2015-12-25

微積分II(第10回)

今回は、前回の重積分の定義の続きで、2次元Euclid空間内の一般の有界集合における面積の測り方として「ジョルダン (Jordan) 測度」を導入し、積分可能性の十分条件について説明しました。

今回は担当教員の都合により、授業時間は前半の4限のみで終了しました。次回は年明けですが、重積分の基本的な性質について説明した後、累次積分に進みたいと思います。

授業サポートページ:https://www.math.tsukuba.ac.jp/~terui/calculus2-2015

2015-12-18

微積分II(第9回)

今回から、授業内容は重積分に入りました。

今回は、重積分(多変数の実数値関数のリーマン積分)の定義を説明しました。まず、有界閉区間上の積分を定義し、次に、2次元Euclid空間内の一般の有界集合上の積分を定義しました。そして、一般の有界集合上の積分が定義できるかどうかは、その集合の面積が確定するかどうかに依存することを紹介しました。

次回は、今回の続きで、2次元Euclid空間内の一般の有界集合において面積が確定することの定義に触れます。その後、実際の重積分の計算に用いられる「累次積分」について説明したいと思います。

授業サポートページ:https://www.math.tsukuba.ac.jp/~terui/calculus2-2015

2015-12-11

微積分II(第8回)

今回は、Lagrangeの未定乗数法の説明を行いました。

授業の前半では、条件つき極値問題とLagrangeの未定乗数法の定理について説明しました。後半では、Lagrangeの未定乗数法を用いた条件つき極値問題の解法の例題を説明した後、Lagrangeの未定乗数法に登場する連立方程式の導出を紹介しました。

多変数(主に2変数)関数の偏微分の話題は今回までで、次回から重積分に入ります。

授業サポートページ:https://www.math.tsukuba.ac.jp/~terui/calculus2-2015

2015-11-20

微積分II(第7回)

今回は、前半で陰関数定理を説明し、後半では、陰関数定理を用いて、陰関数で表される曲線の接線の計算を行いました。

Lagrangeの未定乗数法には進めませんでしたので、次回の授業で扱いたいと思います。来週は推薦入試、再来週は出張のため、次回の授業は12月11日の予定です。

授業サポートページ:https://www.math.tsukuba.ac.jp/~terui/calculus2-2015

2015-11-13

微積分II(第6回)

今回は、2変数関数の極値について、Taylorの定理からの導出の要領を説明しました。

例題については、授業時間の最後の方で説明を試みましたが、時間不足で終わりませんでしたので、演習等で適宜復習されることを望みます。

次回は、陰関数定理とLagrangeの未定乗数法を説明する予定です。

授業サポートページ:https://www.math.tsukuba.ac.jp/~terui/calculus2-2015

2015-10-30

微積分II(第5回)

今回は、前半で、多変数関数の高次偏導関数について説明しました。後半では、2変数関数のTaylorの定理を紹介し、その応用として、2変数関数の2次近似の導出を行いました。

次回は、Taylorの定理の2つ目の応用として、2変数関数の極値の計算について説明する予定です。なお、来週は学園祭前の休業のため、次回の授業は再来週になります。

授業サポートページ:https://www.math.tsukuba.ac.jp/~terui/calculus2-2015

2015-10-23

微積分II(第4回)

今回は、前半で全微分の性質について述べました。後半では、全微分の関連事項として接平面について述べたのち、合成関数の微分を説明しました。

次回は高次偏導関数の説明から入る予定です。

授業サポートページ:https://www.math.tsukuba.ac.jp/~terui/calculus2-2015

2015-10-16

微積分II(第3回)

今回の授業では、前半で多変数関数の連続性について説明しました。後半では、多変数関数の偏微分、および全微分の定義まで説明しました。

次回は、全微分の性質と接平面の話題に触れたのち、合成関数の微分に進む予定です。

授業サポートページ:https://www.math.tsukuba.ac.jp/~terui/calculus2-2015

2015-10-09

微積分II(第2回)

