2010-10-25

数理科学II(第13回)

今日の授業では、前回の授業で残った補題 1の証明に引き続き、補題 2の証明まで終わりました。

次回は、ようやくですが「部分終結式の基本定理」の証明を行う予定です。

2010-10-22

数学特別演習(第5回)

今日の授業では、まず「前処理」(第12章:仕事の前に一仕事)で、最短経路探索の前に、探索対象をある程度絞ったり、探索に直接関係ないノードを減らしたりして、探索にかかる計算量を減らす工夫についてやりました。

ついで、「最小全域木 (Minimum Spanning Tree: MST)」の話(第13章:木々の合間で鬼ごっこ)をやりました。与えられたグラフに対する「最短経路木」は、開始ノードを変えるとMSTでもあり「得る」という部分と、本の例題として扱っている最短経路木はMSTに等しくない証明が、ちょっと複雑だったかもしれませんが、テキストに沿って順を追って考えていくと、それ程難しいことではないと思うので、よく復習してほしいと思います。

ちなみに、第13章の冒頭、「チューリングテスト」に合格したプログラムに賞金を出すという、ローブナー賞 (Loebner prize) というのが紹介されており、調べてみたところ、毎年コンテストが行われていて、今年のコンテストはなんと明日行われるのだそうです。どういう結果になるのでしょうか。

来週の授業では、今日登場したMSTを計算するアルゴリズムをやると思います。次の担当の人にも頑張ってほしいと思います。

2010-10-18

数理科学II(第12回)

今日の授業では、前回予告した「補題 1」の証明を行いましたが、最後のケースの証明が授業時間に収まりませんでした。これを次回に持ち越し、次回は引き続き補題2の証明を進めたいと思います。

2010-10-15

数学特別演習(第4回)

今日の授業では、ダイクストラのアルゴリズムの計算量の見積りを中心にやりました。一般のn個のノードを考えた場合というのは、なかなかピンとこないようですが、数個の具体例を考えて計算すると、納得できたという人が多いようでした。

あとは、グラフの辺の重みがノード間の距離に対応するような場合は、直観的な距離の探索が役に立つ・・・というのは、すでに始点と終点を結ぶ経路を1つ知っていた場合、最短経路は、始点と終点を焦点とし、すでに知っている経路の距離を長軸にもつ楕円の内部に存在する、という話も出ましたが、この話は、多くの人達にとって新鮮だったようです。

次回は、前処理の話と、グラフの「最小全域木(スパニングツリー)」の話になると思います。私も予習を頑張りたいと思います。

2010-10-07

「最近の円周率計算」

私の所属する数学専攻の月例談話会。今月は、このタイトルで、昨年、円周率計算で2兆5769億8037万桁の記録を出された、高橋大介先生(筑波大学 システム情報工学研究科/計算科学研究センター)がお話をされました。

数学系月例談話会
2010年10月7日(木)16:00〜17:00
会場:自然系学系棟D棟, 5階 D509
高橋 大介 氏 (筑波大学大学院システム情報工学研究科・計算科学研究センター) 「最近の円周率計算」
アブストラクト:
現在,円周率πの値は小数点以下5兆桁まで明らかになっている.これはコンピュータの性能の向上だけによるものではなく,円周率πを効率良く計算する公式の発見, 5兆桁もの数の加減乗除を効率良く計算する方法の確立,そして複数のグループによる計算競争という複数の要因が順次オーバーラップして効果を発揮してきた結果といえる.この講演ではこれまでの円周率計算の歴史について触れた後に,円周率πという数は具体的にはどのように計算されるのか,円周率πを計算することにどのような意味があるのか,などについて述べる.
筑波大学数学系月例談話会ホームページより引用)

高橋先生は、ハイパフォーマンスコンピューティング (HPC) の専門家として、これまでにも何度か、円周率の新記録にかかわっていらっしゃる方で、以前行われた、筑波大学計算科学研究センターのHPCセミナーも聴講したことがあるので、今回、学科内でお話をされるとのことで、早速駆けつけました。

これを読んでいる方はご存知の方もいらっしゃると思いますが、昨年、高橋さんが、筑波大のスーパーコンピュータで新記録を出した後で、昨年から今年にかけて、フランス人が記録を更新し、日本人・アメリカ人のチームが、さらに記録を更新したことが話題になりましたが、その辺のより詳しい事情(後述)も知ることができました。

今回のお話は、まず、上述の最近の進展にちょっと触れた後で、円周率の算法と計算桁数の歴史的な発展について話されました。

算法では、まず、円に内接/外接する正多角形の外周の長さを測ることから始まり、微分学の登場で、無限級数の計算に発展するわけですが、現在もよく用いられる公式の一つに、算術・幾何平均を求める、ガウス・ルジャンドルの公式(高橋さんも用いた)があります。ガウスは、数学をやる人の間ではよく知られているように、数学のほとんどいたるところの分野に業績を残している人ですが、円周率にもいたか〜、やっぱりすごいなという印象を持ちました。それから、ガウスは、自分の業績の多くを生前には発表しなかったことでも有名ですが、この公式も、1970年代になって再発見されたものであるということで、ガウスの先見性を再認識しました。

20世紀後半以降、コンピュータによる計算が始まって以降は、多倍長数の乗算をいかに効率的に行うかが、計算全体の算法面での効率化の上で本質的に鍵を握るようになります。現在では高速フーリエ変換 (FFT) が主流ですが、FFT は多くの科学技術計算で用いられるもので、円周率の計算を行う上での研究成果が、計算科学全体に貢献していることをあらためて知りました。ぜひ、おけいちゃん(先日出荷が始まった、次世代スーパーコンピュータ「」)の FFT 計算も頑張ってもらいたいところです。

それから、高橋さんが、筑波大のスーパーコンピュータ「T2K筑波」で行った計算では、主計算と検算を合わせて、約73時間の間計算を続けたとのことですが、この間、システムダウンなく、最後まで計算したとのことでした。これは、システムの耐久性といった工学的観点から見るとすごいことなのだそうです。そういえば、以前、やはり円周率の計算に携わっている専門家の方から「スーパーコンピュータの性能ギリギリまで計算をさせると、しばしば部品(素子)が壊れる→計算結果に誤りが生ずる」という話を聞いたことがあったので、これだけの計算をシステムダウンなしで行ったのはやはりすごそうです。

ちなみに、T2K筑波の規模は、648 ノード × 4 ソケット/ノード × 4 コア/ソケット=10368 コアとのことで、これだけのコア数を約73時間動かすというのは、普通のパソコン、例えば 2 コアとすると約37万時間≈約15000日≈約40年間動かすことに相当するのでしょうか。

