2015-10-30

微積分II(第5回)

今回は、前半で、多変数関数の高次偏導関数について説明しました。後半では、2変数関数のTaylorの定理を紹介し、その応用として、2変数関数の2次近似の導出を行いました。

次回は、Taylorの定理の2つ目の応用として、2変数関数の極値の計算について説明する予定です。なお、来週は学園祭前の休業のため、次回の授業は再来週になります。

授業サポートページ:https://www.math.tsukuba.ac.jp/~terui/calculus2-2015

2015-10-23

微積分II(第4回)

今回は、前半で全微分の性質について述べました。後半では、全微分の関連事項として接平面について述べたのち、合成関数の微分を説明しました。

次回は高次偏導関数の説明から入る予定です。

授業サポートページ:https://www.math.tsukuba.ac.jp/~terui/calculus2-2015

2015-10-16

微積分II(第3回)

今回の授業では、前半で多変数関数の連続性について説明しました。後半では、多変数関数の偏微分、および全微分の定義まで説明しました。

次回は、全微分の性質と接平面の話題に触れたのち、合成関数の微分に進む予定です。

授業サポートページ:https://www.math.tsukuba.ac.jp/~terui/calculus2-2015

2015-10-09

微積分II(第2回)

今回の微積分の前半では、前回に引き続き、集合の閉包と有界の概念について説明し、ついで、点列の収束と極限について説明しました。後半では、多変数関数の用語と極限について説明しました。

次回は、多変数関数の連続性から説明を行う予定です。

授業サポートページ:https://www.math.tsukuba.ac.jp/~terui/calculus2-2015

2015-10-02

微積分II(第1回)

2015年度の秋学期は、微積分II(地球学類対象)の講義を担当することになりました。

微積分IIでは、多変数の微積分を扱います。今日は初回で、授業のガイダンスに引き続いて、n次元ユークリッド空間の点とその集合、距離、内点、外点、境界点、開集合、閉集合といった概念について説明しました。これから1月末まで、毎週1回(2時限続き)、15回の講義が続きます。

例によって、授業のサポートページを作り、講義ノートなどの資料を載せます。あと、講義の模様をビデオ収録し、こちらも公開します。お楽しみに。

授業サポートページ:https://www.math.tsukuba.ac.jp/~terui/calculus2-2015

2015-07-23

計算機数学I(第13回)

今回は、授業の最終回でしたが、中国剰余定理を紹介し、ついで、定理に現われる連立線形合同式の解を拡張Eucild互除法を用いて解く解法について説明しました。

これで一連の講義が終わりましたが、今年は、講義を初めて担当したこともあり、講義内容にやや偏りが生じたのは反省点だったと思います。多倍長数の演算に時間をかけ過ぎてしまい、他のトピックに割り当てる時間が足りなくなりました。もし次回担当する機会がありましたら、多倍長数の演算の時間を短縮し、数論に関する話題を追加してみたいと思います(その際、多倍長数に関するより詳しい解説を聞きたい場合は、今年の講義の録画が役に立つことでしょう)。

反省点はありますが、今回の講義で、現実に計算を行うための数学の知識や方法論に対する理解が深まれば幸いです。また、皆さんの中には、中学校や高校で教職に就く人もいるかもしれませんが、これから数学を学ぶ生徒さん達にも、折に触れて、こういった、数学の一つの姿を伝えていってもらえればと思います。

授業サポートページ:https://www.math.tsukuba.ac.jp/~terui/compmath1-2015

2015-07-13

計算機数学I(第12回)

今回は、拡張Euclid互除法の応用の一つとして「法逆元計算」を取り上げました。これは、剰余環のある元が単元である(=乗法の逆元をもつ)際に、その逆元を計算する方法で、拡張Euclid互除法で計算する余因子が求める逆元となります。今回は、その性質を述べた定理と、計算例として、素数を法とする整数の剰余環(体)、および、有理数体に既約な1変数代数方程式の根を添加した拡大体において、逆元の計算を行いました。

この授業も次回が最終回ですが、次回は中国剰余定理と、拡張Euclid互除法を用いた中国剰余算法を取り上げ、授業の締めくくりにしたいと思います。

授業サポートページ:https://www.math.tsukuba.ac.jp/~terui/compmath1-2015

2015-07-06

計算機数学I(第11回)

今回は、前回のEuclid互除法で残ったアルゴリズム自体の説明を行ってから、拡張Euclid互除法の説明を行いました。拡張Euclid互除法の根拠となる定理の証明は、時間の都合で、最も重要な「余因子の存在と計算手順」の部分のみを行いましたが、それ以外の証明も、一通り、講義ノートに記録しています。

この授業も残すところあとわずかですが、残りの時間は、(拡張)Euclidの互除法に関連する話題に充てる予定です。今回は、連分数展開の計算について説明しました。正則連分数の計算の際、Euclidの互除法が用いられます。これに関連し、ある条件を満たす無理数が、循環する連分数に展開されることも説明し、その計算も行いました。実は、連分数展開からもとの有理数や無理数を計算するのも(拡張)Euclidの互除法と関連性がありますが、こちらの方は時間の都合で割愛しました。

次回以降は、法逆元の計算と、これに関連して、中国剰余定理を(時間があれば)扱う予定です。

授業サポートページ:https://www.math.tsukuba.ac.jp/~terui/compmath1-2015

2015-06-29

計算機数学I(第10回)

今回は、整数と1変数多項式の剰余つき除算について説明したのち、Euclidの互除法に入りました。その前に、可換環のイデアルや剰余環などの概念については、各自の復習に任せました(講義テキストにも一通り説明があります)。

Euclid互除法では、その根拠となる定理を説明したところで時間になりましたが、整数に対するEuclid互除法の場合、剰余を計算する回数の上界の一つとして黄金比が用いられることを紹介しました。

次回は「拡張Euclid互除法」について説明した後、Euclidの互除法の応用に進みます。

授業サポートページ:https://www.math.tsukuba.ac.jp/~terui/compmath1-2015

2015-06-22

計算機数学I(第9回)

出張で1週間空けましたが、今回は、主に多倍長整数と1変数多項式に対する乗算のアルゴリズムについて説明しました。

多倍長整数の乗算については、単精度演算を単位とした計算量の見積もりを行いましたが、多項式の乗算については、見積もりが繁雑になるため、今回は、係数上の四則演算の回数を単位とした計算量の見積もりのみを行いました。

この時間の最後に、剰余つき除算の説明に入りました。次回は剰余つき除算を説明し、拡張ユークリッドの互除法に進む予定です。

授業サポートページ:https://www.math.tsukuba.ac.jp/~terui/compmath1-2015

2015-06-19

Dagstuhl Seminar 終了

今日はセミナー最終日ということで、午前中のセミナーでは、主に structured matrix (構造をもつ行列)に関する発表がありました。

これで5日間にわたるセミナーが終わったわけですが、私にとっては、Pade 近似や multiexponential analysis など、自分にとって未知の分野を知ると同時に、その辺でも自分が取り組んでいるものと似たような問題意識があることを知り、非常に有意義な会議だったと思います。

また、会議の日程はゆったりしており、参加者の人達からいろいろな話を聞けたのも収穫だったと思います。普通の国際会議ですと、街中でやるので、その日のセッションが終わったら慌ただしく移動してよく顔を合わせる人との時間が主になることが多いですが、合宿形式で、時間に余裕があることで、より多くの人達と話ができたと思います。

あと、自分の研究テーマに関しても、新しい情報やコメントを得られたのも収穫でした。日本に帰ってからも、より広い視野を忘れないように、仕事に取り組みたいと思います。

2015-06-18

Dagstuhl Seminar 5日目

今日のプログラムは "sparse interpolation"(疎な多項式補間)の話題が中心でした。手法は様々でしたが、昨日までの講演にあった、指数関数の復元に対応するものがあり、両者の類似点を眺めることができたと思います。

自分の講演は、近似GCDでも用いる「部分終結式行列」に関する話題で、結果はまあまあ、といったところですが、いくつか有益なコメントをもらえたのは収穫だったと思います。

会議もいよいよ明日が最終日で、明日には町に戻ります。

2015-06-17

Dagstuhl Seminar 4日目

今日は会議は午前中のみでしたが、Pade近似に関する発表が中心でした。

午後のエクスカージョン(遠足)は、予定が二転三転しましたが、結局、バスの手配がついて、ドイツの古都トリーア (Trier) に行きました。会議場からは1時間くらいで着きます。トリーアは古代ローマ帝国によって造られ、ローマ帝国が分割統治されていた時期には、最も西の地域の首都だったそうで、当時の城門(ポルタ・ニグラ)、皇帝の宮殿(現在は教会として使用)、皇帝の大浴場など、興味深い建物や遺跡がいろいろありました。

会議は明日も続きます。

2015-06-16

Dagstuhl Seminar 3日目

今日は会議の2日目で、発表は Exponential Analysis に関するものを一日行いました。特に午前中のセッションでは、Prony method と呼ばれる、指数関数のパラメータをデータから再現する方法に関する発表がたくさんありました。

それから、今日は記念写真の撮影を行いました。写真の方はすでに会議のホームページに掲載されています。

2015-06-15

Dagstuhl Seminar 2日目

今日から会議が始まりました。午前中は、主催者の先生 (Annie Cuyt) から、この会議の趣旨説明を兼ねた講演があり、お茶の休憩の後、参加者が軽く自己紹介をしました。

午後は Application Section で、Multi exponential analysis の応用事例として、サンプリング(屋外の環境データなどの収集)の最適化や画像処理などが紹介されました。

今日は早めに日程も終わったので、明日に備えたいと思います。なお、セミナープログラムは会議のホームページにて公開されています。

2015-06-13

Dagstuhl Seminar: Sparse modelling and multiexponential analysis

今回、Dagstuhl Seminar(ダグシュトゥールセミナー)という国際会議に参加するため、ドイツにやってきました。

Dagstuhl Seminarは、ドイツ西部の町Wadern(ヴァーダーン)にあるSchloss Dagstuhl(ダグシュトゥール城)と呼ばれる施設で開催されている一連のセミナー(会議)です。「城」と呼ばれるだけあり、昔のお城、というか邸宅を使ってセミナーハウスにしたもののようです。

そして、セミナーの方は、情報科学のいろいろな研究テーマでセミナーを公募し、採択されたものが、それぞれ1週間くらいの長さで開催されます。ですので、ここの施設では、毎週次から次へと新しいセミナーが開催されているようで、だいたい2年後くらいまでのスケジュールが決まっているようです。