今回の微積分の前半では、前回に引き続き、集合の閉包と有界の概念について説明し、ついで、点列の収束と極限について説明しました。後半では、多変数関数の用語と極限について説明しました。

次回は、多変数関数の連続性から説明を行う予定です。

授業サポートページ:https://www.math.tsukuba.ac.jp/~terui/calculus2-2015

2015-10-02

微積分II(第1回)

2015年度の秋学期は、微積分II(地球学類対象)の講義を担当することになりました。

微積分IIでは、多変数の微積分を扱います。今日は初回で、授業のガイダンスに引き続いて、n次元ユークリッド空間の点とその集合、距離、内点、外点、境界点、開集合、閉集合といった概念について説明しました。これから1月末まで、毎週1回(2時限続き)、15回の講義が続きます。

例によって、授業のサポートページを作り、講義ノートなどの資料を載せます。あと、講義の模様をビデオ収録し、こちらも公開します。お楽しみに。

授業サポートページ:https://www.math.tsukuba.ac.jp/~terui/calculus2-2015

2015-07-23

計算機数学I(第13回)

今回は、授業の最終回でしたが、中国剰余定理を紹介し、ついで、定理に現われる連立線形合同式の解を拡張Eucild互除法を用いて解く解法について説明しました。

これで一連の講義が終わりましたが、今年は、講義を初めて担当したこともあり、講義内容にやや偏りが生じたのは反省点だったと思います。多倍長数の演算に時間をかけ過ぎてしまい、他のトピックに割り当てる時間が足りなくなりました。もし次回担当する機会がありましたら、多倍長数の演算の時間を短縮し、数論に関する話題を追加してみたいと思います(その際、多倍長数に関するより詳しい解説を聞きたい場合は、今年の講義の録画が役に立つことでしょう)。

反省点はありますが、今回の講義で、現実に計算を行うための数学の知識や方法論に対する理解が深まれば幸いです。また、皆さんの中には、中学校や高校で教職に就く人もいるかもしれませんが、これから数学を学ぶ生徒さん達にも、折に触れて、こういった、数学の一つの姿を伝えていってもらえればと思います。

授業サポートページ:https://www.math.tsukuba.ac.jp/~terui/compmath1-2015

2015-07-13

計算機数学I(第12回)

今回は、拡張Euclid互除法の応用の一つとして「法逆元計算」を取り上げました。これは、剰余環のある元が単元である(=乗法の逆元をもつ)際に、その逆元を計算する方法で、拡張Euclid互除法で計算する余因子が求める逆元となります。今回は、その性質を述べた定理と、計算例として、素数を法とする整数の剰余環(体)、および、有理数体に既約な1変数代数方程式の根を添加した拡大体において、逆元の計算を行いました。

この授業も次回が最終回ですが、次回は中国剰余定理と、拡張Euclid互除法を用いた中国剰余算法を取り上げ、授業の締めくくりにしたいと思います。

授業サポートページ:https://www.math.tsukuba.ac.jp/~terui/compmath1-2015

2015-07-06

計算機数学I(第11回)

今回は、前回のEuclid互除法で残ったアルゴリズム自体の説明を行ってから、拡張Euclid互除法の説明を行いました。拡張Euclid互除法の根拠となる定理の証明は、時間の都合で、最も重要な「余因子の存在と計算手順」の部分のみを行いましたが、それ以外の証明も、一通り、講義ノートに記録しています。

この授業も残すところあとわずかですが、残りの時間は、(拡張)Euclidの互除法に関連する話題に充てる予定です。今回は、連分数展開の計算について説明しました。正則連分数の計算の際、Euclidの互除法が用いられます。これに関連し、ある条件を満たす無理数が、循環する連分数に展開されることも説明し、その計算も行いました。実は、連分数展開からもとの有理数や無理数を計算するのも(拡張)Euclidの互除法と関連性がありますが、こちらの方は時間の都合で割愛しました。

次回以降は、法逆元の計算と、これに関連して、中国剰余定理を(時間があれば)扱う予定です。

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2015-06-29

計算機数学I(第10回)