最後に、高橋さんが記録を出して以降の新記録について触れていましたので、こちらも書きたいと思います。

まず、昨年末に 2.7 兆桁の記録を出した、フランスの Fabrice Bellard 氏ですが、彼は天才的なハッカー(コンピュータの専門家)であるのみならず、数学も非常に達者な方なのだそうです。計算に使った機器も、CPUがCore i7 2.93GHz, RAM 6GB, HDD 1.5TB x 5 = 7.5 TBで、普通の人にもそこそこ手が届く程度の機器のようですので、数学的な工夫による功績が大きいようです。

次に、今年に入って 5 兆桁の記録を出した、アメリカの Alexander J. Yee 氏と日本の近藤茂氏ですが、円周率の計算には Chudonovsky の公式を用いており、高橋さんによりますと、現時点で全桁の検算は終わっていないとのことですが、末尾数十桁は検証済みとのことで、BBP (Bailey-Borwein-Plouffe) 型公式を用いると、16進数で円周率の第d桁をいきなり求めることができるのだそうです。この辺も興味深いお話でした。

そして、講演の最後に「円周率は、文明の進歩を示す一つの尺度」という言葉がありました。高橋さん曰く、これはテレビの取材を受けた時にぱっと思いついたとのことですが、歴史的な進展と人々の貢献を振り返ると、まさに格言だと思います。非常にためになるお話でした。

なお、筑波大学数学系月例談話会は「専門を離れて幅広い数学の動向を知るための場です.非専門家を対象とした概説講演のみを取り上げます.大学院生や学群生を含む,幅広い方のご参加を歓迎します.」ということですので、興味のある方はのぞいてみて下さい。ホームページは http://www.math.tsukuba.ac.jp/~colloq/ です。

2010-10-04

数理科学II(第11回)

今日は、前回定義した「部分終結式」の例題から始まりました。先週出した例題に対して、部分終結式の計算をしてきた人がいましたので、黒板で実際に計算してもらいました。例題を作った際、私は計算ミスが重なって苦労しましたが、学生さんの計算はそれに比べるとちゃんとしたもので、感心しました。お疲れさまでした。

今日の残りの時間では、部分終結式を1つの行列式で表す表し方(本来はこちらの方がよく使われる)を説明しました。

今日はここで時間となりましたが、これから先の予定は以下の通りです。

  • 補題 1
  • 補題 2
  • 定理 1 (部分終結式の基本定理)
  • 算法 1 (reduced PRS)
  • 算法 2 (subresultant PRS)
こんな感じで、授業はあと5, 6回で、多項式剰余列の部分は一段落にしようと思います。これからの授業日程を考えると、2学期いっぱいかかるかもしれません。頑張っていきたいと思います。

まずは、来週、と思いましたが、来週は体育の日でお休みですので、再来週、補題 1から続けます。

2010-10-02

数学特別演習(第3回)

前回の授業の感想を一通り読みましたが、学生さん達の多くが書いていた感想として「アルゴリズムに入り、内容が急に難しくなった」というのがありました。一方で、数人の人達が書いていた感想として「最初にアルゴリズム全体を見た時には、とても理解できそうに見えなかったが、少しずつ内容を読んでいくと、徐々に理解できるようになった(気がした)」というのもありました。

以上の2点を踏まえて、現時点で、学生さん達には、以下のことを伝えました。

  • ある内容が理解できない時は、何度でも本のページを戻って、自分で納得できるようになるまで考えることが大切。
  • すべての内容を一度に理解するのは大変なので、少しずつ段階を追って理解を深めていくことが有効(な場合が多い)。
さらに、これらはあくまでも私の意見で、自分に最も合ったやり方は、結局、自分で見つけるしかない (と思う。これも私の意見ではありますが)と添えました。

あと、上記で「理解できるようになった(気がした)」と書きましたが、理解できた「気になる」というのも、数学を学ぶ上では大切だと思います。もちろん、ちゃんと理解する必要があるので、本当に自分が理解できたかどうか、用心する必要がありますが、その上で「わかった!」というのが、最初は「気」だけだっとしても、「わかった気になる」と「そのチェック」を繰り返すことにより、徐々に本当の理解に収束していくものと信じていますし、そのくらいの楽天性もあった方がよいかもしれません。

さて、今日の授業では、前半で、ダイクストラのアルゴリズムの残りの部分を説明してもらい、後半では、グラフの辺に負の重みがあった場合や、グラフに閉路が存在するような場合の最短経路の探索について、発表してもらいました。2人とも、テキストの内容をよく読んで、説明も工夫していたと思います。

次回は、ダイクストラのアルゴリズムの計算量解析が話題の中心になると思いますが、次回の発表も楽しみにしています。

2010-09-27

数理科学II(第10回)

夏休みと出張をはさみ、久々に授業再開です。

今日の授業では、これまでの復習も兼ねて、多項式剰余の係数を、最初に与えられた2つの多項式の係数からなる行列式で表す例題を取り上げ、その後、部分終結式の定義を行いました。

次回は部分終結式の例題から入りますが、余裕がある人(暇な人)は、例題にチャレンジするようすすめてみましたので、来週の結果を待って、部分終結式の性質へと話を進めていきたいと思います。

なお、1学期のレポートも評価しました。皆さん意欲的に取り組んでいた点は評価したいと思います。一方で、アルゴリズムのように、要件に沿って確実に計算可能な手順を吟味する部分は、経験が浅い人もいるようですので、このような作業の訓練、とまでいかなくても、経験くらいはできる機会を設けられるよう、今後検討したいと思います。

2010-09-24

数学特別演習(第2回)

今日は2回目の授業でしたが、今日の発表者の最初の人が、グラフの例題に対して、最短経路を求めるアイデアの提示を行い、引き続いて2人目の人が、ダイクストラのアルゴリズムの説明に入りました。

テキストの難度は、前回に比べるとかなり増した様子です。今回集まった学生さんは、ほとんどが数学科の1年生ですが、授業中に尋ねたところ、プログラミングの経験や、アルゴリズムの疑似コードを読んだ経験のある人は皆無で、全員0からのスタートのようで、いきなり疑似コードを読むのはかなりのチャレンジのようでした。

発表している人も大分苦労しているようでしたが、それでも頑張って最後まで発表を続けたところは評価したいと思います。授業の中でのアドバイスとして、テキストで扱うような易しい例題に対して、実際にアルゴリズムが動く様子を、1ステップずつ、正確に頭の中で再現することを呼びかけました。この辺の頭の使い方は、数学を学ぶ時とほぼ1対1に対応すると思います。

次回は、ダイクストラのアルゴリズムの中心部分を読み進めていくことになると思いますが、来週の発表者の人達にも期待したいと思います。

2010-09-17

数学特別演習(第1回)

