2010-10-27

Maple Techno Forum 2010

Maple Techno Forumは、数式処理システム Maple の日本販売元で、昨年から開発元の Maplesoft の親会社になったサイバネットシステムが、数式処理システム(特に自社製品の Maple や MapleSim)を、モデリングやシミュレーションの中で、こんな風に使えますよ〜/使ってみませんか〜、という、事例紹介や、先端研究の成果を紹介などを行うセミナーです。

私も、Maple ユーザの一人として、アルゴリズムの研究開発の立場にいますが、実際に、ものづくりの現場で数式処理システムをどのように使おうとしているのか、どのような使い道があるのか、見てみようということで、行ってきました。

例年、このセミナーは水曜日に開かれていますが、水曜日というと、数学類の「演習デー」で、毎年授業と日程がぶつかるのですが、今年度の1・2学期は、たまたま水曜日の演習から外れているので、久し振りに足を運ぶことにしました。

今回の自分は、前回(3年前)行ったときと比べて、だいぶ自分の中での目的意識がはっきりしていて、前回よりずっといろいろな印象も強く残り、全体的に、ためになった会議でした。以下、講演の内容、講演のテーマ、講演のスタイル(プレゼンテーション)、参加者を見渡してという観点から、感想を書きたいと思います。

講演内容で、一番興味を持ったのは、(MapleSim による) 自動車のシミュレーション技術が、想像よりもはるかに進んでいたことでした。Waterloo の Maple と自動車業界との接点がどこにあるんだろうと、これまで話を聞くたび常々不思議でしたが、Waterloo は、北米の五大湖周辺の、自動車産業が活発な地域(USA だとデトロイトなどの周辺)に位置することがわかり、納得しました。それから、トヨタ自動車やGMとの共同研究で、ハイブリッド電気自動車 (HEV) の動作を MapleSim でモデルを作って動かすなど、普段あまり聞く機会のない情報に接することができたのは収穫でした。

講演のテーマですが、成功例でも失敗例でもよいのですが「新しい話」は、印象に残りました。自分の実践に基づく話だと、より印象に残った気がします。大学の授業と異なり、個人的には、教科書的な話よりは「自分でこれをやってみました」とか「今、こういうことをしています」という話の方が、より興味を持てました。普段、自分は、研究会などで、専門家を相手にした話をする機会が多いですが、専門家以外の人に向けた話を考える上で、参考になりました。

次に、プレゼンテーションを見ていて感じたことは「箇条書きは寝ます」。いや、寝たわけではありませんが、箇条書きは読むのに疲れる、内容を頭に入れるのにも疲れる、で、スライドは文章よりも図や写真を見せて、しゃべりで説明するのが、聴く立場としては聴きやすいと思いました。

このようなプレゼン技法には BBP (Beyond Bullet Points) というのがあり、私も本を買ったりしてスライドを作るときにいろいろ考えています。実は、明日某所で話すスライドがあったのですが、どうしても時間がないのに負けて、箇条書きでスライドを作りました。しかし、今日のプレゼンを見て、やはり箇条書きは使わないに越したことはないなーという思いを新たにしました。残念ながら、明日のプレゼンはもう直す時間がありませんが、今後心したいと思います。

一般の聴講者を見ていて思ったことですが、聴講者で、講演者の人達に話しかけたり話し合ったりしている人が、少ない印象を持ちました。私も、最初その気にはならなかったのですが、自動車のシミュレーションの話をしたカナダの先生の講演の後で、その先生にいろいろ話しかけている人を見て「せっかくチャンスがあるんだから、自分も話していかなきゃもったいないな!」と思い直し、後でその先生と話す機会を得ました。

まずは通り一遍の挨拶だけでもいいですし、とにかく「さっきの先生の講演は興味深かったです」とか何とか挨拶すれば、もしかしたら話に花が咲くかもしれませんし、いい機会になると思うのですが、参加された技術者(の方が多かったと思いますが)の皆さん、いかがでしょう。私も、最初は挨拶程度ですが、自分の仕事を紹介したり、講演中にちょっと気になったことを質問したりと、個人的にはためになる会話ができたと思います。あと、この日のために、名刺を、今回は日/英両面で作ったのですが、英語の名刺を作っておいたのもラッキーでした。

こんなところですが、講演者や聴講者に、同分野で知り合いの方もおり、久々にお会いして近況を伝え合ったりもできました。ありがとうございました。学生時代の研究室の盟友であり、現在カナダに渡って活躍中の山口 (Tetsu) さんも、MapleSim の最新バージョンの紹介をバッチリやってました。Good job, Tetsu san! Maple の動向には今後も注目したいと思います。

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