2012-06-26

微積分I(第10回)

今回がこの授業科目の授業の最終回でした。今回は、三角関数の有理関数の積分 (u = tan(x/2) の置き換え) と、広義積分(絶対収束を除く部分)について説明しました。

以上で、1変数関数の積分法を一通り説明しましたが、教科書に記載がある部分で説明できなかったものは以下の通りです。

  • Riemann 積分の定義
  • 無理関数の積分
  • 広義積分の絶対収束(ガンマ関数やベータ関数を含む)
  • 定積分の応用(曲線の長さ)
微分のときもそうでしたが、時間の都合上、割愛しなければならなかった話題の中にも、今後各自が必要とするかもしれない話題も含まれていると思いますので、必要に応じて学習を補ってほしいと思います。

さて、これで1学期の授業が終わりました。私もこの講義は初めての担当で、手探りで進めてきた部分もありますが、1学期の内容をよく理解して、さらに2学期、3学期と微積分の学習を続けてもらえればと思います。1学期間ありがとうございました。あとは来週の期末試験に向けて、1学期の内容をよく復習した上で、試験に臨むことを期待します。

授業サポートページ:https://www.math.tsukuba.ac.jp/~terui/calculus1-2012

2012-06-25

数理科学II(第10回)

今回は、まず、前回証明していた定理(triangular idempotent form と呼ばれる形式の行列 L に対し、L の零空間の基底は、 I-L (I は単位行列)の非ゼロの行ベクトルで表されること)の証明の残りの部分を説明しました。そして、因数分解の計算例を説明して、授業を終えました。

これで、有限体上の1変数多項式の因数分解を行う Berlekamp の算法の説明は一通り終わり、1学期の授業も今回で終わりました。私の担当は、今年度の前半の予定ですので、2学期の9月いっぱいとなりますが、2学期は、整係数1変数多項式の因数分解(Hensel 構成)と多変数多項式の因数分解(一般 Hensel 構成)について説明する予定です。今日は夏には程遠いような涼しい(肌寒い)気候ですが、それでは皆さん、よい夏休みを。

2012-06-19

微積分I(第9回)

今回の授業の前半では、いくつかの基本的な不定積分の公式を説明した後、置換積分法と部分積分法について説明しました。後半では、有理関数の積分として、部分分数分解について説明し、その後、部分分数分解で得られる各項の積分の計算を一通り説明しました。

次回が1学期の授業の最終回(したがって、この授業科目の最終回)ですが、次回は、三角関数の有理関数の積分の計算と、広義積分を中心に説明する予定です。

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2012-06-18

数理科学II(第9回)

今回は、まず、f-reducing polynomial の計算が、ある行列の零空間の計算に帰着されることを示しました。次に、因数分解の計算の流れを示した後、行列の零空間の基底の計算の具体的な方法について説明しました。

行列の零空間の基底の計算では、与えられた行列を、列基本変換を用いて triangular idempotent form と呼ばれる形式に変換し、その行列を L とすると、行列 I-L (I は単位行列)の非ゼロの行ベクトルが零空間の基底になることを、定理で説明しましたが、定理の証明の最後の部分を残して時間となりました。

次回は、今回残った定理の証明を述べた後、因数分解の算法の残りの部分を説明し、有限体上の1変数多項式の因数分解に関する説明を終えたいと思います。

2012-06-12

微積分I(第8回)

1学期の微積分の授業も残すところあと3回ですが、今回から積分の話に入りました。

今回は、前半で、積分学の成り立ちについて、特に、高校で習った順番との違いを取り上げながら説明しました。

高校の微積分の授業や教科書では、まず原始関数の一般的な形を不定積分と習い、原始関数を用いて定積分を定義するので、「微積分学の基本定理」を学んだ際、どうも当たり前のことにしか思われず、わざわざ定理として記述することの意義を、高校生だった頃の私も不思議に感じたものです。しかし、歴史的な経緯をたどると、原始関数と定積分は独立に考えられ、「微積分学の基本定理」において、両者が関連づけられています。今回は、こういった内容を説明しました。

授業の後半では、定積分の基本的な性質と「微積分学の基本定理」について説明しました。

次回は、基本的な不定積分の計算をいくつか取り上げて説明する予定です。

授業サポートページ:https://www.math.tsukuba.ac.jp/~terui/calculus1-2012

2012-06-11

数理科学II(第8回)

今回の授業では、中国剰余定理の証明を説明し、これに基づいて、f-reducing polynomial の存在性について説明しました。その後、f-reducing polynomial の計算法の説明に入りましたが、途中で時間となりました。

次回は、f-reducing polynomial の計算法の続きから始めて、実際に帰着させて解く問題の解法を説明します。

なお、今回、1学期のレポート課題を出題しました。これに加えて、この授業のサポートページを作り、「計算量」までの部分の講義ノートを PDF ファイルで掲載しました。

授業サポートページ:https://www.math.tsukuba.ac.jp/~terui/ms2-2012

2012-06-05

微積分I(第7回)

今回は、前半では、前回の Taylor の定理の補足を述べた後、漸近展開について説明しました。後半では、漸近展開を用いた不定形の極限値の計算を、例題を解きながら説明しました。

今回でようやく微分の話が終わりました。今学期の授業はあと3回ですが、次回から積分の話に入ります。

授業サポートページ:https://www.math.tsukuba.ac.jp/~terui/calculus1-2012

2012-06-04

数理科学II(第7回)

今回は、Fermat の小定理について説明し、因数分解の準備として、f-reducing polynomial の導入を説明しました。

次回は、f-reducing polynomial を用いた因数分解の理論的根拠として、中国剰余定理を説明し、因数分解の具体的な手順に進む予定です。