海外出張のため、ちょっと遅れて今日から2学期の授業です。

今回、2学期と3学期、数学類1年次の「数学特別演習」の授業を担当します。これは、数学/物理/化学/地球学類(=旧「自然学類」に相当)の1年生が対象で、数学のトピックに関する本を選んで、学生が主体になって輪講する授業です。

私がこの授業を担当するのは、3年前、おととしについで今回が3度目です。今回は、次の本を選びました。

R. ブランデンベルク, P. グリッツマン 著, 石田 基広 訳
最短経路の本
シュプリンガージャパン, 2007

この本は、現在インターネットでよく使われる「ルート探索」を題材に、グラフ理論の初歩、最短経路問題、アルゴリズムと計算の基本を学んでいく内容です。主人公である高校生の女の子が、人間と会話のできる高度?なパソコンソフトと対話をしながら、このようなテーマを探検していきます。

したがって、この本の特徴の一つは、本文が会話体で書かれている点です。扱う内容は数学的にはそれ程難しくないと思いますが、会話文の中から必要な数学的概念を正しく読み取り、自分でよく考えて理解するための思考が必要になります。その上で、輪講となると、自分が理解した内容を、友達になるべくわかりやすい形で説明することも必要になります。

で、今日から輪講が始まりました。初回はどんな授業になるか、見守っていましたが、今日発表した学生さん達(2人)は、いずれも、本の内容をよく読んだ上で、自分の言葉で説明ができていたようで、発表の内容、態度ともに十分だったと思います。他の学生さん達のいい刺激にもなったようですし、これから先が楽しみです。

今日の内容としては、グラフの定義、ノード数が増えた場合の経路の個数の組み合わせ爆発の話や、それを防ぎつつ最短経路を探索する実際的な方法の手がかりまで話が進みました。次回辺りからアルゴリズムっぽい話が出てくると思います。

2010-07-20

研究会

先々週になりますが、私が世話人を務めまして、研究会が開催されました。

RIMS共同研究「数式処理研究の新たな発展」
日時:2010年7月7日 13:30 〜7月9日 12:30(3日間)
場所:京都大学数理解析研究所 111号室(京都市左京区北白川追分町)
webサイト:http://sites.google.com/site/dcar2010/

内容は、文字通り、数式処理の研究会ですが、毎年秋から冬に行われるRIMSの研究集会とは別に、若手中心で、いろんなアイデアを話し合おうということで企画されたものです(詳細は上記のwebサイトにあります)。

講演の方は、招待講演2件、一般講演13件で、参加人数は20人程度といった感じでしたが、応用分野から講演していただいた方もいらっしゃいましたし、各講演後の質疑応答も活発に行われ、大変有意義な研究会になったと思います。この研究会の採択にあたり、ご尽力下さいました先生方、事前の準備にご協力下さった方々、当日の講演者、参加者の方々に感謝申し上げます。 なお、この研究会での講演内容は、RIMSから講究録にまとめて出す予定ですので、そちらもお楽しみに。

さて、今回の研究会というか、出張の個人的な話になりますが、今回は、普段の出張にも増して「飲み」の時間が多く(もちろん、セッションは全部出てますよ!)、特に、1日目と2日目は

勉強時間よりも飲みの時間の方が長い

という(衝撃の)事実に気付くことになりました。なお、3日目は、午前中研究会をやって、すぐ帰ったわけですから、実質、研究会の間毎日そうだったということですね。繰り返しますが、研究会は全日程ちゃんと出て、(立場上)居眠りなどもありませんでした。

で、それぞれどんな感じだったかというと(移動時間等もなんとなく含みます)

  • 1日目:セッション 13:30〜16:30(約3時間)、1次会 18:00〜21:00(約3時間)、2次会 21:00〜23:00(2時間)、その後お茶をしようとしたが、23:00以降開いている喫茶店が見つからず、解散
  • 2日目:セッション 9:30〜16:30(実質約5時間)、懇親会 17:00〜20:00(3時間)、2次会 21:00〜23:00(2時間)、お茶 23:00〜24:00(1時間)
という感じでした。まぁ、それだけ充実していたということでしょうが・・・

我々の飲み会の場合、最後はコーヒーで締めくくるのが定番ですが、少なくとも四条河原町の表通りを探した限りでは、23:00以降に空いている喫茶店を見つけることができませんでした。2日目はサイゼリアでお茶にしたわけですが・・・。もし、四条河原町界隈で、23:00以降に空いている喫茶店をご存知の方がいらっしゃいましたら、お知らせいただければ幸いです。

最後はしょうもないお願いになってしまいましたが^^;)、新たな飲み仲間もでき、昔の研究室仲間との交流も暖め、こちらも大変充実していたと思います。さ、また机に戻ってがんばりましょう。

2010-06-21

数理科学II(第9回)

今日は、多項式の擬剰余の係数を、もとの多項式の係数を要素とする行列式で表すことを通して、多項式の剰余の係数と、係数を並べた行列の行消去の関連について、例題を通して見てみました。

1学期の授業は今日で終わりで、昨年に比べると、若干(2回分程度?)進度が遅れているようです。アルゴリズムの話で1回分遅れたとして、もう1回分が腑に落ちないわけですが、とにかく、2学期、先に進みましょう。

2学期は、もう少し複雑な例題を扱い、多項式剰余列の係数を、最初に与えられた多項式の係数を要素とする行列式で表すことから、部分終結式の定義につなげていきたいと思います。夏休み明けに、受講者の皆さんとまた元気で会えますよう。あと、レポートの締切が来週ですのでお忘れなく。

2010-06-18

数学特別講義I(第10回)

この授業も、今日が最終回となりました。今日の授業は、数学類長の磯崎洋先生による「大学数学の勘どころ・・・歩きながら考える」でした。

今回は、先生のご専門の話よりもむしろ、大学で数学を学ぶ学生がしばしば直面する「壁」に対し、どのような心構えで数学を学ぶのがよいか、というお話や、特に数学類のこれからのカリキュラムや、卒業後の進路を考える上でのアドバイスなどがありました。

先生のお話の内容を逐一書き出すと、学生さんがレポートを作る上での格好の資料になりそうですので(笑)、私が印象に残った内容をいくつか記します(文責は私にあります)。

将来、こういう機会があると思うが(就職活動など)、自分が大学で何を学んだかを(もしくは「数学は何の役に立つか」を)説明するのは案外楽ではないことに気付くだろう。普段から、このような問いに答えられるように考えることが大切。
数学を研究することは楽ではない。しかし、ゆっくり味わおうと考えたら、数学ほど面白いものはない。
数学は「考えるということの基本的訓練」:数学を学ぶことによって、ゼロから出発しても、緻密に、かつ自由に考えられる力を身につけることが大切。また、そういう力を持った人を社会は求めている。
等身大の数学:自分の身の丈に合った数学(知識)を使いこなすことが大切。必要なことは自分で工夫して編み出す。そのために必要なのが、線形代数と微積分。