セミナーの運営も独特で、まず、参加者は、各セミナーの主催者からの招待によって参加します。それから、セミナーの細かい運営は主催者によって決まるようで、単に研究成果の発表にとどまらず、参加者間での討論などによる研究交流も重視されているようですが、今回はどうなることでしょう。とりあえず、出発日である今日の未明に、主催者からセミナープログラムが送られてきました。

今回私が参加するセミナーは"Sparse modelling and multiexponential analysis"というもので、計算代数では厳密計算や近似計算に基づく多項式補間の話題が中心になりそうです。 私はもともと数式・数値融合専門で、これらの分野とはやや離れているかもしれませんが、どんなことになるか、大きな期待と若干の不安を持っての参加です。

今日は東京からフランクフルトに飛んで、近郊のマインツに宿泊し、明日、現地に向かいます。

2015-06-10

ホームカミングデー

大学の行事「ホームカミングデー」が、今年は11月7日(土)に行われることになりました。

「ホームカミングデー」は、毎年、大学を卒業して20年にあたる卒業生を対象に、大学に再び集まって旧交を温める行事です。今年の対象は、1991年大学入学、1995年大学院修士課程入学の人達が中心になります。それから、大学も、筑波大学に加え、図書館情報大学に入った人達もた衣装です。

大学では、この行事のために「ホームカミングデー委員会」を組織して準備を行います。委員会は、委員長、副委員長、委員、事務方から構成されますが、委員は、各学群から、ホームカミングデーの対象者を中心に選出されます。今回、理工学群担当の教員で、本学卒業20年にあたる人が自分しかいなかったとのことで、私が理工学群選出の委員としてホームカミングデー委員会に参加することになりました。(ちなみに、今年の委員長は理工学群長ですが、数学の先生です。)

ホームカミングデーは、先に述べた通り、11月7日(土)に行われますが、この日はちょうど学園祭の1日目に当たっています。参加申込の受付はこれから専用のwebサイトで行われる予定ですが、同級生の皆さんの多数の参加をお待ちしております。

計算機演習(第8回)

今回はMathematica編の最終回で、タートルグラフィクス(コンピュータ上で「カメ」を動かし、その軌跡によって図形を描くこと)によるフラクタル図形の描画を行いました。

Mathematica編はこれで終わりますが、今後も折に触れてMathematicaのいろいろな機能を活用してもらえればと思います。

次回からはプログラミング言語 Haskell の実習に入ります。

2015-06-08

計算機数学I(第8回)

今回は、1変数多項式に対するHorner法の応用の一つとして、数の2進・10進変換の効率的な方法を紹介しました。2進・10進変換は、2進数を10進数に、あるいは10進数を2進数に変換する計算です。

非負整数の2進・10進変換は、比較的多くの資料が出回っていると思いますが、循環小数(2進)や有理数(10進)の2進・10進変換、そして、負の10進数を2の補数で表す変換については、原理は他の変換と同様、それ程難しくはありませんが、計算例はさほど多くなさそうですので、参考になるかもしれません。

来週は私の出張のため休講にするので、レポート課題を出しました。課題は授業テキストの演習問題の抜粋ですが、例題を用いて基本的な解法を説明しました。

次回は再来週、1変数多項式や多倍長整数の乗算と除算を扱う予定です。

授業サポートページ:https://www.math.tsukuba.ac.jp/~terui/compmath1-2015

2015-06-03

計算機演習(第7回)

今回は、Mathematicaによるプログラミングの方法の一つとして「ルールベースドプログラミング」を扱いました。ルールとパターンマッチに基づく関数の定義です。

レポート課題の一つに、関数の微分を行うプログラムの作成がありましたが、定数の微分の定義を忘れていた人がいたようです。

次回は、Mathematica編の最終回ですが、今回のプログラミングと合わせたグラフィクスの話題を扱います。

2015-06-01

計算機数学I(第7回)

今回は、まず、前回に引き続き、1変数多項式の加算を取り上げ、そのアルゴリズムと計算量の見積もりについて説明しました。

次に、1変数多項式の評価を行う「ホーナー (Horner) 法」について説明しました。これは、高校の数学でも「組立除法」として紹介されている方法で、国立国会図書館電子展示会江戸の数学」でも紹介されています

次回は、Horner法の応用例として、10進数と2進数の間の効率的な変換法を紹介します。

授業サポートページ:https://www.math.tsukuba.ac.jp/~terui/compmath1-2015

2015-05-27

計算機演習(第6回)

今回は、微積分の内容で、前回の続きとして、積分や微分方程式の解法を扱ったほか、リストに対するいろいろな計算も扱いました。

今回のレポート課題を解く中で、ファイルの保存の際にエラーが出て、解き直しになった人が数人いました。それらの人達に共通していたのは、レポート全体の計算を一通り行った後で最初の保存に失敗した点です。以前の授業でも呼びかけましたが、ファイルをこまめに保存することで、もしファイルが途中で壊れた際の影響がなるべく小さくよう、工夫することも必要だと思います。

次回は、ルールに基づくプログラミングを扱います。

2015-05-25

計算機数学I(第6回)

今回の授業では、まず、アルゴリズムの計算量を見積もる上で必要な「漸近表示」の説明を行い、次に、それを用いて、多倍長整数の加算の計算量を見積もりました。

それから、「2の補数」を用いた、符号つきの多倍長整数の表現について触れた後(減算のアルゴリズムは演習問題)、1変数多項式の話題に入り、多項式の術語と、1変数多項式の表現について説明しました。

次回は1変数多項式の加算から説明する予定です。

授業サポートページ:https://www.math.tsukuba.ac.jp/~terui/compmath1-2015

2015-05-20

計算機演習(第5回)

今回は、微積分の中でも微分を中心とした内容を扱いました。具体的には、関数の定義、極限値の計算、導関数の計算、Taylor展開の計算を扱いました。

次回は主に積分を中心とした内容を扱います。

2015-05-18

計算機数学I(第5回)

今回の授業では、多倍長整数の加算のアルゴリズムについて説明しました。そのため、アルゴリズムの基本的な特徴(要件)についても解説しました。(今回述べた「アルゴリズムの特徴」は、D. Knuth, The Art of Computer Programming, Section 1.1によります。)

次回は、多倍長整数の加算のアルゴリズムの計算量を調べますが、そのために、アルゴリズムの計算量を見積もるための漸近表示の説明から始める予定です。

授業サポートページ:https://www.math.tsukuba.ac.jp/~terui/compmath1-2015

2015-05-13

計算機演習(第4回)

今回は、主に線形代数の話題を取り上げました。Mathematica では、リストを「ベクトル」、リストのリストを「行列」に見立てて計算を行います。今回は、ベクトルや行列の基本演算と行列の対角化を行い、さらに、リスト(ベクトル、行列)の要素に規則を与えて自動的に生成する方法などを扱いました。

次回は微積分の内容を扱う予定です。

2015-05-11

計算機数学I(第4回)

今回の授業では、まず、前回の続きで、浮動小数演算における誤差として「桁落ち誤差」と「情報落ち」について説明し、引き続き、多倍長整数の構成について説明しました。

次回は、多倍長整数の加算について説明します。

授業サポートページ:https://www.math.tsukuba.ac.jp/~terui/compmath1-2015

2015-05-08

計算機演習(第3回)

今回は、Mathematica編の第2回、前回のMathematica入門の続きということで、連立方程式の解法、グラフィクスのオプション、アニメーションを中心に扱いました。

次回の授業は来週水曜日で、今回のレポート課題の締切日でもあるので、今回はレポートの締切まで、普段より若干期間が短いですが、ご健闘を祈ります。

2015-04-27

計算機数学I(第3回)

今回の授業では、浮動小数の導入と一般的な定義を行った後、現在よく使われている浮動小数点の規格の一つとして、IEEE 754 浮動小数点規格のうち、単精度の浮動小数点規格を紹介しました。

IEEE 754 単精度浮動小数点規格の説明の中で、∞(無限大)とNaN(非数)を表現する際の指数部の値としてE=127と説明しましたが、授業後に指摘を受けて確認したところ、これは誤りで、正しくはE=128でしたので訂正します。ご指摘に感謝します。

授業では、時間の都合でIEEE 754は単精度の規格のみ紹介しましたが、講義ノートには倍精度の規格についても記載しましたので、興味のある人はご参照ください。

引き続いて、浮動小数演算における誤差の説明に入りましたが、「丸め誤差」の説明の後「桁落ち誤差」の説明の途中で時間になりました。次回は「桁落ち誤差」の説明から始め、多精度(多倍長)整数の表記と加算の説明に進みたいと思います。

授業サポートページ:https://www.math.tsukuba.ac.jp/~terui/compmath1-2015

2015-04-22

計算機演習(第2回)

今日から本格的な授業が始まりました。今学期の前半7回は、数式処理システムMathematicaの実習を行います。

今回は、e-ラーニングシステム (manaba) へのログイン、manaba のコースページの内容紹介、Mathematicaの起動と計算、レポートの課題ファイルのダウンロードなどを一通り説明しました。残り時間で、今回の授業内容を実習してもらいました。内容は、基本的な数値の計算、代数方程式の解法、グラフ描画の基本などです。

次回の授業は連休明けになるので、約2週間空くことになります。ついでに、次回は金曜日に水曜日の振替授業を行うのでご注意ください。

2015-04-20

計算機数学I(第2回)

今回は、前回に引き続き、コンピュータの基本構成の残りの部分を説明し、その後、整数の表現として、符号なし整数と、2の補数を用いた符号つき整数について説明しました。

コンピュータの基本構成では、前回の「メモリ」の説明に続き、「ワード」の概念とCPUの「レジスタ」を説明し、「ワード」のモデルとして、2進数の「そろばん」の例を挙げました。2進数のそろばんは、もちろん実物は持っていませんが、ワードを単位として計算を扱う際に、今後も例として使おうかと思います。

整数の表現に引き続いて、浮動小数点数の説明に入ったところで、今回は時間切れとなりました。次回は浮動小数点数について説明する予定です。

授業サポートページ:https://www.math.tsukuba.ac.jp/~terui/compmath1-2015

2015-04-15

計算機演習(第1回)

今年度も、計算機演習の授業を担当することになりました。

今回は授業のガイダンスということで、ティーチング ・アシスタント (TA) の人達にも集まってもらい、授業の概要を説明しました。今年度も、履修者のほとんどは数学類の学生で、人数は40人強といったところです。

次回から、サテライトにて本格的な授業が始まります。

2015-04-13

計算機数学I(第1回)

