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2012-09-24

数理科学II(第14回)

今日は、多変数多項式の一般 Hensel 構成の概要を述べ、「一般化された Hensel の補題」を証明しました。最後に、多変数多項式の因数分解の一連の計算を行った計算例を、資料を配って紹介しました。

これで、本授業科目で今年度の私の担当分の授業は終わりました。多変数多項式の因数分解の部分では、与えられた多項式がモニックでない場合の主係数の扱いなど、残った部分もあります。この辺は将来まとめたいところですが、ひとまず、今回は多項式の因数分解について一通り説明しました。今後、履修者の皆さんが、パソコンなどで多項式の因数分解をする際に、その舞台裏への理解を深めてもらえれば嬉しく思います。

来月からの後半は、田島慎一先生の担当で、多項式環のグレブナー基底と微分作用素環の話が行われる予定です。履修者の皆さんの今後のご成功をお祈りします。

2012-09-19

数理科学II(第13回)

今回は、前回の Hensel 構成の説明を踏まえ、Hensel 構成に基づく整係数1変数多項式の因数分解の流れを説明しました。

次回は、私が担当する最終回ですが、多変数多項式の因数分解で中心的な役割を果たす一般 Hensel 構成を説明する予定です。

2012-09-10

数理科学II(第12回)

今日は、1変数多項式の Hensel 構成について「Hensel の補題」の証明を中心に説明しました。

次回は、1変数多項式の Hensel 構成を用いた因数分解の全体について説明します。なお、来週は17日(月)が敬老の日で休みですが、19日(水)が月曜の授業日なので、次回の授業は19日(水)となります。

2012-09-03

数理科学II(第11回)

今日から2学期の授業が始まりましたが、今回から、整係数1変数多項式の因数分解(Hensel 構成)の話題に入りました。

今回は、準備として、拡張 Euclid の互除法に関する定理をいくつか説明しました。次回には、Hensel 構成の説明に入りたいと思います。

2012-06-25

数理科学II(第10回)

今回は、まず、前回証明していた定理(triangular idempotent form と呼ばれる形式の行列 L に対し、L の零空間の基底は、 I-L (I は単位行列)の非ゼロの行ベクトルで表されること)の証明の残りの部分を説明しました。そして、因数分解の計算例を説明して、授業を終えました。

これで、有限体上の1変数多項式の因数分解を行う Berlekamp の算法の説明は一通り終わり、1学期の授業も今回で終わりました。私の担当は、今年度の前半の予定ですので、2学期の9月いっぱいとなりますが、2学期は、整係数1変数多項式の因数分解(Hensel 構成)と多変数多項式の因数分解(一般 Hensel 構成)について説明する予定です。今日は夏には程遠いような涼しい(肌寒い)気候ですが、それでは皆さん、よい夏休みを。

2012-06-18

数理科学II(第9回)

今回は、まず、f-reducing polynomial の計算が、ある行列の零空間の計算に帰着されることを示しました。次に、因数分解の計算の流れを示した後、行列の零空間の基底の計算の具体的な方法について説明しました。

行列の零空間の基底の計算では、与えられた行列を、列基本変換を用いて triangular idempotent form と呼ばれる形式に変換し、その行列を L とすると、行列 I-L (I は単位行列)の非ゼロの行ベクトルが零空間の基底になることを、定理で説明しましたが、定理の証明の最後の部分を残して時間となりました。

次回は、今回残った定理の証明を述べた後、因数分解の算法の残りの部分を説明し、有限体上の1変数多項式の因数分解に関する説明を終えたいと思います。

2012-06-11

数理科学II(第8回)

今回の授業では、中国剰余定理の証明を説明し、これに基づいて、f-reducing polynomial の存在性について説明しました。その後、f-reducing polynomial の計算法の説明に入りましたが、途中で時間となりました。