今回は、整数と1変数多項式の剰余つき除算について説明したのち、Euclidの互除法に入りました。その前に、可換環のイデアルや剰余環などの概念については、各自の復習に任せました(講義テキストにも一通り説明があります)。

Euclid互除法では、その根拠となる定理を説明したところで時間になりましたが、整数に対するEuclid互除法の場合、剰余を計算する回数の上界の一つとして黄金比が用いられることを紹介しました。

次回は「拡張Euclid互除法」について説明した後、Euclidの互除法の応用に進みます。

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2015-06-22

計算機数学I(第9回)

出張で1週間空けましたが、今回は、主に多倍長整数と1変数多項式に対する乗算のアルゴリズムについて説明しました。

多倍長整数の乗算については、単精度演算を単位とした計算量の見積もりを行いましたが、多項式の乗算については、見積もりが繁雑になるため、今回は、係数上の四則演算の回数を単位とした計算量の見積もりのみを行いました。

この時間の最後に、剰余つき除算の説明に入りました。次回は剰余つき除算を説明し、拡張ユークリッドの互除法に進む予定です。

授業サポートページ:https://www.math.tsukuba.ac.jp/~terui/compmath1-2015

2015-06-19

Dagstuhl Seminar 終了

今日はセミナー最終日ということで、午前中のセミナーでは、主に structured matrix (構造をもつ行列)に関する発表がありました。

これで5日間にわたるセミナーが終わったわけですが、私にとっては、Pade 近似や multiexponential analysis など、自分にとって未知の分野を知ると同時に、その辺でも自分が取り組んでいるものと似たような問題意識があることを知り、非常に有意義な会議だったと思います。

また、会議の日程はゆったりしており、参加者の人達からいろいろな話を聞けたのも収穫だったと思います。普通の国際会議ですと、街中でやるので、その日のセッションが終わったら慌ただしく移動してよく顔を合わせる人との時間が主になることが多いですが、合宿形式で、時間に余裕があることで、より多くの人達と話ができたと思います。

あと、自分の研究テーマに関しても、新しい情報やコメントを得られたのも収穫でした。日本に帰ってからも、より広い視野を忘れないように、仕事に取り組みたいと思います。

2015-06-18

Dagstuhl Seminar 5日目

今日のプログラムは "sparse interpolation"(疎な多項式補間)の話題が中心でした。手法は様々でしたが、昨日までの講演にあった、指数関数の復元に対応するものがあり、両者の類似点を眺めることができたと思います。

自分の講演は、近似GCDでも用いる「部分終結式行列」に関する話題で、結果はまあまあ、といったところですが、いくつか有益なコメントをもらえたのは収穫だったと思います。

会議もいよいよ明日が最終日で、明日には町に戻ります。

2015-06-17

Dagstuhl Seminar 4日目

今日は会議は午前中のみでしたが、Pade近似に関する発表が中心でした。

午後のエクスカージョン(遠足)は、予定が二転三転しましたが、結局、バスの手配がついて、ドイツの古都トリーア (Trier) に行きました。会議場からは1時間くらいで着きます。トリーアは古代ローマ帝国によって造られ、ローマ帝国が分割統治されていた時期には、最も西の地域の首都だったそうで、当時の城門(ポルタ・ニグラ)、皇帝の宮殿(現在は教会として使用)、皇帝の大浴場など、興味深い建物や遺跡がいろいろありました。

会議は明日も続きます。

2015-06-16

Dagstuhl Seminar 3日目

今日は会議の2日目で、発表は Exponential Analysis に関するものを一日行いました。特に午前中のセッションでは、Prony method と呼ばれる、指数関数のパラメータをデータから再現する方法に関する発表がたくさんありました。

それから、今日は記念写真の撮影を行いました。写真の方はすでに会議のホームページに掲載されています。

2015-06-15

Dagstuhl Seminar 2日目

今日から会議が始まりました。午前中は、主催者の先生 (Annie Cuyt) から、この会議の趣旨説明を兼ねた講演があり、お茶の休憩の後、参加者が軽く自己紹介をしました。

