2012-02-29

線形代数演習(第9回)

この授業も今日が最終回となりましたが、今日は、2つのベクトル空間の基底とそれらの間の線形写像が与えられた時に、線形写像の表現行列を求める問題と、グラム・シュミットの直交化法の問題を発表してもらいました。

グラム・シュミットの直交化法は、ちょうど今日講義されたとのことです。解答者は、定理の計算手順通りに計算を行うことはできていたのですが、計算の意味まではまだあまり理解できていなかったようで、黒板の前で、私と一問一答を繰り返しながら徐々に計算を進めていきました。今日の講義の直後で大変だったとは思いますが、計算の意味を理解することも大切なことですので、今後よく復習して理解を深めてほしいと思います。

今学期のこの授業は、人数が30人程度と、板書と討論を行う授業としては人数がやや多めでしたが、発表を2回行うと単位を保証すると言ったこともあり、早々と2回発表して姿を見せなくなった人もいる一方、学期末の方では、やる気のある人が残り、授業の雰囲気もよかったのではないかと思います。次週は期末試験を行いますが、講義の試験にも生かせるよう、よく復習して試験に臨んでほしいと思います。

微積分演習(第9回)

今日はこの授業の最終回でしたが、無限級数の収束判定の問題、関数の一様連続性に関する問題、実数列の上限や下限に関する問題を発表してもらいました。今回は期末試験は行わず、最終的な成績は期末レポートで判定しますので、レポートの提出も忘れずに行ってほしいと思います。

今年のこの演習のクラスは、前年度に増して受講した学生さん達が積極的に参加してくれたおかげで、授業で用意した演習問題は、実数の連続性に関するやや難しい問題を除き、ほぼ全部が授業で解かれました。授業中の討論にも多くの人が積極的に参加し、有意義な授業にしてくれたことに感謝します。皆さんの今後のさらなるご活躍を祈ります。

2012-02-28

計算機演習(第9回)

今回は、最終回のレポート課題の締切日ということで、質問を受けつけるオフィスアワーとし、自由参加としました。参加者は15人くらいでした。

授業時間の最後の30分で、先週配布した KNOPPIX/Math のデモンストレーションを行いました。最初持参したノートパソコンのビデオ端子から信号が出ず、急きょ古いノートパソコンを取りに行ってデモをすることができました。

デモでは、幾何学の可視化ソフトウェア GeoGebra と、数式処理システム Sage を紹介しました。短い時間の紹介にとどまりましたが、興味のある人には試してもらえればと思います。

2012-02-22

線形代数III演習(第8回)

今週も、先週に引き続き、ベクトル空間の基底や次元に関する演習問題を発表してもらいました。

与えられたベクトルが生成する部分空間の次元を計算する問題では、与えられたベクトルから行列を構成し、この行列のランクを求めることにより、部分空間の次元を計算する手順がよく用いられますが、それがなぜ可能かということを理解しておくことも重要と思います。

次回は最終回の授業ですが、少しでも多くの演習問題が解かれるよう期待します。

微積分演習(第8回)

今日も、前回に引き続き、無限級数や連続関数に関する演習問題を発表してもらいました。

次回は最終回ですが、残りの演習問題もなるべく多く解かれることを期待します。

2012-02-21

計算機演習(第8回)

今日は、授業の最終回で、フラクタル図形の描画に取り組みました。レポートの方はちょっと大変かもしれませんが、やりがいもあると思いますので、より多くの人が完成して提出することを望みます。

次回は「予備日」としていましたが、今回出題のレポートの締切日ですので、質問がある人のためのオフィスアワーとし、自由参加とします。

それから、今回の出席者に KNOPPIX/Math の DVD を配布しました。これは、DVD から起動できる Linux ディストリビューションの一つである KNOPPIX に、いろいろなフリーの数学ソフトウェアをインストールしたものです。次回、もし機会がありましたらデモンストレーションを行いたいと思います。

2012-02-20

数理科学II(第21回)

今日は、本年度最後の授業でしたが、多変数多項式の因数分解における一般 Hensel 構成として「一般化された Hensel の補題」を説明しました。そして、多変数多項式の因数分解の計算例を提示しました。授業時間をちょっと超過してしまいました。すみません。

以上で今年度の授業が終わりましたが、残念ながら、当初目指した、多項式の因数分解の実装にまでは至りませんでした。しかし、計算機やアルゴリズムの基本、多項式の表現や四則演算の実装を、Scheme の処理系とともに示した一方、因数分解のアルゴリズムにかかわる数学の説明を一通り行いましたので、計算数学の理論と実践の両面に触れたことが、履修者の皆さんにとってよい収穫になってくれることを願っています。

2012-02-17

数学類セミナー(第24回)

今回が、1学期のフレッシュマンセミナーから続いてきた、金曜6限の授業の最終回となりました。今日は、3学期の授業アンケートをとって終了しました。

冒頭、学生の皆さんにも申し上げましたが、来週は前期日程入試、早いもので受験した人達は1年が経つことと思います。昨年の入試の後で、震災があり、オリエンテーションの初日に入学式ができず、普段着で記念写真を撮ったり、オリエンテーション合宿では大きな余震に遭ったり、入学式を陸上競技場で行ったり... で、これから先どうなるか、と、新入生の皆さんの身を案じたことが幾度となくありましたが、全員元気でここまでくることができて、本当によかったと思います。

私ともう1人の担任の先生は、ともに、学年進行で持ち上がり、今年度の新入生の人達が卒業するまでのつきあいとなります。皆さんの今後のさらなる活躍を祈ります。

なお、このセクションの情報は、今後も、この学年に関するイベント等がありましたら随時載せていきたいと思います。

数学特別演習(第16回)

今日はこの科目の最後の授業で、まず、前回の続きとして、「オイラー線」に関する定理のうち、重心と外心の座標を計算し、ついで、定理の証明をしてもらいました。

最後の発表者は、第7章の残りの部分の解説で終わるだろうと思っていたところ、ぜひ次の章も発表したいとのことで、第7章の残りの部分は手早く済ませ、第8章「オイラーと組み合わせ論」を発表してもらいました。

第8章の内容は「撹乱順列」と呼ばれる順列の問題です。彼は、これを「居酒屋の帽子の問題」として、次のように説明してくれました。

n 人の友達どうしが、全員、異なる帽子をかぶって居酒屋に行き、マスターに帽子を預けて飲む。飲んだ後で、マスターから帽子を受け取ってかぶるが、その際、全員が、行きと異なる帽子をかぶる組み合わせは、全部で何通りあるか?
それから、オイラーが、撹乱順列の個数を、n に関する漸化式で表したこと、ついで、これを n の(閉じた)式で表したことが紹介されました。そして、与えられた n に対し、居酒屋を出た全員が行きと異なる帽子をかぶる確率が、n をどんどん大きくすると 1/e (eは自然対数の底) に収束するという性質が紹介されました。

組み合わせ論の話に e が出てくるというのは、なんとも驚きです。最後に、彼は「e は(事実はともかくとして)実はオイラーの頭文字でないかという気がする」という話をして、発表を締めくくりました。

これまで、約半年にわたって、オイラーの数多くの業績のほんの一部に触れてきたわけですが、それでも、多くの数学者によって数学が紡ぎ継がれていく様子や、その中でのオイラーの見事な(時には大胆な)発想力など、得るものが大きかったのではないかと思います。ある人は、感想の中で「e や π といった神秘的な無理数が、数学に内在するあらゆる垣根を越えて登場する」ことから「数学の絆」を感じたと書いていましたが、この授業に出てきた私達も、授業を通して、数学の絆で結ばれていたのかな、と思いました。

