2013-07-23

線形代数I(第26回)

今回は、まず前回の線形写像に関する例題を解説した後、線形代数の像と核の定義を説明しました。 その後、像と核が部分空間をなすという性質の証明を始めましたが、時間が足りなかったので、像の部分の証明で終わりました。

次回までに第5章を一通り終える予定のため、次回は次節の「ベクトルで張られる部分空間」について説明し、本節の証明などで説明が残った部分は、次回と次次回の授業で、時間が許す限り取り上げる予定です。

授業サポートページ:https://www.math.tsukuba.ac.jp/~terui/la1-2013

2013-07-19

線形代数I(第25回)

今回は、線形写像と行列について学びました。具体的には

  • (m, n) 行列が数ベクトル空間 Kn から Km への線形写像を与えること
  • Kn から Km への線形写像は n 個の基本ベクトルがどう移されるかを決めることで与えられること
  • Kn から Km への線形写像を、ある (m, n) 行列で表せること
について学びました。

次回は、線形写像の像と核と呼ばれる部分集合(部分空間)について学びます。

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2013-07-17

数理科学IIA(第14回)

今回は、前回残った「補題2」の証明を終えた後、「部分終結式の基本定理」の証明を一通り終えました。

来週7月24日(水)は月曜日の授業のため、この授業はありません。再来週7月31日(水)がこの授業の最終回となります。次回は、部分終結式の基本定理を用いて、多項式剰余列を計算する際に起こり得る係数膨張を防ぐ工夫について説明する予定です。

2013-07-16

線形代数I(第24回)

今回は、まず、第4章「行列式の発展」の締めくくりとして、固有ベクトルの定義と「クラメールの公式」を説明しました。

それから第5章「数ベクトル空間と線形写像」に入りました。教科書では、線形写像の説明から初めていますが、今回は、その前段階として、数ベクトル空間の定義や、部分空間の定義を説明しました。

次回からは、教科書の内容に沿って、線形写像から説明する予定です。

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2013-07-12

線形代数I(第23回)

今回は、第4章「行列式の発展」から

  • 多項式の定義、多項式と方程式の違い
  • 固有多項式、固有方程式
  • ハミルトン・ケーリーの定理
  • 固有値
を説明しました。あと、固有ベクトルの導入まで説明しましたが、定義には至りませんでした。

次回は

  • 固有ベクトルの定義
  • クラメールの公式
について説明した後、次の第5章に進みたいと思います。

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2013-07-10

数理科学IIA(第13回)

今回は「部分終結式の基本定理」の証明に向けた最初の補題である「補題1」の証明の後半部分を行った後、次の「補題2」の証明のほとんどの部分を行いました。

次回は「補題2」の証明の残りの部分を行った後、「部分終結式の基本定理」の証明を行いたいと思います。

2013-07-09

線形代数I(第22回)

今回は、正方行列の余因子や余因子分解について解説し、余因子を用いて逆行列の計算を行う公式(定理)を説明しました。そして「ファンデルモンドの行列式」を説明し、第3章の内容を終えました。

次回は、第4章「行列式の発展」から、重要と思われるトピックを選んで解説したいと思います。

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追記(7月12日):授業を収録し、編集後の動画に意図しないコマが割り込む不備が見つかり、動画のエンコードをやり直しています。動画の公開にはもう少し時間がかかる予定です。

追記(7月18日):動画を再エンコードしましたが、不備は変わらないようです。授業内容には影響ありませんので、そのまま公開します。

2013-07-05

線形代数I(第21回)

今回は、行列式の性質を、特に行列式の計算に有用なものを中心に説明しました。

次回は、正方行列の余因子や余因子分解について解説し、余因子を用いた逆行列の計算などについて説明する予定です。

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2013-07-03

数理科学IIA(第12回)

今回は、部分終結式を1つの行列式で表す表現について説明した後、「部分終結式の基本定理」の証明に向けて、最初の補題の証明に入りました。

次回は、この補題の証明の残りの部分から先へ進めていく予定です。

2013-07-02

線形代数I(第20回)

今回はまず、2次や3次の行列式の計算に欠かせない「サラスの公式」を説明した後、「置換行列」の定義や構成について説明し、最後に行列式に関するいくつかの性質(「上三角行列の行列式の値は対角成分の積に等しい」など)を説明しました。

次回は今回に引き続き、行列式に関する(特に行列式の計算において有用かつ重要な)性質を紹介する予定です。

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2013-06-25

線形代数I(第19回)

今回は、置換の中でも特に重要な概念の一つである「奇置換」「偶置換」について説明し、最後に行列式の定義を行いました。

次回は、行列式の基本的な性質や、置換行列について説明する予定です。なお、今週金曜日の6月28日の講義は出張のため休講とし、次回は7月2日に行います。

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2013-06-21

線形代数I(第18回)

今回は、置換の話題の続きとして、置換の積、逆置換、互換を導入し、互換とあみだくじの関連性も交えながら説明しました。

次回は、行列式の導入において重要な、置換の符号、偶置換、奇置換の話題を説明し、行列式の定義に進む予定です。

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2013-06-19

数理科学IIA(第11回)

今回は、前回に引き続き、例題を用いて、多項式剰余列の各要素の係数が、与えられた2つの多項式からどのように導かれるかを調べました。その上で、1変数多項式の「部分終結式」の定義を行いました。

来週6月26日は私が出張ですので休講となり、次回の授業は7月3日となります。次回以降は、部分終結式を1つの行列式で表す表現を導入した上で、「部分終結式の基本定理」を証明するための準備に入る予定です。

2013-06-18

線形代数I(第17回)

今回は、まず、前回の行列式の紹介の際に説明した「符号つき面積」で残った部分を説明しました。それから「置換」の説明に入りました。今回は「巡回置換」の定義まで行いました。

次回は、置換の積や、置換とあみだくじの関係などを説明しながら進む予定です。

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2013-06-14

線形代数I(第16回)

今回は、まず、連立1次方程式の解が一意的に存在する条件や、斉次連立1次方程式の解と係数行列の rank の関係について説明しました。

引き続いて「行列式」の話題に入りました。まずは行列式の紹介ということで、平面ベクトルによって張られる平行四辺形の「符号つき面積」との対応づけで行列式の性質を説明しましたが、今日は途中で終わりました。

次回はこの説明の残りを行った後、「置換」の説明に入る予定です。

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2013-06-12

数理科学IIA(第10回)

今回は、部分終結式の導入の第1弾として、1変数多項式の擬剰余の係数が、与えられた2つの多項式からどのように導かれるかを、例題を用いて調べました。

次回は、同じく第2弾として、多項式剰余列を例に取り上げ、多項式剰余列の各要素の係数が、与えられた2つの多項式からどのように導かれるかを調べる予定です。

2013-06-11

線形代数I(第15回)

今回は、行列の階数を定義し、階数に関する性質を一通り説明した後、連立1次方程式の解の存在性や個数が、係数行列の階数と深く関わっていることを、定理を証明しながら説明しました。

次回は、斉次連立1次方程式などと係数行列の階数との関係に触れてから、次章の「行列式」に進みたいと思います。

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2013-06-07

線形代数I(第14回)

今回は、連立1次方程式の話題の延長として、数ベクトル空間の基底の個数の一意性などについて説明した後、行列の列変形と階数 (rank) の話題に入りました。今回は、簡約階段行列に対する列変形を行うことで、行列の階数標準形を導き、与えられた行列の階数標準形が一意に定まる事実などに触れました。

次回は、今回の話題を踏まえて、行列の階数を定義し、階数の性質を確認した上で、行列の階数と連立1次方程式の関係について議論する予定です。

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2013-06-05

数理科学IIA(第9回)

今回から、多項式剰余列を計算する際の係数膨張を防ぐための方法に関する話題に入りました。

多項式剰余列を計算する場合、擬除算などを用いると、計算される多項式剰余の係数がどんどん大きくなることがあります。ところが、これらの係数には共通な因子があり、しかもそれらは、多項式剰余の定義に応じてある規則に従って増えていきます。この規則を調べることにより、わざわざ係数の GCD を計算しなくても、共通な因子を計算して多項式から取り除くことができます。この規則を知る手がかりになるのが「部分終結式の理論」です。

今回はまず、多項式剰余列を計算する際に起きる係数膨張の例を、数式処理システム Mathematica で実際に多項式剰余列を計算しながら説明しました。後半では、今後の準備として「終結式」や「判別式」の定義を説明しました。

次回からは、擬除算や多項式剰余列の計算の際の係数膨張の様子を例題を通して見つつ、部分終結式の導入につなげたいと思います。

2013-06-04

線形代数I(第13回)

今回は、前回の続きとして、連立1次方程式の解の個数や表現に関する定理の証明の概要を説明しました。その後、斉次連立1次方程式の定義と性質、基本解について説明しました。

次回は、ベクトルの集まりが線形従属になる条件や、数ベクトル空間の基底に関する性質などについて説明します。

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2013-05-31

線形代数I(第12回)

今回は、前回最後の方で説明したいくつかの定理を復習の後、逆行列の計算について説明しました。ここは、教科書の例題を、数式処理システム Mathematica の計算でデモンストレーションしながら説明しました。

その後、連立1次方程式の話題に入りましたが、今回は係数行列をはじめとする術語の説明で時間がきましたので、ここで終了となりました。

次回は、連立1次方程式の解の個数や表現を、係数行列からどのように調べるかという話題から話を続けたいと思います。

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2013-05-29

数理科学IIA(第8回)

今回は、前回の授業の続きで、拡張 Euclid 互除法の余因子 (cafactor) の次数上限の証明と、余因子の一意性の証明を行いました。そして、拡張 Euclid 互除法をアルゴリズムの形で提示して時間となりました。

次回からは、多項式剰余列計算の際に生ずる係数膨張などの問題点を紹介し、その対策の話題に入りたいと思います。

2013-05-28

線形代数I(第11回)

今回から教科書の第2章に入りました。今回は、行列の行変形、および、行変形による簡約階段行列への変換について説明しました。

授業の最後に、行変形の計算例を、数式処理システム Mathematica で実際に計算しながら説明しましたが、時間が十分でなかったため、デモンストレーションの前の定理の説明が一部不十分になったと思いますので、次回適宜復習しながら進めたいと思います。

次回は、今回の簡約階段行列に関する性質を復習し、逆行列の計算や連立1次方程式の話題に進みたいと思います。

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2013-05-24

線形代数I(第10回)

今回は、前回の「特殊な行列」の話題の残りの部分から入りました。まず、教科書の例題として「すべての正方行列は、対称行列と交代行列のわに一意的に表される」性質を紹介し、つづいて上三角行列と下三角行列の定義を行いました。

