2011-04-18

数理科学II(第1回)

今日から、大学院の授業も始まりました。本当は先週開始だったのですが、数学類のオリエンテーション合宿に参加するため、先週は休講にしました。

今年度も「数理科学II」の授業を担当することになりました。今年で3回目です。今年度の履修者はとりあえず今日のところ4人、2人が計算機数学、2人が統計が専門で、授業の規模は昨年並みになりそうです。

今年度のテーマは「多項式の因数分解」に絞りました。昨年度は、多項式演算の実装の話などもしたのですが、数学の方は、多項式剰余列とGCDで話が終わってしまったので、今年は、因数分解の理論と実装について説明できればと思います。

今日は、第1回ということで、例年通り、授業の方針について説明しました。その中で、授業の目標として

数式処理システムにあるような因数分解の機能を自分(達)で作る!
と掲げました。できるだけ、これに近づけるような授業にしたいと思います。

あとは、数式処理の特徴を、数値計算と比較しながら説明しました。次回は、数式処理や計算代数の参考書や数式処理システムの紹介から始めたいと思います。

最後に、研究科のwebサイトに掲載したシラバスを載せます。

数学専攻 数理科学 II(筑波大学数理物質科学研究科)
http://www.pas.tsukuba.ac.jp/syllabus/display.php?major=1&NO=22

授業の到達目標
主に多項式に対する構成的な代数計算の手法を理解し、説明できるようになること。
多項式演算や、計算代数の諸算法の計算機上への実装の基礎を理解し、必要に応じて自分で実装するための学習の手がかりを身につけること。

授業概要
計算代数の基礎的理論である、多項式環上の最大公約子(GCD)、因数分解、グレブナー基底の理論と、数式‐数値融合計算の話題からトピックを選んで講義する。
計算代数の計算機上への実装を目標として、計算機の基礎、アルゴリズムの基礎、計算代数ライブラリ(プログラム)の実装の基礎的事項について解説する。

キーワード
数式処理、計算代数、最大公約子、多項式剰余列、部分終結式、因数分解、Hensel構成、グレブナー基底、数式‐数値融合計算

授業計画
計算代数の理論(下記の中からトピックを選んで講義する)

  1. 多項式の四則演算と計算量
  2. 多項式の最大公約子(GCD)と拡張ユークリッド互除法
  3. 部分終結式の理論
  4. 多項式の因数分解
  5. 多項式環上のグレブナー基底の理論
  6. グレブナー基底の応用
  7. 数式‐数値融合計算の話題から
計算代数の実装
  1. 計算機の構成
  2. プログラミング言語 Scheme
  3. 計算機上での多項式の表現
  4. 多項式の四則演算の実装
  5. 各種代数計算の実装

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