2012-05-29

微積分I(第6回)

今回は、まず、前回の初等関数の微分で残った Arctan x の導関数の導出を行った後、前半では、ロルの定理を経て平均値の定理の証明を行いました。後半では、平均値の定理の応用として、導関数の正負に対するもとの関数の増減に関する性質を示した後、Taylor の定理の証明を行いました。

次回は、微分の話の締めくくりとして、漸近解析の説明を行い、積分の話に入りたいと思います。この講義もあと4回ですので、なるべく積分の話も十分できるようにしたいと思います。

授業サポートページ:https://www.math.tsukuba.ac.jp/~terui/calculus1-2012

2012-05-28

数学特別講義I (2010) の講義録画を公開

このほど、おととし(2010年)の授業「数学特別講義I」で行った講義のビデオ録画を公開しました。

今回公開した講義の内容は、前年 2009 年の講義と内容はほぼ同じものです。今回公開した 2010 年の録画は、授業直後から編集を行い、動画ファイルの準備を進めていましたが、最終の動画ファイルをエンコードして作る直前になって、編集に使っていたパソコンが故障し、動画を作れなくなってしまいました。

幸い、録画のファイル類に損傷はなく、その年度末にデータを取り出すのに成功しましたが、直後に震災が起きたりして、作業が延び延びになっていました。今年になってから、YouTube のファイルアップロードの時間制限が緩和されたことに気づき、2009年の動画に引き続いて、今回作業を行ったものです。

ついでに、技術面で、編集作業の際に気づいたことですが、最初に編集して作った動画ファイルは、YouTube にアップロードして再生してみたたところ、途中で音声が切れたりして、うまく再生できませんでした。編集過程をよく調べてみると、録画素材(ビデオカメラで記録されたファイル)の音声の入り方が少々奇妙なことに気づきました。5.1チャンネルの音声チャンネルで記録しているのですが、実際に音声が入っているのが3チャンネルだけというものです。そこで、録画素材を読み込む際に、音声は1チャンネルのステレオに変換して読み込み、あとは同様に動画ファイルを作ってアップロードしたところ、今度はうまく再生されました。

そんなわけで「編集の際は音声トラックの構成にも注意」という教訓を得たわけですが、録画とスライドは以下より参照できます。あと、今回の講義の他にも、私が公開している講義の録画類は、YouTube のチャンネル (https://www.youtube.com/user/atelieraterui) で視聴できます。

数学特別講義I: くらしの中のコンピュータと数学(2010年4月16日)

2012年度オープンキャンパスの web ページを公開

去る5月12日に開かれた、数理物質科学研究科オープンキャンパスの web ページを作りました。 http://nc.math.tsukuba.ac.jp/graduate/opencampus/2012/
Web ページでは、当日の要項や写真を載せています。懇談会など、それなりに雰囲気を知っていただければと思います。

ついでに、オープンキャンパスの一般情報のページも更新しました。 http://nc.math.tsukuba.ac.jp/graduate/opencampus/
ここでは、各年のオープンキャンパスの情報もここからたどれるようにしたいと思います。

なお、筑波大学 数学域/大学院数理物質科学研究科 数学専攻/理工学群 数学類の公式 web サイト (http://www.math.tsukuba.ac.jp/) は、この4月にリニューアルし、コンテント管理システム NetCommons (http://www.netcommons.org/) で動いています。公式 web サイトは http://www.math.tsukuba.ac.jp/ から http://nc.math.tsukuba.ac.jp/ にリダイレクトされるようになっており、公式 web サイト以外の web ページは、従来通りの URI (アドレス)でアクセスできます(私のホームページ https://www.math.tsukuba.ac.jp/~terui/ もです)。

数理科学II(第6回)

今回は、前回残った無平方分解の計算の説明を行い、引き続いて有限体上の1変数多項式の因数分解の話題に入りました。その中で、今日は、有限体の基本的事項(有限体の定義、標数など)の復習を行いました。

次回は、Fermat の小定理から始めて、今回に引き続き、有限体上の1変数多項式の因数分解の準備を行います。

2012-05-22

微積分I(第5回)

今日は、授業の前半で、まず、無限小に関するランダウの O 記号の説明を行い、関数の組み合わせの微分として、線形結合、積、商の関数の微分、合成関数の微分や、逆関数の微分、高階導関数の説明を行いました。

授業の後半では、主な初等関数の導関数の計算について説明しましたが、 Arctan x の導関数の導出が残りました。

次回は、今日の授業で残ったArctan x の導関数の導出を行った後、平均値の定理を経て、Taylor の定理の周辺まで進みたいと思います。

授業サポートページ:https://www.math.tsukuba.ac.jp/~terui/calculus1-2012

2012-05-21

微積分I:授業アンケート

前回の授業で、授業に関するアンケート調査を行いましたが、その結果を集計しました。

今回は、講義については、主に授業の進め方(板書、話し方、授業の進度の速さ)について尋ねました。演習については、演習の授業を履修しているかという点と、要望事項について尋ねました。その他、自由に記述してもらった回答もあります。

