2011-01-07

数学特別演習(第12回)

今日は、今年、2011年年明け最初の授業です。幸い、ほとんどの人が元気に顔を出していました。

今日テキストを読んだ範囲は、前回の「ナイト跳び」の続きです。チェス盤の1つ1つのマス目をノードに置き換え、ナイトが通りうる経路を辺で結ぶと、グラフになります。ナイト跳びのゲームは、こうしてできるグラフのすべてのノードを1回ずつ通過する経路が存在するか、という問題になります。こういう経路のことを「ハミルトン路」といい、さらに、ハミルトン路が最後に最初のノードに戻ってくる場合、これを「ハミルトン閉路」と呼ぶ話が出てきました。前のごみ収集車問題で扱った「オイラー路」と、今回の「ハミルトン路」の違いについても復習しました。

次の章では、「ハミルトン路」の語源になった、アイルランドの数学者ハミルトンの紹介と、ハミルトンが発明したという「二十ゲーム (icosian game)」の話がありました。そこから、プラトンの正多面体と呼ばれる5つの正多面体(正四面体、正六面体=立方体、正八面体、正十二面体、正二十面体)が紹介され、さらに、天文学者ケプラーと正多面体の関わりの話につながっていきました。

ケプラーというと、「ケプラーの第○法則」という、重要な法則を発見したことで有名ですが、一方で、当時発見されていた地球を含め6つの惑星の軌道と、プラトンの正多面体の関係に関する著作が紹介されています。その考察は、現代の自然科学の立場で見るとかなり宗教的ですが、彼の生きていた時代のヨーロッパの社会は、宗教と科学が現代よりもずっと近い位置にいたであろうことが推測され、興味深いものだと思います。

今日はこの辺で授業が終わりましたが、後半のハミルトンとケプラーの話題について発表してくれた学生さんは、予習を忘れていたそうで、直前にささっと読んだ程度と言っていましたが、それでも、内容をよく理解した上で、堂々と話す話術(?)に感心しました。

次回は、NP問題の話から、有名な巡回セールスマンの話につながっていくようで、内容も今回よりは複雑になりそうですが、次回の人達にも頑張ってもらいたいと思います。

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