2010-09-27

数理科学II(第10回)

夏休みと出張をはさみ、久々に授業再開です。

今日の授業では、これまでの復習も兼ねて、多項式剰余の係数を、最初に与えられた2つの多項式の係数からなる行列式で表す例題を取り上げ、その後、部分終結式の定義を行いました。

次回は部分終結式の例題から入りますが、余裕がある人(暇な人)は、例題にチャレンジするようすすめてみましたので、来週の結果を待って、部分終結式の性質へと話を進めていきたいと思います。

なお、1学期のレポートも評価しました。皆さん意欲的に取り組んでいた点は評価したいと思います。一方で、アルゴリズムのように、要件に沿って確実に計算可能な手順を吟味する部分は、経験が浅い人もいるようですので、このような作業の訓練、とまでいかなくても、経験くらいはできる機会を設けられるよう、今後検討したいと思います。

2010-09-24

数学特別演習(第2回)

今日は2回目の授業でしたが、今日の発表者の最初の人が、グラフの例題に対して、最短経路を求めるアイデアの提示を行い、引き続いて2人目の人が、ダイクストラのアルゴリズムの説明に入りました。

テキストの難度は、前回に比べるとかなり増した様子です。今回集まった学生さんは、ほとんどが数学科の1年生ですが、授業中に尋ねたところ、プログラミングの経験や、アルゴリズムの疑似コードを読んだ経験のある人は皆無で、全員0からのスタートのようで、いきなり疑似コードを読むのはかなりのチャレンジのようでした。

発表している人も大分苦労しているようでしたが、それでも頑張って最後まで発表を続けたところは評価したいと思います。授業の中でのアドバイスとして、テキストで扱うような易しい例題に対して、実際にアルゴリズムが動く様子を、1ステップずつ、正確に頭の中で再現することを呼びかけました。この辺の頭の使い方は、数学を学ぶ時とほぼ1対1に対応すると思います。

次回は、ダイクストラのアルゴリズムの中心部分を読み進めていくことになると思いますが、来週の発表者の人達にも期待したいと思います。

2010-09-17

数学特別演習(第1回)

海外出張のため、ちょっと遅れて今日から2学期の授業です。

今回、2学期と3学期、数学類1年次の「数学特別演習」の授業を担当します。これは、数学/物理/化学/地球学類(=旧「自然学類」に相当)の1年生が対象で、数学のトピックに関する本を選んで、学生が主体になって輪講する授業です。

私がこの授業を担当するのは、3年前、おととしについで今回が3度目です。今回は、次の本を選びました。

R. ブランデンベルク, P. グリッツマン 著, 石田 基広 訳
最短経路の本
シュプリンガージャパン, 2007

この本は、現在インターネットでよく使われる「ルート探索」を題材に、グラフ理論の初歩、最短経路問題、アルゴリズムと計算の基本を学んでいく内容です。主人公である高校生の女の子が、人間と会話のできる高度?なパソコンソフトと対話をしながら、このようなテーマを探検していきます。

したがって、この本の特徴の一つは、本文が会話体で書かれている点です。扱う内容は数学的にはそれ程難しくないと思いますが、会話文の中から必要な数学的概念を正しく読み取り、自分でよく考えて理解するための思考が必要になります。その上で、輪講となると、自分が理解した内容を、友達になるべくわかりやすい形で説明することも必要になります。

で、今日から輪講が始まりました。初回はどんな授業になるか、見守っていましたが、今日発表した学生さん達(2人)は、いずれも、本の内容をよく読んだ上で、自分の言葉で説明ができていたようで、発表の内容、態度ともに十分だったと思います。他の学生さん達のいい刺激にもなったようですし、これから先が楽しみです。

今日の内容としては、グラフの定義、ノード数が増えた場合の経路の個数の組み合わせ爆発の話や、それを防ぎつつ最短経路を探索する実際的な方法の手がかりまで話が進みました。次回辺りからアルゴリズムっぽい話が出てくると思います。