後半では、正則行列と逆行列の定義を説明し、「正則行列の積もまた正則行列」や「正則行列の転置行列もまた正則行列」といった性質を紹介しました。

今回で、教科書の第1章「数ベクトルと行列」による道具立ての準備は終わりとし、次回から、教科書第2章「連立1次方程式と行列」にて、連立1次方程式と行列の関係を見ていきたいと思います。

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2013-05-22

数理科学IIA(第7回)

今回はまず、前回の時間にシステムの不具合でできなかった、MathLibre 2013 のデモンストレーションを行いました。今度はシステムが無事起動し、ひとまず、ソフトウェアの紹介ページを紹介して(くどいですが)説明しました。

その後、Euclid の互除法について、前回、証明が途中までで終わった "GCD recursion theorem" の証明の残りを説明しました。後半では、拡張 Euclid 互除法の説明に入りました。拡張 Euclid 互除法の定理の証明は、余因子 (cofactor) の次数に関する性質の証明の途中まで行ったところで、今日は時間になりました。

次回は、拡張 Euclid 互除法の定理の残りの部分を説明し、同アルゴリズムの説明を行う予定です。

2013-05-21

線形代数I(第9回)

今回は、特殊な行列として、転置行列、対称行列、交代行列、対角行列、スカラー行列を紹介しました。授業の後半では、教科書の例題により、ある条件をみたす行列がスカラー行列になるという命題を説明しました。

次回は行列のブロック分割について説明し、時間に余裕がありましたら、正則行列の説明を行う予定です。

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2013-05-17

線形代数I(第8回)

今回は、行列の積(乗算)の定義から始めました。そして、行列の積の結合法則の証明を、3行3列の場合を例に取り上げて行いました。

次回は、転置行列や対称行列などの特殊な行列と、それらに特有の性質を紹介します。

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2013-05-15

数理科学IIA(第6回)

今回から、1変数多項式の最大公約子 (GCD) の話題に入りました。今年度の授業の残りの時間はこの話題が中心になると思います。

今回は、Euclid の互除法のアルゴリズムと、Euclid の互除法の理論的根拠を与える "GCD recursion theorem" を紹介し、同定理の証明の前半を説明して終わりました。

授業時間の残り5分程度で、最初の時間に配った MathLibre 2013 DVD のデモンストレーションを行おうとしましたが、DVD がうまく起動しませんでしたので、授業はそのまま終わりとしました。授業終了後、パソコンの電源を切ってもう一度電源を投入すると DVD が起動しましたが、デモンストレーションは次回行いたいと思います。

次回はMathLibre 2013 DVD のデモンストレーションを行うとともに、今日の定理の証明の続きを行い、 拡張 Euclid の互除法に進みたいと思います。

2013-05-14

線形代数I(第7回)

今回は、行列の定義から始めました。行列の定義と用語を順次説明し、行列の和とスカラー倍を定義しました。

そして、行列の積の定義を行う前に、和の記号について説明したところで時間となりました。和の記号(Σ)は高校数学からなじみ深いと思いますが、インデックスのとり方の表記として、自然数の部分集合などからインデックスをとってくる表記法は、まだなじみが薄い人もいると思うので、この機会に慣れるとよいのではないかと思います。

教科書にある、行列の和とスカラー倍に関する性質は、の証明は、数ベクトルにおける証明と同様ということで、時間の都合で省略しました。講義ノートの方には記載していますので、適宜参考にしてほしいと思います。

今回はレポート課題を出題しました。締切は次回5月17日の授業時です。次回は行列の積の説明から入ります。

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2013-05-10

線形代数I(第6回)

今回は、前回に引き続き、複素数の説明から始めました。授業の前半では、偏角と、四則演算のうち除算を除く演算の定義を説明しました。それから、オイラーの公式(特に「オイラーの等式」も含めて)の紹介を行いました。

授業の後半では、n項数ベクトルの定義や演算などの説明を行いました。これらは基本的に、以前説明した平面ベクトルの定義や演算などと同様であるため、説明の詳細は省きましたが、本来説明したかった内容は講義ノートの方に書いてあります。

今回は行列には至りませんでした。次回は行列の定義から始める予定です。

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2013-05-08

数理科学IIA(第5回)

今回は、計算量の表記法について説明した後、1変数多項式の四則演算の計算量解析について説明しました。

今回、計算量の基本とした演算は、係数どうしの加減乗除で、これを伴わないような単項や多項式の和は除きました。この辺は、計算機における多項式の内部表現と合わせて議論する必要があると思いますが、ひとまず単純な解析をしています。なお、擬剰余の計算量解析をレポート課題にしました。

次回からは1変数多項式に対する拡張 Euclid の互除法を扱う予定です。

2013-05-01

数理科学IIA(第4回)

今回は、1変数多項式の四則演算のアルゴリズムの続きで、減算、乗算、擬除算の定義を行いました。それから、計算量の紹介をちょっと行ったところで時間になりました。

次回は計算量の評価の際に現われる O 記号の定義について説明した後、これまでに授業で定義した、1変数多項式の四則演算のアルゴリズムについて、それらの計算量を見積もる予定です。

2013-04-30

線形代数I(第5回)

今回は、まず内積に関する公式の証明を行いました。教科書の証明をより一般的な状況で考える必要があることが、自分が予習をやっていてわかりました。

引き続いて複素数の説明に入りました。複素数の説明では、複素数の定義を行い、複素平面を考えることにより、複素数と平面ベクトルを対応づけることができることを説明しました。

次回は複素数の後半として、偏角の定義や四則演算を説明し、それから一般の数ベクトル空間を紹介して、行列の定義に進む予定です。

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2013-04-26

線形代数I(第4回)

今日は「任意の平面ベクトルがそれらの線形結合で表されるようなベクトルはどのようなものか?」という疑問から、平面ベクトルの線形独立(1次独立)の概念の導入を行い、ついで平面ベクトルの基底の定義を説明しました。それから、残りの時間で平面ベクトルの内積の定義を行い、内積に関する公式を提示したところで時間となりました。

次回は内積に関する公式の証明を行い、複素数の説明に進む予定です。

授業サポートページ:https://www.math.tsukuba.ac.jp/~terui/la1-2013

2013-04-24

数理科学IIA(第3回)

今回はまず、アルゴリズムの基本的な事項として、アルゴリズムの要件と記法、制御構造について説明しました。後半では、1変数多項式の四則演算をアルゴリズムの形で書き下すことにし、今回はまず加法のアルゴリズムについて説明しました。

次回は、今回に引き続き、1変数多項式の四則演算のうち、減算からアルゴリズムの形で書き表すことについて説明します。

2013-04-19

線形代数I(第3回)

今日は、まず平面ベクトルの「生成」(「張る」ともいう)という言葉を定義した後、平面ベクトルの幾何的意味づけをするために、平面上の有向線分と平面ベクトルの対応づけについて説明しました。

普段は平面上の矢印をベクトルとして扱っていると思いますが、本来、平面上の有向線分は、図形として平面ベクトルとは関係をもたないものと見ることができますので、それらの対応を定義として与えることにより、平面上の有向線分と平面ベクトルを同じように扱うことができるようになります。これを経て、最後に、平面ベクトルの「生成」の幾何的な意味について説明しました。

次回はベクトルの線形独立の説明から始める予定です。なお、授業中に連絡を忘れてしまいましたが、来週4月23日(火)は学生定期健康診断の時間が重なるために休講にし、次回の授業は1週間後の4月26日(金)に行います。

授業サポートページ:https://www.math.tsukuba.ac.jp/~terui/la1-2013

2013-04-17

数理科学IIA(第2回)

今日は、多項式演算を考える上での基礎として、まず、多項式環の中での記法や概念の定義に関する説明を行いました。

その後、多項式演算のうち、計算代数特有のものとして「擬除算」の説明を行いました。最後に、擬除算の計算を1題、レポート課題として出題しました。

次回はアルゴリズムの基本的な事項や記法について説明する予定です。

2013-04-16

線形代数I(第2回)

今日から本格的な授業が始まりました。

今日はまず、数学における「定義」や「定理」などの議論の進め方を紹介しました。数学に置ける議論の進め方は、チェスや将棋のようなゲームの分析の進め方と対応づけることができると思います。線形代数といった理論は、ある世界にルールを設定してゲームを行うようなもの、ともとらえることができます。数学における「定義」によってゲームのルールを設定し、「定理」は、ゲームにおけるある盤面(が存在すること)で、定理の証明は、ゲームのスタートからルールに従ってゲームを進め、ある盤面に到達可能であることを示すといった具合です。

次に、これから行う春学期の授業内容について、概要を説明しました。春学期の「線形代数I」では、数ベクトルと行列、連立1次方程式を行列の消去法を使って解く解法、行列式の定義と性質、数ベクトル空間と線形写像、といった内容を説明します。

その後、数ベクトルの定義に入り、ベクトルのスカラー倍や和の演算、線形結合の定義を行いました。

次回は、平面ベクトルの幾何的な意味を説明し、線形独立(1次独立)の概念を説明します。

授業サポートページ:https://www.math.tsukuba.ac.jp/~terui/la1-2013

2013-04-12

線形代数I(第1回)

今年度は、春学期の「線形代数I」(化学類対象)の講義を担当することになりました。内容は、数ベクトル、連立1次方程式の解法、行列式といった内容で、線形写像に入る手前までを扱います。

今年度の2学期制への移行により、時間割がだいぶ変わりました。これまで、線形代数の講義や演習は水曜日に行われることが多かった(近年、一部の学類では水曜日以外に移動もしていた)のですが、今年の講義は、火曜日と金曜日の週2回、毎週2時限ずつ行われます。

今日は、昨年の微積分の講義のときのように、最初の授業でしたのでガイダンスに徹しました。授業の概要、教材、単位などについて説明した後、大学での数学の学び方に関する話をしました。昨年のガイダンスはここまででしたが、今回は、線形代数の成り立ちや応用といった紹介も含めました。

授業で用いる教科書ですが、入荷が遅れており、今日、講義を担当される先生方と急きょ教科書の第1章の範囲をコピーして、履修者に配りました。納期等については、今後の状況を見なければわかりませんが、とりあえず、第1章を勉強している間に入荷することを期待しています。

今年も、昨年の微積分同様、授業のサポートページを作りました。今後の情報はサポートページの方にまとめていく予定です。 https://www.math.tsukuba.ac.jp/~terui/la1-2013

2013-04-10

数理科学IIA(第1回)

今日から今年度の大学院の授業が始まりましたが、早速、私の授業も始まりました。

私が担当する大学院の授業は、これまでと内容は同じで、5回目の担当になりますが、授業編成で昨年度からの変更点がいくつかあります。まず、2学期制への移行に伴い、これまでの「数理科学II」が、春学期(前期)の「数理科学IIA」と秋学期(後期)の「数理科学IIB」に分割されました。春学期の「数理科学IIA」を私が担当し、秋学期の「数理科学IIB」を田島慎一先生が担当される構成は昨年度と同じです。次に、この授業は今年度から教育研究科 教科教育専攻 数学教育コースの授業「情報数学概論IIA」を兼ねての開講になりました。