そして「卒業後のためのキーフレーズ」として

  • 数学と一生つきあう!(例えば、今は歯が立たないけど、一生かけて読もうという数学書を探す、等)
  • 数学的、論理的思考で問題解決!
  • 数学を楽しむ!
「そのためにも、大学でしっかり数学を学ぼう!」というお話で締めくくられました。

大学の数学科を出ても、仕事として数学を続けたり、仕事の中で数学を続けたりする人はそれ程多くはないわけですが、そうでなくても、そこから先の長い人生を、文化である数学とつき合い続けることで、人生もっと豊かになるよ、というお誘いは、これから大学で数学を学んでいく人達にはまたとない貴重なアドバイスだな〜と思いました。(ちなみに、私自身はこういうことをどこで知ったかというと、大学2年くらいで落ちこぼれた後で、数学好きの友達とよく話すようになって影響を受けました。)

さて、今日で一連の講義は終わりましたが、どの回も、各先生達の、個性と熱意にあふれるお話ばかりで、自分としても非常にためになる機会だったと思います。今回、ご協力下さった先生方に心から感謝するとともに、この授業が、学生さん達が今後、数学を学ぶ上での有意義な指針となることを祈ります。ティーチング・アシスタント (TA) の皆さんも、サポートありがとうございました。

おっと、授業は終わりましたが、成績をつけなきゃないですね。自分もこれから成績つけますが、成績集計の最後まで気を抜かずにやりましょう。

2010-06-14

数理科学II(第8回)

先週の授業でも触れた、惑星探査機「はやぶさ」、無事帰ってきましたね(正確には、試料が入っていると期待されるカプセルが)。今日の授業でも最初に取り上げて「地球から小惑星『イトカワ』までの距離は?」など、探査計画の内容を学生さん達と復習もしました。

このプロジェクトが成功した要因などについては、すでに多くの人達がいろいろな指摘をしていますので、受け売りなんですが、それらの中で私が重要と思った点をまとめて話しました。

  • プロジェクトを成功に導くには、最初に明確な目標を定めることが重要。今回は、まず「小惑星に行って、帰ってくる」という目標があり、そういった具体的な目標を定めることにより、満たすべき要件がより明確になるだろう。
  • 今回は「はやぶさ」が地球まで戻ってきて、それだけでもプロジェクトとしては大成功だったと思うし、それで多くの人達の注目を浴びたことは間違いないと思うが、仮に「はやぶさ」が地球まで戻ってこられなかったとしても、その時点までの成果があれば、プロジェクトは無駄だったわけではなく、そこまでの成果を認めるとともに、失敗の要因を追求し、さらなる進展を目指すべきだと思う。
  • 現在は宇宙開発も予算が限られており、どのようなプロジェクトを選んで進めるかには、いろいろな議論があると思う(例えば、有人宇宙探査計画の是非など)。予算が限られている以上、お金の使い方を選ばなければならないと思うが、それぞれの分野での基礎研究と人的資源はできる限り絶やさずに研究を続けるのが望ましい。
  • 日本には、これだけの宇宙探査を可能にする技術やお金、ガッツがある。世界のどの国にもありふれたものではないはず。だから、こういう強みを絶やさないように、維持、発展させてほしい。
・・・といった話で盛り上がって、さて、授業ですね。

今日は、部分終結式の理論への動機として、擬除算で多項式剰余列を計算する際に発生する「係数膨張」の実例を見るところから始めました。すぐに思いつく対策として 1) 有理数係数でPRSを計算する、や 2) PRSを計算するたびに、各係数のgcdで割って係数を小さくする、などが思い浮かびますが、1) では分母や分子の係数膨張が起こること、 2) では係数同士の(整数の)gcdを多数計算する手間がかかること、といった問題が起きます。そこで、PRSの係数をよく見ると、わざわざgcdを計算しなくても、係数の共通因子がわかる、というのが、部分終結式の理論です。

その後、部分終結式の手前として、終結式や判別式の定義を説明し、実際に2次多項式の判別式を計算する演習も行いました。次回は、擬剰余の係数を、割られる方/割る方の多項式の係数を要素とする行列式で表すところから、部分終結式の定義へつなげていきたいと思います。

2010-06-11

数学特別講義I(第9回)

今日の講義は、星野光男先生による「正則行列とフロベニウス代数」でした。

今回のお話では、ベクトル空間と、その双対空間が話の舞台になります。ベクトル空間は、定義上、与えられた体(ここではその体をKとします)上で定義しますが、そのベクトル空間から体Kへの線形写像全体を考えると、それらはベクトル空間をなします。これを、もとのベクトル空間に対する双対空間といいます。「与えられたベクトル空間の双対空間」の双対空間は、もとのベクトル空間になります。

さて、「フロベニウス」というのは、ベクトル空間と、その双対空間に関する性質です。詳しくは省略しますが、ベクトル空間からその双対空間へのある写像に対し、もとのベクトル空間と、写った先の双対空間が同じ構造を持つ場合のことをいう、という説明がなされました。 そして、講義の内容が前後しますが、線形代数の授業で最初の目標になる、ジョルダン標準形の存在の証明の中で、(n-1)次以下に「切り詰めた」多項式環 K[t]/(t^n) がフロベニウス代数であるという性質を用いる点を指摘されました。

今回ように抽象的な概念は、説明するのがなかなか難しいと思いますが、簡潔な例題を用いて述べられており、現時点の1年生には、ベクトル空間の双対空間の概念も初めてですので、まだ理解が難しいところもあるかと思いますが、これから線形代数の勉強を進めていく上で参考になるのではないかと思いました。

早いもので、この授業も次回が最終回ですが、楽しみにしたいと思います。

2010-06-07

数理科学II(第7回)

この授業では、たいてい、初めに、数学やITや大学事情などの旬の話題から話を始めていますが、今日は、間もなく地球に帰ってくるという小惑星探査機「はやぶさ」の話をしました。私自身は最近までそれ程情報はつかんでいませんでしたが、幾多の困難を乗り越え、宇宙探査を終えて探査機が戻って来るまでの、関係者の方々の取り組みを知るにつけ、感動を覚えずにはいられません。そろそろ次の内閣も発足するところですが、こうした科学や技術の底力が、今後も日本に続くよう、自分も今の自分の仕事に取り組みたいと思いますし、日本の政治を導く人達にも、取り組みを求めたいと思います。

さてさて、授業でした。今日は、前回から説明を始めた、計算量の記法の残りの部分を説明し、ついで、1変数多項式の加減乗除の計算量の見積りについて説明しました。それから、今学期のレポート課題も出題しました。主に、授業中、演習問題の位置づけとして残していた部分ですが、授業の内容をよく確かめる上でも、頑張って解いてきてもらいたいと思います。