次回は、f-reducing polynomial の計算法の続きから始めて、実際に帰着させて解く問題の解法を説明します。

なお、今回、1学期のレポート課題を出題しました。これに加えて、この授業のサポートページを作り、「計算量」までの部分の講義ノートを PDF ファイルで掲載しました。

授業サポートページ:https://www.math.tsukuba.ac.jp/~terui/ms2-2012

2012-06-04

数理科学II(第7回)

今回は、Fermat の小定理について説明し、因数分解の準備として、f-reducing polynomial の導入を説明しました。

次回は、f-reducing polynomial を用いた因数分解の理論的根拠として、中国剰余定理を説明し、因数分解の具体的な手順に進む予定です。

2012-05-28

数理科学II(第6回)

今回は、前回残った無平方分解の計算の説明を行い、引き続いて有限体上の1変数多項式の因数分解の話題に入りました。その中で、今日は、有限体の基本的事項(有限体の定義、標数など)の復習を行いました。

次回は、Fermat の小定理から始めて、今回に引き続き、有限体上の1変数多項式の因数分解の準備を行います。

2012-05-21

数理科学II(第5回)

今回は、前回の続きで、計算量の話題のうち、1変数多項式の乗算と擬除算の計算量の話題から入りました。今回は、出席者がちょうど2人いたので、実際に黒板の前で計算量解析を説明してもらいました。計算量解析も、自分でやってみるとより理解できるのではないかと思います。

授業の後半では、多項式の因数分解の話題に入りました。今回はまず、最初のステップである「無平方分解」の途中まで進みました。次回は、無平方分解の実際の手順を説明し、先に進みたいと思います。

2012-05-14

数理科学II(第4回)

今回は、前回行った1変数多項式の四則演算のアルゴリズムのうち、残っていた擬除算のアルゴリズムの説明を行いました。

次に、計算量に関する説明を行い、1変数多項式の加減算の計算量の説明まで行いました。

次回は、1変数多項式の乗除算の計算量の説明を行います。基本的事項はこれで終わりで、引き続いて多項式の因数分解の話に入りたいと思います。

2012-05-07

数理科学II(第3回)

今日は連休明けの授業で、最初人が揃わなくてちょっと様子見モードになりましたが、間もなくほとんどの人が揃ったので授業を始めました。

今日は、前回に引き続き、アルゴリズムの記法について一通り説明した後で、1変数多項式の四則演算をアルゴリズムの形で書き下して説明しました。最後の「擬除算」が残ったので、これは次回になりますが、各自考えてもらえればと思います。

2012-04-23

数理科学II(第2回)

今日から実際の授業に入ったわけですが、今日はまず、学部(数学科相当)の授業でやるような、代数の基本的事項の復習(Euclid 整域、一意分解整域 (UFD))や、多項式を扱うのによく使う用語(次数や主係数)の復習を行いました。

その後、1変数多項式の四則演算のうち、計算代数に特有の「擬除算」について説明しました。残りの時間で、アルゴリズムの基本事項の説明に入ったところで時間となりました。

次回は、アルゴリズムの基本事項の続きを行います。(計算量の説明の準備です。)来週4月30日は「昭和の日」の振替休日なので、次回の授業は5月の連休明けになります。

2012-04-16

数理科学II(第1回)

今年度の大学院の授業は先週から始まっていますが、私が担当する授業は今日からです。

今年で4回目になる「数理科学II」の講義ですが、今回は、授業を行う1年間(3学期、9か月間)を前半と後半に分けます。前半は私が担当し、おもに1変数/多変数多項式の因数分解を中心に、多項式演算やアルゴリズムの概要について説明します。後半は田島慎一先生が担当され、多変数多項式環上のグレブナー基底や、微分作用素環とグレブナー基底の話をされる予定です。

今日はひとまず、授業のガイダンスとして、授業内容の説明に引き続き、参考書や主な数式処理システムの紹介、数式処理の(特に数値計算と比較した)特徴について説明しました。次回から数学の話に入り、次回は多項式環の基本的事項から説明する予定です。