授業に出てくれた皆さんには、これからも、このような数学の絆を見つけ、これを楽しみ、また、これを身の回りに広めていってくれれば、と思います。

2012-02-15

線形代数III演習(第7回)

今日も、先週に引き続き、ベクトル空間の基底や次元に関する問題を解いてもらいました。

今日の発表では、論証をたどるのにだいぶ時間をかけ、発表を聴いている人もなるべく理解できるようにしたつもりです。発表した人はおおむね問題の答えを理解していたようですが、聴く人によく伝わるような説明を心がけることが大切だと思います。

次回も引き続き、今回と同様の演習問題と取り上げます。

微積分演習(第7回)

今日は、実数の連続性に関する問題に加えて、無限級数に関する問題も解いてもらいました。

問題発表の際に、「... が成り立つのは... なぜだっけ?」と詰まった人がいましたが、その場でちょっと議論をして、ちゃんと内容を理解して先に進むことができました。自分で問題を解いている際は気づかなかった部分も、発表の際に気づくことがあります。このような意味でも、人前で発表したり説明したりすることの意義があると思います。という場面に出会った今日の授業だったと思います。

来週も、引き続き、これまでに出題した演習問題を解いてもらいます。

2012-02-14

計算機演習(第7回)

今日は、プログラミングの初歩として、再帰的なルールに基づくプログラミングを行いました。

今回のレポート課題では、関数の微分を行うプログラムを作ってもらいましたが、微妙なところでプログラムがうまく動かず、TA の人達のサポートを受けながら作業を進める人が、例年よりやや多かったような印象を受けました。レポートの締切まで1週間ありますので、うまく動くプログラムが作られることを期待します。

次回は最終回で、フラクタル図形の描画を行います。

2012-02-10

数学類セミナー(第23回)

今日は特に行事はなく、出席をとったのち、解散となりました。

金曜日の授業日程の都合で、次回はこの授業の最終回になります。3学期の授業アンケートが予定されています。

数学特別演習(第15回)

今日の授業では、第7章「オイラーと幾何学」に入りました。この章では、平面幾何におけるオイラーの業績を紹介しています。

前半は「ヘロンの公式」のオイラーによる証明を発表してもらいました。ヘロンの公式は、三角形の3辺の長さから面積を求める公式で、公式自体は古くから知られているものですが、オイラーによる証明は、いくつもの三角形の相似を巧みに用いることによって公式を導いており、理論は中学校の数学の範囲で理解できるものですが、証明の巧みさには驚かされます。

後半では、三角形の垂心、重心、外心が1直線上に並び(オイラー線)、しかも垂心と重心の距離が、外心と重心の距離の2倍になるというものです。ここで、オイラーの証明は、平面の直交座標系に三角形を置き、垂心、重心、外心の座標を直接計算することによるもので、オイラーのたぐいまれなる洞察力と計算力を垣間見ることができます。

今日の授業では、後半のオイラー線の話のうち、垂心の座標の計算で終わったので、次回は、残りの重心と外心の座標を計算し、定理の証明に進む予定です。

2012-02-08

線形代数III演習(第6回)

今日は、これまでにも扱った、線形写像や部分空間、線形結合の問題に加え、ベクトル空間の基底や次元に関する問題も扱いました。

今日の証明問題でも、証明のステップを細かくフォローしました。幸い、問題を解いて発表した人は、内容はそれなりに理解しているようでしたが、「それなり」をより明確に理解できるように、また、自分で問題を解く際の考え方のヒントになるように議論したつもりですので、参考にしてもらえればと思います。

次回も引き続き、今回と同様の演習問題を取り上げる予定です。

微積分演習(第6回)

今日の授業では、関数の極限値と実数の連続性に関する問題を取り上げて発表してもらいました。

その後、連続関数の性質と、無限級数に関する演習問題も配布しましたので、こちらの方も併せて学習を進めてもらえればと思います。

2012-02-07

計算機演習(第6回)

