2013-06-05

数理科学IIA(第9回)

今回から、多項式剰余列を計算する際の係数膨張を防ぐための方法に関する話題に入りました。

多項式剰余列を計算する場合、擬除算などを用いると、計算される多項式剰余の係数がどんどん大きくなることがあります。ところが、これらの係数には共通な因子があり、しかもそれらは、多項式剰余の定義に応じてある規則に従って増えていきます。この規則を調べることにより、わざわざ係数の GCD を計算しなくても、共通な因子を計算して多項式から取り除くことができます。この規則を知る手がかりになるのが「部分終結式の理論」です。

今回はまず、多項式剰余列を計算する際に起きる係数膨張の例を、数式処理システム Mathematica で実際に多項式剰余列を計算しながら説明しました。後半では、今後の準備として「終結式」や「判別式」の定義を説明しました。

次回からは、擬除算や多項式剰余列の計算の際の係数膨張の様子を例題を通して見つつ、部分終結式の導入につなげたいと思います。

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