2011-10-28

数学特別演習(第4回)

今日は、オイラーの業績として、指数関数と対数関数のべき級数展開を求める話を中心に議論しました。

オイラーは、著書「無限解析入門」の中で、指数関数と対数関数のべき級数展開を扱いました。この本では、内容を初等的にするため、微積分を使わずにこれらの計算を行ったとのことですが、計算の鍵を握っているのは、ニュートンによる (1+x)rの2項展開で、指数関数や対数関数の式を巧みな操作でこの形に持ち込んで展開を行っています。そして、非常に巧妙なやり方で、指数関数と対数関数のべき級数展開を得ていました。

オイラーによるべき級数展開の導出で印象的な点の一つに、「無限」の扱いで、たとえば、整数 j に対し、 j/(j-1) という有理式において、 j が無限に大きくなる時にはこの式は 1 に限りなく近づくとして、1とおいて計算を進めたりする点があります。もちろん、これを厳密に確かめるは、19世紀以降の微積分の発展を待たなければなりませんが、オイラーのこの大胆さに爽快感を覚えるとともに、この直感的な操作も本質的には正しい方向に計算を導くことに、オイラーの発想の非凡さを感じます。

次回は、今回の内容に関連する話題として、調和級数の発散と「オイラー定数 γ」の話に入る予定です。

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