2010-11-12

数学特別演習(第8回)

今日の授業では、「ケーニヒスベルクの橋渡り問題」から入り、グラフの辺と頂点の個数に関する性質に続き、グラフの「一筆書き」に関連する「オイラーの定理」をやりました。

今日最初の定理の証明の部分では、テキストに数学的帰納法に関する説明がありました。数学的帰納法は、このクラスの学生さん達のほとんどは高校の数学で習ってきているようでしたので、今日の授業では特に問題ありませんでしたが、テキストではかなり丁寧に説明しており、帰納法に初めて触れる読者に対しても十分配慮している様子がうかがえました。

余談ですが、以前、私がある論文を投稿した時、証明の冒頭に "By mathematical induction. (数学的帰納法で証明する)" と書いていたら、査読者の一人に "What is an induction that is not mathematical? (数学的でない帰納法はどんなんかいな?)" と、辛らつとも思えるコメントを書かれたことがあり、以来、帰納法による証明を書く際には "By the induction. (帰納法で証明する: 「数学的」という言葉を省いた)" と書くようにしています(という話もしました)。

グラフの辺と頂点の個数に関する定理も、オイラーの定理も、証明は、式を計算したりするたぐいのものではなく、論理的に考えるだけで理解可能なもので、学生さんの感想を読むと、その点に感心している人もいました。それにしても、橋渡り問題を数学的にとらえて「グラフ」という抽象的な概念を創り出し、問題を解いたオイラーはやはりすごい人だなということを、再度実感しました。

2学期の授業は今日でおしまいです。残念ながら、全員に発表が回る程の回数がありませんでしたが、発表が回ってこなかった人達には、今学期の復習をレポートで出してもらう予定です。学生さんの感想に「授業の回数を重ねるにしたがって、発表の内容や方法のレベルが上がってきた」という指摘がかなりありました。こういう点で、お互い刺激しあえるのはこの授業の収穫だったのではないかと思います。3学期も、この調子での活発な授業になることを期待しています。

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