2011-05-20

数学特別講義I(第5回):方程式の解法と群

今日の授業は、天野勝利先生による「方程式の解法と群」でした。

この授業で扱われる「方程式」は、1変数の代数方程式と呼ばれるもの、すなわち、中学で習うような2次方程式を一般化したものを指します。2次方程式の解の公式は、現在、中学で習うようなものですが、3次、4次の方程式の解法の研究が、ルネサンス期のイタリアで盛んに行われたことの歴史的な説明から入りました。当時は、数学の実力を示す手段として「公開試合」で互いに問題を出し合って競った、というのもおもしろい話でした。

その後、ラグランジュが、これらの解の公式を解の「置換」の立場から研究することにより、アーベルによって証明された「5次以上の代数方程式に対する一般的な解の公式は存在しない」という定理へとつながっていくストーリーが話されました。私自身、イタリアの3次方程式や4次方程式の解の公式の時代と、アーベルやガロアによって「群」の概念が登場する時代の間の過程をよく知らなかったので、ラグランジュによる解の「置換」の研究というのは興味深いテーマでしたし、ラグランジュ自身についても、彼の解析学の業績はよく耳にしますが、代数学でも重要な仕事をしていたというのも、興味深い話でした。

この授業も、全10回のうち、今回が5回目で、ちょうど折り返し地点です。後半、どんな話が出てくるか、楽しみにしたいと思います。

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