海外出張のため、ちょっと遅れて今日から2学期の授業です。
今回、2学期と3学期、数学類1年次の「数学特別演習」の授業を担当します。これは、数学/物理/化学/地球学類(=旧「自然学類」に相当)の1年生が対象で、数学のトピックに関する本を選んで、学生が主体になって輪講する授業です。
私がこの授業を担当するのは、3年前、おととしについで今回が3度目です。今回は、次の本を選びました。
R. ブランデンベルク, P. グリッツマン 著, 石田 基広 訳
最短経路の本
シュプリンガージャパン, 2007
この本は、現在インターネットでよく使われる「ルート探索」を題材に、グラフ理論の初歩、最短経路問題、アルゴリズムと計算の基本を学んでいく内容です。主人公である高校生の女の子が、人間と会話のできる高度?なパソコンソフトと対話をしながら、このようなテーマを探検していきます。
したがって、この本の特徴の一つは、本文が会話体で書かれている点です。扱う内容は数学的にはそれ程難しくないと思いますが、会話文の中から必要な数学的概念を正しく読み取り、自分でよく考えて理解するための思考が必要になります。その上で、輪講となると、自分が理解した内容を、友達になるべくわかりやすい形で説明することも必要になります。
で、今日から輪講が始まりました。初回はどんな授業になるか、見守っていましたが、今日発表した学生さん達(2人)は、いずれも、本の内容をよく読んだ上で、自分の言葉で説明ができていたようで、発表の内容、態度ともに十分だったと思います。他の学生さん達のいい刺激にもなったようですし、これから先が楽しみです。
今日の内容としては、グラフの定義、ノード数が増えた場合の経路の個数の組み合わせ爆発の話や、それを防ぎつつ最短経路を探索する実際的な方法の手がかりまで話が進みました。次回辺りからアルゴリズムっぽい話が出てくると思います。