春学期の「数理科学IIA」では、おもに1変数多項式の最大公約式 (GCD) を計算する部分終結式算法を中心に、多項式演算やアルゴリズムの概要について説明します。今日は授業のガイダンスとして、授業内容の説明と、参考書や主な数式処理システムの紹介を行いました。次回から数学の話に入ります。次回は多項式環の基本的事項から説明する予定です。

今年度から教育研究科の授業を兼ねたためか、これまで片手で数えられるくらいだった履修者数が、今日は大幅に増えました。皆さんいずれ履修科目の取捨選択を行うとは思いますが、より多くの人が理解できる授業にしていきたいと思います。

2013-04-01

研究集会「数式処理研究と産学連携の新たな発展」開催のお知らせ

このたび、関係者の皆さんの協力のもと、私が研究代表者として、標記研究集会を開催することになりました。

詳細は下記の通りです。今回は、特に数式処理と産学連携がメインのトピックですが、従来の研究集会同様、数式処理の理論/実装/応用に関するさまざまな話題も歓迎しますので、ふるってのご応募/ご参加をお待ちしております。

以下、参考資料です。詳細な情報は追ってお知らせします。


このたび、下記の通り研究集会を開催いたします。

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九州大学 マス・フォア・インダストリ研究所 共同利用
研究集会「数式処理研究と産学連携の新たな発展」

2013年8月21日(水)〜23日(金)
九州大学伊都キャンパス
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●研究集会のあらまし

本研究集会は、これまで毎年夏に京都大学数理解析研究所にて開催されてきた RIMS 共同研究「数式処理研究の新たな発展」のシリーズの一つですが、今年は、九州大学 マス・フォア・インダストリ研究所 (IMI) の共同利用研究として、数式処理研究の産学連携や産業界への応用を特に視野に入れて開催します。
※申請内容の詳細は IMI ホームページにて公表されています。 http://www.imi.kyushu-u.ac.jp/joint_research/detail/20130003

今回は、数式処理の産業への応用研究や、産業界からの数式処理への期待と課題などについて、海外および国内の招待講演者による
チュートリアルセッションを企画します。

一般講演の方は、今年は特に、数式処理研究の産学連携や、産業界における諸問題への応用、応用分野から数式処理に対する問題提起などの発表を歓迎しますが、例年通り、数式処理の理論、実装、応用に関するさまざまな取り組みに関する研究発表(特に、大学院生や若手研究者の方々の応募)も歓迎しますので、ふるってご応募ください。

●主要日程

今回は、講究録を予稿集として発刊し、会議の際に参加者に配布します。
講演者の皆様には、あらかじめ予稿原稿を作成、提出していただきますのでご留意下さい。

詳細アナウンス:4月中旬
講演募集開始:5月初旬
講演申込締切:6月初旬
予稿原稿締切:6月末
会議:8月21日(水)〜23日(金)

●組織委員

照井 章(筑波大学, 研究代表者)
小原 功任(金沢大学)
濱田 龍義(福岡大学)
横山 俊一(九州大学)
穴井 宏和(富士通研究所/九州大学)
横田 博史(東芝インフォメーションシステムズ)

●今後の情報提供について

本研究集会の詳細(応募要領やホームページなど)については、追って皆様にお知らせいたします。
本研究集会に関するお問い合わせや、本研究集会の周知にかかわるご連絡先の追加や変更、削除などのご希望がございましたら、照井までお知らせ下さい。
関連分野の皆様に広くお知らせいただければ幸いです。

照井 章(筑波大学)

p.s. 本状の送付日が4月1日となっておりますが、エイプリルフールではございませんのでご了承ください。

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照井 章 
筑波大学 数理物質系 数学域

2013-03-23

「微積分I (2012)」の再生リストを作りました

ほぼ1年前になりますが、今年度の1学期に担当した「微積分I」講義の録画 (インターネット動画共有サービス YouTube で公開中) について、再生リスト(プレイリスト)をつくりました。

微積分I (2012) / Calculus I (2012)
http://www.youtube.com/playlist?list=PLmf8las6ISTLmu2CQUDLdnNkbqWwSP0eB

これで、各回の授業の録画を一通り見渡せます。なお、講義ノート等は授業のサポートページで公開していますので、適宜ご利用下さい。

微積分I (2012) サポートページ http://www.math.tsukuba.ac.jp/~terui/calculus1-2012

2013-03-18

Risa/Asir Conference 2013 + 第5回六甲博多計算代数会議 一般講演「行列 Horner 法の並列化の実装について」

3月16日から18日まで、神戸大学で行われた研究会「Risa/Asir Conference 2013 + 第5回六甲博多計算代数会議研究会」にて、田島慎一先生(筑波大学)、小原功任先生(金沢大学)と共同で「行列 Horner 法の並列化の実装について」というタイトルで講演を行いました。

これは、田島先生、小原さんと取り組んでいる、行列のスペクトル分解や固有ベクトル計算などの一連の計算のによく現われる計算で「1変数多項式に行列を代入する」計算が、計算機では(行列や多項式のサイズが大きくなると)なかなか大変なので、計算効率を改善しようという取り組みの一つです。

昨夏の研究発表の際は、並列計算の効果がなかなか上がらないという課題がありましたが、昨年の夏休みに金沢大学の小原さんのもとに滞在して実装を改善し、その後も徐々に改良を重ねて今回の結果を出しました。

少し詳細を述べますと、これまでの行列 Horner 法の効率化は、行列どうしの積の算法は古典的算法のまま扱い、行列どうしの乗算の回数を減らすことで全体の計算を効率化させる方針をとっています。それを踏まえて並列化する部分を検討したところ、行列どうしの乗算の部分を並列化することにしました。

並列化の実装には、数式処理システム Risa/Asir 上で、小原さん作の「並列計算フレームワーク oh_p」を用いました。もともと、Risa/Asir では、並列計算基盤の OpenXM を使うことができますが、現時点では基本的な命令しか実装されていません。このため、一般ユーザが使うのにはちょっと敷居が高かったですが、oh_p の登場により、これまでよりもかなりお気楽に並列計算の実装が可能になると思います。

行列 A と B の積を並列化する際には、A の方を何らかの形で分けて B との積をとる計算を、同時にいくつかのプロセスに振り分けます。A の分け方として、1) A を1行ずつ行ベクトルに分ける、2) A をプロセス数と同じ個数のブロックに分ける、の2方法を比較した結果、2) の方がより並列計算の効果が現われることを実験で確かめました。その理由としては、2) の方が並列計算のプロセスの起動回数が少ない分、並列計算に伴うプロセスの起動やプロセス間の通信などの手間が省けるためだろうと推測しています。

以上が講演の概要です。参考までに、講演時のスライドを以下に掲げます。

行列 Horner 法の並列化の実装について (A Parallel Implementation of Horner's Rule for Matrices) by Akira Terui


2013-03-08

今年も計算機数学のセミナー合宿を行います

今年も、筑波大学 数学教室の計算機数学グループ恒例の春のセミナー合宿が、明日3月9日(土)から11日(月)の日程で、筑波大学館山研修所(千葉県館山市)にて開催されます。

この合宿は、私が学部生の頃から毎年行われているもので、そろそろ20年になると思います(私が最初に参加したのは 1994 年でしたが、それより前から行われていたはず)。今年は、久々に学部生がたくさん参加して、にぎやかな合宿になりそうです。

数年前から、セミナーの模様をインターネット動画共有サービスの Ustream で中継しておりますが、今年も実施の予定です。Ustream のチャンネルは http://www.ustream.tv/channel/tateyama2013 です。セミナーは明日3月9日(土)の夕方から始まります。スケジュールは合宿のホームページ http://sites.math.tsukuba.ac.jp/tateyama2013/seminarprogram でご確認下さい。

合宿の情報は Twitter でも配信しています。詳しくは http://sites.math.tsukuba.ac.jp/tateyama2013/twitter をご覧下さい。

2013-02-23

並木 SSH 数学セミナー「あみだくじを作ろう」


今回、茨城県立並木中等教育学校のスーパーサイエンスハイスクール (SSH) 事業の一環として行われた SSH 講座「数学セミナー」にて「あみだくじを作ろう」という題目で講演をしました。

スーパーサイエンスハイスクール (SSH) 」は、文部科学省から指定を受けて、自然科学や工学などの先進的な教育の取り組みや、大学や研究機関と連携した研究、教育活動を行うもので、独立行政法人科学技術振興機構 (JST) から資金援助を得て行うものです。

並木中等教育学校は、茨城県つくば市に位置する県立初の中高一貫校で、もともとは県立並木高校でしたが、5年前に中高一貫教育を始め、来春、1期生が大学受験を迎えるとのことです。そして、SSH は今年度(昨春)から5年間のプロジェクトで指定を受けて活動をしています。SSH 講座は、これまで、宇宙物理や医学などの講演を行ってきたとのことですが、今回は初の数学の講座ということで呼んでいただきました。直接声をかけてくださった齊藤利仁先生は、学生時代、私と同じ研究室で1つ下です。

今回の講演は2件で、最初の講演が、讃岐勝さん(筑波大学 医学医療系/筑波大学附属病院総合臨床教育センター)による「さまざまな曲線の描き方と利用法について—昔の人は曲線をどのように描いたか—」で(讃岐さんも私と同じ研究室の出身で、私が助手の時に大学院生でした)、その後で私が講演しました。そして、最後に、茨城県教育庁指導主事の内桶二郎先生による「最小ネットワーク問題の実験」の実演が行われました。

讃岐さんの講演では、昔の人々が円錐曲線などのさまざまな曲線を描画するのに用いた平面幾何学の性質や、それらの理論に基づいて彼らが作った作図機器などが紹介されました。讃岐さんは、大学院を出て最初に就職した筑波大学の数学教育の部署で、作図法を中心とした数学史の研究にも携わり、「曲線の事典」という、非常に興味深い内容とすばらしい装丁の本も執筆されています。昔の人々が、いかに工夫して器械を作り、コンピュータもない時代に正確で美しい図形を描画していたかを見ると、驚かされます。

それから、戦時中の中学校の数学の教科書でも、平面幾何の性質(円周角と中心角の関係)を用いた器械の動作が取り上げられていたことも紹介されました。これは講演の後でも居合わせた生徒さん達や先生方とも議論になりましたが、たぶん、戦時中でものづくりの技術が重視されたのではないかと推測しました。講演の後では、平面幾何の課題研究をしている中学3年生の生徒さんが讃岐さんといろいろ議論をしていて、その熱心さに私も感心しました。