今年度は、数学類専門科目(標準履修年次:3年次)の「計算機数学I」を初めて担当することになりました。

この授業では、主に代数計算、特にEuclidの互除法を軸にしながら、構成的な計算について説明します。授業では、アルゴリズム、データの表現、計算量の議論もしながら進めていきます。

今回は、授業のガイダンスの後、準備として、コンピュータの基本構成を説明しました。その際、実際にタワー型パソコンのケースを開けて、中の構成部品を拡大投映しながら説明しました。今回の授業の履修者は約50人ですが、この時に尋ねたところ、パソコンのケースを開けたことがある人が10人前後、実際に内部の部品を交換したことのある人が2, 3人でした。また、ノートパソコンの部品を交換したことがある人も2, 3人でした。

実際にパソコンの内部がどのように見えるかを知っている人は全員というわけではなかったようですので、授業で出てくる内容を、実際に自分が使うようなパソコンの内部部品と対応づけるという意味では意義があるのでないかと思います。

今年も、毎回の講義の講義ノートをwebの授業サポートページに掲載するとともに、講義の模様を録画して公開していきます。次回は、コンピュータの基本構成の続きから、数値の表現に入っていきたいと思います。

授業サポートページ:https://www.math.tsukuba.ac.jp/~terui/compmath1-2015

2015-03-25

平成26年度 卒業式に寄せて

今日、私が4年間クラス担任を務めた数学類の学生が、卒業式を迎えました。ここに、彼ら/彼女らに寄せたメッセージを載せたいと思います。


皆さん、ご卒業おめでとうございます。私からは3点、最初の1つは過去と現在のこと、あとの2つは未来のことをお話したいと思います。

まず、皆さんにお伝えしたいのは、このたびの卒業のお祝いと、これまで4年間を一緒に過ごしてきた皆さんへの感謝です。思えば、私がクラス担任になるための「教習」とも言えるFD(ファカルティ・ディベロップメント)研修会に参加したのが4年前の3月10日、このときは、その翌日に未曾有の大震災に見舞われるとは夢にも思っていませんでした。

幸い、当時の本学関係者に人的被害はなかったようですが、大学における私や周囲の被災状況は、それが奇跡的に思える程のものでした。それは、少なくとも私にとって、4月から通常通り新学期を始めることに大きな困難を感じるものでした。しかし、皆さんの中にも、震災に伴う困難に直面しながら筑波に来た人もいるかもしれませんが、震災を経た筑波にやってきた皆さんの姿に勇気づけられて、新学期を始めたように思います。

以来、私がクラス担任として皆さんにできたことは、数々の書類にはんこを押すことと、日々歩み続ける皆さんを見守ることくらいでしたが、これまで、折々の皆さんの姿に、私の方が励ましを受けたり、元気をいただいたりしてきたことの方が多かったと思います。皆さんと、このような充実した時間を過ごせたことに、心から感謝したいと思います。

また、皆さんの中には、震災を筑波で迎え、若干長い大学生活を送った人もいるかと思います。事情は皆さんそれぞれと思いますが、そのいずれもが、皆さん各々の人生において決して無駄なものではなく、これからの人生において何らかの糧になるものと信じています。自信を持って、これからの人生を歩んでいかれることを望みます。

皆さんにお伝えしたいことの2つ目は、これからの人生を進む皆さんへの願いとして、私達が生きるこの世界が、いくらかでもよりよいものになるよう、生きてほしいということです。私たちが大学で学ぶことの目的や意義について、すでにいろいろな人が論じていますが、その中に「よりよい世界を築くために学ぶ」ということに、私も同感です。そして、「よりよい世界を築く」ための貢献として、何も、有名になるようなことだけでなく、当たり前の毎日を、当たり前に生きる、これも、立派な貢献だと思います。そして、皆さんが、自分や自分の周りの大切な人達を愛おしく思えるような、そんな人生を築いていかれることを願っています。

皆さんにお伝えしたい最後のことは、「20年後」です。私は、大学を卒業して今年でちょうど20年を迎えます。私が卒業した頃にはまだありませんでしたが、現在、本学には「ホームカミングデー」という行事があり、大学を卒業してちょうど20年の節目の年に、卒業生が母校に再び集まり、かつての同級生達と旧交を温めるということを行っています。今年はちょうど自分がホームカミングデーの代になりますが、20年後は皆さんがホームカミングデーの代になります。20年後、2035年に、この仲間で、再び、今の笑顔で元気に再会できることを願っています。残念ながら、4年前に入学したメンバー全員が、今回揃ったわけではありませんが、今回揃わなかったメンバーも含めて、今後の再会を願っています。

以上、長くなりましたが、もう一度、今日の門出を迎えられた皆さんにお祝い申し上げるとともに、これからの皆さんの人生に、より多くの幸せが訪れることを祈り、メッセージといたします。

2015-03-09

筑波大学計算機数学グループ 春の合宿 2015 in 館山

3月7日から今日まで、標記合宿が、筑波大学館山研修所(千葉県館山市)で開催されました。

この合宿は、筑波大学数学域を中心とする計算機数学の研究グループに所属する学生と教員、卒業生等が集まり、研究交流を行う行事で、毎年、春休みのこの時期に、館山で開催されています。今年で二十数回目を数えます。

今年の参加者は、学部生10名、大学院生10名、教員2名、卒業生7名の合計29名と、たぶんこれまでで最も多かったと思います。セミナー時間の確保のため、初日の大学から研修所までの往路の行程を例年のものから変更し、初日は午後の早い時間からセミナーを行いました。

この合宿では、参加者の義務として、セミナーで何らかの発表をすることになっていますが、参加者によって、研究、教育、趣味など、どれも聴いて有意義な発表だったと思います。夜は「シンポジウム」と称して、参加者の交流を深めました。

私は合宿幹事の一人として、参加者との連絡や事務手続に当たりましたが、参加者の皆さんのご協力に感謝します。来年も、多くの方が参加して合宿が開催されるのを楽しみにしています。

なお、合宿の講演のうち、発表者が公開に同意された分の中継録画をまとめていますので、興味のある方はご覧下さい。。正式な録画は編集後に公開予定です。

2015-01-28

微積分II演習(第13回)

この授業も、今回が試験前の最後の授業となりました。今回は、いつも通り、前回提出されたレポートを返却の後、大学による授業アンケートを実施し、来週の期末試験の要項を説明した後で、残りの時間は質問の時間としました。質問の時間では、皆さんめいめいに、講義や演習の授業で出された課題などの復習をしていました。

いよいよ来週が期末試験ですが、今学期の内容をよく復習した上で試験に出席することを望みます。

2015-01-23

平成26年度 数学類 卒業研究発表会

1月23日に、今年度の数学類卒業研究発表会が行われました。

今年度は、朝9時過ぎから昼休みをはさんで夕方5時近くまで、39人が、これまでの卒業研究の成果を発表しました。各講演後の質疑応答も活発に行われていたと思います。

私は、今回、クラス担任として、発表会を取り仕切りました。この卒業研究発表会は、約20年前、私が旧自然学類数学専攻の4年生のあたりから始まったと記憶していますが、今回、たぶん初めての試みとして、講演予稿集の電子化(PDF版の作成)を行いました。

これまで、予稿集の編集の際は、学生から紙媒体で原稿を集めてコピー、製本するやり方が主流でした。今回は、予稿の原稿をPDFファイルで提出してもらい、それらをLuaTeXで読み込んだ上で、各ページにノンブル(ページ番号)を打ち、表紙や目次などをつけた1本のPDFファイルに編集する方法をとりました。また、原稿集めには大学のe-ラーニングシステムを使いました。これにより、メールの山に溺れずに済んだ他、「卒業研究」の授業科目(必修科目)の履修忘れを見つけるという効果もありました。

卒業研究発表会の開催にあたっては、卒業研究の指導をされた先生方、助言などをされた先生方や先輩方、当日の進行役を務めた3年生の人達など、多くの方々の協力を得て、無事発表会を終えることができました。ご協力下さった皆様に御礼申し上げます。そして、卒業研究を仕上げ、今回の発表を行った皆さん、お疲れさまでした。

2015-01-21

微積分II演習(第12回)

今回は、Lagrangeの未定乗数法の問題を扱いました。講義では、Lagrangeの未定乗数法の例題まで詳しく扱う時間がなかったとのことですので、演習問題で復習を行うちょうどよい機会になるのではないかと思います。

今学期の授業もあと1回を残すのみとなりました。レポート課題の出題は今回が最後で、次回は、講義および演習の期末試験に向けた各自の取り組みの時間にしたいと思います。

2015-01-14

微積分II演習(第11回)

今回は、陰関数定理の問題を扱いました。微分係数と接線の計算が中心です。

次回は、最近の講義の内容から話題を取り上げたいと思います。

2014-12-17

微積分II演習(第10回)

今日は、前々回のレポートを返却しました。多くの人の解答は問題ありませんでしたが、積分範囲の定め方などにおけるミスが少々見られたので、注意を促しました。

今回は、広義積分に関する問題を扱いました。

今年の授業は今日が最後となります。次回は来年のお正月明けですが、各自、健康に留意して、よい冬休み、そしてお正月を迎えられることを望みます。

2014-12-10

微積分II演習(第9回)

今日は、前々回のレポートを返却しました。このときは、累次積分の積分順序の交換に関する演習問題を出しましたが、ミスの原因として、積分領域の作図が不正確である場合が見受けられました。積分範囲は積分領域によって定まりますので、正確な図を作図するよう、注意する必要があると思います。

さて、今回は、前回扱った、重積分における極座標形式への変数変換をさらに一般化して、一般の変数変換を扱いました。ヤコビアンを扱ったりしていますので、講義の内容も復習しながら演習問題に取り組んでほしいと思います。

2014-12-03

微積分II演習(第8回)

今回は2週間ぶりの授業でしたが、3重積分の問題(あらかじめ与えられた累次積分の計算)と、極座標による積分の変数変換の問題を扱いました。

次回は、積分におけるより一般的な変数変換(ヤコビアン)を扱う予定です。

2014-11-19

微積分II演習(第7回)

今日は授業開始前に行われた全学防災訓練の影響で、若干遅れて授業が始まりました。

今回から重積分ということで、今回は、累次積分の計算問題と、積分順序の交換を行う問題を扱いました。

来週は推薦入試に伴い、休講となります。次回の授業は再来週ですが、早くも12月です。そして、全14回の授業を予定している本授業科目も今日が7回目で、次回から後半に入ります。

2014-11-14

Team SNAC Tsukuba

数学類3年生の卒業予備研究の方は、坂井公先生と共同で担当しますが、先月行われた配属希望調査を経て6名の学生を受け入れ、今日からセミナーがスタートしました。

当面は、テキストとして V. Shoup: A Computational Introduction to Number Theory and Algebra から、第17章 "Polynomial arithmetic and applications" を読みます。

