2012-02-17

数学特別演習(第16回)

今日はこの科目の最後の授業で、まず、前回の続きとして、「オイラー線」に関する定理のうち、重心と外心の座標を計算し、ついで、定理の証明をしてもらいました。

最後の発表者は、第7章の残りの部分の解説で終わるだろうと思っていたところ、ぜひ次の章も発表したいとのことで、第7章の残りの部分は手早く済ませ、第8章「オイラーと組み合わせ論」を発表してもらいました。

第8章の内容は「撹乱順列」と呼ばれる順列の問題です。彼は、これを「居酒屋の帽子の問題」として、次のように説明してくれました。

n 人の友達どうしが、全員、異なる帽子をかぶって居酒屋に行き、マスターに帽子を預けて飲む。飲んだ後で、マスターから帽子を受け取ってかぶるが、その際、全員が、行きと異なる帽子をかぶる組み合わせは、全部で何通りあるか?
それから、オイラーが、撹乱順列の個数を、n に関する漸化式で表したこと、ついで、これを n の(閉じた)式で表したことが紹介されました。そして、与えられた n に対し、居酒屋を出た全員が行きと異なる帽子をかぶる確率が、n をどんどん大きくすると 1/e (eは自然対数の底) に収束するという性質が紹介されました。

組み合わせ論の話に e が出てくるというのは、なんとも驚きです。最後に、彼は「e は(事実はともかくとして)実はオイラーの頭文字でないかという気がする」という話をして、発表を締めくくりました。

これまで、約半年にわたって、オイラーの数多くの業績のほんの一部に触れてきたわけですが、それでも、多くの数学者によって数学が紡ぎ継がれていく様子や、その中でのオイラーの見事な(時には大胆な)発想力など、得るものが大きかったのではないかと思います。ある人は、感想の中で「e や π といった神秘的な無理数が、数学に内在するあらゆる垣根を越えて登場する」ことから「数学の絆」を感じたと書いていましたが、この授業に出てきた私達も、授業を通して、数学の絆で結ばれていたのかな、と思いました。

授業に出てくれた皆さんには、これからも、このような数学の絆を見つけ、これを楽しみ、また、これを身の回りに広めていってくれれば、と思います。

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