次の私の講演では、あみだくじと代数学の関係から「スタートとゴールが決まったあみだくじを、最小本数の橋をかけて作る作り方」の話をしました。あみだくじは、代数学の「置換群」として扱うことができ、その理論から、スタートとゴールが与えられたあみだくじを作るのに必要な橋の最小本数がわかります。今回は、この理論の部分は(時間も知識もある程度必要ですので)認めた上で、実際に条件を満たすあみだくじを作るための構成的手順に絞って解説しました。講演の後半では、生徒さん達が眠くならないよう、実際に生徒さん達にもあみだくじを描いてもらいながら作業を進めました。生徒さん達は無事に目的とするあみだくじを作ることができたようで、よかったと思います。

最後の内桶先生による「最小ネットワーク問題」は、たとえば「三角形の3点 A, B, C に位置する学校どうしをネットワークで結ぶのに、距離の合計が最小になるネットワークの結び方はどのようなものになるでしょう?」というものです。この条件をみたす点は「シュタイナー (Steiner) 点」と呼ばれ、いろいろな図形(より一般には「無向グラフ」)のシュタイナー点を求める問題は「シュタイナー問題」と呼ばれているそうです。

さて、先生のお話では、まず三角形の場合に、距離最小のネットワークがどのような形になるか、私達に予想してもらい、では実際に実験で確かめてみましょう、ということになりました。出てきたのは、2枚の透明なプラスチックの板を 10mm くらいの間隔で重ねて、3か所、ネジ止めした自作の器具で、せっけん水に浸してみると、せっけん膜が見事に距離最小のネットワークの形になったのでした。それから、四角形、五角形、六角形の実験が実演され、私達は「すごい!!!」とわくわくしっぱなしでした。

最後に、私の「あみだくじ」の話でも下敷きになった「置換群」の話題で(私の講演では、直接「置換群」という言葉は出しませんでした)、隣り合う互換によって移り合う文字列を結ぶと、美しい図形になることが紹介されました。3文字の置換群 S3(3本の縦線で作るあみだくじに対応する)では正六角形が現われ、4文字の置換群 S4(4本の縦線で作るあみだくじに対応する)では、ちょっと不思議な立体が現われることが紹介されました。

内桶先生の実演は、数学的なアイデアを視覚化するという点で、大変参考になるものでした。昨年紹介しましたが、私のところでは、学園祭の際に、子供達を対象にした科学実験の学生企画が伝統的に行われています。この中で、数学については、小学生のような生徒が、パッと見て内容がわかる、とか、すごいと思う、というような実演をするネタを作るのがなかなか大変だという印象を得ていたので、今回の内桶先生の実演は、ぜひ、数学のおもしろさを伝えたいと思っている大学生にも見てもらいたいようなものでした。

一連の講演の後で、何人かの生徒さん達が質問をしたりして居残っていて、関心の高さに感心しました。彼らの年頃だった頃の自分を振り返ると、それ程質問できるような知識は持ち合わせていなかったけど、おもしろそうだなーと思って、質問する友達のそばで話を聞いていましたが、なつかしい気持ちにもなりました。

並木中等教育学校のスーパーサイエンスハイスクール (SSH) 事業は、今年度から始まったということで、初年度の運営ですから、たぶんほとんどの行事が初めてで、担当の先生方もいろいろご苦労があったことと思います。そのような中で、先生の指導のもとに生徒が課題を設定して研究を行ったり、いろいろな分野で第一線で活躍されている先生方の話を聞いたり、研修で海外に出かけたりと、彼らの年頃だった頃の自分達のことを思い出すと、本当にうらやましくなるような体験だなーと思いました。

先生方に伺ったところ、今日のような講演では、高校生よりも中学生(中等1〜3年生)の方が出席者が多いようで、高校生の人達の参加が少ないのは残念な気もしますが、この事業を続けていく中で、今の中学生の人達が高校生になって、参加者が増えることを期待したいと思います。

というわけで、今日は非常に有意義なひとときを過ごすことができました。今回のセミナーを企画された並木中等教育学校の責任者の齊藤達也先生、お誘い下さった齊藤利仁さんに感謝いたします。

あと、今回の私の講演ネタは、もともとは私が就職したての頃に筑波大学自然学類の「線形代数演習」の授業で作ってきたものです。この過程で、筑波大学数理物質系(数学域)の森田純先生には、転倒数に関する理論の方で助言をいただきました。また、2005年には、SSH 事業で学校訪問に来た高校に対し、自然学類で数学講座を開きました。このとき、私の授業資料をもとにして、筑波大学大学院数理科学科学研究科の修士課程に在学していた山内(現・坂口)歩さんに、実際のあみだくじの作り方に関する講演をしてもらいましたが、今回は、山内さんの講演資料も参考にさせていただきました。あわせて感謝いたします。

最後になりますが、今日の私の講演で使ったスライドを載せておきます。

あみだくじをつくろう (Let's Make an Amidakuji (Ghost Leg Game)!) by Akira Terui


2013-02-21

卒業予備研究セミナー (2013-8)

今日は、前半、Emacs のチュートリアルを使って使い方の実習の続きを行いました。前回と今日で Emacs の方は一通り済みました。チュートリアルはなかなかよくできていて、内容も全体的にわかりやすかったと思います。

後半では、LaTeX に入り、とりあえず、最初のサンプルの文書を作って、PDF ファイルの生成まで行いました。今後、合宿までに、Beamer によるプレゼンテーションの作成を目指して頑張りたいと思います。

微積分演習(生物)(第10回)

今日がこの授業の最終回となりましたが、今日は授業の冒頭でレポート課題を出題し、あとは各自自習という形で、復習や質問、レポート課題への解答を進めてもらいました。

この授業は人数が少ない分、気軽に質問もしてもらって対応することができたと思いますし、お互いにわからないところを教え合ったりできる雰囲気もよかったと思います。そういう意味で、皆さん積極的に授業に参加してくれたのはありがたかったです。

今後は数学に触れる機会も少なくなるかもしれませんが、それぞれの分野でのご活躍をお祈りするとともに、今後、数学で詰まったら声をかけてもらえると嬉しいですし、数学で詰まらなくても、学内などで見かけたら声をかけてもらえると嬉しく思います。というわけで、短い期間でしたが、お疲れさまでした。

2013-02-20

微積分III演習(第9回)

今日はこの授業の最終回でしたが、関数の極限や連続性に関する問題と、無限級数の収束性判定に関する問題を発表してもらいました。学期末の成績評価は、期末試験に代わるレポート課題を出しました。

今年度も、微積分III演習の化学類と地球学類の混成クラスは、小数精鋭でしたが、先日に比べると今日は若干出席者が増加しており、0に収束しなくてよかったと思います(笑)。これは冗談ですが、少人数ながら、出席者は皆さん積極的に授業に参加し、議論も深まったのがよかったと思います。今後、このクラスの中で数学を続ける人は少ないと思いますが、この授業で行われた考え方や議論の進め方が、教養の一つとして皆さんに伝われば嬉しく思いますし、もし、これらが今後の皆さんの人生の上で活かされる場面があれば、さらに嬉しく思います。

というわけで、皆さんの今学期の期末試験のご健闘と、今後のご活躍をお祈りします。

2013-02-19

計算機演習(第9回)

今日は、先週第8回のレポートの締切日ということで、出席自由のオフィスアワーとしました。

今日の出席者数はちゃんと数えていませんのではっきりとはわかりませんが、授業場所の端末室にある 80 台の端末はほとんどが埋まっていました。いろいろ仕事をしている人達がいたようです。この授業の履修者の人達も、活発に質疑応答や議論をしながらレポートに取り組んでいました。

余談ですが、来月にシステムの入れ換えがあり、現在使っている端末は間もなくその使命を終えます。今のシステムは、サテライト端末で初めて全学統一の管理のもとに運用されたシステムでした。(それ以前は、自然学類(2007年の学群・学類再編の後は自然系の学類)で独自に管理していました。)4年間、この授業を含むたくさんのユーザを支えてきたシステムに感謝したいと思います。

2013-02-14

微積分演習(生物)(第9回)

今日の授業は、今週も水曜日の講義でレポート課題が出たとのことで、まずはレポート課題に出た2次形式の計算問題について、定義や解法の方針を確認しました。その後、定積分の変数変換に関する計算問題を発表してもらいました。

早いもので、この授業も来週が最後になりますが、各自頑張って演習問題に取り組んでもらいたいと思います。

2013-02-13

微積分III演習(第8回)

今日は、主に関数の極限に関する問題を扱いました。

ε-δ 論法による証明の手順は共通していますが、個々の問題によって、関数の評価の際にいろいろと工夫することになります。それらのステップを順を追って理解しながら証明を進めるという部分も大切だと思いますので、各自、自分で納得がいくまで考えることを望みます。

この授業も、残すところあと1回となりました。来週は、関数の極限に加えて、関数の一様連続と、級数に関する演習問題を扱います。

2013-02-12

計算機演習(第8回)

今日は、この授業の最終回ということで、フラクタル図形の描画を扱いました。

一方、前回の「金融計算」の回のレポート課題は今日が締切ということで、今日の授業時間中もも活発に議論しながらレポート課題に取り組んでいるようでした。前回、今回と、難易度がやや高い課題が続きますが、私達をうーんとうならせるような(よい意味で)レポートの提出に期待します。

今学期のこの授業では、数式処理システムに触れる機会になりました。今春から始まる3年次の「計算機数学I」では、理論的もしくは実際的な計算を視野に入れた数学の基本となる理論や方法に触れることになると思います。さらに、3年次後半の「卒業予備研究」と4年次の「卒業研究」では、私も担当する可能性がありますが、その際には、今回使った Mathematica の基盤になっている、計算代数や数式処理の理論について学ぶコースも用意すると思いますので、興味のある人にはぜひ、数式処理システムにも触れながら、この分野の勉強も続けてもらえればと思います。

それから、これはクラス担任としてのコメントですが、今回の履修者の多くは、おととし春に入学した数学類の人達で、早いもので入学からもうすぐ2年、大学生活の折り返し点にさしかかっています。大学生活後半の2年間も、皆さんにとって実り多いものになることを望みます。

2013-02-08

平成24年度 第3学期 数学類クラス連絡会

今日の夕方、学生と教員の懇談会が行われました。出席するのはたしか昨年2月の会以来だったと思います。

今回は、まず、2学期の授業評価アンケート結果の報告があり、それから福利厚生に関する学生からの要望について、討論が行われました。今回のテーマは「ペデストリアン(ペデ; キャンパスを貫いている(というか、筑波の学園都市中心部を貫いている)歩行者自転車専用道で、学内のペデは学生の主要な通学路の一つ)が雨が降ると滑りやすくて危険」と「宿舎の暖房について」でした。

「ペデが雨で滑りやすい」話題に関しては、数学類生が主にいる第一エリアについては、昨年改修工事が行われたので、以前程滑らないのではないかという指摘があった他、利用者のマナーの向上が先という意見が出されていました。

