2012-10-31

微積分II演習(第8回)

今日の授業では、広義積分の問題を扱いました。「積分領域が有界でない場合」と「被積分関数が積分領域で有界でない場合」の二通りの例題を説明しました。

早いものでこの授業も残すところあと2回です。次回の内容は、講義の予定をもとに検討したいと思いますが、履修者の皆さんには、残り2回、頑張ってもらいたいと思います。

2012-10-24

微積分II演習(第7回)

今日の授業では、重積分の変数変換について、極座標の場合と、一般の変数変換の場合に分けて取り上げました。 今日の演習問題は計算がやや面倒かもしれませんが、履修者の人達の健闘に期待します。

次回は広義積分の話題を中心に取り上げる予定です。

2012-10-19

卒業予備研究募集開始

このたび、来る3学期から始まる「卒業予備研究」と、それに引き続く「卒業研究」を担当することになりました。

筑波大学数学類の卒業研究は、数年前から、毎年、全教員の中から「卒業研究を担当する教員」を決め、学生はその中から自分がつく教員を選ぶ制度になっています。卒業研究を担当する教員は、代数・解析・幾何の分野からは各分野4人ずつ、情報数学分野からは6人(数理論理学、数理統計学、計算機数学から各2人)の合計18人が担当します。あと、分野によっては、これらの教員(主担当教員)を補助する教員(副担当教員)がつく場合があるので、実際の担当教員は18人より若干多い数になります。

数学類で、卒業研究に関わる授業科目は、3年次3学期の「卒業予備研究」と、4年次通年の「卒業研究」に分かれています。通常は、卒業予備研究と卒業研究を、同じ先生のもとで履修することになりますので、自分の興味に合った先生(研究室)を選ぶことが重要になります。

さて、私が担当する卒業研究ですが、初めて担当するもので、今回はテーマを絞り、計算代数(数式処理)のアルゴリズムにしました。計算代数は、Mathematica のような数式処理システムの根幹をなす理論で、計算機で数式を扱う「数式処理」の中でも、多項式などの代数的な計算を中心に扱います。卒業研究の中で学ぶ理論の選択肢として、多項式の最大公約式 (GCD)、因数分解、グレブナー基底、多項式の高速算法を用意しました。

そして、今回の卒業研究では、学んだアルゴリズムを計算機上で動かすことも目標に入れています。そのために、プログラミング言語の基礎も学ぶことにしました。数学類のカリキュラムでは、プログラミング言語を学ぶ機会がありませんので、学生と選んだプログラミング言語を基礎から学びます。今回は Java を選びました。Java を選んだのは、ソフトウェア業界でも広く使われているプログラミング言語に触れること、現在一般的に広まっているオブジェクト指向の基本に触れること、実装は、とりあえず動かすことを目標にし、効率の追求は他の機会に譲ること、などの理由によるものです。

さらに、今回は、フリーソフトウェアと、研究・開発でよく使われる計算機環境を体験するために、Linux を自分達でインストールして、開発環境を整えるという計画も入れました。ついでに、卒業論文を書くために TeX (LaTeX) を、プレゼンテーションを作るのには LaTeX 上の beamer パッケージを使うことを予定しています。

こういったプランをいろいろ考えて練った結果、卒業研究のシラバスを作ったら、20ページの冊子になりました。3年生に配るシラバスはA4、1ページとなっていますので、配布資料に、より詳しい冊子のアドレス (URI) を掲載して、読んでもらうことにしました。

計画の段階でかなりボリューム感がありますが、実際には、学生さん達の希望や興味や進度に合わせて、じっくり取り組めればと思います。

最後に、学生に配布したシラバスと、詳しい案内書のリンク先を載せておきます。なお、配属までのスケジュールですが、11月上旬まで研究室訪問や希望調査を行い、その後の調整を経て、11月下旬に配属先が決定されるようです。

2012-10-17

微積分II演習(第6回)

今日は、重積分の話題に入りました。手始めに、累次積分の手順を復習し、累次積分の計算と、積分順序の交換に関する演習問題をレポート課題として出しました。

レポート課題の締切はいつも通り来週の授業時です。来週は、重積分における変数変換などを取り上げる予定です。

2012-10-10

微積分II演習(第5回)

今日の授業では、偏微分の最後の話題として、2変数関数の極値の判定を扱いました。

今日は、当初、2次関数の特徴づけから極値判定の説明を解説する予定でしたが、学生さんの講義ノートを見せてもらったところ、予定していた内容がすでにきちんと説明されていたようだったので、その部分は省略し、実際の問題の解き方と答案の書き方を説明しました。

今回で2学期の授業も折り返し地点に到達しましたが、次回からは重積分を扱う予定です。

2012-10-03

微積分II演習(第4回)

今日は、合成関数の微分と Taylor 展開の問題を扱いました。

前回のレポートの答案で、sin(x)/x の極限値が 1 になることを用いている人が何人かいましたが、残念ながらそれらの解答には誤りがありました。それは、x の値の近づけ方が適切ではなかった点です。本来、sin(x)/x が 1 に近づくのは、x が 0 に近づくときですが、今回の用いられ方では、x が無限大に発散しており、この状況下では、sin(x)/x は 0 に収束することは明らかです。こういった極限値の扱いにも注意してほしいと思います。

講義の方は、昨日の講義で、重積分に入ったとのことですが、来週は学園祭の都合で火曜日の講義は休講になりますので、演習の進度は、来週の授業で追いつくことができると思います。学園祭でいろいろ忙しい人もいるかと思いますが、ご健闘をお祈りします。