2010-06-04

数学特別講義I(第8回)

今日の授業は、坂井公先生による「情報量と符号」でした。

授業では、主に数理パズルの問題を解きながら、パズルに登場する「情報量」の概念について、説明されました。最初の例題は次のようなものです。

金貨が7枚ある。見た目では分からないが、そのうち1枚は贋物(にせもの)であり、他のものよりわずかに軽い。その贋物を、天秤を2回だけ使って判別せよ。
この問題は、金貨の枚数が9枚までなら天秤を2回使って同様に判定可能ですが、金貨が10枚になると、天秤2回の使用では、贋物の判定が不可能であることが示されます。情報量は、その理論的根拠を与える手がかりになるものです。

授業では、この問題に始まって、与えられた金貨から贋金を探す問題や、与えられたボールの重さの大小を判定する問題など、何問かの問題がレポート課題になりました。問題自体を理解するのは易しいですが、いざ答えを考えるとなると、頭をひねりそうです。(私はというと、今、原稿の締切を控えているので、締切が終わってから考えましょうか・・・)

それに引き続く数理パズルの問題は、トランプのカードを観客に何枚か選んでもらい、その中からアシスタントが引いたカードを、残ったカードを見て当てる手品や、先にやった贋金判定の問題の拡張で「天秤が1回だけ嘘をつく」状況下で贋金を識別する問題が挙げられました。

特に、最後の「嘘をつく天秤」の問題は、部分的に誤って得られた情報から、正しい情報を復元する手法を考えることになります。これは、私達のくらしの中で、情報を伝達する際に誤って伝わったものを、残りの部分から訂正するという、符号理論という数学の一分野につながるものです。符号理論の趣旨は知っていましたが、このように、数理パズルとの関わりについて聞いたのは初めてでしたので、興味を持ちました。

2010-05-31

数理科学II(第6回)

今日は、先週やったGCD recursion theoremの証明にちょっと不備があったので、その補足説明を行い、引き続いて、拡張Euclidの互除法の証明の残りをやりました。拡張Euclidの互除法のアルゴリズムを書き下すのは、今学期のレポート課題に含めたいと思います。

それから、計算量について、計算量の標記の半分くらいまでやりました。残り半分は次回行いたいと思います。

今日は久々にすがすがしい陽気... と思ったのですが、授業が終わる頃には雲で薄暗くなり、雨がポツポツ... いつものこの時期は蒸し暑いくらいだと思いますが、もう少しは天気が安定してくれれば、と思います。

2010-05-28

数学特別講義I(第7回)

今回の授業は、田崎博之先生による「曲線と曲面の曲率」でした。

曲線や曲面の「曲がりぐあい」の指標の一つとなる「曲率」の概念は、数学の授業では、学部2年次の終わりの方で扱いますが、今回は、その概念を、直感的に(数式を使わずに)説明されました。

まず、円(円弧)に対し、半径の逆数を曲率と定めます。半径が小さい円ほど「カーブがきつい=曲率が大きい」という感じで、直感的に理解できます。次に、円以外の曲線に対しては、曲線上の各点で、曲線の曲がりぐあいを車のハンドルの傾けぐあいにたとえ「その点で車のハンドルを固定して走らせた場合にできる円の曲率」でもって、その点の曲率を定義する、という説明がされました。

次に、日常生活に現われる曲率の例として、道路の直線部分からカーブにさしかかる部分が取り上げられました。直線道路に直接「円弧」のカーブをつなぐと、接続部分で曲率が急激に変化し、ハンドルを切るのが追いつきません。これを防ぐため、カーブの入口では、曲率を0から徐々に大きくしていくような曲線(クロソイド曲線)をつないでいる、という説明がありました。

私は、ムスメと「プラレール」で遊ぶことがありますが、プラレールに使うカーブのレールの部品は、たいてい円弧ですので、直線のレールに円弧のレールをつないで列車を走らせるというのは、現実世界ではかなりシビアなことをやっているのか・・・という点が面白かったです。

あと、曲面の曲率の定義の仕方についても説明があり、せっけん膜との関連のお話もありました。今回のお話は、数学以外の専攻の人達にも、概念を知るだけでも興味深いものですし、これから数学(今回のような話は「微分幾何」)を学ぶ人達にとっては、その意義や背景をつかんでおく上で大変有意義だなと思いました。

2010-05-24

数理科学II(第5回)

今日の授業では、前回のGCD recursion theoremの証明の残りの部分をやり、拡張Euclidの互除法に入りました。

入りました、というのは、今日は出るところまで至らなかった、というわけで、次回は、拡張Euclidの互除法の証明の残りを行い、次の計算量の話題に入りたいと思います。

先週、暑くなったかと思ったら、今日は雨でまた肌寒い感じになりましたが、この時期の雨の日は、窓を開けると寒く、かといって窓を閉めると蒸し暑く、なかなかちょうどよい温度にするのが大変です。今日も、授業を始めてしばらく経って、上着を脱ぎました。話(の内容)が熱くなったわけではなく、話していて暑くなったんですね。講義の方は、いつも通り、落ち着いて進んでいます。

2010-05-21

数学特別講義I(第6回)

今回の授業は、木村健一郎先生による「ゼータ関数の話」でした。

「リーマン予想」は、19世紀のドイツの数学者リーマンによって提唱された予想で、現代の数学で最も重要な未解決問題の一つとされています。今回の講義では、リーマンが定義した「ゼータ関数」の紹介に引き続き、ゼータ関数の零点に関するリーマン予想が紹介されました。

リーマンのゼータ関数は、無限級数の形で表されており、もともとはある条件を満たす実数に対して定義される(無限級数が収束する)ものですが、これを、複素数全体に拡張することができます。解析接続を用いた拡張の細かい手順は、学部1年生の段階での予備知識では詳しく追うのは難しいところですが、今回の授業では、難しい部分はある程度省きつつ、理論のあらすじが比較的わかりやすい形で展開されていたと思います。

その後、ゼータ関数の零点について、自明な零点の説明があり、引き続いて、自明でない零点の実部が1/2に限られるという、リーマン予想の紹介がありました。

授業はここで時間となりました。リーマン予想の数学の中での位置づけや、数学の他のさまざまな問題のかかわり等について、もう少し聞いてみたかった気もしますが、リーマン予想がどういう問題であるかということを知る上では、非常によくまとまった授業だったと思います。

2010-05-17

数理科学II(第4回)

今回は、Euclidの互除法のアルゴリズムを出す... 前に、授業で使う「アルゴリズム」の諸概念の紹介をしました。

昨年は、何の前振りもなしにアルゴリズムを書いて説明したのですが、「アルゴリズム」を授業でformalに習ったことがない人には、ちょっと戸惑う点もあったようです。一応、この授業はself-containedにするつもりなので、アルゴリズムについても、授業で使う部分は説明をつけることにしました。