午後は Application Section で、Multi exponential analysis の応用事例として、サンプリング(屋外の環境データなどの収集)の最適化や画像処理などが紹介されました。

今日は早めに日程も終わったので、明日に備えたいと思います。なお、セミナープログラムは会議のホームページにて公開されています。

2015-06-13

Dagstuhl Seminar: Sparse modelling and multiexponential analysis

今回、Dagstuhl Seminar(ダグシュトゥールセミナー)という国際会議に参加するため、ドイツにやってきました。

Dagstuhl Seminarは、ドイツ西部の町Wadern(ヴァーダーン)にあるSchloss Dagstuhl(ダグシュトゥール城)と呼ばれる施設で開催されている一連のセミナー(会議)です。「城」と呼ばれるだけあり、昔のお城、というか邸宅を使ってセミナーハウスにしたもののようです。

そして、セミナーの方は、情報科学のいろいろな研究テーマでセミナーを公募し、採択されたものが、それぞれ1週間くらいの長さで開催されます。ですので、ここの施設では、毎週次から次へと新しいセミナーが開催されているようで、だいたい2年後くらいまでのスケジュールが決まっているようです。

セミナーの運営も独特で、まず、参加者は、各セミナーの主催者からの招待によって参加します。それから、セミナーの細かい運営は主催者によって決まるようで、単に研究成果の発表にとどまらず、参加者間での討論などによる研究交流も重視されているようですが、今回はどうなることでしょう。とりあえず、出発日である今日の未明に、主催者からセミナープログラムが送られてきました。

今回私が参加するセミナーは"Sparse modelling and multiexponential analysis"というもので、計算代数では厳密計算や近似計算に基づく多項式補間の話題が中心になりそうです。 私はもともと数式・数値融合専門で、これらの分野とはやや離れているかもしれませんが、どんなことになるか、大きな期待と若干の不安を持っての参加です。

今日は東京からフランクフルトに飛んで、近郊のマインツに宿泊し、明日、現地に向かいます。

2015-06-10

ホームカミングデー

大学の行事「ホームカミングデー」が、今年は11月7日(土)に行われることになりました。

「ホームカミングデー」は、毎年、大学を卒業して20年にあたる卒業生を対象に、大学に再び集まって旧交を温める行事です。今年の対象は、1991年大学入学、1995年大学院修士課程入学の人達が中心になります。それから、大学も、筑波大学に加え、図書館情報大学に入った人達もた衣装です。

大学では、この行事のために「ホームカミングデー委員会」を組織して準備を行います。委員会は、委員長、副委員長、委員、事務方から構成されますが、委員は、各学群から、ホームカミングデーの対象者を中心に選出されます。今回、理工学群担当の教員で、本学卒業20年にあたる人が自分しかいなかったとのことで、私が理工学群選出の委員としてホームカミングデー委員会に参加することになりました。(ちなみに、今年の委員長は理工学群長ですが、数学の先生です。)

ホームカミングデーは、先に述べた通り、11月7日(土)に行われますが、この日はちょうど学園祭の1日目に当たっています。参加申込の受付はこれから専用のwebサイトで行われる予定ですが、同級生の皆さんの多数の参加をお待ちしております。

計算機演習(第8回)

今回はMathematica編の最終回で、タートルグラフィクス(コンピュータ上で「カメ」を動かし、その軌跡によって図形を描くこと)によるフラクタル図形の描画を行いました。

Mathematica編はこれで終わりますが、今後も折に触れてMathematicaのいろいろな機能を活用してもらえればと思います。

次回からはプログラミング言語 Haskell の実習に入ります。

2015-06-08

計算機数学I(第8回)

今回は、1変数多項式に対するHorner法の応用の一つとして、数の2進・10進変換の効率的な方法を紹介しました。2進・10進変換は、2進数を10進数に、あるいは10進数を2進数に変換する計算です。

非負整数の2進・10進変換は、比較的多くの資料が出回っていると思いますが、循環小数(2進)や有理数(10進)の2進・10進変換、そして、負の10進数を2の補数で表す変換については、原理は他の変換と同様、それ程難しくはありませんが、計算例はさほど多くなさそうですので、参考になるかもしれません。