さて、私共の研究グループは "Team SNC" と名乗っておりましたが、今年に入ってから、名称を "Team SNAC Tsukuba"(チームスナックつくば)に改めました。

"SNAC " は "Symbolic and Numerical Algebraic Computations"(記号および数値代数計算)の略です。以前は "Symbolic-Numeric Computation"(数式 ・数値融合計算)と名乗っていましたが、「融合してない」数式処理や数値計算も、状況によっては扱うことで、守備範囲をより広くとることにしました。一方で、計算対象としては、多項式を中心にした「代数計算」を中心に据え、研究テーマを適度な幅で設定したつもりです。

ついでにですが、"SNAC" の発音は、私共のセミナーの必需品としているお茶菓子 "snack" にかけたものでもあります。

現在のメンバーは、学部3年生が共同担当で6人、学部4年生が3人、修士1年生が3人、これらが私が直接指導の責任を持つ人達で、これに加えて、各セミナーに数人の人達が加わっています。今後、チームとしても、さまざまな活動を展開していきたいと思います。

2014-11-12

微積分II演習(第6回)

今回の授業は前回から2週間空きましたが、今回は、Taylorの定理による2変数関数の2次近似と、2変数関数の極値を求める問題を扱いました。

講義の担当の先生の情報では、次回から重積分に進むようですので、演習の方もそれに合わせて進めていきたいと思います。

2014-10-29

微積分II演習(第5回)

微積分の科目は、講義と演習の授業の2本立てになっていますが、現在のところ、授業日程の組み方から、演習の方が講義よりも授業回数が1週分多く、授業内容は演習の方が講義よりもやや先を進んでいる印象があります。

そのようなこともあり、今回の授業では、高次(階)偏導関数の計算問題に絞りました。

それから、前々回に出題した全微分の回のレポートを返却しました。この際、全微分可能性の判定の際に、定理の必要条件や十分条件を十分区別できていないと思われる解答がありましたので、その点について補足説明しました。

来週は、授業の曜日振り替えの都合で、微積分演習の授業はなく、講義のみになります。次回の演習の授業は再来週で、授業のペースも、講義に歩調を合わせられるようになると思います。

2014-10-22

微積分II演習(第4回)

今回は、接平面と法線の計算、それから合成関数の微分に関する問題を扱いました。

配布資料の記述(文字の使い方)で若干混乱を招いた点があったようですので、今後修正を検討したいと思います。

2014-10-15

微積分II演習(第3回)

今回は、主に、偏微分の計算と、全微分可能性の判定に関する問題を扱いました。

全微分に関しては、講義ではまだ入りかけのようでしたが、全微分の定義に基づく判定方法を説明しました。レポートに期待したいと思います。

2014-10-08

微積分II演習(第2回)

今回の授業では、手始めに、2変数関数の極限値と連続性に関する演習問題を扱いました。

授業では、例題を解説した後、レポート課題に取り組んでもらいましたが、今日のところは、皆さん比較的筆が進んでいたようです。レポートは来週の次回授業時に回収の予定です。

それから、先週回収したレポートを採点し、返却しました。必要条件、十分条件に関する問題は、おおまかに理解できていると思われる人が多かったですが、細かい判断が甘い人も見受けられた(完全に理解できている人は少ないと見受けられた)ので、解説を読んで復習してほしいと思います。あと、学習支援システムmanabaの方にも成績を記録しましたので、返却されたレポートに書かれている成績と異なる人は申し出てください。

2014-10-03

卒業研究 (2015) 募集開始

今年も卒業研究(3年の間は「卒業予備研究」)の募集の季節になりました。

今日、3年生にガイダンスが行われたのだそうで、今日から募集開始です。私は坂井公先生の副担当になります。計算機数学をテーマに、希望者を募集します。

今後、希望者との面談などを経て、今月下旬に学生の配属先が決まり、来月から卒業予備研究のセミナーが始まる予定です。

2014-10-01

微積分II演習(第1回)

今日から秋学期が始まりました。秋学期は、化学類1年次の微積分II演習を担当します。

今日は初回で、講義もまだ始まっていませんので、授業のガイダンスを中心に行い、演習は、数学の復習(必要/十分条件)、春学期の微積分の復習(微積分学の基本定理)に取り組んでもらいました。

次回から秋学期の内容に本格的に入っていきます。ティーチング・アシスタント (TA) の2人の大学院生とともに授業にあたります。よろしくお願いします。

2014-07-11

線形代数I演習(第13回)

今回は、ハミルトン・ケーリーの定理を用いた行列の計算と、行列の固有値・固有ベクトルの計算の問題を扱いました。

ハミルトン・ケーリーの定理については、多くの人達が高校の数学で学んだようで、詳しい説明は省きましたが、計算は案外一筋縄ではいかず、苦労している人もいるようでした。固有値と固有ベクトルの計算については、例題で説明したためか、ハミルトン・ケーリーの定理ほど支障はないようでしたが、まずは正しい計算手順を身につけてほしいと思います。

私の出張の都合で、次回が最後の授業になります。よろしくお願いします。

2014-07-04

線形代数I演習(第12回)

今回は、ファンデルモンドの行列式の導出と計算、および、いくつかの特殊な形をしたn次行列式の計算の問題を扱いました。

ファンデルモンドの行列式を応用した計算では、与えられた行列式をどのようにしてファンデルモンドの行列式に帰着させるかがポイントになります。それから、特殊な形をしたn次行列式の計算では、行変形などをうまく活用して、行列式の一般型を求めるかがポイントになります。各自、工夫して問題を解いてほしいと思います。

次回は、教科書第4章の話題から、固有値や固有ベクトルの計算を扱う予定です。

2014-06-27

数理科学IIA(第9回)

今回は、浮動小数演算に現われる誤差として、丸め誤差、桁落ち誤差、情報落ちについて説明した後、計算代数で浮動小数演算を用いた場合に誤差が現われる例として、1変数多項式に対するEuclidの互除法を取り上げました。そして、このような計算の際に現われる計算の困難さを克服する手法の一つとして、数式・数値融合計算の目的などを紹介しました。

授業の残り回数も少なくなってきましたが、残りの授業では、数式・数値融合計算の一つとして「近似GCD(最大公約子)計算」を取り上げ、その手法などを紹介していきたいと思います。

線形代数I演習(第11回)

今回は、行列式に関する基本的な性質と、余因子、余因子行列に関する演習問題を扱いました。

余因子や余因子行列の計算は、定義を覚えた上で慣れるまでやや手間を要するかもしれませんが、定義を確認しながら正しく計算できるようにしてほしいと思います。

2014-06-20

線形代数I演習(第10回)

今回は、実際の行列式の計算に入り、3次の行列式の計算問題を扱いました。また、次に学ぶ「行列式の性質」では、内容量がやや多いため、基本的な性質のいくつかについて、前倒しで演習問題を出題しました。

次回は行列式の性質を中心に、演習問題を解いていきたいと思います。

数理科学IIA(第8回)

今回は、計算機上での整数と浮動小数点数の表現について説明しました。

次回は、浮動小数演算における誤差とそれらが代数計算に与える影響について説明する予定です。

2014-06-13

線形代数I演習(第9回)

今回は、前回提出してもらったレポートを返却して補足説明を行った後、先週実施した、この授業に関するアンケート調査の結果を報告しました。現在のところは、問題の量、難易度とも「ちょうどよい」と答えた人が最も多かったですが、足りない場合は、自分で教科書の演習問題を解いたり、他の問題集を探したりと、工夫されることを望みます。

今日の演習では、行列式の導入の準備として、置換に関する問題を扱いました。まずは置換の定義を知り、計算に慣れてくれればと思います。

次回は、講義の進行にもよりますが、そろそろ行列式の定義に入るかな、と思っています。

数理科学IIA(第7回)

今日は、前回説明した拡張Euclid互除法のアルゴリズムを提示した後、次の話題に入りました。

これから数式・数値融合計算の話をするわけですが、そのためには、計算機上での数の表現、特に浮動小数点数の説明が不可欠で、そのためにはメモリ空間の説明があった方がよく、そうなると、計算機全体の装置の説明があった方がよいように思いました。そこで、今回は、計算機の主な装置や、メモリ空間とメモリ容量の単位をはじめとする説明を行いました。

次回は、今回の説明を踏まえて、計算機上の整数と浮動小数の表現について議論する予定です。

2014-06-11

計算機演習(第9回)

計算機演習の授業は、前回までのMathematicaに代わり、今回からプログラミング言語Haskellの授業が始まりました。Haskell編は坂井公先生が担当されます。私も参加してお手伝いをしています。

Haskell編のテキストには「すごいHaskellたのしく学ぼう!」(Miran Lipovača著, 田中英行・村主崇行共訳, オーム社)を使います。原書 (Learn You a Haskell for Great Good!) はオンラインでも読むことができます。

今回は、テキスト第1章「はじめの第一歩」の§1.1から1.4までの内容をテキストに沿って実習... ということでしたが、「テキストエディタ」の概念を知らない、プログラムをどうやって編集すればよいかとか、バッククォートを初めて使うとか、プログラムのファイルのロード(読み込み)がうまくいかないと思ったら、Microsoft Wordで編集したソースファイルを .docx (Office Open XML) フォーマットで保存していたとか、はじめの第一歩の手前でいろいろノウハウの習得が必要な人もいたようです。ま、これらも、コンピュータリテラシの習得の上で役に立つ経験になるかもしれません。 私も暇を見て実習したいと思います。

2014-06-06

数理科学IIA(第6回)

今回は、Euclid 互除法をアルゴリズムの形で書き下した後、拡張 Euclid 互除法について説明しました。

拡張 Euclid 互除法のアルゴリズムは次回確認する予定です。その後、数式・数値融合計算の話題に進みたいと思います。

線形代数I演習(第8回)

今回は、来週、講義の方で中間試験を控えているとのことで、新たな例題は出さず、各自のペースで復習を進めることにしました。

中間試験のご健闘をお祈りします。次回からは第3章「行列式」に進む見込みです。

2014-06-04

計算機演習(第8回)

今回がMathematica編の最終回でした。今回は、タートルグラフィクスを用いたフラクタル図形の描画を扱いました。「カメ」の動きを表す文字の置き換えなどで質問が寄せられましたが、ぜひ来週の締切までにうまく図形を描画してレポートを仕上げることを期待しています。

Mathematica編はこれで終わりで、来週からはプログラミング言語Haskellの入門に入ります。

2014-05-30

数理科学IIA(第5回)

先週は教育研究科の行事(ソフトボール大会)により休講となりましたので、今回は前回から2週間ぶりの授業となりました。

今回は、1変数多項式の四則演算の計算量解析を一通り行いました。それから、次の話題として、1変数多項式に対するEuclidの互除法の説明に入りました。

次回は1変数多項式の拡張Euclid互除法に進む予定です。

2014-05-28

計算機演習(第7回)

今回は、ルールとパターンマッチに基づくプログラミングの初歩を扱いました。レポート課題では、1変数関数の導関数の計算を題材に出しましたが、計算結果がうまくでなくて苦労している人もいたようです。来週のレポート締切までに健闘を祈ります。

Mathematica編の授業は来週が最終回です。来週は、今回のプログラミングと組み合わせたグラフィクスの話題を扱います。

2014-05-21

計算機演習(第6回)

今回は、積分に関する計算(不定積分、定積分、微分方程式の解法)と、さまざまなリスト操作を行いました。

積分とリスト操作の関連性ですが、今回は、レポート課題に台形公式による積分の数値計算を出題しており、その中で、効率的なリスト操作を用いた計算を行うようになっています。

今回は前回に比べて全体的に端末がスムーズに動作しました。それから、Linux環境のMathematicaにおける日本語入力の問題について、学術情報メディアセンターに対応していただき、Mathematicaのノートブックで直接日本語入力ができるようになりました。

次回はプログラミングに関する話題を扱う予定です。

2014-05-16

数理科学IIA(第4回)

先週の金曜日は火曜日の振替授業が行われたので、今回は前回から2週間ぶりの授業になりました。

今回は、まず多項式の四則演算をアルゴリズムの形で書き下ろすことの続きを行い、減算、乗算と擬除算について説明しました。次に、アルゴリズムの計算量を見積もる話題に入り、今回は計算量のいくつかの記法について説明しました。

次回は、今回の導入に基づいて、1変数多項式の四則演算(のアルゴリズム)の計算量解析を行う予定です。

2014-05-14

計算機演習(第5回)

今日はMathematicaの第4回ということで、微積分、特に微分に関するテーマ(関数定義、極限値の計算、導関数、Taylor展開など)を扱いました。

今日は、特に授業時間の最初の方で端末の動作がいまいちで、ログオンしたところ、デスクトップにゴミ箱しか表示されないとか、ダウンロードしたファイルを保存できないなどのトラブルが相次ぎましたが、授業時間が進むに従って、次第に状況が復旧してきたようでした。幸い、授業テキストの閲覧や、Mathematicaの使用には支障がなかったようですので、直接レポートを作成するのが難しいような状況では、ひとまずテキストの内容に沿って実習を進めることをおすすめします(一応、これをテキストの本来の使い方として作成しています)。

次回は積分を中心とした内容を扱う予定です。

2014-05-07

計算機演習(第4回)

今回は実質的に第3回でしたが、線形代数の内容を扱いました。行列やベクトルのリストによる表現と、行列の対角化の計算を行いました。

Mathematicaの操作の部分ではそれ程戸惑いはなかったようですが、行列の対角化など、数学の部分で若干手間取った人もいたようです。線形代数の復習を行うよい機会ではないかと思います。

前回、テキストのダウンロードに時間がかかる事例が続出したので、今回はテキストを印刷して希望者に配りましたが、幸い、今回は前回よりもマシンの動作が改善されていたようで、印刷したテキストは予想したほどの売れ行きにはなりませんでした。

次回は微積分の内容を扱います。

おまけ:全学計算機システムのLinux環境のMathematicaも試していますが、日本語の利用については、メニュー等は日本語になります。最初起動した時は英語環境ですが、メニューの Edit > Preference にて、言語設定で Japanese を選んでMathematicaを再起動すると、メニュー等が日本語になります。なお、日本語入力はまだできないようで、現在調査中です。

2014-05-02

線形代数I演習(第4回)

今回は、連休の谷間ですが、授業を行いました。

主な内容は、さまざまな行列(転置行列、対称行列、交代行列など)と、正則行列、逆行列を扱いました。レポートは連休をはさんでの提出となりますが、頑張って取り組んでもらいたいと思います。

数理科学IIA(第3回)

今回は連休の谷間ですが、授業を行いました。

今回は、アルゴリズムの要件や書き方を導入し、制御構造などについて説明しました。その後、1変数多項式の一連の四則演算をアルゴリズムの形で記述することにし、今回は、1変数多項式の加算と整数倍の演算をアルゴリズムの形で記述しました。

次回は、1変数多項式の残りの演算をアルゴリズムで記述していく予定です。

2014-04-30

計算機演習(第3回)

今回は、前回の基本的な計算の拡張として、連立方程式の解法や、グラフィクスのオプション、アニメーションなどを扱いました。

今回も端末の動作が遅く、テキストのダウンロードでも人によっては時間がかかったようです。次回は対応策を考えたいと思います。

おまけ:全学計算機システムには、現在この授業でも使っているWindows環境のほかに、Linux環境も使うことが可能です。私が今年、端末を使っている印象の限りですが、Linux環境の方がWindows環境に比べて、いろいろな操作で待たされることが少ないように思います。本年度より、Linux環境の方でもMathematicaが使えるようになったのですが、どの程度授業に使えそうか、大学院生のティーチング・アシスタント (TA) の人に試してもらったところ、以下のような現象が見られました。

  • Mathematicaは確かに起動する。メニュー等の言語設定は英語。
  • 日本語の直接入力ができない。他のアプリケーションソフトウェア(端末やエディタなど)で入力した日本語の文字列をコピー、ペーストすると入力できる(が、普通はこの操作を「入力」とは言わないでしょう)。
  • 最初、あるディレクトリ(フォルダ)に保存したノートブックファイルを開く際にエラーが出ていたが、Mathematicaの挙動を調べてみたら、ディレクトリ名に日本語が使われているディレクトリにはうまくアクセスできないようだ。
というわけで、現時点でWindowsに代えてLinux環境をすべての履修者にすすめるのにはまだちょっと敷居が高い気がしますが、今後も調査を続けたいと思います。

2014-04-25

線形代数I演習(第3回)

今回は、前回レポートの回収がなく、従って今日の返却もありませんでしたので、今回の授業の話題から入りました。

今回の授業のテーマは、ベクトルの長さ、直交性、ベクトルの基本的な性質(分配則など)の証明を扱いました。ベクトルの基本的な性質の証明では、実ベクトルの成分毎に、実数の性質を用いて定理を証明する部分を説明しました。

例題を説明した後、レポート課題を配って問題に取り組んでもらいました。レポートの締切は次回の授業ですので、それまでに各自問題に取り組んでもらいたいと思います。

数理科学IIA(第2回)

先週は、教育研究科の健康診断のため休講になりましたので、今回は2週間ぶりの授業となりました。

今回は、多項式演算の導入ということで、多項式環やEuclid整域の基礎的事項を復習した上で、多項式の擬除算を導入しました。

次回はアルゴリズムの基本事項を説明する予定です。

2014-04-23

計算機演習(第2回)

今日から実質的な授業に入りました。

今年は大学のe-ラーニングシステムが刷新され、テキストやレポート課題などを配布する要領も変わりました。端末の方は昨年までと変わっていませんが、昨年までに比べると、動作を待たされる時間が増えているようです。

さて、今回は端末を使っての初めての授業でしたので、e-ラーニングシステム (manaba) へのログイン、manaba のコースページの内容紹介、Mathematicaの起動と計算、レポートの課題ファイルのダウンロードなどを一通り説明した後、時間が少なくなりましたが今日の授業内容に取り組みました。今日の授業内容は、基本的な数値の計算(四則演算や素因数分解など)や、代数方程式の解法、グラフ描画の基本などでした。

次回は、今回扱ったテーマのより進んだ内容(連立方程式の解法やグラフィクスの詳細など)を扱います。

2014-04-18

線形代数I演習(第2回)

今日はまず、先週回収して採点した第1回レポート評価を返却し、必要条件や十分条件に関する内容を解説しました。

次に、今日の例題に入り、ベクトルが「張る」という概念を中心にした例題の解き方について解説しました。終わりの方で、今日のレポート課題を配りました。次回の授業の最初に回収する予定です。

2014-04-16

計算機演習(第1回)

今日から計算機演習の授業が始まりました。

昨年度、いくつかの変更点がありましたが、今年度はさらに変更点があります。まず、今年度から、2学期制に対応した新しいカリキュラムに移行しました。授業期間がこれまでの10回(旧1学期間・2モジュール分)から15回(春学期・3モジュール分)に増えました。そこで、前半にはこれまでと同様、数式処理システムMathematicaをやるとして、後半に、新たにプログラミング言語Haskellを導入しました。次に、実施学期も、一昨年までは3学期、昨年度は秋学期ABモジュールでしたが、今年度から、春学期の開講になりました。

今日は、恒例のガイダンスということで、Mathematicaの紹介、単位のとり方などの説明を行いました。ガイダンスに来た学生の人数は45人前後で、昨年の履修者数の65人弱からは20人近くも減っています。いくつかの情報によると、数学類以外の学類では各学類の授業と重複している場合もあるようで、履修者のほとんどが数学類の学生になりました。次回から本格的な授業に入ります。

2014-04-11

線形代数I演習(第1回)

今年度の春学期は、線形代数I演習(地球学類対象)を担当することになりました。

今回は、授業のガイダンスとして、授業の進め方や単位のとり方などを説明した後、最初のレポートを解いて提出してもらいました。毎年恒例の、必要条件、十分条件に関する問題です。次回、内容を解説したいと思います。

数理科学IIA(第1回)

今年も、大学院の春学期の講義「数理科学IIA」を担当することになりました。昨年度の授業では、学生の所属の内訳が、数学専攻が数名で、教育研究科が十何名だったのに対し、今年は、数学専攻が10名強、教育研究科が10名弱で、数学専攻の履修者の数が大幅に増えました。

今年度の授業で扱うテーマは、前半のアルゴリズム、計算量、多項式の拡張Euclid互除法のあたりまでは昨年と同様ですが、後半では、数式・数値融合計算の題材を扱いたいと思います。今日は、ガイダンスとして、授業の進め方、参考書や数式処理システムの紹介を行いました。次回からは多項式の術語や諸概念の確認から始めたいと思います。

2014-01-24

数学類卒業研究発表会 (2014)