私自身、アルゴリズムについては授業で習ったことはなく、プログラムを書きながらいい加減に勉強した程度ですので、いざ、諸概念の定義を説明しようとすると「何だっけ?」と詰まることがしばしば。いくつかの本も参考にしながら題材を用意しました。

幸い(と言うべきか?)アルゴリズムを授業で初めて聴く人の割合は聴講者の半分(といっても4名中2名^^;)に上りましたし、すでに授業で習った人も、上記のように、何となく知っていてもいざ定義をきちんと説明しようとすると詰まる場合もありましたから、今回の説明は無駄にはならなかったと思います。

それからようやく、Euclidの互除法のアルゴリズムを出し、引き続くGCD recursion theoremの証明の途中で、今日の時間が終わりました。次回は、証明の残りを行い、拡張Euclidの互除法に進む予定です。

2010-05-14

数学特別講義I(第5回)

今回の授業は、筧知之先生による「CTスキャナーの原理と、その背後にある数学」でした。

CT (Computed Tomography, コンピュータ断層撮影) は、X線等を用いて、物体の内部画像を撮影する技術で、特に医療での人の体の断層撮影などは、すっかりおなじみだと思います。まず、CTを行う装置や、撮影された画像の紹介が行われましたが、現在の最先端のCTでは「断面」を越え、立体画像を撮影する技術もあり、心臓の立体画像には驚きました。

このような画像の構成のためには、まず、対象物(たとえば人体)の周囲から、ここではX線を照射します。すると、対象物をX線が通過するときに、対象物に阻まれて強さが弱まります。そこで、どの角度から照射したときに、どれだけX線が減衰したかという情報がわかります。

この情報から、対象物の密度分布(どこにどのような密度の物質があるか)を、対象物の内部の場所の関数として求めるというのが、CTの原理で、その密度分布を計算するのに用いられるのが、ラドン変換と呼ばれる理論です。ラドン変換の細部を理解するには、(複素)関数論や実解析の知識を必要とするため、1変数関数の微積分を学び始めたばかりの1年生には難しい部分もあったかと思います(先生も説明の構成にご苦労があったかと思います)が、それでも、理論の基本的な枠組みの説明は明快に描かれており、なるほど、と、感心しました。(このぐらい骨があった方が、学生の刺激になってよいのではないかと思います。)

ラドン変換にはフーリエ変換も登場するのですが、実用においては、この部分にFFT(離散フーリエ変換)が使われており、数値計算と密接にかかわる理論だということも、いままであまり知りませんでしたので、大変ためになりました。

私の授業では、くらしの中で使われている数学を扱いましたが、今回の筧先生のお話も、まさにそのようなお話で、大変興味深いものでした。

2010-05-10

数理科学II(第3回)

先週は連休のため、また1週、間が空いてしまいました。

今回の授業は、多項式の擬除算について説明しました。その後、多項式のGCD計算に入るということで、まずEuclidの互除法について、説明に入ったところで時間になりました。

次回は「アルゴリズム」に関する予備知識に関する説明を入れる予定です。

2010-05-07

数学特別講義I(第4回)

今回の授業は、大谷内奈穂先生による「統計的推定問題」でした。

アンケート調査や、テレビ番組の視聴率など、調査対象がたくさんある場合、すべての対象から調査するのは大変なことです。中には、国勢調査などのように、すべての対象に対して調査を行う場合もありますが、たいていは、調査対象の中から一部を無作為に抽出し、調査を行います。

ところが、そのようにして抽出した対象から得られる調査結果は、すべての調査対象から得られる真の調査結果からの誤差が生じます。そこで、統計的手法を用いて、たとえば「ある番組の真の視聴率は、95%の確率で8%から30%の間をとる」という結論を得ます(区間推定)。

以上が、今日の授業の主な内容(前半)でしたが、授業の冒頭「高校で統計学を習った人はどれくらいいますか?」という問いかけに対し、挙手がほとんどなかったことからも、学生には初めての内容が多かったと思いますが、丁寧に内容を説明されていたのが印象的でした。

あと、今回の授業では、実際に区間推定を行う実験もありました。授業前に、学生にアンケートを配って提出してもらいました。アンケートの内容は以下のものです。

あなたは大学のサークルに所属していますか? はい いいえ
その後、回収したアンケート(全部で76名)から無作為に20枚抽出したところ、サークル加入率が70%と出ました。それから区間推定を行うと、授業出席者のサークル加入率は「95%の確率で、50%以上90%以下」と推定されました。

一方、今回は、真の加入率もわかりますので、確認したところ、真のサークル加入率は約62%となりました。

実際に「生のデータ」を使ってその場で推定してみるというのは、インパクトもありますし、おもしろいなと思いました。私の担当回は、説明のみで終わってしまいましたが、実際に問題を解いたり計算をしたりといった作業を授業に組込むことが結構効果的だな、と、今回も感じました。

2010-04-30

数学特別講義I(第3回)

今回、第3回の授業は、増岡彰先生による「4色問題」でした。4色問題は、ご存知の方も多いと思いますが、次のような問題です(先生の講義概要より引用)。

地図上の国々を、国境を接する2国が異なる色になるように塗り分けるのに、できるだけ少ない色で済ませたい。3色では不十分なことはすぐに判るが、4色で十分か。
というものです。

4色問題については、コンピュータを使って解いたという話を聞いた程度でしたが、今回の授業では、それとは全く別に、結び目の代数的表現を用いる証明が紹介されました。

そのために、授業では、平面グラフを導入し、地図の塗り分けを、グラフの塗り分けに帰着させました。それから、あらかじめ用意したt色で、グラフの塗り分けが可能な異なる方法の個数(t点彩色数)を導入し、グラフの塗り分けの問題をt点彩色数の計算に帰着させて解く方法を紹介しました。そして、与えられたグラフから、ある方法で結び目を生成し、結び目のある代数的表現が、しかるべき性質を満たすことにより、4色に塗り分ける方法が必ず存在する、という証明の道筋が紹介されました。

結び目の話は、ちょうど、前回、石井さんの授業で扱っていたので、親しみ深いものでしたが、4色問題を解くのに結び目を使うというのは全く予想外だったので、驚きました。増岡先生の授業の進め方も丁寧で、各種の概念が段階を追って平易な形で導入されていたので、わかりやすかったと思いますし、議論の進め方も興味深いものでした。

2010-04-26

数理科学II(第2回)

うっかり確認を忘れていたのですが、先週は学生さん達の健康診断が当たっていたので、先週は休講とし、今日が2回目の授業になりました。

今回は、前回延期した、数式処理システムの紹介を行い、多項式演算に関する術語や基本的知識を説明しました。主係数, UFD, 原始的な多項式, など。

次回は、多項式の四則演算、主に除算を扱います。

2010-04-23

数学特別講義I(第2回)