一方「宿舎の暖房について」では、具体的な要望として「暖房は期間を区切って始まるが、それ以前にも寒い日があるので、気温を基準に暖房を入れてほしい」という要望と、「暖房の運用時間が現状では午後11時までであるが、学生はそれ以降の深夜も活動する人が多いので、運用時間を延長する、もしくは遅い時間にずらしてほしい」というものでした。宿舎の暖房設備は、いわゆるセントラルヒーティングで、部屋毎に入れたり切ったりすることができないので、なかなか難しい問題ではあると思います。

さて、昨年の連絡会の際には「議論は低調」といった感想も書きましたが、今回残念だったのは、授業評価アンケートに関する学生と教員の意見交換がなかったことです。この点は、本会の最後の方で先生方からも指摘がありました。福利厚生の問題も重要である点は理解できますが、学生と教員の意見交換が行われない状況では、教員が連絡会に出席する意義を疑わざるを得ないところです。この辺、運営するクラ代会(クラス代表者会議)の論点の設定のしかたや議論の掘り下げ方に、昨年以上により一層の工夫を望みます。

あと、本学で来年度から導入される GPA (Grade Point Average) 制度も話題になりました。GPA は、学生の成績の A, B, C などを点数化して、評価対象となる授業でその平均値をとるというもので、本学では、来年度から始まる2学期制の導入をはじめとする授業運営体制の改革の一部となっています(PDF資料)。

GPA については学生の関心も高いようで、数学類長の笠原先生との質疑応答も行われました。他学類では、卒業研究の配属にあたって、GPA が高い学生から優先的に希望先に配属されるといった制度がある(学生の指摘)ようですが、数学類では、GPA を学類内でどのように使うかは、現在のところまだ決まっていないというのが答えでした。今後、GPA をどのように使っていくか、検討が行われるものと思われます。

というあたりで今回は時間になりましたが、今後も学生と教員の意見交換の場が有効に活用されることを望みたいと思います。

2013-02-07

微積分演習(生物)(第8回)

今日もいつも通り授業が始まりました。水曜日の講義の方は、今週から複素解析に入ったとのことで、早速レポート課題が出たそうなので、それについての検討を行いました。その中では、複素関数が正則(微分可能)であるための必要条件として知られている「コーシー・リーマンの微分方程式」などについて説明しました。

授業の後半では、重積分の変数変換に関する計算問題を発表してもらいました。次回も引き続き、演習問題に取り組みたいと思います。

2013-02-06

微積分III演習(第7回)

今日は、実数の連続性に関する問題を発表してもらい、特に上極限や下極限の概念や計算に関する復習を中心に行いました。それから、関数の極限に関する ε-δ 法の使い方も行いました。

数学の概念を他人に正しく説明するのは、最初のうちはなかなか大変な部分もあると思います。今日、説明してもらった人も、苦労しながら頑張っていました。ある事実をきちんと説明できるためには、その事実がどのようにして成り立っているか、なぜその事実が正しいと言えるのか、説明に必要とされる定義や性質をよく理解しておくことが必要だと思います。

私も学生の頃、演習の授業中に先生に何度もツッコミを受けながら解答を説明した経験を思い出しましたが、こうした経験を通して、数学を学ぶとともに、何かを身につけて使いこなすというのがどういうことかを学んだと思います。履修者の人達が現在学んでいる数学の授業は、こうした思考や学習のトレーニングの機会としても有効だと思いますので、残り少ない授業期間ですが、頑張ってほしいと思います。

次回は、関数の極限に関する話題を中心に扱います。

2013-02-05

計算機演習(第7回)

今日の授業では、新しいテーマとして、金融計算の基礎を取り上げました。四捨五入、単利と複利の計算や、元利均等返済などの概念を、国民年金保険料の納付などを例に説明しました。

天野先生が作られた授業テキストでは、国民年金保険料を納める際に、1年前納もしくは半年前納を行った際の割引額の根拠について、複利法で納付金の現在価値をもとに算出されることが具体的に説明されています。その他には、クレジットカードで分割払いをする際の元利均等返済の原理についても説明されています。

レポート課題では、平成25年度の国民年金保険料を前納した場合の納付金額や、住宅ローンの組み方といった課題が出ました。特に住宅ローンの計算は個人的にも興味深いテーマです。これまでのレポート課題の中では比較的難易度が高い課題だと思いますが、基本的な考え方をよく理解した上で、課題に取り組んでもらいたいと思います。

早いもので次回はこの授業の最終回です。次回はフラクタル図形の描画を取り上げます。

2013-01-31

微積分演習(生物)(第7回)

今日はまず、重積分の変数変換に関する演習問題を解いて発表してもらいました。その中で、cos θ の n 乗の積分の公式を使う場面があり、直接公式を使って問題を解いた人と別の人が、自分で計算した証明をしてくれました。一同参考になったと思います。

授業の後半では、昨日の講義で新しいレポート課題が出題されたとのことで、さらに別の人が必要事項について解説してくれました。自主的に発表してくれた人もいて、他の人も熱心に討論に加わってくれたので、今日も有意義な授業になったと思います。次回も楽しみです。

2013-01-30

微積分III演習(第6回)

今回も、前回に引き続き、実数の連続性に関する問題を扱いました。

講義の方はすでに無限級数に入っているそうですが、授業日程から、今学期の授業は残すところあと2回とのことです。一方、演習の方は、若干進度はゆっくりめですが、授業の残り回数はあと4回ありますので、進めていきたいと思います。

次回は関数の極限値や連続性を中心に扱う予定です。

2013-01-29

計算機演習(第6回)

今日は、Mathematica によるプログラミングの初歩として、パターンマッチに基づくプログラミングを行いました。

今日のレポート課題として、関数の微分を行うプログラムを出題しました。なかなかうまく計算できず苦労している人が何人もいました。私が質問を受けつけた範囲では、皆さんうまく計算できるようになりましたが、ぜひ残りの課題も頑張って仕上げてレポートを提出してほしいと思います。

次回の授業ではファイナンスに関する話題を取り上げます。

2013-01-27

日本数式処理学会 東北地区合同分科会 一般講演

今日1月26日(土)と27日(日)の2日間、宮城県仙台市にて、日本数式処理学会 (JSSAC)東北地区合同分科会が行われています。

今回、私は、一般講演として「数式処理における近似最大公約子 (Approximate GCD) 計算の最近の動向」というタイトルで発表しました。私は、昨年6月から来年6月までの予定で、学会の基礎理論分科会委員を務めており、今回の発表は、委員としての活動の一環という面もあります。普段は主に理論分野の研究会で発表していますが、今回は、基礎理論、システム、教育の3分科会による合同分科会でしたので、普段私の発表にあまりなじみのない方々にも私自身や私がいる分野の研究活動を紹介する発表を行いました。

ご参考までに、今回発表に用いたスライドを載せておきます。

数式処理における近似最大公約子 (Approximate GCD) 計算の最近の動向 by Akira Terui


2013-01-24

微積分演習(生物)(第6回)

今日は、前日の講義でレポート課題が出たとのことで、授業の前半の時間はレポート課題の問題を出席者の皆さんと考えました。後半では、先週配布した演習問題から、重積分の変数変換の問題を発表してもらいました。

次回は、基本的に、引き続き重積分の変数変換の演習問題を扱いたいと思います。(講義で新たなレポート課題が出題されたりした場合は、内容の一部変更もあり得ます。)

2013-01-23

微積分III演習(第5回)

先週の水曜日は月曜の振替授業日だったため、今日の授業は2週間ぶりになりました。

今日の授業では、実数の連続性を用いる問題を扱いました。特に、与えられた数列が有界な単調列であることを示して収束を証明し、極限値を求める問題を中心に行いました。

次回は、関数の極限や連続性の問題を中心に扱う予定です。

2013-01-22

計算機演習(第5回)

今日の授業では、微積分の2回目として、主に積分に関する内容と、リストの要素に対する計算を行いました。

次回の授業では初歩的なプログラミングを扱う予定です。

2013-01-17

微積分演習(生物)(第5回)

今週は、水曜日が月曜の振替授業日になった影響で講義がなかったようですので、演習の方は久々に重積分の計算に戻りました。

今日は、重積分の変数変換の計算について説明し、それから各自演習問題に取り組んでもらいました。来週は、今日の範囲の演習問題の解答を発表してもらう予定です。

2013-01-15

計算機演習(第4回)

今日の授業では、微積分の1回目として、極限の計算、導関数の計算、Taylor 展開の計算などを扱いました。

ところで、今日は前回第3回のレポート課題の締切でしたが、今日の授業時間中に、第3回のテキストに不備が見つかりました。レポート課題のうち、一部の課題を解くのに必要な話題(リストを集合として扱う演算)で、本来、テキストの末尾に記載すべきものが抜けていました。履修者の人の指摘を受けて、大急ぎでテキストを更新しましたが、該当するレポート課題の解答に支障が出た人にはお詫びいたします。レポート課題解答の不備の原因がテキストの内容の不備と認められる場合には、解答者の不利益にならないような措置をとりたいと思います。

次回は、今回に引き続き、微積分の内容を扱う予定です。

2013-01-10

微積分演習(生物)(第4回)

今日は今年最初の授業でしたが、まず、昨年末に提出してもらったレポートを返却し、答え合わせをしました。レポートの方は皆さんだいたいよい出来でしたが、一部の問題で、積分範囲を正しくつかむことに注意が必要のようです。

授業の後半では、講義で新たなレポート課題が出たとのことで、講義の内容を確認しながらレポート課題の内容について議論しました。講義のレポート課題の方も頑張ってほしいと思います。

次回は、講義で新たなレポート課題が出たりしなければ、これまでの重積分の内容の続きを取り上げる予定です。

Team SNC 結成

今日、3年生の卒業予備研究の今年初のセミナーがありましたが、自分達の研究グループを "Team SNC" (チームエスエヌシー)と名乗ることにしました。

"Team" はよいとして、"SNC" は、私が専門にしている「数式・数値融合計算」"Symbolic-Numeric Computation" の略です。詳細の説明は私のホームページにありますのでここでは省きます。

チームと名乗ったのにはいくつか理由があります。第一に「研究室」という名前がなんとなく堅苦しく感じられたことがあります。「照井研」と称するよりは、ラーメン屋のように「照井軒」と名乗った方が、自分としては親しみがわきますし、学生の人達も来やすいかもしれません。第二に、チームの主人公は学生の人達であり、彼ら、彼女らに活躍してほしいという願いからです。「研究室」というと、なんとなく、研究の中心にいる教員主体になるような印象を受けますが、グループの活動を盛り上げるのはきっと若い人達が中心になるのでないかと思いますし、そうできたらいいなという願いがあります。

