社内にはやはりこういったプレゼンテーションの基準がいろいろあり、ダメ出しなどもされることもあるそうです。それから、スライドのデザインについては、プレゼンのデザインを手掛ける専門部隊があるのだそうです。

例として、講習会でのスライドの1枚を見せていただきました。黒い背景に、往年の名機、Apple II が浮かんでいるスライドです。デモンストレーターの方の構成では、Apple II 本体の画像の切り出しが「ちょっときたないんですよね〜」と説明されましたが、デザイン部隊の手にかかると、画像の切り出しがきれいになっているだけでなく、ガラス台の上に置いたような反射まで加わるといった具合で、思わず「へ〜」とうなってしまいました。社内では、プレゼンが得意な人、デザインな得意な人、といったように、それぞれの得意分野を活かしたチームの合同作業で、1つの作品を作り上げる、という工程を垣間見ることができ、大変興味深い機会になりました。

あと、これが本当に最後になりますが、デモンストレーターの方が見せて下さった、Macのデスクトップをそのまま投影するプレゼンで使える画面操作のtipsをいくつか。

  • マウスカーソルを大きくすると見やすい。「システム環境設定」の「ユニバーサルアクセス」で、マウスカーソルの大きさを調整できます。
  • マウスカーソル周辺の画面を拡大する。Control キーを押しながら、トラックパッドを指1本で上から下になぞってスクロールの操作をします。後で自分のMac(マルチタッチになる前の古い機種)で試してみましたが、うまくいかなかったので、マルチタッチ対応の機種限定かもしれません。
  • ウインドウの左上の黄色い丸印をクリックすると、ウインドウがニューッと、画面下のDockに吸い込まれますが、これを、Shift キーを押しながら黄色い丸印をクリックすると、ゆっくり、ニューーーーーーッと吸い込まれます。Dockから起こす時も、Shiftキーを押すと、アニメーションがゆっくりになります。視覚的なインパクトは結構あって、デモンストレーターの方の話によると、学生相手のプレゼンではこの技がかなりウケるそうです。