今日は、数学特別講義の第2回の授業がありました。と書こうとして思い出したのですが、昨年に引き続き、今年度もこの授業を担当することになったのを書くのを忘れていました。

しかも、今年度は、授業の世話人を仰せつかった次第です。授業のまとめ役として、各週の講義を担当する先生にお願いをし、準備をしてきました。そして、1学期の授業の間、毎回、進行役を務めます。授業に関する情報は、世話人のwebページをまとめましたので興味のある方はご覧下さい。 http://www.math.tsukuba.ac.jp/~terui/topics1-2010

第1回の授業は先週で、行きがかり上、講義は自分が担当しました。内容は昨年の授業とほぼ一緒だったので、とりあえず昨年の内容を参照していただければよいでしょう。一応、今年の内容も公表する予定です(変わり映えしませんが)。それより、とりあえず、今日の授業を聴いていろいろとためになったので、印象に残ったことを書きたいと思います。

今回、第2回の授業は、石井敦先生による「結び目の数理」でした。内容は、位相幾何で研究対象となっている「結び目」や「組み紐」の性質を調べるのに、結び目の特徴を数学的な対象(群の元)に対応させ、それらに対する計算を行うという話でした。授業の中で、単に解説するだけでなく、実際に「どの結び目が等しいか?」という問題演習をしたり、行列の計算をしたり、組み紐を模した紙細工をひねったり、と、実践がいくつもあり、大変おもしろかったし、参考になりました。寝てる暇ないですね。いいことです。

石井さんは、普段は柔和な方で、同僚として気楽におつき合いさせていただいていますが、講義では凛として、学生に厳しい表情で臨んでいるのが印象的でした。学生に対するこのような接し方も、なるほどな〜と参考になりました。それにしても、授業中にDSで対戦?かどうか確認できなかったけど、とにかく、DSを出していて取り上げられた学生がいたというのは残念。筑波で授業をしていて、こういう事に出くわしたのは初めてだったので。

そして、印象に残ったのが、授業の後半、学生に対するメッセージ。

「大学で学ぶことは役に立たない」なんて言う人間になるな!

曰く(ここから先は、石井さんの言葉のによる記憶(意訳含む)ですから、内容に誤りがあったら私の責任です。)
大学で学んだ計算法や手順が、社会に出てからすぐに役に立たない。これは、ある意味、当たり前です。本当に大切なのは、大学で学んだことを使って、これまで、誰も考えたことがないようなものを生み出すことです。例えば(これから線形代数の授業で行列を習うと思いますが)Googleのweb検索技術、あそこには、行列の計算が使われているということです。これを最初に考えた人はすごいと思います。皆さんが、大学で学んだことから、これまで誰も考えたことのないような新しいアイデアを作り出すようなチャレンジをされることを期待しています。
自分も大学1年生のときにこんな授業を受けてみたかった、そんな授業でしたし、今後、自分が同様の授業をする際にも、もっといろいろ工夫してみたいと思いました。

2010-04-22

新入生歓迎会

暖かくなったと思うとまた冬に逆戻り?と思ってしまう今日この頃ですが、今日は大学院の新入生歓迎会がありました。

毎回、初々しい新入生の人達の前途を祝う気持ちになりますが、今回は、教員になって初めて、新入生に自分と同じ高校出身の人に会い、思わず感激しました。

彼は、最初見た時から、落ち着いてるな〜と目に留まりましたが、高校で応援団だったと聞き「なるほど・・・」と納得でした。母校の話題でもいろいろ盛り上がりましたが、昨夏の高校野球の県大会決勝にも駆けつけたとのこと。さすが。(ちなみにこの決勝戦は、あの花巻東にうちの母校が当たった試合で、花巻が地元の私としては、地元も気になるけど母校も気になる、という組み合わせでした。)

そんなわけで、今日はまた格別な歓迎会でありました。新入生の皆さんの活躍を祈ります。

2010-04-21

研究科の新しいパンフレット

このほど、私が所属する研究科の新しいパンフレットが出来上がり、手元に届きました。

今年のパンフレットも、昨年までと構成自体はほとんど変わりませんが、一番の変更点は、教員の顔写真が載ったことです。

こちらが昨年のパンフレットで、

こちらが今年のパンフレットです。(どちらの写真も「研究分野と教員」の節から、数学専攻の最初のページです。)

これは、研究科の「見える化」プロジェクトとか言っていましたが、正月明けに、写真屋さんが学校に来て撮影を行いました。カメラマンは若い男性の方でしたが、スマイルを引き出すのがうまく、春先に見た校正刷りでも、皆さんのにこやかな表情が印象的でした。

今回の顔写真掲載の主目的は対外的なものだと思いますが、こうしてパンフレットを見ていますと、エレベータでよく顔を見る方の名前や仕事がわかったりして、案外ためになります。同じ研究科とは言っても、自分の所属する専攻の外はほとんど別世界とも思えるくらいなので、今回の顔写真掲載は、意外と対内的にも効果があるのかも、と思いました。

今のところ、パンフレットをオンラインで入手できるかどうかはわかりませんが、とりあえず研究科のwebサイトは http://www.pas.tsukuba.ac.jp/ です。

2010-04-12

数理科学II(第1回)

今日から新年度の授業が始まりました。

今日は大学院の講義です。昨年度に引き続き「数理科学II」を担当することになりました。内容は、計算代数(数式処理)の入門です。今年度は、履修者が比較的多いと思われる概論の授業と重なるのを避けて、授業時間をずらしたのですが、集まった人は4人。そのうち1人は昨年この授業を履修してくれたM2の人なので、実質3人ということになります。昨年度よりも人数が減りましたが、授業内容の調整はやりやすいかもしれません。

今日のところは、授業で扱う内容や、前提とする知識、成績評価など、ガイダンスの部分を、昨年よりも丁寧に説明したつもりです。その後、計算代数と数値計算の比較などについて説明しました。最後に、参考書の紹介をしました。本当はその前に数式処理システムの紹介をしようと思っていたのですが、参考書の紹介と両方やると時間内に終わらないこと、参考書は実際に本を持参したので、次回も本を持参するのは重いことから、数式処理システムの紹介は次回に回しました。

なお、授業後に、学生さんと健康診断の日程を確認したところ、数理物質科学研究科は来週4月19日(月)の午後ということですので、来週のこの授業は休講にし、次回の授業は再来週4月26日になります。

最後に、研究科のwebサイトに掲載したシラバスを載せます。

数学専攻 数理科学 II(筑波大学数理物質科学研究科)
http://www.pas.tsukuba.ac.jp/syllabus/display.php?major=1&NO=22