来週は私の出張のため休講にするので、レポート課題を出しました。課題は授業テキストの演習問題の抜粋ですが、例題を用いて基本的な解法を説明しました。

次回は再来週、1変数多項式や多倍長整数の乗算と除算を扱う予定です。

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2015-06-03

計算機演習(第7回)

今回は、Mathematicaによるプログラミングの方法の一つとして「ルールベースドプログラミング」を扱いました。ルールとパターンマッチに基づく関数の定義です。

レポート課題の一つに、関数の微分を行うプログラムの作成がありましたが、定数の微分の定義を忘れていた人がいたようです。

次回は、Mathematica編の最終回ですが、今回のプログラミングと合わせたグラフィクスの話題を扱います。

2015-06-01

計算機数学I(第7回)

今回は、まず、前回に引き続き、1変数多項式の加算を取り上げ、そのアルゴリズムと計算量の見積もりについて説明しました。

次に、1変数多項式の評価を行う「ホーナー (Horner) 法」について説明しました。これは、高校の数学でも「組立除法」として紹介されている方法で、国立国会図書館電子展示会江戸の数学」でも紹介されています

次回は、Horner法の応用例として、10進数と2進数の間の効率的な変換法を紹介します。

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2015-05-27

計算機演習(第6回)

今回は、微積分の内容で、前回の続きとして、積分や微分方程式の解法を扱ったほか、リストに対するいろいろな計算も扱いました。

今回のレポート課題を解く中で、ファイルの保存の際にエラーが出て、解き直しになった人が数人いました。それらの人達に共通していたのは、レポート全体の計算を一通り行った後で最初の保存に失敗した点です。以前の授業でも呼びかけましたが、ファイルをこまめに保存することで、もしファイルが途中で壊れた際の影響がなるべく小さくよう、工夫することも必要だと思います。

次回は、ルールに基づくプログラミングを扱います。

2015-05-25

計算機数学I(第6回)

今回の授業では、まず、アルゴリズムの計算量を見積もる上で必要な「漸近表示」の説明を行い、次に、それを用いて、多倍長整数の加算の計算量を見積もりました。

それから、「2の補数」を用いた、符号つきの多倍長整数の表現について触れた後(減算のアルゴリズムは演習問題)、1変数多項式の話題に入り、多項式の術語と、1変数多項式の表現について説明しました。

次回は1変数多項式の加算から説明する予定です。

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2015-05-20

計算機演習(第5回)

今回は、微積分の中でも微分を中心とした内容を扱いました。具体的には、関数の定義、極限値の計算、導関数の計算、Taylor展開の計算を扱いました。

次回は主に積分を中心とした内容を扱います。

2015-05-18

計算機数学I(第5回)

今回の授業では、多倍長整数の加算のアルゴリズムについて説明しました。そのため、アルゴリズムの基本的な特徴(要件)についても解説しました。(今回述べた「アルゴリズムの特徴」は、D. Knuth, The Art of Computer Programming, Section 1.1によります。)

次回は、多倍長整数の加算のアルゴリズムの計算量を調べますが、そのために、アルゴリズムの計算量を見積もるための漸近表示の説明から始める予定です。

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2015-05-13

計算機演習(第4回)

今回は、主に線形代数の話題を取り上げました。Mathematica では、リストを「ベクトル」、リストのリストを「行列」に見立てて計算を行います。今回は、ベクトルや行列の基本演算と行列の対角化を行い、さらに、リスト(ベクトル、行列)の要素に規則を与えて自動的に生成する方法などを扱いました。

次回は微積分の内容を扱う予定です。

2015-05-11

計算機数学I(第4回)

今回の授業では、まず、前回の続きで、浮動小数演算における誤差として「桁落ち誤差」と「情報落ち」について説明し、引き続き、多倍長整数の構成について説明しました。

次回は、多倍長整数の加算について説明します。

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2015-05-08

計算機演習(第3回)

