Google Developer Day 2011 Tokyo (以下 "GDD" と略します)に参加してきました。これは、Google が開発、運用している、さまざまな技術の紹介、Google の技術を用いた各出展者の製品やサービスの紹介、Google の技術を用いて開発している開発者の交流のイベントです。
私自身は「お気楽開発者」といいますか、普段は主に Google の製品やサービス (Chrome, GMail, Google Apps, ...) を使う方で、たまーに必要に迫られて、Google なんとかの API リファレンスやチュートリアルを見てプログラムを作ったりする程度ですが、Google の技術には関心ありました。
GDD に参加するには、一般参加枠の場合、DevQuiz という問題を解いて、得点でクイズ参加者の上位に入る必要があります。DevQuiz を受けた際の詳細については、以前の私の日記の方にありますが、何とかこれを通過し、参加できることになりました。
以下、イベントに参加した際の記事ですが、いろいろな講演や出展があったので、私が見聞きした分に限る点、お断りいたします。
まず、会場に入って、上の写真のような大きなパネルがあります。GDD 2011 のロゴです。(ロゴの由来については、今回 GDD の運営で大活躍された、Google の山崎富美さんのブログの記事があります。)
会場地図と講演のスケジュール。(今回のアジェンダは GDD のwebページにあります。)
たくさんの人が来て、スタッフに誘導されながら列を作って入場です。
さすが、朝のおやつも完備しています。うちの業界の国際会議とほぼ変わらない雰囲気。
午前中の基調講演が行われるメインホールには、スタッフの誘導に従って入りましたが、たまたま並んだ順番で、中央部まん中の一番いい席になりました。普通なら VIP 席ですよね。コンサートなら S席。開発者は平等に扱われる雰囲気が好感がもてます。
午前中の基調講演は、2時間も何やるんだろう、持つのかなーと思っていましたが、実際に聴いてみると、最後まで飽きない内容でした。内容は、現在 Google が中心的に取り組んでいる技術:Android, HTML 5, クラウド (AppEngine), ソーシャルネットワーク (Google+) の紹介ですから、ニュースを見たりすればそれでも情報を得ることはできますが、よく名前を聞く有名人を直接見られるとか、最新技術のデモを直接見られるとか、そういう点は大いに刺激になります。
講演を聴いていると、Google のもの作りにおける基本姿勢の一つは「技術者を動機づける」という印象を受けました。同様のイノベーションをもたらしている Apple と比べると、「利用者のために」という目的は同じだと思いますが、Apple では、技術(者)はなるべく製品を影で支えるという印象に対し、Google は、技術(者)を前面に出して製品を引っ張るという印象で、両者における技術(者)の露出度(?)の違いが興味深く感じられました。
基調講演が終わるとお昼で、お弁当が出ます。今回は、サンドイッチ、サンドイッチ(ベジタリアン用)、中華弁当、洋風弁当から選べましたが、みなとみらい→中華街という安易な発想で、中華弁当を選びました。崎陽軒のお弁当です。うまかった。
昼食で、若い開発者の人と話をしました。その人の会社では(個別ドメイン用)GMail と Google Apps を統合したサービスを作ったりしているそうですが、3月の震災を機に社内のメールシステムを GMail に移行したりしているうちに、それを商売にするようになったというあたりが興味深かったです。あと、その人のノートパソコンのケースをちらっと見たら布製で、手作り感があったので興味があって尋ねたところ、お祖母さんが作ってくれたのだそうで。なんてすてきなケースなんでしょう!