今日は、微積分の2回目ということで、主に積分に関する内容を扱いました。不定積分、定積分、微分方程式の解法を扱っています。

あと、微積分とは直接関係ありませんが、リストのさまざまな操作法も扱いました。今日のレポート課題では、リスト操作を用いて数値積分の計算をする課題があり、数値積分の計算の手法の一つという意味では微積分の問題の解法と関連があります。

次回は、Mathematica による初歩的なプログラミングを扱います。

2012-02-06

数理科学II(第20回)

先週は不本意ながらも休講してしまいましたが、今日は、整数上の1変数多項式の因数分解のまとめを行いました。Hensel 構成に基づく算法は、最後の「試し割り」の段階で、因子の組み合わせの個数が因子の個数の指数関数になり、理論上は多項式時間ではありませんが、実用上は、数次から数十次の多項式の因数分解には問題ないことなどを説明しました。

引き続いて、多変数多項式の因数分解における一般 Hensel 構成の紹介を行いました。私の担当はあと2月20日のみとなってしまいましたが、次の1回で、一般 Hensel 構成について、できるだけ説明を行いたいと思います。

2012-02-03

数学類セミナー(第22回):平成23年度第2回 数学類クラス連絡会

今日は、2学期に第1回が行われた、学生と教職員の懇談会が行われました。

会場は、前回と異なり、4階の教室でしたが、プロジェクタの投影でトラブルがあり、前回に引き続いて、私のプロジェクタの出番になりました。不具合が起きることはやむを得ないかもしれませんが、事前に動作確認を行っておいた方がよいと思いました。

会議では、前の学期と同様、授業評価アンケートの結果発表と、それに関連する討論が行われましたが、前回に比べると、議論は低調だったと思います。学生の積極性の問題もありますが、運営するクラ代会(クラス代表者会議)の論点の設定のしかたや議論の掘り下げ方に、より一層の工夫が望まれます。

今回は、議論の成果は残念ながら前回ほどではなかったと思いますが、このような機会は貴重なので、今後とも意義のある集まりとして存続できるよう、クラ代の人達の仕事に今後も期待したいと思います。

数学特別演習(第14回)

前週、私の病気で急きょ休講にしてしまいましたが、今回は、前回に引き続き、代数方程式の解法に対するオイラーの挑戦を見た後、エピローグとして「代数学の基本定理」について発表してもらいました。

代数方程式の解法については、オイラーは完全な答えを与えることができませんでしたが、それは、同時代の他の数学者にもできなかったことであり、あと半世紀ほど数学の進化を待たなければならなかったので、やむを得なかったことでしょう。それでも、4次以下の代数方程式の解法について、オイラーがすぐれた洞察で根の計算法を与えたことは、彼のたぐいまれなる才能と努力を示していると思います。

次回からは、第7章「オイラーと幾何学」について学びます。

2012-02-01

線形代数III演習(第5回)

今日は、数ベクトル空間やベクトル空間の演習問題で、部分空間の判定や、線形結合などに関する問題を扱いました。

今日の授業もそうでしたが、「だいたい」わかっていて「なんとなく」証明できているような人の発表に対しては、この問題は何を示すべき問題かとか、議論の過程などを詳しく確認しながら発表してもらいました。発表する人は、内容を「だいたい」理解しており、理解していることはよいことですが、残りの「もやもや」とした部分をはっきり詰めるのは大切なことです。聞いている人にも参考になればと思います。

次回も、今回に引き続き、ベクトル空間の基本的な性質に関する問題を取り上げる予定です。

微積分演習(第5回)

今日の授業も、関数の極限値を中心に演習問題を解きました。今日は、前回残してしまった問題も一通り解くことができました。

次の演習問題として、実数の連続性に関する問題を配りました。難易度はやや高いかもしれませんが、次回以降はこのテーマにも進んでいきたいと思います。