2011-06-03

数学特別講義I(第7回):微分方程式の話

今日の授業は、久保隆徹先生による「微分方程式の話」でした。

授業では、まず、久保さんがご専門の流体力学の話から始まり、流体力学の使い道として、航空機の騒音の低減などの設計や、ゴルフボールがよく飛ぶための設計などの例のお話がありました。ゴルフボールのようなボールに凹凸がないと、ボールが飛んでいる時にボールの後ろに気圧が小さい領域ができ、これがボールを後ろに引っ張るという話は、初めて聞きましたが、これがゴルフボールに小さな凹凸を設けている理由と聞き、なるほどと思いました。

それから、微分方程式の中から、今日は、比較的単純な微分方程式の解法の例として「変数分離法」を取り上げ、例題を実際に解きながら説明を進めていきました。この辺の計算は、大学の新入生クラスにはちょうどよいレベルの計算問題だったのではないかと思います。ちゃんと板書で答え合わせをやっていたのも助かりました。

今度は、微分方程式の応用例として、実際の問題を微分方程式でモデル化して解くことにより、ある学説が数学的に裏付けられるかや、モデルが妥当かどうかの考察を行いました。今回考察した例題は

  • マルサスの人口論
  • 冷却に関するNewtonの法則に基づく、水の冷却問題
  • バネの単振動から、共鳴や共振の現象を考察する
  • 惑星の運動は、Newtonの万有引力の法則が正しいと仮定すると、楕円になる例
  • 化学反応の速さの考察
  • 食物連鎖の例(イワシをマグロが食べるとイワシが減り、イワシが減るとマグロが減り、イワシがまた増える・・・の繰り返し、さらに人間が漁獲管理を行ったらどうなるか、など)
  • 電気回路網の問題(キルヒホッフの法則)
と多岐にわたり、私達をとりまくあらゆる分野で、微分方程式が使われていることを知る上でよい機会になったと思います。

最後に、偏微分方程式の話に入りました。私は次のフレッシュマンセミナーの準備があったので、残念ながらこの部分を残して教室を出なければなりませんでしたが、全体的に、基本的な内容を丁寧に説明されており、かつ、身近な例題も豊富に出されていたので、大変興味深く聴くことができました。自分がこのような講義を大学1年の時に聴いていたら、微分方程式ももう少しまじめに勉強したかも、と思える講義でした。

0 件のコメント: