2012-10-19

卒業予備研究募集開始

このたび、来る3学期から始まる「卒業予備研究」と、それに引き続く「卒業研究」を担当することになりました。

筑波大学数学類の卒業研究は、数年前から、毎年、全教員の中から「卒業研究を担当する教員」を決め、学生はその中から自分がつく教員を選ぶ制度になっています。卒業研究を担当する教員は、代数・解析・幾何の分野からは各分野4人ずつ、情報数学分野からは6人(数理論理学、数理統計学、計算機数学から各2人)の合計18人が担当します。あと、分野によっては、これらの教員(主担当教員)を補助する教員(副担当教員)がつく場合があるので、実際の担当教員は18人より若干多い数になります。

数学類で、卒業研究に関わる授業科目は、3年次3学期の「卒業予備研究」と、4年次通年の「卒業研究」に分かれています。通常は、卒業予備研究と卒業研究を、同じ先生のもとで履修することになりますので、自分の興味に合った先生(研究室)を選ぶことが重要になります。

さて、私が担当する卒業研究ですが、初めて担当するもので、今回はテーマを絞り、計算代数(数式処理)のアルゴリズムにしました。計算代数は、Mathematica のような数式処理システムの根幹をなす理論で、計算機で数式を扱う「数式処理」の中でも、多項式などの代数的な計算を中心に扱います。卒業研究の中で学ぶ理論の選択肢として、多項式の最大公約式 (GCD)、因数分解、グレブナー基底、多項式の高速算法を用意しました。

そして、今回の卒業研究では、学んだアルゴリズムを計算機上で動かすことも目標に入れています。そのために、プログラミング言語の基礎も学ぶことにしました。数学類のカリキュラムでは、プログラミング言語を学ぶ機会がありませんので、学生と選んだプログラミング言語を基礎から学びます。今回は Java を選びました。Java を選んだのは、ソフトウェア業界でも広く使われているプログラミング言語に触れること、現在一般的に広まっているオブジェクト指向の基本に触れること、実装は、とりあえず動かすことを目標にし、効率の追求は他の機会に譲ること、などの理由によるものです。

さらに、今回は、フリーソフトウェアと、研究・開発でよく使われる計算機環境を体験するために、Linux を自分達でインストールして、開発環境を整えるという計画も入れました。ついでに、卒業論文を書くために TeX (LaTeX) を、プレゼンテーションを作るのには LaTeX 上の beamer パッケージを使うことを予定しています。

こういったプランをいろいろ考えて練った結果、卒業研究のシラバスを作ったら、20ページの冊子になりました。3年生に配るシラバスはA4、1ページとなっていますので、配布資料に、より詳しい冊子のアドレス (URI) を掲載して、読んでもらうことにしました。

計画の段階でかなりボリューム感がありますが、実際には、学生さん達の希望や興味や進度に合わせて、じっくり取り組めればと思います。

最後に、学生に配布したシラバスと、詳しい案内書のリンク先を載せておきます。なお、配属までのスケジュールですが、11月上旬まで研究室訪問や希望調査を行い、その後の調整を経て、11月下旬に配属先が決定されるようです。

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