2010-06-04

数学特別講義I(第8回)

今日の授業は、坂井公先生による「情報量と符号」でした。

授業では、主に数理パズルの問題を解きながら、パズルに登場する「情報量」の概念について、説明されました。最初の例題は次のようなものです。

金貨が7枚ある。見た目では分からないが、そのうち1枚は贋物(にせもの)であり、他のものよりわずかに軽い。その贋物を、天秤を2回だけ使って判別せよ。
この問題は、金貨の枚数が9枚までなら天秤を2回使って同様に判定可能ですが、金貨が10枚になると、天秤2回の使用では、贋物の判定が不可能であることが示されます。情報量は、その理論的根拠を与える手がかりになるものです。

授業では、この問題に始まって、与えられた金貨から贋金を探す問題や、与えられたボールの重さの大小を判定する問題など、何問かの問題がレポート課題になりました。問題自体を理解するのは易しいですが、いざ答えを考えるとなると、頭をひねりそうです。(私はというと、今、原稿の締切を控えているので、締切が終わってから考えましょうか・・・)

それに引き続く数理パズルの問題は、トランプのカードを観客に何枚か選んでもらい、その中からアシスタントが引いたカードを、残ったカードを見て当てる手品や、先にやった贋金判定の問題の拡張で「天秤が1回だけ嘘をつく」状況下で贋金を識別する問題が挙げられました。

特に、最後の「嘘をつく天秤」の問題は、部分的に誤って得られた情報から、正しい情報を復元する手法を考えることになります。これは、私達のくらしの中で、情報を伝達する際に誤って伝わったものを、残りの部分から訂正するという、符号理論という数学の一分野につながるものです。符号理論の趣旨は知っていましたが、このように、数理パズルとの関わりについて聞いたのは初めてでしたので、興味を持ちました。

2 件のコメント:

yamauchi さんのコメント...

符号理論は私も大学の頃に授業でやりました。なつかしいですね。
特に印象に残っているのはエントロピーについてです。
事象の曖昧さを数式で述べることができるなんてすごいなあと、当時思ったものです。

学類でこういう授業があったんですね。知りませんでした。知ってたら、受講してみたかったです。

Akira Terui (照井 章) さんのコメント...

コメントありがとうございます。
この授業、始まったのはいつだったんでしょう、よく覚えていませんが、yamauchiさんが在学されていた頃もあったかもしれませんね。資料の一部は大学のオープンコースウェアで公開中です。 http://ocw.tsukuba.ac.jp/