午後は、1時間ずつ、4つくらいのトラック(同時並行)で講演です。私が聴いたのは、Google+(Google のソーシャルネットワークサービス)と、HTML 5のオフライン技術の話が中心でした。Google+ の API も、基本的な部分は簡単に使える話とか、Google Hangout という、ビデオ会話システムでは、ビデオで会話しながら、参加者が同時にwebアプリでゲーム(以外の用途もありますが)ができるとかという話も興味深く聴きました。HTML 5の話はほとんど知らないことばかりだったので、ためになりました。
講演会場は、最前列から3列くらいには、椅子の下に電源があり、重宝しました。あと、各講演会場の入口に、Chrome のロゴをかたどった飴が配られていて、これがなかなかおいしかったのですが、よく見ると、製造元が「金太郎飴本店」とあって、正真正銘の金太郎飴であることがわかりました。
講演会場の外では、さまざまな出展が行われており、にぎわっていました。NTT ドコモのブースでは、これから発売される GALAXY NEXUS (Android 4.0 "Ice Cream Sandwich" を初めて 搭載したスマートフォン)が、発売に先駆けて実機が展示されていました。が、その脇には手書きで「撮映はご遠慮下さい」(太字は筆者)との掲示が・・・。よっぽどこの掲示を撮映したかったですけどね。
Google Technology Users Group (略称 GTUG; ジータグ)による GTUG Lounge には、Google TV や、日本でまだ出ていない Chromebook(Chrome OSで動く、webアプリのみを使うノートパソコン)の展示がありました。
こちらが Chromebook。サムスン製です。ログインすると、Chrome が全画面で立ち上がるのみで、たしかにこれだとwebかwebアプリで仕事をするしか選択肢なし。結構薄め、軽めで、Chrome の動作もサクサクしています(ただし動画の再生などはやっていませんが)。会場内でも、Google の人が Chromebook とおぼしき機材を持ち歩いているのも見かけました。
さて、夕方6時になる頃には、ほとんどのトラックでセッションが終わり(いくつか続いているトラックもありましたが)、メインホールに移動して Ignite セッションが始まるのを待ちます。ロビーではちゃんと(?)アルコールが用意されており、私はもう少しで帰りに駅から自宅まで車を運転しなければならないことを忘れそうになりました(笑)。
オープニングは、Team Lab. による "Google Fes!" というもので、 何が始まるんだろーと思ったら、みんなでこのオープニングのための特設 web サイトに、Chrome か Android の web ブラウザで接続すると、画面のように1人1人に楽器が割り当てられます(私の楽器は「マラカス」です)。これは、マウスをクリックするか、"G" キーを押すかすると、 自分のマシンでは音が出ます。同時に、サーバ側からステージの画面に投影される絵が、参加者の入力に応じて動くというもので、音楽に合わせてみんなで楽器を叩いて(?)セッション、というものでした。この音を出す機構が HTML 5 の技術だったり、ホストとなるサーバは Google App Engine だそうですが、サーバ1台で数百人の接続を余裕でさばいたり、といった技術解説つきの、Google ならではのセッションでした。
Ignite と、このセッションの詳細については Google の blog にありますが、1人持ち時間5分、スライドは15秒感覚で自動的に切り替わるというプレゼンテーションです。私はこれまでこういう形式のプレゼンの経験があまりなかったので、興味がありましたが、よく考えてみると、自分のいる業界では、日本数学会の春と秋の学会は、これに近いものかもしれません(1人持ち時間が10分前後、短い人は5分など)。あと、学部の卒業研究発表会も、1人 の持ち時間が質疑応答入れて7分、とかだったりするので、案外、自分が未経験なだけで、こういう形式のプレゼンは身の周りにもありそうなことに気づきました。
Ignite 中盤には、Google ダンス部によるパフォーマンスというのがありました。出し物の中身はそれまで知りませんでしたが、後で調べてみたら、元格闘家の須藤元気さんが率いるダンスパフォーマンスユニット「WORLD ORDER」が、今年、 Microsoft が主催するイベント "WPC 2011" に出演した際のパフォーマンスの再現だったようです。なかなかの力作に拍手喝采でした。ついでに、今回のユニット名が "GDD48"。
Ignite の後半では、一好俊也さんの「死海文書オンラインコレクション」でかかったスライドが、どう見ても、トップバッターの久川真吾さんのものという事故が。セッションは一旦中断され、重田崇嗣さんの「Future API Client」が先に行われた後も復旧せず、Ignite の司会だった GTUG の安生さんと Google の北村英志さんによる漫才・・・ではなくて、今回の GDD の舞台裏などのトークショーが急きょ行われました。
