2018-10-29

数理科学IIB(第5回)

今回は、1変数多項式の無平方分解の話題に入りました。標数0の一意分解整域上の1変数多項式の無平方分解について、定義と基本的な性質を紹介し、マッサー (Musser) による無平方分解のアルゴリズムを紹介しました。

次回は、より効率的な無平方分解のアルゴリズムとして知られる、ユン (Yun) のアルゴリズムの紹介から始める予定です。

2018-10-22

数理科学IIB(第4回)

今回は、中国剰余定理を用いた、1変数多項式のGCD計算のアルゴリズムを紹介しました。話題の中心は、中国剰余定理を用いて、整数環上の1変数多項式の係数を、剰余環上の多項式の係数から復元する計算についてでした。

次回は、1変数多項式の無平方分解の話題に入る予定です。

計算機数学II (2018) 第4回:連立1次方程式 (2)

今回は、前回に引き続いて連立1次方程式の解法に関する説明を行いました。今回は特に「反復法」に焦点を当て、「ヤコビの反復法」「ガウス・ザイデル法」「SOR法」を紹介しました。

来週は、前回と今回の内容に関する演習を行うので、講義は一旦休みます。再来週11月5日は、大学の学園祭明けの休業日ですので、次回の講義は11月12日の予定です。

授業サポートページ: https://researchmap.jp/aterui/compmath2-2018/

2018-10-15

数理科学IIB(第3回)

今回は、まず、前回最後に証明したHenselの補題に基づき、Hensel構成の基本的なアルゴリズムについて説明ました。次に、Hensel構成の最初の段階の因子が共通因子を持つとHensel構成が適用できない「共通因子問題 」を紹介し、共通因子問題の回避策を紹介しました。最後に、共通因子問題への回避策を含め、Hensel構成を用いたGCD計算のアルゴリズムを提示、説明しました。

次回は、中国剰余定理を用いたGCD計算のアルゴリズムの紹介から始めます。

計算機数学II (2018) 第3回:連立1次方程式 (1)

今回は、連立1次方程式の解法、特に「直接法」と呼ばれる方法から、ガウスの消去法とLU分解に基づく解法を紹介しました。

次回は連立1次方程式の解法の続きで、反復法に属する解法を紹介します。

授業サポートページ: https://researchmap.jp/aterui/compmath2-2018/

2018-10-09

数理科学IIB(第2回)

今回は、まず、整数係数の1変数多項式に対する計算を、剰余環上で効率的に、かつ正確に行うための準備として、多項式の既約因子や公約子のノルムの見積もりに関する定理を紹介しました。それから、剰余環上でのGCD計算の道具の一つとして、Henselの補題(Hensel構成)を紹介し、その証明を行いました。

次回は、Hensel構成を用いた1変数多項式のGCD計算のアルゴリズムを紹介します。

計算機数学II (2018) 第2回:数値計算へのガイド

今回は、実質的な第1回ということで、数値計算ではどのようなことを行うか、といったこと、浮動小数の定義と演算の特徴(特に誤差の話)、数値計算によく使われる数学的知識の確認(テイラー展開と漸近記法)、アルゴリズムの記述の説明を行いました。

次回からは、連立1次方程式の解法を紹介します。

なお、授業のサポートページですが、大学のオープンコースウェアで映像が残ると思われるので、今回はresearchmapに掲載します。researchmapは、日本の研究者のデータベースとSNSを兼ね備えたようなシステムで、どんな研究者がいるか、それぞれの研究者や、研究者のコミュニティがどんなことをやっているかを俯瞰できます。

授業サポートページ: https://researchmap.jp/aterui/compmath2-2018/

2018-10-01

数理科学IIB(第1回)

秋学期の大学院の授業は「数理科学IIB」を担当します。

春学期は、主に、1変数多項式の最大公約子(GCD)、多項式剰余列、部分終結式の理論を扱いました。今学期は、春学期の内容に接続する部分も含みますが、1変数多項式の最大公約子(GCD)計算に関するモジュラー算法、無平方分解、有限体上の1変数多項式の因数分解、整数上の1変数や多変数多項式の因数分解を扱います。

今回はガイダンスということで、次回は、1変数多項式の最大公約子(GCD)計算に関するモジュラー算法の話題から始めたいと思います。

計算機数学II (2018) 第1回:ガイダンス

今日から本年度の秋学期がスタートしました。秋学期、数学類(学部)では「計算機数学II」の授業を担当します。

この授業では、数値計算の初歩を扱います。春学期の「計算機数学I」では、アルゴリズムを伴う構成的な数学への入門を主題にし、対象とする計算は、拡張Euclid互除法を中心にした、代数的な計算を扱いました。これに対して、今回は、理工学で幅広く用いられている数値計算を対象にし、微積分や線形代数の基礎的な知識はあるけれどもプログラミングはあまり経験がないような人に向けた授業にする予定です。

この授業で扱うテーマは以下の予定です。

  • 浮動小数演算、誤差、アルゴリズム
  • 連立1次方程式の解法
  • 代数方程式の解法
  • 関数補間
  • 数値積分
  • 常備分方程式の解法
  • 偏微分方程式の解法

扱う内容のレベルは比較的浅めになると思いますが、初学者向きに、必要な人がより深い専門知識を学ぶための足がかりになるような授業にしたいと思います。

あと、今回、この授業を初めて行うことになり、授業の準備に集中するため、いつもの授業で行っている、授業のビデオ収録と公開は見合わせるつもりでしたが、今回ご縁があり、筑波大学オープンコースウェアに授業の録画を掲載していただくことになりました。録画の掲載が進みましたら、随時お知らせします。

今日の授業はガイダンスで、実際の授業は次回から行います。