平成25年度の数学類卒業研究発表会が開催されました。

今回は、朝9時から夕方5時過ぎまで、今度の春に卒業を控えた4年生40人前後が、卒業研究の研究成果を発表しました。発表会のプログラムは分野別に組まれましたが、情報数学分野が最も人数が多く、午前中、お昼までかかりました。あとの3分野(代数学、解析学、幾何学)は午後に発表が行われました。

私が指導したチームの学生は、3人の共同発表が「Berlekampアルゴリズムとその実装」、あと1人が「Hensel構成による整係数1変数多項式の因数分解について」というタイトルで発表しました。年が明けてからは連日自主ゼミを組み、集中的に準備を行ってきたようでしたが、これまでのセミナーによる勉強の成果と相まって、よく頑張って内容をまとめたと思います。今後は、3月の計算機数学グループの合宿にて行われる卒論発表会に向けて、さらなる研鑽に期待したいと思います。

クラス担任の先生についても、発表会の段取りや予稿集の準備、当日の進行、打ち上げの企画など、たくさんの仕事に敬意を表したいと思います。来年は自分の仕事なんですよね。今年の様子も参考にしながら頑張りたいと思います。

2013-12-09

計算機演習(第9回)

今回は、前回第8回のレポートの締切日でしたが、自由参加のオフィスアワーとし、必要に応じて質問を受けつけたりする時間としました。

全体では、目視で20人前後の参加者がいたと思いますが、それぞれがレポートに取り組んでいるようでした。レポート課題について、TAの人に質問したり、友達と話し合ったりしていた人もいたようです。私自身も、普段よりも余裕を持って学生の人達と会話ができた気がします。

さて、今年の授業を振り返っての私の感想ですが、今年の授業で昨年までの授業と変わったと思った点は、学生達どうし、もしくは学生と指導する私達との授業外での授業に関するオンラインでのやりとりが増えた点です。

特に Twitter については、学生が授業に関する内容をつぶやくということは、昨年までの授業では、少なくとも私が確認した範囲ではほとんどありませんでした。しかし、今年は、多くの人達がつぶやきで授業に言及していたようで、中には私が返信して質問に答えたり、学生の疑問点を解決したりという機会もありました。

授業の e-ラーニングシステムでも、昨年までは授業時間外の質問や連絡がほとんどありませんでしたが、今年は質問や連絡にも使われる機会が出てきました。こうしたコミュニケーションのとり方は、来年以降の授業の上で参考になりそうです。

来年度は、授業時間割、授業のカリキュラム、e-ラーニングシステムが変わり、またいろいろ変化があることと思いますが、履修者の人達が受講してためになるような授業になるよう、来年度も取り組みたいと思います。

2013-12-02

計算機演習(第8回)

今回は授業の最終回となりましたが、Mathematica のプログラミングによるフラクタル図形の描画を行いました。

以上、これでこの授業も終わりですが、来春に開講される「計算機数学I」の講義では、代数計算を中心に、実際の計算を視野に入れた数学の紹介が行われますので、興味がある人はぜひ受講されることをおすすめします。

それから、来年度からは、計算機演習も、2学期制に対応したカリキュラムに移行します。これまでは、3学期制の1学期間に相当する2モジュールの開講でしたが、来年度からは春学期ABCモジュールの半期の開講になります。これに伴い、授業時間数が増えますので、これまでのMathematicaに加え、プログラミング言語の授業が入る予定です。

というわけで、約2か月間のおつき合いでしたがありがとうございました。来週は、今日出題のレポート課題の締切日ですので、質問のためのオフィスアワーとし、担当教員とTAはサテライトで待機しています。

2013-11-25

計算機演習(第7回)

今回は「金融計算」ということで、四捨五入、単利と複利の計算や、元利均等返済などの概念を、年金やクレジットカードの分割払いなどの題材を通して扱いました。

レポート課題では、貨幣の「現在価値」の概念に慣れるまでが大変かもしれませんが、ぜひ頑張って取り組んでもらいたいと思います。

早いもので次回はこの授業の最終回ですが、フラクタル図形の描画を取り上げます。

2013-11-18

計算機演習(第6回)

今回は、Mathematica によるプログラミングの初歩として「ルールベースドプログラミング」すなわち再帰的な漸化式やルールを用いた関数定義によるプログラミングを扱いました。

レポート課題では関数の微分を行う課題を出しましたが、苦戦している人も見受けられました。ぜひ完成できるよう頑張ってほしいと思います。

次回は金融計算の話題を扱います。

2013-11-11

計算機演習(第5回)

今回は、微積分の2回目ということで、不定積分や定積分の計算、微分方程式の解法の話題を扱いました。

それから、後半では、リストの要素の様々な扱い方に触れましたが、これは、レポート課題で扱っている数値積分の計算に関連するものです。台形公式については、初めて学ぶ人もいるかもしれませんが、よく理解した上で計算に取り組んでもらいたいと思います。

次回は初歩のプログラミングの話題を扱います。

2013-11-06

計算機演習(第4回)

今回の授業は、微積分の1回目として、関数の定義、極限値の計算、導関数の計算、Taylor 展開の話題を扱いました。

次回は、微積分の2回目の話題を扱います。

今回の授業は水曜日に行われましたが、レポート提出の締切は通常通り来週の月曜日(11日)となります。普段より少々時間が短いですが、頑張って仕上げてもらいたいと思います。

2013-10-28

計算機演習(第3回)

今回の授業では、Mathematica における「リスト」を紹介し、リストを用いた、線形代数の行列やベクトルの計算を中心に紹介しました。線形代数では、固有値と固有ベクトルを用いた行列の n 乗の計算を取り上げました。

次回は微積分の計算を行う予定です。

2013-10-21

計算機演習(第2回)

今日は第2回の授業ということで、Mathematicaへの入門的な内容ですが、第1回より進んだ内容でした。題材は、連立方程式、グラフィクス、アニメーションなどでました。

アニメーションでは、空間の直線、曲線や曲面のパラメータ表示に対し、さらに時間に依存する変数を加えることによって図形を描画します。空間図形の数式による表現で苦労している人もいたようですが、こうした考察が数学的な思考力を鍛えることにもつながると思いますので、頑張ってほしいと思います。

次回は線形代数に関するテーマを扱います。

2013-10-18

研究集会「数式処理研究と産学連携の新たな発展」のレクチャーノートがオンラインで読めます

先日、 附属図書館に入れていただいた、研究集会「数式処理研究と産学連携の新たな発展」のレクチャーノートの電子版 (PDF) が、このほど、九州大学 マス・フォア・インダストリ研究拠点の web サイトに掲載されました。ぜひご利用ください。

http://gcoe-mi.jp/publish_list/pub_inner/id:2/cid:21

全文公開にご協力下さった著者の皆様、ならびに電子版の作成にご協力下さった九州大学マス・フォア・インダストリ研究所に御礼申し上げます。

2013-10-17

計算機演習(第1回)

今日から、実質的な授業が始まりました。今日は、e-learning システムの使い方と Mathematica の基本的な使い方について一通り説明した後で、第1回の教材に取り組んでもらいました。

昨年の授業の際、今年は全学計算機システムが入れ替わって「たぶん Windows 7 が入るでしょう」という予想を書きましたが、果たしてその通りになりました。今年から稼働している新しいシステムは、Windows の起動に非常に時間がかかるとの評判ですが(そして Mathematica の起動にも案外時間がかかるようです)、4月の導入以来、地道に改善の努力は続けているそうですので、今後の改善に期待したいと思います。

今日は木曜日ですが月曜授業の日で、今日出題の第1回レポート課題の締切は来週10月21日(月)です。通常より締切までの期間が若干短いですが、今回は初回で課題の量や難易度は若干控えめにしているつもりですので、各自頑張って取り組んでほしいと思います。

次回はMathematicaによるグラフィックスやアニメーションなどの話題を取り上げる予定です。

2013-10-07

計算機演習(第0回)

今年も、数学類の授業科目「計算機演習」を担当することになりました。内容は主に数式処理システム Mathematica の体験と実習です。

昨年度までと変わった点は、授業時間の変更です。昨年は火曜日でしたが、今年は2学期制移行による時間割の変更で、月曜日になりました。ただし、数学類では、昨年の新入生(=今年の2年生)までは、昨年度までの3学期制のカリキュラムが適用されるので、授業期間は3学期制の1学期間に相当する、秋学期のA, Bモジュール(10月から12月中旬まで)となります。

もう一つ、私にとって新しかったのは、今度の数学類の2年生の人達と授業で顔を合わせるのは初めての機会だということです。これまでは、何かの授業で、少なくとも一部の人達とは1年生の頃から顔を合わせていましたが、今回は初顔合わせです。これからよろしくお願いします。逆に、数学類以外で昨年度授業を受け持ったクラスの人達とは、久々の再会です。こちらもよろしくお願いします。

今日は、ガイダンスということで、Mathematica の紹介や、単位のとり方などの説明を行いました。実際の授業は、来週から、サテライト端末を使って行います。なお、今日の欠席者で、授業後に連絡を下さった人達には、これから個別に連絡します。

2013-10-03

卒業予備研究 (2014) 募集開始

今年も卒業予備研究の募集をする時期になりました。私は、今年度に引き続き、今年度の卒業予備研究と、来年度の卒業研究を担当することになりました。

私の担当する内容ですが、だいたいは昨年と同じです。今年、これまでの卒業研究を経験して、昨年から追加や変更をした点は次の通りです。

  • 卒業研究のテーマについては、今年度のチームの皆さんが、多項式の因数分解を中心に取り組んでいますので、来年度は当初予定のテーマから外しました。(学生の人達がこのテーマを希望すれば取り上げる可能性はありますが、ひとまず私が最初に用意する手札には含めない、ということです。)それに代わり、今回は量限子消去 (Quantifier Elimination) の話題を含めました。
  • プログラム言語 Java の学習については、今年、共通科目「情報」で開講された Java の授業を受講したので、来年も、スケジュールが合えば、その路線でいこうと思います。

私が担当する内容については以上ですが、今回はもう一つ、クラス担任として、卒業(予備)研究全体をとりまとめる仕事もあります。

卒業研究は、学生が担当教員から1人の先生を選び、その先生のもとで勉強するわけですが、その所属(配属)は以下の手順を経て決められます。

  1. 学生が各先生を訪問したりして、所属を希望する先生を選ぶ
  2. 所属希望調査を行い、第一希望と第二希望を提出(記入)
  3. 希望者が多いところは人数調整
  4. 全員の所属先を決定

こうした所属先の決定をとりまとめるのがクラス担任の仕事です。というわけで、今日は、卒業予備研究のためのガイダンスを開きました。ガイダンスでは、卒業予備研究と卒業研究の制度や所属の決め方について説明します。配布資料には、あらかじめ担当の先生方に書いてもらったシラバスを書いてもらって集め、資料としてまとめます。こうしたシラバスの執筆依頼や資料の編集もクラス担任の仕事です。

