2010-05-28

数学特別講義I(第7回)

今回の授業は、田崎博之先生による「曲線と曲面の曲率」でした。

曲線や曲面の「曲がりぐあい」の指標の一つとなる「曲率」の概念は、数学の授業では、学部2年次の終わりの方で扱いますが、今回は、その概念を、直感的に(数式を使わずに)説明されました。

まず、円(円弧)に対し、半径の逆数を曲率と定めます。半径が小さい円ほど「カーブがきつい=曲率が大きい」という感じで、直感的に理解できます。次に、円以外の曲線に対しては、曲線上の各点で、曲線の曲がりぐあいを車のハンドルの傾けぐあいにたとえ「その点で車のハンドルを固定して走らせた場合にできる円の曲率」でもって、その点の曲率を定義する、という説明がされました。

次に、日常生活に現われる曲率の例として、道路の直線部分からカーブにさしかかる部分が取り上げられました。直線道路に直接「円弧」のカーブをつなぐと、接続部分で曲率が急激に変化し、ハンドルを切るのが追いつきません。これを防ぐため、カーブの入口では、曲率を0から徐々に大きくしていくような曲線(クロソイド曲線)をつないでいる、という説明がありました。

私は、ムスメと「プラレール」で遊ぶことがありますが、プラレールに使うカーブのレールの部品は、たいてい円弧ですので、直線のレールに円弧のレールをつないで列車を走らせるというのは、現実世界ではかなりシビアなことをやっているのか・・・という点が面白かったです。

あと、曲面の曲率の定義の仕方についても説明があり、せっけん膜との関連のお話もありました。今回のお話は、数学以外の専攻の人達にも、概念を知るだけでも興味深いものですし、これから数学(今回のような話は「微分幾何」)を学ぶ人達にとっては、その意義や背景をつかんでおく上で大変有意義だなと思いました。

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