その流れで質疑応答が始まって、客席から「停電などでも Google のサービスが止まらないためにどのような対策を行っているのか」という質問があり、Google の松尾貴史さんが登壇して「short answer は・・・『企業秘密』です」、「long answer は・・・そうならないよう、Google の技術者達は日夜努力しています。決してダンスばかりやっているわけではありません」(以上、私による要約)という回答。発言のたびに客席が湧いていました。そのうち、一好さんのプレゼンも復旧し、死海文書の興味深いお話。
最後は、Google DevQuiz チームによる、DevQuizの解説。特に「チャレンジクイズ」に関心が集まりました。こんな情報がもたらされました。
- スライドパズルの問題は、最初ランダムウォークで 20000 問生成して、それから 出題する 5000 問を選んだこと。
- 手数の上限値については、5000 問のうち 4000 問は実際に解いて最適解を出し、残りの 1000 問は、問題を作ったときのランダムウォークの手数をそのまま計上したので、それらについては冗長な分があること。
- Google 社内で「チャレンジクイズ」を全問解いた人はいなかったこと(=満点をとった人達はやはりすごい)。
- DevQuiz を始めた当初は、合格のボーダーラインを 100 点(= チャレンジクイズの手前まで)に想定していたが、クイズが進むと、意外に多くの人達がチャレンジクイズで点を取り始めて(参加者の得点分布は、毎日更新され、参加者に公開されていました)ボーダーラインの設定を再検討したこと。
おしまいは、Google の山崎富美さんの司会でクロージングが行われ、ボランティアスタッフや講演者の人達が登壇して、記念写真の撮影で幕を閉じました。
以上が、イベントの流れですが、 いろいろグッズももらったので、紹介しましょう。
まず、GDD というと、2009 年の GDD で、Android けーたいを参加者にサプライズで配布したのは大きな話題となり、それ以降、毎年この手の「おみやげ」が一部で期待されているようですが、残念ながら今年もそのようなものはありませんでした。Google からメールで参加証が送られた際にも
本イベントでは、高額なプレゼントをご用意しておりませんので、予めご了承ください。と但し書きがありましたので。
ただ、 デバイス関係では「Android 端末用のゲーム用コントローラ」が配布されました。SDK も無料で提供されているようです。このコントローラは Bluetooth 接続で、Mac につないで Keynote のプレゼンの操作もできた、という話が、早くも参加者の方からあったみたいです。
それから、この手のイベントですと、まずTシャツですか。今回のTシャツはこんな感じでした。
背中の方には、今年の開催都市が一通り載っており、その中で「東京」がハイライトされています。
次に、入場の際に配布されたパンフレット&地図。
八つに折りたたむと、同じく会場で配布されたカードホルダにちょうどよく収まり、しかも "Google Developer Day 2011" のタイトルが、ちょうどネームタグの上に現われます。
一方、ネームタグの方は、Google Developer Link というサービスを使って印刷したものです。オンラインで必要事項を入力し、自分で印刷するか、セブンイレブンのネットプリントで印刷もできるという、おもしろいプロジェクトです。なお、このサービスは今後も続ける予定の旨、Ignite の際にアナウンスがありました。
今回、ピンバッジがたくさん手に入りました。こちらの記事にもありますが、これは、本来、Android, HTML 5, Google+ の各カテゴリーでそれぞれ5つ、合計15種類用意されたものです。参加者には1種類のバッジが10個ずつ配られ、他の人とバッジを交換して、2つのカテゴリーのすべて、合計10個のバッジを集めると、ごほうびがもらえるというものでした。
私は、Android の Ice Cream Sandwich(茶色のドロイド君)を手にして、Android と Google+ を集めようとしましたが、残念ながら10個揃えるに至りませんでした。所々レアものがあるようで、うわさによると、Google+ では赤のバッジがレアだったようです。
その他、Google+ の +1 ボタンをかたどったシールや、Google のホームページのロゴがパックマンになったときのパックマンロゴのステッカーも配られました。
・・・とまあ「お前はグッズもらいに行ったのか?」と言われそうですね。まぁ一部はそうですが(笑)、何よりももらえたのは、何かを作ろうというモティベーションだったと思います。どのイベントも非常に楽しめましたし、自分も何か作ってみようかな、何ができるか探してみようかな、という気になってきました。こういったわくわく感を、普段の仕事場でも忘れず、なるべく生産的な仕事ができるようにがんばろうかな、と思います。今回の GDD の準備、運営、講演をされた方々や、参加者として交流できた方々に感謝いたします。
あと、このレビューを最後までお読み下さった方、ありがとうございました。楽しいイベントですし、DevQuiz はちょっと、というか、結構手応えありますが、開発好きな方ならチャレンジして損はないと思いますので、これを読んで興味をお持ちになった方には、ぜひ次回の GDD でお目にかかるのを楽しみにしています。
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