さらに、チーム名に私の名前を入れることも避けました。このような名前のつけ方に関する話題はほかでも聞いたような気がします。理由は2つあって、一つは、このグループがいつまで存続するかはわかりませんが、もし途中で私が抜けた後でも、名前を変えなくても済むようにということ、もう一つは、ひとまずは現在の主要な研究テーマを前面に出した方が、名前から中身を想像しやすいかな、と思ったことです。

そんなわけで、卒業研究はすでに始まっていますが、今日はこの名前の説明をして、看板を掲げることにしました。今後の活動とともに、チームのホームページを作ったりしながら、筑波の SNC 研究グループとして、情報発信も徐々に進めていきたいと思います。

2013-01-09

微積分III演習(第4回)

今日は年明け最初の授業になりましたが、数列の極限で昨年残した問題と、実数の連続性に関する問題を扱いました。

実数の連続性では、特に、集合の最大値、最小値、上限、下限といった術語の定義の復習を行いました。最大値や最小値は感覚的に日常生活の中でも使っていると思いますが、数学での定義をきちんと理解して使いこなせるようになることは、与えられた問題に対する答えの推論を正しく行う上で必要ですし、大切だと思いますので、少なくとも3学期の微積分の授業の間は理解に努めてほしいと思います。

次回は、今回に引き続き、実数の連続性に関する演習問題を扱うほか、関数の極限に関する問題も扱う予定です。

2013-01-08

計算機演習(第3回)

私は前回の授業は出張で欠席しましたが、天野先生と TA の方々が予定通り実施されました。ありがとうございます。

今日の授業では、リストを行列やベクトルとして扱い、線形代数の計算を行う一方、リストを集合のように扱う計算も行いました。

前回の授業のレポート課題は今日が締切ですが、3次元空間の図形のアニメーションで苦労している人もいました。まずは、3次元空間内に曲線や曲面といった基本的な図形を描き、次にこれをどのように動かすか(移動や回転など)を考える、というように、順を追ってアイデアを形にしていくとよいのではないかと思います。

次回からは微積分の話題を扱います。

2012-12-28

RIMS研究集会「数式処理 – その研究と目指すもの –」一般講演

今年の暮れも迫った12月25日から27日にかけて京都大学数理解析研究所で開催された RIMS 研究集会「数式処理 – その研究と目指すもの –」において、一般講演を行いました。

この研究集会は、日本の数式処理研究で最も伝統のある研究集会で、毎年11月から12月にかけて、京都大学数理解析研究所で開催されています。ただし、ここまで年末に開催されたのは、私の記憶の限りでは初めてだったと思います(クリスマス直前に開催されたことはありましたが)。

今回、私は「Syzygyの近似計算による1変数多項式の近似GCDの計算」というタイトルで発表しました。内容は、私がここ数年取り組んでいる、1変数多項式の近似最大公約子 (GCD) 計算のアルゴリズムに関するもので、3個以上の多項式の近似GCDを計算するアルゴリズムの改善の試みです。今回は、部分的な成果にとどまりましたが、今後、より一般性のある性能改善を目指しています。

ご参考までに、今回発表に用いたスライドを載せておきます。

Calculating approximate GCD of univariate polynomials with 'approximate' syzygies

2012-12-20

微積分演習(生物)(第3回)

今日の授業は、当初、次のテーマである重積分の変数変換を扱う予定でしたが、水曜日の講義の方でレポート課題が出たとのことで、レポート課題に関するテーマを扱いました。

レポート課題では、ベクトル解析の線積分と面積分の課題が出されたようですが、今日は、ひとまず線積分の定義と計算方法を復習したところで時間になりました。

今年の授業は今回で終わりで、次回は来年となります。上記のレポート課題の締め切りは、次回の演習の授業より前だそうですので、次回の授業はレポート課題の締め切りには間に合いませんが、次回以降の授業内容は、本来進むべきところだった重積分の話題か、あるいは今回扱ったベクトル解析の話題か、履修者の人達と相談して進めたいと思います。

2012-12-19

微積分III演習(第3回)

今日も、前回に引き続き、数列の極限の証明問題を中心に発表してもらいました。問題を解く過程の随所で、あいまいな部分をきちんと考えて説明してもらったりもしました。

来週の水曜日、12月26日は、今年最後の授業日ですが、金曜の振替授業日なので、今年のこの授業は今日で終わりで、次回は来年となります。演習問題の方は、例年ですと、現在解いている「数列の極限」の次に「関数の極限」を扱うのですが、今年の講義では実数の連続性を先に学んでいるようですので、今日は、実数の連続性に関する演習問題を先に配りました。また来年もよろしくお願いします。

2012-12-14

卒業研究 (2013) スタート

10月下旬から募集が始まった卒業予備研究ですが、11月の募集と人数調整を経て、今日からスタートしました。

11月までに行われた募集と人数調整では、いくつかありましたが、最終的に4人の学生とともに始めることになりました。今日は、セミナーのスケジュールを決めたり、連絡用のグループウェアのユーザ登録を行ったりしました。

チーム内の連絡用のグループウェアは、いくつか無料のサービスを検討した結果「サイボウズLive」を使うことにしました。私も本格的に使うのは初めてですので、どのくらい活用できるかはこれから使ってみないとわかりませんが、もしうまい使い方が見つかりましたら、レポートしたいと思います。

2012-12-13

微積分演習(生物)(第2回)

今日は、前回配布した演習問題を黒板で解いて発表してもらうことを中心に行いました。

授業の前半は、主に累次積分の計算を行いました。授業後半では、積分順序の変更の問題を取り上げ、何問か解いてもらった後で、残りの問題を次回までのレポート課題にしました。

次回は、重積分の変数変換の問題を取り上げる予定です。

2012-12-12

微積分III演習(第2回)

微積分演習は、今日から実質的な授業となりました。今日は、主に数列の極限に関する問題を扱いました。

授業が始まった時は黒板が真っ白(緑?)でしたが、次々に答案が書かれて黒板がびっしり埋まりました。その後、発表をしてもらい、私が補足説明をしつつ、授業が進みました。解答に吟味を要した問題もあり、今日の授業では板書された問題の半分程度が残ってしまいました。

次回は、今日板書をしてもらいながらやり残した問題を中心に進める予定です。

2012-12-11

計算機演習(第1回)

今日から、全学計算機システムのサテライト端末を使っての実質的な授業が始まりました。

今日は、授業で使うe-ラーニングシステムの使い方と、数式処理システム Mathematica の使い方の基本を説明したので、説明にやや時間がかかりました。

来週12月18日は月曜日の振替授業日なので、来週は授業はありません。次回(そして今年最後)の授業は再来週12月25日になります。再来週、私は出張で授業に出られないので、皆さんとお会いするのは来年1月8日になる予定です。それまで頑張ってレポートを仕上げてほしいと思います。

余談になりますが、全学計算機システムは今年度末に新システムの入れ替えが予定されており、現在の端末で授業を行うのが今年が最後です。現在のシステムは Windows Vista を使っていますが、今のシステムが入ったのが3年前、ちょうど Windows 7 が出始めた頃でした。そして、今度の新しいシステムが入るタイミングも、Windows 8 が出た直後ですので、新システムはたぶん Windows 7 を入れるのでしょう。

私自身、今年に入ってぼちぼち Windows 7 を使い始めた感じですので、最新より1世代前の「枯れた」システムを入れるのは(メーカーのサポートがある限り)いろいろな面で安心かも、と思ったりもします。

2012-12-06

微積分演習(生物)(第1回)

筑波大学数学類では、生物学類の授業科目「微積分」と「微積分演習」も担当しています。今回「微積分演習」の3学期の授業を担当することになりました。

演習では、講義の趣旨を尊重しつつ、講義の受講にあたって有用と思われる微積分の基礎的事項を、問題演習を通して学ぶことにし、3学期は重積分を主に扱います。

今日は、授業のガイダンスを行った後、重積分の定義と累次積分について説明した上で、演習問題に取り組んでもらいました。累次積分では、1変数関数の積分の復習にもなると思いますので、各自確認してもらえればと思います。

今回の授業は履修者数が7名と少ないですが(学生さん達に尋ねたら、生物学類は1学年80人くらいだそうですが、他のほとんどの人達は、同じ時間に、生物の他の専門科目や第2外国語を履修しているそうです)、じっくり演習問題に取り組めるものと思います。次回から、演習問題の答案を板書、発表してもらう予定です。

2012-12-05

微積分III演習(第1回)

今年度の微積分の授業ですが、1学期の講義(物理学類)、2学期の演習(化学類)に引き続いて、3学期の「微積分III演習」(化学・地球学類対象)を担当することになりました。

今日は、第1回目の授業ということで、授業の進め方に関するガイダンスを行った後、演習問題を配って各自問題に取り組んでもらいました。今年も、履修者数は15人程度ということで、昨年同様、板書と発表で授業を進めていく予定です。

2012-12-04

計算機演習(第0回)

今年度も、数学類の授業科目「計算機演習」を担当することになりました。内容は主に数式処理システム Mathematica の体験と実習です。

今年度は、これまでとはちょっと変わった点があります。この授業科目は、私が着任して以来、長らく私が1人で担当してきましたが、今年は、天野勝利先生にも加わっていただき、2人で担当することになりました。天野先生は代数分野ですが、計算機に近い分野の仕事もされていると伺っており、計算機の扱いにも慣れていますので、これから2人で共同で仕事をするのが楽しみです。

それから、この授業の主な履修者は数学類の2年生ですが、今回はちょうど、私がクラス担任をしている学生さん達にあたります。昨年度は、彼ら/彼女らと毎週顔を合わせていましたが、このような形でまとまって定期的に顔を会わせる機会は久しぶりのことです(これが最後になるかもしれません)。

今日は、ガイダンスということで、Mathematica の紹介や、単位のとり方などの説明を行いました。実際の授業は、来週から、サテライト端末を使って行います。

2012-11-16

数学特別講義I (2010) オープンコースウェア (OCW) を公開

おととしの授業ですが、私が世話人を務めた「数学特別講義I」のオープンコースウェア (OCW) が公開されました。

「数学特別講義I」は、学類が現在の形に再編される前、旧自然学類の1年生を主な対象として、数学の魅力や実社会とのかかわりなどを、1学期のオムニバス形式(10人程度の教員が週替わりでそれぞれが持ってきたテーマで話をする形式)で行う講義でした。2007年の学類再編後は、旧自然学類に対応する、数学・物理・化学・地球の各学類の1年生を主な対象として開講されてきました。

3年前の2009年度に、私が担当になった時に、授業資料や授業録画の公開を企画し、世話人の先生や他の講師の先生方の協力も得て、この授業科目としては初めて OCW で教材を公開したのに続き、2010年度には、科目世話人を仰せつかり、講師の人選や依頼、スケジュールの取りまとめなどを行いました。その後、OCW の編集がずっと滞ってしまいましたが、今回、ようやく公開に至りました。