この講義の進め方については、回答を見る限り、おおむね問題はなさそうで、ホッとしていますが、板書の際の色分けなど、よりわかりやすい強調の仕方については、改善の要望もありましたので、工夫したいと思います。あと、自由記述欄で「物理的な意味についてもっと触れてほしい」という要望がありました。講義の準備は毎回ギリギリですが、何とか要望にも応えられるように準備したいと思います。

演習に関する要望では「演習の方が進度が速い」という指摘がありました。これは、毎年そうですが、微積分の講義の最初の方では、それ以降で使う概念や術語の定義が結構な量にのぼり、これらの説明に時間が割かれる一方、演習では、そのちょっと先で、数列や関数の極限や、導関数の計算などの計算練習に時間を割きたいものですから(私も過去に演習の授業を担当した経験上)、1学期の特に前半で、進度の差が生じることが多いと思います。

これについては、講義もなるべく演習のペースに追いつけるよう努力したいと思いますし、私の方では、毎週、講義の進度を演習の担当の先生に連絡し、演習の担当の先生にも、講義より先を行く際は、新しい概念をなるべく丁寧に説明してもらうようお願いしていますので、もし授業を受けていてわからない点がありましたら、積極的に質問してもらいたいと思います。

以上、履修者の皆さんの回答に感謝し、1学期の残りの期間、皆さんにとってよりためになる授業になるよう取り組みたいと思います。

数理科学II(第5回)

今回は、前回の続きで、計算量の話題のうち、1変数多項式の乗算と擬除算の計算量の話題から入りました。今回は、出席者がちょうど2人いたので、実際に黒板の前で計算量解析を説明してもらいました。計算量解析も、自分でやってみるとより理解できるのではないかと思います。

授業の後半では、多項式の因数分解の話題に入りました。今回はまず、最初のステップである「無平方分解」の途中まで進みました。次回は、無平方分解の実際の手順を説明し、先に進みたいと思います。

2012-05-15

微積分I(第4回)

今回は、前半で、連続関数とその性質、初等関数の説明を行いました。連続関数の性質では、一様連続性は今回はスキップしています(積分の時に説明する予定です)。後半では微分の定義を行い、微分可能性に関する説明を行いました。

次回は、ランダウのO記号の説明を行い、初等関数の微分まで行ければと思います。

それから、今日は授業アンケートを実施しました。アンケートの集計結果についてはあらためて書きたいと思います。

授業サポートページ:https://www.math.tsukuba.ac.jp/~terui/calculus1-2012

2012-05-14

数理科学II(第4回)

今回は、前回行った1変数多項式の四則演算のアルゴリズムのうち、残っていた擬除算のアルゴリズムの説明を行いました。

次に、計算量に関する説明を行い、1変数多項式の加減算の計算量の説明まで行いました。

次回は、1変数多項式の乗除算の計算量の説明を行います。基本的事項はこれで終わりで、引き続いて多項式の因数分解の話に入りたいと思います。

2012-05-12

数理物質科学研究科 オープンキャンパス

筑波大学 大学院数理物質科学研究科のオープンキャンパスが行われました。

今日は、まず、午前中に、研究科全体での説明が行われた後、午後には、各専攻での説明会が行われました。

数学専攻では、午後1時から、自然系学系棟D509セミナー室にて、専攻説明会を行いました。学務委員の田島先生より数学専攻の概要説明の後、代数、幾何、解析、情報数学/数理科学の各分野のスタッフや研究内容の紹介を行いました。今回、私は情報数学/数理科学の紹介を担当し、情報数学/数理科学分野を構成する、数理論理学、数理統計学、計算機数学の各研究グループを紹介しました。

その後、参加者と、数学専攻のおもに大学院生との懇談が行われました。今回の参加者は、事前登録者だけで34人ということで、これは前年度の参加者数に匹敵する数字です。実際には、それを上回る人達が参加されたと思われ、セミナー室が満杯になるほどの盛況ぶりでした。懇談も、多くの人が時間いっぱいまで、在学生の人達らと活発に情報交換を行っている模様でした。

今年度の数学専攻博士前期課程(修士課程)の新入生は33人と過去最大級でしたが、個人的には、来年度もたくさんの人が受験されることを望みます。

大学での数学の学び方のアドバイス (2012)

先月から微積分の講義を始めたわけですが、その第1回の最初の時間のガイダンスの中で、大学で数学を学ぶ上でのアドバイス、というか、コツ、といったような話をしました。

自然系の学類(数学、物理、化学、あと地球もか?)では、毎年、1年次の1学期から2学期の基礎教育の授業に関する授業アンケートを行い、通常ですと、秋に「学生と教員の懇談会」を開きます。この際に、授業アンケートの回答内容を基に、授業改善のための討論を行います。