今回は、Mathematica編の第2回、前回のMathematica入門の続きということで、連立方程式の解法、グラフィクスのオプション、アニメーションを中心に扱いました。

次回の授業は来週水曜日で、今回のレポート課題の締切日でもあるので、今回はレポートの締切まで、普段より若干期間が短いですが、ご健闘を祈ります。

2015-04-27

計算機数学I(第3回)

今回の授業では、浮動小数の導入と一般的な定義を行った後、現在よく使われている浮動小数点の規格の一つとして、IEEE 754 浮動小数点規格のうち、単精度の浮動小数点規格を紹介しました。

IEEE 754 単精度浮動小数点規格の説明の中で、∞(無限大)とNaN(非数)を表現する際の指数部の値としてE=127と説明しましたが、授業後に指摘を受けて確認したところ、これは誤りで、正しくはE=128でしたので訂正します。ご指摘に感謝します。

授業では、時間の都合でIEEE 754は単精度の規格のみ紹介しましたが、講義ノートには倍精度の規格についても記載しましたので、興味のある人はご参照ください。

引き続いて、浮動小数演算における誤差の説明に入りましたが、「丸め誤差」の説明の後「桁落ち誤差」の説明の途中で時間になりました。次回は「桁落ち誤差」の説明から始め、多精度(多倍長)整数の表記と加算の説明に進みたいと思います。

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2015-04-22

計算機演習(第2回)

今日から本格的な授業が始まりました。今学期の前半7回は、数式処理システムMathematicaの実習を行います。

今回は、e-ラーニングシステム (manaba) へのログイン、manaba のコースページの内容紹介、Mathematicaの起動と計算、レポートの課題ファイルのダウンロードなどを一通り説明しました。残り時間で、今回の授業内容を実習してもらいました。内容は、基本的な数値の計算、代数方程式の解法、グラフ描画の基本などです。

次回の授業は連休明けになるので、約2週間空くことになります。ついでに、次回は金曜日に水曜日の振替授業を行うのでご注意ください。

2015-04-20

計算機数学I(第2回)

今回は、前回に引き続き、コンピュータの基本構成の残りの部分を説明し、その後、整数の表現として、符号なし整数と、2の補数を用いた符号つき整数について説明しました。

コンピュータの基本構成では、前回の「メモリ」の説明に続き、「ワード」の概念とCPUの「レジスタ」を説明し、「ワード」のモデルとして、2進数の「そろばん」の例を挙げました。2進数のそろばんは、もちろん実物は持っていませんが、ワードを単位として計算を扱う際に、今後も例として使おうかと思います。

整数の表現に引き続いて、浮動小数点数の説明に入ったところで、今回は時間切れとなりました。次回は浮動小数点数について説明する予定です。

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2015-04-15

計算機演習(第1回)

今年度も、計算機演習の授業を担当することになりました。

今回は授業のガイダンスということで、ティーチング ・アシスタント (TA) の人達にも集まってもらい、授業の概要を説明しました。今年度も、履修者のほとんどは数学類の学生で、人数は40人強といったところです。

次回から、サテライトにて本格的な授業が始まります。

2015-04-13

計算機数学I(第1回)

今年度は、数学類専門科目(標準履修年次:3年次)の「計算機数学I」を初めて担当することになりました。

この授業では、主に代数計算、特にEuclidの互除法を軸にしながら、構成的な計算について説明します。授業では、アルゴリズム、データの表現、計算量の議論もしながら進めていきます。

今回は、授業のガイダンスの後、準備として、コンピュータの基本構成を説明しました。その際、実際にタワー型パソコンのケースを開けて、中の構成部品を拡大投映しながら説明しました。今回の授業の履修者は約50人ですが、この時に尋ねたところ、パソコンのケースを開けたことがある人が10人前後、実際に内部の部品を交換したことのある人が2, 3人でした。また、ノートパソコンの部品を交換したことがある人も2, 3人でした。