来年度からの2学期制移行に伴うカリキュラムの変更により、数学特別講義Iの授業は消えます。もともと、この授業科目ができた背景には、自然学類だった当時は、学生が数学・物理・化学・地球科学の各専攻を選ぶのが入学後の2年生になるとき(私が学生だった時代は3年生になるとき)でしたから、数学の魅力をアピールして、数学専攻に進む学生を増やそう、という意図もあったと思います。この点については、学類再編により、意義が薄れてしまったとも思えますので、授業がなくなるのはやむを得ない点もあるかもしれません。 一方で、数学の魅力を授業として専門内外の学生に宣伝する機会としては、総合科目が引き続き開講されると思いますので、こちらがその役割を果たしていくと思います。

最後に、この授業でご協力下さった先生方に感謝いたします。アクセス先は以下の場所です。

FB11651 - 数学特別講義Ⅰ, 2010
http://ocw.tsukuba.ac.jp/25a0-v-1-65705b66985e/copy3_of_65705b66727952258b1b7fa9i

2012-11-14

微積分II演習(第10回)

今日は、この授業科目の最後の授業でした。内容は、先週の講義で「陰関数定理」を扱ったということでしたので、陰関数の接線と法線を求める問題を出しました。その他、期末試験に代わるレポート課題も出しました。

早いもので2学期の授業はもうおしまいというわけですが、今回のクラスは、学生の皆さんの出席もよく、授業態度もよく、演習問題にも積極的に取り組み、レポートも全員が(「ほぼ」といった修飾語もなく、本当に全員です)欠かさず出し、全体として意欲的に取り組んでくれたことに感謝します。大半の人達は2学期で数学の授業から離れてしまうと思いますが、今後、各自の専門分野で数学が必要になった時に、また教科書やノートをひっくり返して思い出してもらえればと思います。

3学期には「微積分III」で、微積分のより厳密な取り扱いを学びます。私は「微積分III演習」の、化学類と地球学類対象のクラスを担当するので、今回担当したクラスの中で、もし微積分IIIも学ぶ人がいれば、引き続きご一緒することになりますが、3学期はクラスの人数もずっと減るので、板書や討論をまじえた演習の授業に様変わりすると思います。意欲ある人達の挑戦をお待ちししています。

2012-11-12

計算数学の挑戦 — Webページの重要度を定めるPageRankの技術 —

今日は、筑波大学総合科目「数学の美しさと奥深さ」という授業の中で「計算数学の挑戦 — Webページの重要度を定めるPageRankの技術 —」というタイトルで講義を行いました。

筑波大学の授業科目の一つである「総合科目」は、大学の教養的科目の一つで、全学群、学類の必修科目とされています。大学創設以来(少なくとも私が学生だった頃から)存在する科目ですが、最近までに、いくつか制度改革も行われたようで、現在では、各学期完結で1単位を出す授業科目を組み合わせて受講するのが基本になっているようです。

授業は、教養教育推進機構が開設する「筑波大学特別講義〜大学と学問〜」など、全学的な特別の科目のほか、各学類が開設し、3学期合わせて年間150科目程度が開講されます。数学類では、1学期に「数学との出会い」、2学期に「数学の美しさと奥深さ」、3学期に「数学の美しさと面白さ」という科目を開講しています。

今回、私は1回の講義を担当するということで、Web 検索において、検索結果からより重要な web ページをランクづけする「PageRank(ページランク)」と呼ばれる技術と、その背後にある数学の話をしました。

内容は、昨年度、自然系の学類(数学・物理・化学・地球)を対象にした授業「数学特別講義I」で扱った内容とほぼ同じですが、今回は、より幅広い分野の学生が受講しているため、演習問題のうち、授業中にやってもらう簡単な課題以外は、ほとんどを自由課題にして、レポート課題は最小限にとどめています。

それから、この授業科目のタイトルには、数学の「美しさ」という言葉がありますが、数学を用いて現実の問題に立ち向かう際には、しばしば泥臭い解決策が必要な場合があります。もちろん、泥臭いノウハウの後ろには、数学の美しさもあり、両方をうまく使いこなして問題解決に至るケースもいろいろあると思います。そういう意味も込めて、今回の講義は「数学の美しさ+泥臭さと奥深さ」とでも言える話ができたのではないかと思います。

以上が授業に関する話で、以下は余談ですが、今回は、講義資料の配布に合わせて、講義資料の PDF ファイルも公開し、学生に周知しました。その際、もともとは資料共有サービスの Scribd を使う予定でしたが、アップロードされた資料の日本語がうまく表示されなかったので、とりあえず Google Documents で公開しました。

その後、ちょっと調べてみたところ、増井俊之さん言及されているように、 Scribd へのアップロードの際、日本語のフォントを埋め込んだ PDF ファイルをアップロードすれば日本語も問題なく表示されることがわかったので、講義資料については Scribd にアップロードしなおしました。以下に講義資料とスライドを埋め込みで紹介します(クリックでそれぞれダウンロードできます)。

計算数学の挑戦 – Webページの重要度を定めるPageRankの技術 –(2012年11月12日)

計算数学の挑戦 – Webページの重要度を定めるPageRankの技術 –(2012年11月12日)

2012-11-07

微積分II演習(第9回)

今日の授業では、3重積分の計算を扱いました。直交座標の累次積分と、極座標に座標変換する積分の演習問題を出しています。

この授業も、残すところ来週の1回となりました。来週の内容は、講義の進度に合わせてこれから考えますが、履修者の人達にはぜひ最後まで頑張って問題を解いてもらえればと思います。

2012-10-31

微積分II演習(第8回)

今日の授業では、広義積分の問題を扱いました。「積分領域が有界でない場合」と「被積分関数が積分領域で有界でない場合」の二通りの例題を説明しました。

早いものでこの授業も残すところあと2回です。次回の内容は、講義の予定をもとに検討したいと思いますが、履修者の皆さんには、残り2回、頑張ってもらいたいと思います。

2012-10-24

微積分II演習(第7回)

今日の授業では、重積分の変数変換について、極座標の場合と、一般の変数変換の場合に分けて取り上げました。 今日の演習問題は計算がやや面倒かもしれませんが、履修者の人達の健闘に期待します。

次回は広義積分の話題を中心に取り上げる予定です。

2012-10-19

卒業予備研究募集開始

このたび、来る3学期から始まる「卒業予備研究」と、それに引き続く「卒業研究」を担当することになりました。

筑波大学数学類の卒業研究は、数年前から、毎年、全教員の中から「卒業研究を担当する教員」を決め、学生はその中から自分がつく教員を選ぶ制度になっています。卒業研究を担当する教員は、代数・解析・幾何の分野からは各分野4人ずつ、情報数学分野からは6人(数理論理学、数理統計学、計算機数学から各2人)の合計18人が担当します。あと、分野によっては、これらの教員(主担当教員)を補助する教員(副担当教員)がつく場合があるので、実際の担当教員は18人より若干多い数になります。

数学類で、卒業研究に関わる授業科目は、3年次3学期の「卒業予備研究」と、4年次通年の「卒業研究」に分かれています。通常は、卒業予備研究と卒業研究を、同じ先生のもとで履修することになりますので、自分の興味に合った先生(研究室)を選ぶことが重要になります。

さて、私が担当する卒業研究ですが、初めて担当するもので、今回はテーマを絞り、計算代数(数式処理)のアルゴリズムにしました。計算代数は、Mathematica のような数式処理システムの根幹をなす理論で、計算機で数式を扱う「数式処理」の中でも、多項式などの代数的な計算を中心に扱います。卒業研究の中で学ぶ理論の選択肢として、多項式の最大公約式 (GCD)、因数分解、グレブナー基底、多項式の高速算法を用意しました。

そして、今回の卒業研究では、学んだアルゴリズムを計算機上で動かすことも目標に入れています。そのために、プログラミング言語の基礎も学ぶことにしました。数学類のカリキュラムでは、プログラミング言語を学ぶ機会がありませんので、学生と選んだプログラミング言語を基礎から学びます。今回は Java を選びました。Java を選んだのは、ソフトウェア業界でも広く使われているプログラミング言語に触れること、現在一般的に広まっているオブジェクト指向の基本に触れること、実装は、とりあえず動かすことを目標にし、効率の追求は他の機会に譲ること、などの理由によるものです。

さらに、今回は、フリーソフトウェアと、研究・開発でよく使われる計算機環境を体験するために、Linux を自分達でインストールして、開発環境を整えるという計画も入れました。ついでに、卒業論文を書くために TeX (LaTeX) を、プレゼンテーションを作るのには LaTeX 上の beamer パッケージを使うことを予定しています。

こういったプランをいろいろ考えて練った結果、卒業研究のシラバスを作ったら、20ページの冊子になりました。3年生に配るシラバスはA4、1ページとなっていますので、配布資料に、より詳しい冊子のアドレス (URI) を掲載して、読んでもらうことにしました。

計画の段階でかなりボリューム感がありますが、実際には、学生さん達の希望や興味や進度に合わせて、じっくり取り組めればと思います。

最後に、学生に配布したシラバスと、詳しい案内書のリンク先を載せておきます。なお、配属までのスケジュールですが、11月上旬まで研究室訪問や希望調査を行い、その後の調整を経て、11月下旬に配属先が決定されるようです。

2012-10-17

微積分II演習(第6回)

今日は、重積分の話題に入りました。手始めに、累次積分の手順を復習し、累次積分の計算と、積分順序の交換に関する演習問題をレポート課題として出しました。

レポート課題の締切はいつも通り来週の授業時です。来週は、重積分における変数変換などを取り上げる予定です。

2012-10-10

微積分II演習(第5回)

今日の授業では、偏微分の最後の話題として、2変数関数の極値の判定を扱いました。

今日は、当初、2次関数の特徴づけから極値判定の説明を解説する予定でしたが、学生さんの講義ノートを見せてもらったところ、予定していた内容がすでにきちんと説明されていたようだったので、その部分は省略し、実際の問題の解き方と答案の書き方を説明しました。

今回で2学期の授業も折り返し地点に到達しましたが、次回からは重積分を扱う予定です。

2012-10-03

微積分II演習(第4回)

今日は、合成関数の微分と Taylor 展開の問題を扱いました。

前回のレポートの答案で、sin(x)/x の極限値が 1 になることを用いている人が何人かいましたが、残念ながらそれらの解答には誤りがありました。それは、x の値の近づけ方が適切ではなかった点です。本来、sin(x)/x が 1 に近づくのは、x が 0 に近づくときですが、今回の用いられ方では、x が無限大に発散しており、この状況下では、sin(x)/x は 0 に収束することは明らかです。こういった極限値の扱いにも注意してほしいと思います。

講義の方は、昨日の講義で、重積分に入ったとのことですが、来週は学園祭の都合で火曜日の講義は休講になりますので、演習の進度は、来週の授業で追いつくことができると思います。学園祭でいろいろ忙しい人もいるかと思いますが、ご健闘をお祈りします。