このとき、学生からは、授業が速過ぎる、もっとわかりやすい授業をしてほしい、大量の板書をノートに書き写すのが大変、といった意見が毎年出ています。一方、それらに対し、教員からは、大学で学ぶ内容はそれ程易しいものではないので、そのつもりで勉強する必要がある、とか、大学では、高校までの学習方法や学習習慣から変化させる必要がある、といった意見や指摘が出ています。

そこで、今回、1年生で最も基礎的かつ重要な授業の一つである「微積分」の講義を受け持った機会ということで、教員の側から先手を打って、学生に対し、高校までの学習習慣や学習方法に対し、大学の授業に合わせた対応の変化を促すための話をしました。具体的な内容は、同時に配布した資料(下記を参照)にありますが、大まかには、大学の単位制度として、1単位とるためにどれだけの時間の勉強が必要とされているかという制度に触れたあとで、大学の、主に数学の授業科目における予習、授業、復習のサイクルの中で具体的にどのようなことを行ったらよいか、その一例を説明しています。

この時の模様は、第1回の授業の録画にも含まれていますが、大学の数学の授業を始める上でのガイダンスの1つとして有効かもと思いましたので、この説明の部分を抜粋してお届けします。この他の授業の録画は、YouTube のチャンネルページをご参照いただければ幸いです。

大学での学び方のヒント (2012)

微積分の講義の録画を公開しています

今年度、1学期に「微積分I(物理学類対象)」の講義を担当していますが、毎回の講義の模様を録画し、公開しています。

以前は、数学科の微積分の板書の授業をビデオで録画してインターネットに流しても、大して意味はないんじゃないの、と思っていましたが、いろいろな大学のオープン・コースウェア (OCW) で微積分や線形代数の授業の録画を載せていることを知り、まぁさらに1つ同じような授業を載せても無駄かもしれないけど、悪いことではないだろう、と思うようになりました。

まっとうな理由はそれ程あるわけではありませんが、数学域で録画や中継の用途に業務用ビデオ機材一式を提案して入れていただいたこともあり、なるべく元をとるように使った方がよさそうな気がしたり、実際に講義のビデオ録画を継続的に公開するために必要なコスト(設備、費用、労力)をためしに調べてみよう、という気持ちもあります。

一方で、教員になってそれなりに時間も経ち、誰かに「叱ってもらう」機会が減ったと感じ、自分の仕事に謙虚な姿勢で臨むことを忘れないために、自分が行っている授業を見ていただいてご批判をいただく、といったような機会にもなるのではないかと思いました。履修者の人達に対しては、どのような効果があるか、あまり見当はついていませんが、逆に、私が予想しないような録画の活用方法などを提案してくれればおもしろいのではないかと思います。

録画は YouTube のチャンネルページにて公開しており、録画も含めた授業全般の情報は授業のサポートページに掲載しています。
YouTube チャンネルページ:http://www.youtube.com/user/atelieraterui
授業サポートページ:https://www.math.tsukuba.ac.jp/~terui/calculus1-2012

2012-05-08

微積分I(第3回)

今日は、授業の出席をとってみることにしました。現在のところ、出席状況を授業の成績に反映させるかどうかは決めていませんが、決めたら連絡します。連休明けの授業ですが、ほとんどの人が出席していたようです。

今日の授業では、前回残ってしまった連続性公理の説明を終えました。引き続いて、数列の収束と発散、関数、関数の収束と発散について説明しました。数列や関数の収束と発散については、時間の都合で ε-N 論法や ε-δ 論法による収束や発散の定義を省略せざるを得ませんでした。これらは3学期の「微積分III」にて扱いますが、講義ノートの方にはこれらの定義と解説も記載していますので、参考にしてもらえればと思います。

今回の講義から、講義ノートの内容のうち、授業で実際に講義した部分については、ノートの左端にオレンジ色の線を入れました。講義ノートの内容は「本来私が講義したい」内容ですが、残念ながらその全部を実際に講義する時間はないので、各自、講義ノートを参照の上、必要に応じて内容を補ってほしいと思います。講義ノートの入手方法は、いつも通り「授業サポートページ」から PDF ファイルでダウンロードできます。

次回は、連続関数、初等関数について説明した後、微分の定義に入る予定です。

授業サポートページ:https://www.math.tsukuba.ac.jp/~terui/calculus1-2012

2012-05-07

数理科学II(第3回)

今日は連休明けの授業で、最初人が揃わなくてちょっと様子見モードになりましたが、間もなくほとんどの人が揃ったので授業を始めました。

今日は、前回に引き続き、アルゴリズムの記法について一通り説明した後で、1変数多項式の四則演算をアルゴリズムの形で書き下して説明しました。最後の「擬除算」が残ったので、これは次回になりますが、各自考えてもらえればと思います。