実際にパソコンの内部がどのように見えるかを知っている人は全員というわけではなかったようですので、授業で出てくる内容を、実際に自分が使うようなパソコンの内部部品と対応づけるという意味では意義があるのでないかと思います。

今年も、毎回の講義の講義ノートをwebの授業サポートページに掲載するとともに、講義の模様を録画して公開していきます。次回は、コンピュータの基本構成の続きから、数値の表現に入っていきたいと思います。

授業サポートページ:https://www.math.tsukuba.ac.jp/~terui/compmath1-2015

2015-03-25

平成26年度 卒業式に寄せて

今日、私が4年間クラス担任を務めた数学類の学生が、卒業式を迎えました。ここに、彼ら/彼女らに寄せたメッセージを載せたいと思います。


皆さん、ご卒業おめでとうございます。私からは3点、最初の1つは過去と現在のこと、あとの2つは未来のことをお話したいと思います。

まず、皆さんにお伝えしたいのは、このたびの卒業のお祝いと、これまで4年間を一緒に過ごしてきた皆さんへの感謝です。思えば、私がクラス担任になるための「教習」とも言えるFD(ファカルティ・ディベロップメント)研修会に参加したのが4年前の3月10日、このときは、その翌日に未曾有の大震災に見舞われるとは夢にも思っていませんでした。

幸い、当時の本学関係者に人的被害はなかったようですが、大学における私や周囲の被災状況は、それが奇跡的に思える程のものでした。それは、少なくとも私にとって、4月から通常通り新学期を始めることに大きな困難を感じるものでした。しかし、皆さんの中にも、震災に伴う困難に直面しながら筑波に来た人もいるかもしれませんが、震災を経た筑波にやってきた皆さんの姿に勇気づけられて、新学期を始めたように思います。

以来、私がクラス担任として皆さんにできたことは、数々の書類にはんこを押すことと、日々歩み続ける皆さんを見守ることくらいでしたが、これまで、折々の皆さんの姿に、私の方が励ましを受けたり、元気をいただいたりしてきたことの方が多かったと思います。皆さんと、このような充実した時間を過ごせたことに、心から感謝したいと思います。

また、皆さんの中には、震災を筑波で迎え、若干長い大学生活を送った人もいるかと思います。事情は皆さんそれぞれと思いますが、そのいずれもが、皆さん各々の人生において決して無駄なものではなく、これからの人生において何らかの糧になるものと信じています。自信を持って、これからの人生を歩んでいかれることを望みます。

皆さんにお伝えしたいことの2つ目は、これからの人生を進む皆さんへの願いとして、私達が生きるこの世界が、いくらかでもよりよいものになるよう、生きてほしいということです。私たちが大学で学ぶことの目的や意義について、すでにいろいろな人が論じていますが、その中に「よりよい世界を築くために学ぶ」ということに、私も同感です。そして、「よりよい世界を築く」ための貢献として、何も、有名になるようなことだけでなく、当たり前の毎日を、当たり前に生きる、これも、立派な貢献だと思います。そして、皆さんが、自分や自分の周りの大切な人達を愛おしく思えるような、そんな人生を築いていかれることを願っています。

皆さんにお伝えしたい最後のことは、「20年後」です。私は、大学を卒業して今年でちょうど20年を迎えます。私が卒業した頃にはまだありませんでしたが、現在、本学には「ホームカミングデー」という行事があり、大学を卒業してちょうど20年の節目の年に、卒業生が母校に再び集まり、かつての同級生達と旧交を温めるということを行っています。今年はちょうど自分がホームカミングデーの代になりますが、20年後は皆さんがホームカミングデーの代になります。20年後、2035年に、この仲間で、再び、今の笑顔で元気に再会できることを願っています。残念ながら、4年前に入学したメンバー全員が、今回揃ったわけではありませんが、今回揃わなかったメンバーも含めて、今後の再会を願っています。

以上、長くなりましたが、もう一度、今日の門出を迎えられた皆さんにお祝い申し上げるとともに、これからの皆さんの人生に、より多くの幸せが訪れることを祈り、メッセージといたします。