そんなわけで、今日の午後に行われた説明会も無事終わり、今年の3年生の卒業予備研究に向けた準備が始まりました。書くのが遅れましたが、今年から2学期制になったため、これまで3学期に行われていた卒業予備研究は、秋学期のB, Cモジュール(11月頭〜1月末)に行われます。所属希望調査の方は今月中に行われ、今月末には決まる予定です。

最後に、昨年同様、卒業研究のシラバスと案内書を作りましたので、リンクを載せておきます。

2013〜2014年度 卒業予備研究・卒業研究 シラバス http://goo.gl/zblWKY
2013〜2014年度 卒業研究案内 http://goo.gl/IizCt6

2013-10-01

研究集会「数式処理研究と産学連携の新たな発展」のレクチャーノートが附属図書館 web サイトにて紹介されました

去る8月に開催した研究集会「数式処理研究と産学連携の新たな発展」では、研究発表をまとめた予稿集を、九州大学よりレクチャーノートとして出版していただきました。

このたび、レクチャーノートを筑波大学附属図書館に寄贈し、附属図書館の学生向け web サイト「週5図書館生活、どうですか?」にて、教員の著作として紹介していただきました。その際に寄せましたコメントを転載します(元記事へのリンクは末尾をご覧下さい)。

【本の情報】

『数式処理研究と産学連携の新たな発展 : マス・フォア・インダストリ研究所共同利用研究集会II (COE lecture note : Kyushu University:v. 49. MI lecture note series)』. 九州大学マス・フォア・インダストリ研究所/九州大学大学院数理学研究院[グローバルCOEプログラム「マス・フォア・インダストリ教育研究拠点」] , 2013.8【分類418-Te76】

【コメント】

本書は、2013年8月21日から23日にかけて、九州大学伊都キャンパスで開催された研究集会「数式処理研究と産学連携の新たな発展」(https://sites.google.com/site/imidcar2013/) での研究発表をまとめた予稿集です。

「数式処理」は「数値計算」に比べてまだなじみが薄く、ご存知でない方もいらっしゃるかもしれません。「数値計算」が計算機で数値からなるデータを扱うのに対し、「数式処理」は、多項式や方程式といった「式」を直接計算機で扱います。本学の全学計算機システム(サテライト端末)にも「Mathematica」をはじめとする数式処理システムがいくつか入っていますので、興味がある人は使ってみてください。

さて、数式処理は、この30年くらいで大きな理論的発展を遂げ、応用も徐々に広まっていますが、欧米などに比べると、日本での産業界への浸透はまだ遅れていると思われます。そこで、この研究集会は、国内における数式処理の産業への応用や産学連携の促進を目的として開催しました。

研究集会では、海外や国内で数式処理の産業への応用を先んじて行っている方々を招き、それらの事例についてお話しいただきました。それから、国内の(若手の人達を中心とする)数式処理の研究者による研究成果を紹介してもらうとともに、数式処理を活用している、もしくは活用したいと思っているような応用分野の方々との情報交換を行いました。

本書では、招待講演2件、一般講演16件を収録しており、招待講演では数式処理の医療技術や自動車産業への応用、一般講演では、おそらく世界初となる17次の判別式の計算から、ルービックキューブや数独パズルの解析まで、数式処理の理論や応用の多岐にわたるテーマをカバーしています。

皆さんにも、本書で、数式処理の応用に向けた日本発の取り組みについて知っていただければ幸いです。さらに興味を持った人は、ぜひ一緒に数式処理のおもしろさを学び、新たな応用の世界を探求してみましょう!

レクチャーノートは、中央図書館に収蔵され、貸出可能になっていますので、ぜひご覧下さい。私の手元にも、数部残部がありますので、興味がある方はご連絡ください。

教員著作紹介コメント(照井章先生) http://www.tulips.tsukuba.ac.jp/w5lib/?p=3364
週5図書館生活、どうですか? | 筑波大生のための図書館Webサイト http://www.tulips.tsukuba.ac.jp/w5lib/

2013-09-17

卒業研究 (2013) 夏休み集中セミナー

今年度から、本学の学年歴が、それまでの3学期制から2学期制に変わりました。それに伴い、夏休みも、昨年まで7月と8月だったのが、今年から1か月繰り下がって8月と9月になりました。現在は、夏休みもあと半月弱を残すところです。

今年度の卒業研究のセミナーは、夏休み後半の9月に集中セミナーを入れました。今日も朝からセミナーでしたが、昨日は私の誕生日でした。私としては、誕生日は昨日の事と思っていましたが、チームの学生の皆さんがお祝いして下さいました。ありがとう!おかげさまで、今日は朝からおいしいスイーツをいただいてからのセミナーとなりました。(今回のようにケーキが出るのは稀ですが、普段からセミナーにはコーヒーとお茶菓子を常備しています。)

さて、夏休み中のセミナーは、9月の毎週火曜日、午前中と午後に入れています。午前中は10時から、計算代数の中から、多項式の因数分解のアルゴリズムを学んでいます。午後は、春学期から学んできたプログラミング言語 Java の勉強で、こちらは各自が机を合わせて(というか、大きなテーブルにまとまって)それぞれのペースで学びながら、互いに教えあったりする形をとっています。

Java の実習に使う計算機環境も、皆さんそれぞれです。基本的には、昨冬から使っている Ubuntu (Linux) を使っていますが、昨冬の卒業予備研究で作成した USB メモリから起動する Ubuntu を使う他、仮想化ソフトウェア VMWare で仮想マシンを作成し、そこに自力で Ubuntu をインストールして使っている人もいます。Java の開発環境は Eclipse を使っています(春学期に受けた共通科目「情報」から継続して使っています)。

各種ソフトウェアのインストールや設定は、昨冬の卒業予備研究の時は最初の機会でしたので、私が詳細なドキュメントを作って説明しながら進めましたが、現在は、学生間で教えあったりしながら、各自がほぼ自力で進めています。私が登場するのは、通常の作業手順にないトラブルなどが発生したときです。

午前と午後のセミナーの合間には、一同でランチに出かけます。先々週は焼肉店、先週は中華料理、今日はインドのカレー屋さんと、みんなでいろいろな味を食するのも楽しみの一つです。

午後のセミナーは午後4時過ぎにお開きになりますが、その後も、秋の大学院入試を受ける人が夕方まで院試対策に勤しんだり、皆さんそれぞれ頑張っているようです。

夏休みのセミナーはあと来週の1回を残すのみとなりました。休みが明けるとだんだん卒業研究モードになっていくと思いますが、卒業研究に向けて、数学と Java の基礎知識の仕上げに努めたいと思います。あと、来週にはチームでの飲み会も予定しています。これまで、計算機数学グループの懇親会はありましたが、チームの飲み会は、なかなか機会がありませんでしたので、今回が初めてです。こちらの方も楽しみにしながら、セミナーを頑張りたいと思います。

2013-09-09

筑波大学数学教室の YouTube チャンネル「つくば数学チャンネル」を開設しました

タイトルにあります「数学教室」は、正確には学部組織の「理工学群 数学類」、大学院の「数理物質科学研究科 数学専攻」、そして教員組織の「数理物質系 数学域」に分かれていますが、筑波大学の数学の組織から情報を発信するための YouTube チャンネルを開設しました。

つくば数学チャンネル (Tsukuba Math Cannel)
http://www.youtube.com/user/tsukubamath/
筑波大学 数理物質科学研究科数学専攻
数学専攻トピックス:数学専攻 オープンキャンパス(大学院説明会)の講演録画を公開(2013年9月9日)
http://nc.math.tsukuba.ac.jp/jotc36kfy-195/#_195

今回、開設のきっかけになったのは、大学院のオープンキャンパス(説明会)の模様の紹介です。

オープンキャンパスの際に行われる数学専攻説明会では、数学専攻の概要と、各研究分野の紹介を行っています。数学専攻の概要説明では、数学専攻の教育目標、カリキュラム、施設、進路状況などを紹介しています。各研究分野の紹介では、各分野の特徴や、指導教員の研究内容を紹介しています。
(上記記事より)

大学院への進学を目指す人にとっては、大学院の様子や教育・研究内容について、このように詳しく知ることのできる機会は貴重ではないかと思います(ついでに、オープンキャンパスの際は、上記の説明会の後に、大学院生の人達との懇談会もあり、そちらも大学院の内情を知る上でよい機会ではないかと思います)。それから、分野紹介では、各分野の教員と専門分野が一通り紹介されるので、筑波の数学でどのような研究が行われているか、どのような分野の数学を学ぶことができるかを知る上で、一般の人にとっても有益な情報ではないかと思います。

今回の動画公開にあたっては、私が、講演者の先生方と(私自身も昨年の情報数学・数理科学分野の紹介を行い、今回の録画の公開に加えましたが)、数学専攻学務委員(大学院の教務主任)の先生の協力を得て、準備を進めてきました。専攻内には、こうした形の情報公開についていろいろな意見があるので、今回は、オープンキャンパスに限っての動画公開が数学専攻で承認されました。今後も、当面の間、動画公開にあたっては、案件毎に承認を得て進めることになると思いますが、これからも、新しい形での情報発信の可能性を探りたいと思います。

2013-08-29

研究集会「数式処理研究と産学連携の新たな発展」

先週になりますが、8月21日から23日にかけて、研究集会「数式処理研究と産学連携の新たな発展」が、九州大学伊都キャンパスにて開催されました。

この研究集会は、もともと、京都大学数理解析研究所にて、RIMS共同研究「数式処理研究の新たな発展」として、例年7月に行われているものです。今回は、九州大学マス・フォア・インダストリ研究所 (IMI) の共同利用研究の一つとして、九州大学で行われました。

RIMSの場合もそうですが、「共同利用研究」とは、研究所が数学のいろいろな分野(IMI は特に産業と結びつくような数学に重点を置いています)の研究の発展を支援することを目的として、「研究集会」や「短期共同研究(数人程度の研究者が集中的に議論をすること)」の提案を募り、選定された事業(研究集会やセミナー)に対して、場所や資金の援助をするものです。IMI の共同利用研究の場合は、開催場所の提供、講演者への旅費の援助、レクチャーノート(予稿集)の出版といった援助を受けられます。

