2016-02-22

数学で世界に挑む(花巻市立若葉小学校 総合学習)

このたび、母校の小学校で講演を行いました。母校は今年創立50周年を迎え、これから秋にかけて記念行事が続きますが、その一環として、卒業を控えた6年生を対象にした総合学習の講演の一つとして行ったものです。今回、小学校のPTA会長で、小学校と中学校のときの同級生の伊藤達也さんのお招きで講演を行いました。

講演のタイトルは「数学で世界に挑む」というもので、私が専門にしている数学の話を中心に、前半では「世界に挑む」テーマの紹介、後半では「数学」の世界の紹介を行いました。

講演の前半の「世界に挑む」テーマでは、私が今年度、大学院生とともに参加した人工知能プロジェクト「ロボットは東大に入れるか」の紹介を行い、プロジェクトの概要や、筑波チームの学生達の貢献、今後の課題などについて説明しました。

学生達の活躍の説明では、東ロボ君の活躍に貢献した学生がゲーム好きであること、しかし、彼を見ていて感心したこととして、ゲームに熱中するのと同じくらい数学やプログラミングにも熱中していたことを挙げ、生徒の皆さんにも、ゲームと同じくらい熱中できる何かを見つけてほしいことと、何かを自分で作ることに熱中できたら幸せ、ということを話しました。

模試の世界史の記述式の問題においては、現在の東ロボ君は教科書から関連のある文章を集めて組み立てているレベルで、答案の作文としてはまだ改善の余地があるそうですが、それでも、受験生の平均点は上回ったのだそうです。今回はこの事実に触れ、自分の頭で考えることが大切、ということを指摘しました。

講演の後半では、「数学」の世界の一例として「あみだくじ」を作る話題に触れました。「あみだくじ」は過去にも高校の講演で取り上げていますが、小学生相手の講演は初めてです。今回は、数学の理論は抜きにして、あみだくじをつくる手順を中心に説明しました。最初に、スタートとゴールを指定した上で、あみだくじを各自の手順で作ってもらいましたが、5分の制限時間で多くの生 徒さん達が正しいあみだくじを作ったことに驚きました。それから、あみだくじの作り方の手順を説明して作ってもらいましたが、生徒の皆さんはよく理解しているようで、全員が無事あみだくじを完成させたようでした。

最後に、私からのメッセージとして、広い視野を持ち、自分が夢中になれることを見つけてくださいということを述べ、講演を終えました。

今回、私を講演に呼んでくださった伊藤君は、地元の金属機械工作メーカーの社長さんとして生産と技術開発に取り組む一方、地元の産業を活性化させるべく、地元の若手経営者を率いて精力的に活動されています。今回は、将来を担う地元の後輩達のためにということでこのような話をさせていただき、大変嬉しく思います。これから中学校に進学し、未来にはばたく皆さんの活躍を願っております。

2016-02-05

微積分II(第14回)

今回はこの授業の最終回でしたが、重積分の変数変換の例題で、前回の授業で紹介しきれなかったものとして、極形式で表される曲線が囲む部分の面積の計算を取り上げました。その後、広義積分の例題として、積分領域が非有界の例と、与えられた積分領域で非積分関数が非有界の例を取り上げました。

以上で秋学期の授業時間が終わりましたが、曲面積の計算は残してしまいました。授業全体では基本的な計算を中心に解説したつもりですが、各自必要に応じて役立てていただければと思いますし、今後微積分を使わない人にも、数学の理論の組み立てや応用の一面を知っていただければと思います。今後の皆さんのご活躍をお祈りします。

授業サポートページ:https://www.math.tsukuba.ac.jp/~terui/calculus2-2015