2015-03-09

筑波大学計算機数学グループ 春の合宿 2015 in 館山

3月7日から今日まで、標記合宿が、筑波大学館山研修所(千葉県館山市)で開催されました。

この合宿は、筑波大学数学域を中心とする計算機数学の研究グループに所属する学生と教員、卒業生等が集まり、研究交流を行う行事で、毎年、春休みのこの時期に、館山で開催されています。今年で二十数回目を数えます。

今年の参加者は、学部生10名、大学院生10名、教員2名、卒業生7名の合計29名と、たぶんこれまでで最も多かったと思います。セミナー時間の確保のため、初日の大学から研修所までの往路の行程を例年のものから変更し、初日は午後の早い時間からセミナーを行いました。

この合宿では、参加者の義務として、セミナーで何らかの発表をすることになっていますが、参加者によって、研究、教育、趣味など、どれも聴いて有意義な発表だったと思います。夜は「シンポジウム」と称して、参加者の交流を深めました。

私は合宿幹事の一人として、参加者との連絡や事務手続に当たりましたが、参加者の皆さんのご協力に感謝します。来年も、多くの方が参加して合宿が開催されるのを楽しみにしています。

なお、合宿の講演のうち、発表者が公開に同意された分の中継録画をまとめていますので、興味のある方はご覧下さい。。正式な録画は編集後に公開予定です。

2015-01-28

微積分II演習(第13回)

この授業も、今回が試験前の最後の授業となりました。今回は、いつも通り、前回提出されたレポートを返却の後、大学による授業アンケートを実施し、来週の期末試験の要項を説明した後で、残りの時間は質問の時間としました。質問の時間では、皆さんめいめいに、講義や演習の授業で出された課題などの復習をしていました。

いよいよ来週が期末試験ですが、今学期の内容をよく復習した上で試験に出席することを望みます。

2015-01-23

平成26年度 数学類 卒業研究発表会

1月23日に、今年度の数学類卒業研究発表会が行われました。

今年度は、朝9時過ぎから昼休みをはさんで夕方5時近くまで、39人が、これまでの卒業研究の成果を発表しました。各講演後の質疑応答も活発に行われていたと思います。

私は、今回、クラス担任として、発表会を取り仕切りました。この卒業研究発表会は、約20年前、私が旧自然学類数学専攻の4年生のあたりから始まったと記憶していますが、今回、たぶん初めての試みとして、講演予稿集の電子化(PDF版の作成)を行いました。

これまで、予稿集の編集の際は、学生から紙媒体で原稿を集めてコピー、製本するやり方が主流でした。今回は、予稿の原稿をPDFファイルで提出してもらい、それらをLuaTeXで読み込んだ上で、各ページにノンブル(ページ番号)を打ち、表紙や目次などをつけた1本のPDFファイルに編集する方法をとりました。また、原稿集めには大学のe-ラーニングシステムを使いました。これにより、メールの山に溺れずに済んだ他、「卒業研究」の授業科目(必修科目)の履修忘れを見つけるという効果もありました。

卒業研究発表会の開催にあたっては、卒業研究の指導をされた先生方、助言などをされた先生方や先輩方、当日の進行役を務めた3年生の人達など、多くの方々の協力を得て、無事発表会を終えることができました。ご協力下さった皆様に御礼申し上げます。そして、卒業研究を仕上げ、今回の発表を行った皆さん、お疲れさまでした。

2015-01-21

微積分II演習(第12回)

今回は、Lagrangeの未定乗数法の問題を扱いました。講義では、Lagrangeの未定乗数法の例題まで詳しく扱う時間がなかったとのことですので、演習問題で復習を行うちょうどよい機会になるのではないかと思います。

今学期の授業もあと1回を残すのみとなりました。レポート課題の出題は今回が最後で、次回は、講義および演習の期末試験に向けた各自の取り組みの時間にしたいと思います。

2015-01-14

微積分II演習(第11回)

今回は、陰関数定理の問題を扱いました。微分係数と接線の計算が中心です。

次回は、最近の講義の内容から話題を取り上げたいと思います。