2012-11-16

数学特別講義I (2010) オープンコースウェア (OCW) を公開

おととしの授業ですが、私が世話人を務めた「数学特別講義I」のオープンコースウェア (OCW) が公開されました。

「数学特別講義I」は、学類が現在の形に再編される前、旧自然学類の1年生を主な対象として、数学の魅力や実社会とのかかわりなどを、1学期のオムニバス形式(10人程度の教員が週替わりでそれぞれが持ってきたテーマで話をする形式)で行う講義でした。2007年の学類再編後は、旧自然学類に対応する、数学・物理・化学・地球の各学類の1年生を主な対象として開講されてきました。

3年前の2009年度に、私が担当になった時に、授業資料や授業録画の公開を企画し、世話人の先生や他の講師の先生方の協力も得て、この授業科目としては初めて OCW で教材を公開したのに続き、2010年度には、科目世話人を仰せつかり、講師の人選や依頼、スケジュールの取りまとめなどを行いました。その後、OCW の編集がずっと滞ってしまいましたが、今回、ようやく公開に至りました。

来年度からの2学期制移行に伴うカリキュラムの変更により、数学特別講義Iの授業は消えます。もともと、この授業科目ができた背景には、自然学類だった当時は、学生が数学・物理・化学・地球科学の各専攻を選ぶのが入学後の2年生になるとき(私が学生だった時代は3年生になるとき)でしたから、数学の魅力をアピールして、数学専攻に進む学生を増やそう、という意図もあったと思います。この点については、学類再編により、意義が薄れてしまったとも思えますので、授業がなくなるのはやむを得ない点もあるかもしれません。 一方で、数学の魅力を授業として専門内外の学生に宣伝する機会としては、総合科目が引き続き開講されると思いますので、こちらがその役割を果たしていくと思います。

最後に、この授業でご協力下さった先生方に感謝いたします。アクセス先は以下の場所です。

FB11651 - 数学特別講義Ⅰ, 2010
http://ocw.tsukuba.ac.jp/25a0-v-1-65705b66985e/copy3_of_65705b66727952258b1b7fa9i

2012-11-14

微積分II演習(第10回)

今日は、この授業科目の最後の授業でした。内容は、先週の講義で「陰関数定理」を扱ったということでしたので、陰関数の接線と法線を求める問題を出しました。その他、期末試験に代わるレポート課題も出しました。

早いもので2学期の授業はもうおしまいというわけですが、今回のクラスは、学生の皆さんの出席もよく、授業態度もよく、演習問題にも積極的に取り組み、レポートも全員が(「ほぼ」といった修飾語もなく、本当に全員です)欠かさず出し、全体として意欲的に取り組んでくれたことに感謝します。大半の人達は2学期で数学の授業から離れてしまうと思いますが、今後、各自の専門分野で数学が必要になった時に、また教科書やノートをひっくり返して思い出してもらえればと思います。

3学期には「微積分III」で、微積分のより厳密な取り扱いを学びます。私は「微積分III演習」の、化学類と地球学類対象のクラスを担当するので、今回担当したクラスの中で、もし微積分IIIも学ぶ人がいれば、引き続きご一緒することになりますが、3学期はクラスの人数もずっと減るので、板書や討論をまじえた演習の授業に様変わりすると思います。意欲ある人達の挑戦をお待ちししています。

2012-11-12

計算数学の挑戦 — Webページの重要度を定めるPageRankの技術 —

今日は、筑波大学総合科目「数学の美しさと奥深さ」という授業の中で「計算数学の挑戦 — Webページの重要度を定めるPageRankの技術 —」というタイトルで講義を行いました。

筑波大学の授業科目の一つである「総合科目」は、大学の教養的科目の一つで、全学群、学類の必修科目とされています。大学創設以来(少なくとも私が学生だった頃から)存在する科目ですが、最近までに、いくつか制度改革も行われたようで、現在では、各学期完結で1単位を出す授業科目を組み合わせて受講するのが基本になっているようです。

授業は、教養教育推進機構が開設する「筑波大学特別講義〜大学と学問〜」など、全学的な特別の科目のほか、各学類が開設し、3学期合わせて年間150科目程度が開講されます。数学類では、1学期に「数学との出会い」、2学期に「数学の美しさと奥深さ」、3学期に「数学の美しさと面白さ」という科目を開講しています。

今回、私は1回の講義を担当するということで、Web 検索において、検索結果からより重要な web ページをランクづけする「PageRank(ページランク)」と呼ばれる技術と、その背後にある数学の話をしました。

内容は、昨年度、自然系の学類(数学・物理・化学・地球)を対象にした授業「数学特別講義I」で扱った内容とほぼ同じですが、今回は、より幅広い分野の学生が受講しているため、演習問題のうち、授業中にやってもらう簡単な課題以外は、ほとんどを自由課題にして、レポート課題は最小限にとどめています。

それから、この授業科目のタイトルには、数学の「美しさ」という言葉がありますが、数学を用いて現実の問題に立ち向かう際には、しばしば泥臭い解決策が必要な場合があります。もちろん、泥臭いノウハウの後ろには、数学の美しさもあり、両方をうまく使いこなして問題解決に至るケースもいろいろあると思います。そういう意味も込めて、今回の講義は「数学の美しさ+泥臭さと奥深さ」とでも言える話ができたのではないかと思います。

以上が授業に関する話で、以下は余談ですが、今回は、講義資料の配布に合わせて、講義資料の PDF ファイルも公開し、学生に周知しました。その際、もともとは資料共有サービスの Scribd を使う予定でしたが、アップロードされた資料の日本語がうまく表示されなかったので、とりあえず Google Documents で公開しました。

その後、ちょっと調べてみたところ、増井俊之さん言及されているように、 Scribd へのアップロードの際、日本語のフォントを埋め込んだ PDF ファイルをアップロードすれば日本語も問題なく表示されることがわかったので、講義資料については Scribd にアップロードしなおしました。以下に講義資料とスライドを埋め込みで紹介します(クリックでそれぞれダウンロードできます)。

計算数学の挑戦 – Webページの重要度を定めるPageRankの技術 –(2012年11月12日)

計算数学の挑戦 – Webページの重要度を定めるPageRankの技術 –(2012年11月12日)

2012-11-07

微積分II演習(第9回)

今日の授業では、3重積分の計算を扱いました。直交座標の累次積分と、極座標に座標変換する積分の演習問題を出しています。

この授業も、残すところ来週の1回となりました。来週の内容は、講義の進度に合わせてこれから考えますが、履修者の人達にはぜひ最後まで頑張って問題を解いてもらえればと思います。