2009-04-27

数理科学II(第3回)

今回から多項式の最大公約子 (GCD) の話です。

今日のところは、とりあえずEuclid整域の定義をして、素朴なEuclidの互除法をやり、Euclidの互除法の正当性を示すGCD recursion theoremをやりました。

次回は、連休明けで、拡張Euclidの互除法の話に入ります。

2009-04-22

微積分I演習(第2回)

今日は微積分演習の第2回です。

今日は、主に、集合の和集合や共通部分の演算、数列の単調増加性などの問題を解いてもらいました。こんな感じで授業を進めます、という解説的な感じでもありますが、早速、議論が分け入ったりしていました。

その後、先週提出してもらったレポートを返して解説しました。私の授業では、最初のレポートで「この授業で単位を取るための必要条件、十分条件は?」という問題を出します。必要条件、十分条件の意味や、論理的な判断がどのくらいわかっているかをチェックするのですが、今年は、さすがは数学類か、普段の年より全体的に出来がよかったと思います。

今日は前半の演習で時間がかかったので、授業はここで終わりましたが、次回も学生達の答案に期待したいところです。

なお、次回の授業ですが、来週4月29日は昭和の日、再来週5月6日は振替休日で休みで、再来週5月8日(金)が水曜日の振替授業日となります。

2009-04-20

数理科学II(第2回)

今日は、前回の続きで、数式処理システムへの数の実装から始め、多項式演算に入りました。

多項式演算では、擬除算、一意分解整域 (UFD)、原始多項式を説明しました。

今日はここまでです。次回は(拡張)Euclidの互除法から、ようやく最大公約子 (GCD) の話になると思います。

2009-04-17

数学特別講義I:くらしの中のコンピュータと数学

今日は、自然系4学類(数学、物理、化学、地球。旧自然学類の各専攻に対応する学類)の1年生向けに開講されている「数学特別講義I」にて、講義を行いました。

内容は、毎日テレビなどで見ている「天気予報」と、インターネットを安全に使うのに欠かせない「暗号」を取り上げ、それぞれの分野でどのようにコンピュータが活躍し、数学が活躍しているか、を、高校程度までの予備知識(対象が大学1年生ですからね)で雰囲気をつかめるようにまとめたものです。

一応、シラバスの内容も引用しましょう。

数学特別講義Ⅰ(筑波大学 理工学群 数学類)
http://descartes.math.tsukuba.ac.jp/syllabus/syllabus21/detail.php?major=1&no=2

授業概要
数学類の教育を担当する数学系に所属する教員は,その研究分野によって大きく4つのグループ(代数・解析・幾何・情報)に分かれて研究・教育活動を行っている.各分野から2・3名ずつの教員が交代で1時間ずつ講演し,それぞれの分野の興味深い話題をわかりやすく紹介する.

予備知識
数学・物理・化学・地球(自然系学類)の1年次学生の受講を想定し, 高校までに学ぶ数学のみを予備知識として仮定する.ただし,自然系学類2・3・4年次学生も受講できる

第2回「くらしの中のコンピュータと数学」
日時:4月17日(金曜日)、5時限
場所:1D201教室
講師:照井 章(数理物質科学研究科数学専攻・助教)(専門:情報・計算機数学)
概要: 現在、コンピュータは、日々のくらしに役立つ様々な情報を提供し、日々緊密化し続ける情報通信のための様々な技術に使われています。そして、コンピュータを活用するための数学の理論や手法も進歩し続けています。
本講演では、くらしに役立てられている情報から「気象予報」、情報通信技術から「暗号」を取り上げ、気象予報をコンピュータで行うための「微分方程式の数値解法」と、よく使われる暗号の一つである「RSA暗号」について解説します。

このような入門の講義は初めてでしたので、題材を選び、時間内に収まるようにまとめるのには苦労しました。3月までは学科のネットワークなどの仕事もあり、2週間の突貫工事でした。おまけに、前日、講義室に行ってパソコンの接続のテストを行ったのですが、うまく映らず、数時間格闘の末、結局自分の作業ミスが原因だったことがわかり、脱力しましたが、まぁそんな甲斐あってか、自分では満足のいく話ができたと思います。(それにしても、2週間で70枚のスライドも、やれば出来るんですね。できればもう避けたいところですが^^;)

で、こんな感じの話でしたということで、スライドを掲載します(図面の引用を快諾下さった気象庁に感謝します)。あと、講義のビデオも撮りましたので、そのうち公開すべく、編集作業中です。お楽しみに!

数学特別講義I:くらしの中のコンピュータと数学(2009年4月17日)

2009-04-15

微積分I演習(第1回)

今日から、学類の微積分演習も始まりました。今年度は、数学類のクラスを1年にわたって担当します。

初回ということもあってか、ガイダンスが終わり、レポートを解く時間になっても最初は静かでしたが、だんだん学生間の議論が聞こえるようになりました。

ところで、今回、ちょっと年配かな?という人が1人おり、話を聞いたところ、科目等履修生で、高校を卒業して40年以上経つんだけれども、数学を勉強しに来た、という方でした。自分の親くらいの年代の方で、これから学ぼうという意欲はすごいと思います。

数学は、やる人次第で、いつでも学べるし、いつからでも学べるものだと思いますが、このことをあらためて実感しました。学生にもよい刺激になるでしょうし、これから1年間、お互いにいろいろなことを学び合えるような授業にしていきたいと思います。

2009-04-13

数理科学II(第1回)

月曜の大学院の授業は今日からです。

今年度から、大学院の講義を担当することになりました。科目名は「数理科学II」といって、数学専攻の5分野(代数学、解析学、幾何学、情報数学、数理科学)のうち、数理科学分野の科目です。内容は、計算代数(数式処理)の話題です(詳細は下記)。

さて、受講生が何人集まるか、期待と不安を胸に教室に入っていきましたところ、集まったのは6人でした。まぁ人数が少ない方が気楽かもしれません。

今日のところは、授業のガイダンス、計算代数の紹介(数値計算との比較)、フリーの数式処理システムの紹介(REDUCEとMaxima)、数式処理システムにおける数の実装、まで行く予定でしたが、数の実装に入る手前で時間になりました。

なお、この授業のシラバスは、以下のページにあります。(リンク先が消えてしまうかもしれないので、主な内容も引用します。)

数学専攻 数理科学 II(筑波大学数理物質科学研究科)
http://www.pas.tsukuba.ac.jp/syllabus/display.php?major=1&NO=22

授業概要
計算代数の基礎的理論である、多項式環上の最大公約子(GCD)、因数分解、グレブナー基底の理論と、数式‐数値融合計算の話題について講義する。

キーワード
数式処理、計算代数、最大公約子、多項式剰余列、部分終結式、因数分解、Hensel構成、グレブナー基底、数式‐数値融合計算

授業計画

  1. 基本的事項
  2. 多項式の最大公約子(GCD)
  3. 多項式の因数分解
  4. 多項式環上のグレブナー基底の理論
  5. グレブナー基底の応用
  6. 数式‐数値融合計算の話題から