今年は、諸事情により、私が研究代表者を仰せつかり、年始に研究集会の応募を行いました。そして、幸いにも春先に採択され、これまで準備を進めてきました。

IMI の研究集会は、産学連携を推進する立場から、「組織委員会の委員と講演者とには,それぞれ産業界からの参加を必須と」することと、「国際化の推進のため,招待講演者として外国人を1名以上含めること」という条件がありました。日本においては、数式処理は数値計算に比べると一般的に認知度が低く、産業界で数式処理が使われるというのはまだ少ないと見ています。そこで「数式処理の理論を産業に応用しようという先進例」と「現場のエンジニアの方が積極的に数式処理を使おうという試み」という立場から、第一人者の方々を招いてお話してもらうことにしました。

「数式処理の理論を産業に応用しようという先進例」では、Wen-Shin Lee さん(ベルギー・アントワープ大学)に「関数補間の信号処理への応用」という内容でお話いただきました。「関数補間」は、いくつかの測定データから、もとの関数を求めるという計算です。Wen-Shin さんらの研究グループが行っているのは、これを医療などの信号処理に役立てようというものです。医療現場では、脳波など、いろいろな生理学的な測定データからなる信号が作られ、それらが人体に取り付けられたセンサから測定機に送られます。最近は無線で信号を伝えることも多いですが、測定データがたくさんあると、それだけ信号の伝送にも時間がかかり、機器の消費電力もかさみます。そこで、測定データを適切な関数で表すことで、信号の伝送量を節約し、電気も節約しようというのです。

これは、日本の数式処理屋にとってはいくつもの点で驚きです。まず、医学の分野で数式処理が応用されるというのは、少なくとも日本ではこれまで聞いたことがありません。次に、信号処理への応用も、日本ではまだあまりなじみがありません。すでにやられている方もいるかもしれませんが、少なくとも日本の数式処理の研究者の間ではほとんど知られていないと思います。こういう点から、数式処理の産業への応用例として、非常に参考になりました。

「現場のエンジニアの方が積極的に数式処理を使おうという試み」では、伊藤久弘さん(トヨタ自動車)に「数式処理のエンジン制御系設計への活用に関する課題と期待」という内容でお話をいただきました。現場のエンジニアにとっては、数式(文字を含む式)を直接扱うことのできるソフトウェアが役に立つこと、燃焼の化学反応などは、ある時間を固定すれば最適な設計パラメータが得られるが、これを時間の推移とともに次々に求めるにはまだまだ現在の計算法やソフトウェアの技術は不足であること、これらの問題を解決するために、今後の数式処理の理論やソフトウェアの発展に期待が集まっていることなどが話されました。数式処理を実際に使う立場からの要望として、非常に参考になったと思います。

研究集会では、これらの招待講演のほかに、16件の一般講演も行われました。内容も、数学への応用から、数独やルービック・キューブの話題まで、多岐にわたり、質疑応答も活発に行われました。

この研究集会は、例年、比較的小規模に行われていますが、今回は、最大で35人程度の人達が集まり、活況を呈していました。参加された皆様に御礼申し上げます。今後も、数式処理の活用の場がより広がるよう、活動を続けたいと思います。なお、予稿集は、九州大学より「MIレクチャーノート」の1冊として刊行され、今後、オンラインでも公開される予定です。

2013-08-07

研究集会「数式処理研究と産学連携の新たな発展」開催と参加のご案内

以前、お知らせした研究集会ですが、いよいよあと2週間程で開くことになりました。

下記の通りお知らせいたします。つきましては、皆様ふるってご参加下さいますようご案内申し上げますとともに、関係各位に広くお知らせいただければ幸いです。


九州大学 マス・フォア・インダストリ研究所 共同利用研究集会

数式処理研究と産学連携の新たな発展

https://sites.google.com/site/imidcar2013/
2013年8月21日(水)~23日(金)
九州大学伊都キャンパス センター2号館 2310室(福岡市西区元岡744)


研究集会のあらまし

本研究集会は、これまで毎年夏に京都大学数理解析研究所にて開催されてきた RIMS 共同研究「数式処理研究の新たな発展」のシリーズの一つですが、今年は、九州大学 マス・フォア・インダストリ研究所 (IMI) の共同利用研究として、数式処理研究の産学連携や産業界への応用を特に視野に入れて開催します。

今回は、数式処理の産業への応用研究や、産業界における数式処理システムの活用事例と数式処理への期待と課題などについて、海外および国内の招待講演者によるチュートリアルセッションを企画しています。

一般講演の方は、制御系設計といった数式処理の産業への応用をはじめとして、数学における数式処理の利用、ソフトウェア、教育など、数式処理の理論、実装、応用に関するさまざまな取り組みに関する研究発表が予定されています。

参加申し込み

参加費、事前参加申し込みは不要で、どなたでも参加できます。

プログラム

プログラムは、研究集会 web サイトに日本語版、英語版のPDFファイルを置いてありますので、ご利用ください。
https://sites.google.com/site/imidcar2013/program

「情報交換」のセッションについて

研究集会2日目、8月22日の最後に「情報交換」のセッションがあります。 これは、数式処理や計算代数に関連した研究会等の開催に関する情報提供やアナウンスを行うものです。

アナウンス時間は、原則として1件につき数分(~5分程度)とさせていただき、内容に関しては、大学の研究集会であることから、原則として非営利目的のものに限らせていただきますので、ご了承ください。(ご不明な点がございましたらご相談ください。)

アナウンスには講演同様プロジェクタを利用できます。チラシも(通常ですと)会場内に置くスペースがあると思います。

もし、このセッションでの宣伝等をご希望の場合は、簡単な内容を添えて、組織委員連絡先 dcar2013 at math.tsukuba.ac.jp までご連絡下さい。

もちろん当日飛び入りでもかまいませんが、もしあらかじめアナウンスを予定されている場合はご連絡いただければ、当方の段取りの上で助かります。

懇親会の開催について

以下の要領で、懇親会の開催を予定しています。

  • 日時:8月22日(木)(第2日目)日程終了後(上記の「情報交換」セッションの後)
  • 場所:天神地区周辺

つきましては、参加予定の方は、8月16日(金)までに、組織委員の横山俊一(連絡先はホームページを参照)までご連絡いただければ幸いです。(当日参加も可能です)

その他、何かございましたら、組織委員連絡先 dcar2013 at math.tsukuba.ac.jp までご連絡下さい。

以上、よろしくお願いいたします。

照井 章(研究代表者; 筑波大学)

2013-07-31

数理科学IIA(第15回)

今回は、この授業の最終回でしたが、前回までに証明した「部分終結式の基本定理」を踏まえ、(拡張)Euclid 互除法による多項式剰余列計算の際に起こり得る係数膨張を抑える方法の一つとして、Collins (1967) による「縮小 PRS 算法」を紹介しました。

  • George E. Collins. Subresultants and Reduced Polynomial Remainder Sequences. Journal of the ACM, Volume 14, Issue 1, 128-142, 1967. doi: 10.1145/321371.321381

縮小 PRS 算法による係数膨張の抑制の仕組みを説明した上で、数式処理システム Mathematica を用いて例題を計算し、擬剰余による PRS と縮小 PRS での係数膨張の程度を比較しました。

以上でこの授業を一通り終えました。この授業では、計算代数の基礎を取り上げ、多項式演算、アルゴリズム、計算量といった、現実の計算を考慮する上で必要な概念を説明しました。今後も皆さんの学習に役立てていただければ嬉しく思います。

なお、今回、本授業最後となるレポート課題を出題しました。それから、今回のレポート課題には、今日の授業の内容が必要ですが、今日は学会参加等で授業を欠席している人もいましたので、今回のレポート課題と授業資料を PDF ファイルにして配布します。

授業サポートページ:https://www.math.tsukuba.ac.jp/~terui/ms2a-2013

2013-07-30

線形代数I(第28回)

今回は、この授業の最終回になりましたが、前々回の授業で証明を説明しきれなかった部分(線形写像の核が部分空間をなす、等)の説明と、線形写像の像と核を計算する例題を説明し、この授業を終えました。

最後に、この授業を終えるにあたってのコメントですが、普段、授業でこういった話をすると、しばしば話にまとまりがなくなるものですが、今回、珍しく、授業の最後にまとまった話ができましたので、抜粋して引用します。(録画では 49分00秒 頃からです。)

これで、春学期の線形代数Iの範囲は一通り終わりました。分量の割に時間の制約もあったりして、本来説明したいと思うこと全部は説明できませんでしたが、この授業で説明したいと思った内容は、講義ノートの方に書きましたので、今後も必要に応じて参照していただければと思います。

この授業で、線形代数の基本的な事項を説明すると同時に、数学において、どのように問題を解くかや、どのような道具立てで現代の数学が成り立っているか、といった基本的な部分について(説明したつもりですので)、少しでも皆さんに知っていただければ嬉しく思います。

今後、皆さんが数学に触れる機会は、人によってはもうほとんどないかもしれませんし、人によってはまだあるかもしれませんが、線形代数は、微積分と並んで、現代の科学技術が発展した社会において、どこでも使われている道具(の一つ)ですので、皆さんがこれから社会に出たり勉強を続けたりする中で、また(線形代数が)必要になりましたら、線形代数の教科書やノートを広げてほしいと思います。

この講義も一通りビデオ収録しまして、(今後)何事もなければ、収録した録画もずっと(今のまま)置いているつもりですので、また(線形代数を)復習したくなったり、あるいは照井の話を聞いてみたいと... ないかもしれませんが(笑)... 思った時には、戻ってきていただければありがたいと思います。

ということで、皆さん、これから大学生活が続くと思いますが、ますますのご活躍を祈りまして、それから(今度の)試験の成功も祈りまして、この授業を終わりにしたいと思います。ありがとうございました。

授業サポートページ:https://www.math.tsukuba.ac.jp/~terui/la1-2013

2013-07-26

線形代数I(第27回)

今回は「線形結合と部分空間」ということで、いくつか(とりあえずここでは有限個)の数ベクトルの線形結合全体のなす集合が、もとの数ベクトル空間の部分ベクトル空間をなすこと、2つの数ベクトル空間 A, B と、A から B への線形写像 f が与えられたときに、A のすべての基本ベクトルを f で移したベクトル達が、f の像空間 Im f を生成するという事実(定理)を説明しました(証明つき)。それから、付録として、数ベクトル空間の基底と次元について説明しました。

次回は最終回ですが、前回の授業で時間が足りなくなって説明できなかった、定理の証明の一部と例題を説明したいと思います。

なお、本授業の期末試験は、来週8月2日(金)に実施します。要項は授業のサポートページに書きましたので、履修者はよく確認してください。

授業サポートページ:https://www.math.tsukuba.ac.jp/~terui/la1-2013