2012-09-26

微積分II演習(第3回)

今日は、関数 z=f(x, y) 上の与えられた点 (a, b, f(a, b)) における接平面および法線の計算と、高階偏導関数の計算問題を扱いました。

それから、前々回のレポート課題を返却しました。評価したところ、ほとんどの人はよく理解できているようでしたが、細かい部分で指摘がある点については個々に指摘しています。

あと、前回のレポート課題を回収しました。今回も全員出席、全員提出でした。

2012-09-24

数理科学II(第14回)

今日は、多変数多項式の一般 Hensel 構成の概要を述べ、「一般化された Hensel の補題」を証明しました。最後に、多変数多項式の因数分解の一連の計算を行った計算例を、資料を配って紹介しました。

これで、本授業科目で今年度の私の担当分の授業は終わりました。多変数多項式の因数分解の部分では、与えられた多項式がモニックでない場合の主係数の扱いなど、残った部分もあります。この辺は将来まとめたいところですが、ひとまず、今回は多項式の因数分解について一通り説明しました。今後、履修者の皆さんが、パソコンなどで多項式の因数分解をする際に、その舞台裏への理解を深めてもらえれば嬉しく思います。

来月からの後半は、田島慎一先生の担当で、多項式環のグレブナー基底と微分作用素環の話が行われる予定です。履修者の皆さんの今後のご成功をお祈りします。

2012-09-19

数理科学II(第13回)

今回は、前回の Hensel 構成の説明を踏まえ、Hensel 構成に基づく整係数1変数多項式の因数分解の流れを説明しました。

次回は、私が担当する最終回ですが、多変数多項式の因数分解で中心的な役割を果たす一般 Hensel 構成を説明する予定です。

2012-09-12

微積分II演習(第2回)

今日の授業では、2変数関数の偏微分と全微分可能性を扱いました。

今日の授業は、防災訓練の直後の時間だったので、授業時間が短くなることを見込んで例題を少なくしていたのですが、防災訓練は案外早く終わりました。しかし、例題の説明の時間はそれなりにかかったので、今後はこの程度の例題を出すようにしようと思います。

先週出題のレポートは全員が提出しました。これから評価して次回の授業で返却する予定です。

来週9月19日は月曜日の振替授業日のため、次回の授業は再来週の9月26日になります。

防災訓練

今日、全学(筑波地区)の防災訓練が行われました。

午後1時30分に大地震が発生したとの想定で、まずは屋外に避難。人数確認や、災害時の各係分担が行われました。訓練終了まで、事務は窓口業務を停止、中央図書館は照明を消したりするようで、この辺は前回までよりも気合いが入っていたのではないかと思います。

大学の安否確認システムも稼働しました。統一認証システムでのログインにも対応したようです。しかし、今年5月の竜巻の直後は、動き出したサービスがあったにもかかわらず、統一認証システムの復旧が遅れ、ログインできない事象も見られたようですので、こういう場合も想定しておく必要はあるでしょう。この点、統一認証システムにログインしなくても入力できるシステムが並行して運用されていることは妥当ではないかと思います。

あと、これまで、学内には屋外の放送設備というのが見当たりませんでしたが、今回、整備したようです。私の仕事場から見える学群棟にも、写真ではちょっと小さいですが、数か月前だったと思いますが、スピーカーが取り付けられました。何の設備だろうと不思議でしたが、緊急時の放送設備のようです。

放送設備にしても安否確認システムにしても、大学の電源が生きていればこそ役に立つものです。東日本大震災の際は、地震発生とほぼ同時に全学が停電しました。電源の復旧は、各建物の中をチェックし、漏電や火災の危険がないことを確かめてからでなければ電気を通せなかったので、かなり時間がかかりました(週明けの3月14日頃に復電)。停電した場合の対応も考えておく必要があるでしょう。

ラジオは貴重な情報源になり得ます。震災の際、近くにいた大学院生の人がたまたまタブレット端末radiko でラジオのニュースを流してくれて、どれだけ助かったかわかりません。それ以来、私は携帯用のラジオを持ち歩いています。

停電などで大学のサーバが止まったの際の情報伝達手段として、大学では Facebook に公式ページを設けたそうです。これは歓迎しますが、この機会に、より周知を徹底させた方がよいのではないかと思います(そろそろ学生さん達も気づいたでしょうか?ならよいのですが)。

その他、課題はまだあると思いますが、まずは訓練で試せる部分だけでも試しておくことが、本番の(ないことを祈りますが)備えにつながると思います。私の場合、安否確認システムにすぐにはログインできず、後から職員証を確認した上でログインしたので、訓練として役に立ったかなと思います。

2012-09-10

数理科学II(第12回)

今日は、1変数多項式の Hensel 構成について「Hensel の補題」の証明を中心に説明しました。

次回は、1変数多項式の Hensel 構成を用いた因数分解の全体について説明します。なお、来週は17日(月)が敬老の日で休みですが、19日(水)が月曜の授業日なので、次回の授業は19日(水)となります。

2012-09-05

微積分II演習(第1回)

2012年度の2学期は、化学類対象の「微積分演習II」を担当することになりました。今日、初の授業が行われました。

今日は、2変数関数の極限値と連続性の問題を取り上げました。化学類の演習は人数が多い(50人弱の化学類生全員が1クラスで演習の授業を行う)ので、まず、授業の前半で、私が例題を解説し、その後、各自が演習問題に取り組むという形式で授業を行います。学生の板書による発表も、全員分やってもらう時間と場所がないので、演習問題はレポートで提出してもらい、成績を評価します。

今日は最初の解説の時間がやや長くなってしまったのが反省点で、次回からはなるべく演習問題を解く時間をとれるようにしたいと思います。授業はティーチング・アシスタント (TA) の大学院生2人と進めますが、TAの2人は1学期のこのクラスの演習を担当しており、私よりも「先輩」に当たるわけで、早速学生さん達の質問に対応しており、助かります。

次回は、前の授業時間の終了時より防災訓練が予定されているので、防災訓練が終わり次第、授業を始めたいと思います。

2012-09-03

数理科学II(第11回)

今日から2学期の授業が始まりましたが、今回から、整係数1変数多項式の因数分解(Hensel 構成)の話題に入りました。

今回は、準備として、拡張 Euclid の互除法に関する定理をいくつか説明しました。次回には、Hensel 構成の説明に入りたいと思います。

2012-08-20

微積分I・II 科目連絡会

大学もお盆の一斉休業を終え、今日から通常業務に戻りましたが、今日、標題のミーティングがありました。

筑波大学数学類が開講する、1年生向けの数学(微積分と線形代数)の授業は、学期毎に科目が分かれており、2学期からは新しい授業科目で、内容は前の学期の内容の続きとして、授業が始まります。 その際、授業によっては講義や演習の担当者が変わることがあるので、1学期の授業の進行状況を2学期の授業に引き継ぎ、授業の「継ぎ目」をなめらかにすることや、各授業間で授業の進行スケジュールを確認することなどを目的として、毎学期の授業開始前(あるいは開始直後)に、このような連絡会を開催しています。今回、私は1学期の「微積分I」の講義担当者として、連絡会に出席しました。

連絡会では、各授業の講義と演習ごとに、授業担当者が1学期の授業の進度、履修者数、成績評価状況などを報告し、2学期の授業担当者と、授業の進度を確認しました。全体でのミーティングは1時間程度で終わりました。

私は、2学期は「微積分II演習」の化学類向けの授業を担当します。その昔、自然学類だった頃は、1学年8クラス(1クラスの人数が30人程度)でクラス単位に分かれて演習の授業を行っていましたが、学類改編で数学・物理・化学・地球の4学類に分かれてからは、化学類と地球学類は演習の授業が1クラスになったため、演習の1クラスの人数が増えました。化学類は50人程度の履修者数が見込まれています。このような大人数での演習の授業を担当するのは私は初めてですので、1学期担当された先生と打ち合わせを行い、授業の進め方についていろいろ教えていただきました。この打ち合わせも含めて、お昼前にミーティングが終わりました。

授業開始まであと2週間となりましたが、徐々に準備を進めたいと思います。

2012-08-01

RIMS 共同研究「数式処理研究の新たな発展」一般講演

ほぼ1か月前になりますが、去る7月4日に、京都大学数理解析研究所で開催された RIMS 共同研究「数式処理研究の新たな発展」にて、2件の発表を行いました。

1件目は、田島慎一先生、小原功任氏との共同で「行列の最小消去多項式候補を利用した固有ベクトル計算の並列化」という発表でした。実際のところ、発表した内容は、昨年の同じ研究会で発表した、行列多項式に対するホーナー (Horner) 法の並列化の試みで、発表の時点ではまだいろいろ検討の余地が残されています。

もう1件は、単独で「近似GCD 算法GPGCD の最近の進展」という発表でした。内容は、主に、同時期に採録された論文において、新たに行った実験結果の報告でした。

GPGCD: An iterative method for calculating approximate GCD of univariate polynomials (to appear in Theoretical Computer Science)

(English text follows Japanese)

今回、標題の論文が、Theoretical Computer Science の特集号(数式・数値融合計算に関する国際会議 SNC 2011 Symbolic-Numeric Computation)に採録され、掲載されることになりました。

論文の内容は、1変数多項式の近似公約子 (GCD) 算法の一つとして私が研究してきた "GPGCD" と呼んでいるもので、2009年に国際会議で出版した2本の論文の成果をまとめ、新たな成果を加えたものです。

一般的に、国際会議の論文はページ数に制約があり、細かい部分まで丁寧に説明できないことがあるので、この論文ではそうした部分も詳しく書いています。それから、計算機実験では、新たな問題例を取り上げるとともに、これまでに比較した1つの近似GCD算法に加え、新たにもう一つの近似GCD算法とも比較を行い、それぞれの算法の長所や短所を明らかにしています。

論文のプレプリントは、プレプリントアーカイブ arXiv からダウンロード可能です。http://arxiv.org/abs/1207.0630


My newest research article entitled as in the above has been accepted for publication in Theoretical Computer Science: Special issue of SNC 2011 (International Workshop on Symbolic-Numeric Computation).

This paper contains "GPGCD", an algorithm for calculating approximate greatest common divisor (GCD) of univariate polynomials which has been presented in two international conferences in 2009, with integrating previous results and adding new results.

Sometimes it may be difficult to present every research result in detail in conference proceedings since they usually have upper limit of pages that are usually tighter than those in scientific journals. In the present article, I explain topics that have been omitted or left by just short explanation in detail. Moreover, in computer experiment, I have compared my algorithm with two competitive algorithms, one of which is newly added in this version, with many new examples to discover advantages and disadvantages of each algorithms.

You can obtain preprint at the preprint archive arXiv (http://arxiv.org/abs/1207.0630).