授業概要
計算代数の基礎的理論である、多項式環上の最大公約子(GCD)、因数分解、グレブナー基底の理論と、数式‐数値融合計算の話題について講義する。

キーワード
数式処理、計算代数、最大公約子、多項式剰余列、部分終結式、因数分解、Hensel構成、グレブナー基底、数式‐数値融合計算

授業計画

  1. 基本的事項
  2. 多項式の最大公約子(GCD)
  3. 多項式の因数分解
  4. 多項式環上のグレブナー基底の理論
  5. グレブナー基底の応用
  6. 数式‐数値融合計算の話題から

2010-03-01

数理科学II(第27回)

今日の授業では、最後に残っていた、多変数多項式の一般化されたHenselの補題の証明を行いました。その後、多変数多項式の因数分解のデモンストレーション資料(Mathematicaによる計算を)配りましたが、残念ながら、準備できたのは1変数多項式のHensel構成まででした。その後、2学期のレポートの返却と解説を行いました。こちらの方は、計算例も示した資料を配りました。

この授業は、私にとって初めての経験で、最初は右も左もわからず題材の準備に追われていましたが、ようやく最近になって、計算代数の理論を展開することを通して、次のことを学生さん達に伝えることを意識するようになりました。

1つは、計算機に載せるような数学も、その理論の展開は、紙とペン、もしくは黒板とチョークから始まるということ。いささか古典的に見えるかもしれませんが、数学の伝承は、やはりこのスタイルが基本なのかもしれないなと思います。逆に言うと、このスタイルを受け入れられる人は、計算代数のような数学も、他の数学と同様に学ぼうとすれば、身につけられるものだと思います。

もう1つは、計算機が行う計算に「すごい!」と思うようなものも、決して魔法ではなく、数学のトレーニングを積んでいれば、一見「魔法」のような動作をもたらす理論も、確実に理解可能であること。計算機の能力は、人間をはるかに越える計算の速さや、記憶力など、魅力的なものばかりですが、計算機をうまく使いこなし、有効な計算結果を導き出せるか否かは、それを使う人が、その計算の背後にある理論と、計算機の能力を適切に把握しているか否かに依存すると思います。そういう意味で、計算をしようとする時は、その背後にある理論を学ぶことが大切だと思います。

以上を、授業を終えるにあたり、学生さん達に述べた上で、1年間この授業におつきあいいただいたことへの感謝の言葉を述べました。

もし、またこのような授業を担当する時には、できたら、あと1つのことを学生さん達に伝えたいと思っています。それは、このような理論を実際に計算機上でプログラムを組み、動かすことの楽しさです。となると、今年度の授業でやった理論に加えて、その実装=数式処理システムの実装の話をすることになるかな、話だけでなく、プログラムを実際に組んで、学生さん達に示す必要があるな、と思います。ここまで行けるかどうか、現時点ではまだわかりませんが、もし時間があれば、チャレンジしてみたいところですよね。そんなことを考えながら、この授業を終えました。おっと、3学期のレポートの評価と成績評価も忘れないようにしましょう。

2010-02-22

数理科学II(第26回)

今回の授業では、与えられた多項式の既約因子の係数絶対値の上界として、多くの教科書等に載っているMignotteの上界を紹介し、1変数多項式の整数環上での因数分解の手順の残りを説明しました。

多変数多項式の一般Hensel構成については、一般化されたHenselの補題のステートメントまでを説明し、その証明を、次回最終回の授業で説明することにしました。来週までみんな出てきてくれるとよいのですが、とにかくこちらも頑張りたいと思います。

計算機演習(第8回)

今日はこの授業の最終回ということで、フラクタル図形の描画を扱いました。今日の課題はさすがに苦戦する人が多そうですが、ぜひ最後まで課題を解いてくれればと思います。

授業は今日で終わりで、次回はレポート提出のための予備日となります。実は、Mathematicaのライセンス契約の都合があり、来週を締切に設定して大丈夫か?と心配しましたが、確認したところ、大丈夫ということになりました(私が手元で使うMathematicaのライセンスは次回3月1日に切れるので、ライセンスの再契約が必要ですが、授業で使っている端末室は大丈夫のようです)。

あと、余談ですが、今日、Mathematicaのライセンス期間を確認するため、前の授業時間に端末室を訪れたところ、教卓の端末の画面が端末室の全面に2つあるスクリーンの両方に映っているのを見ました。教卓は端末室の右側にあるため、私は、これまでの授業で、教卓の端末の画面を、右側のスクリーンにしか映せないと思い、実際そうしていたのですが、実は、教卓の端末の画面は、そのまま左側のスクリーンにも映せるということを、初めて知りました。残念ながら今年度の授業ではほとんど活用できませんでしたが、来年度の授業で活用したいと思います。

2010-02-17

線形代数III演習(第9回)

線形代数演習の授業も今日が最終回でしたが、前半は、前の微積分演習で終わらなかった問題を説明してもらいました。数列の上極限と下極限に関する問題ですが、これまでの演習問題の中では、さすがに骨のあるもので、細かい議論が面倒ではありますが、皆さんにもこういう問題をちゃんと考えられるようになってもらえれば・・・という思いでした。

その後の線形代数の演習問題の方は、前回に引き続き、全射や単射の性質に関する問題の発表がありました。今回の発表は少なめで、授業の区切りもちょうどよいところでついたので、若干早めに切り上げました。

3学期のこの授業を振り返ると、微積分演習と比べて、解答に手間のかかるような問題がほとんどなかったこともあり、若干時間を持て余し気味だったので、ベクトル空間の線形独立、基底や次元の概念の復習を行ったり、教科書のある定理を取り上げて、教科書(もっと広い意味では数学の本)の読み方の例のデモンストレーションをしたりしました。学生さん達にどれだけ役に立っているかはわかりませんが、必要な人に、雰囲気が少しでも伝わっていればいいなと思います。期末試験もぜひ頑張ってほしいと思います。

微積分演習(第27回)

今日は授業の最終回ということで、前回残った問題も含めて問題を解きました。が、その前回残った問題は、授業時間の最後に回したところ、この時間内に間に合わなかったので、次の線形代数演習の時間に回すことになりました。

3学期の授業は、かろうじて関数の一様連続性までたどり着きましたが、級数の方まで取り上げる時間がなかったのが心残りです。あと、1、2学期と比べて、論証が増えたせいか、発表する人も回数も減ったようです。でも、1問あたりにかける時間が増えたので、自習の時間はそれ程増えなかったと思います。学生の皆さんには、これからが数学の学習の本番と思いますが、2年生以降も頑張ってほしいと思います。

2010-02-15

数理科学II(第25回)

今日は、前回の1変数多項式のHensel構成を踏まえ、1変数多項式の整数環上での因数分解の手順を説明しました。 途中、入力多項式を有限体上の多項式に写すときに使う素数pの選択の部分でちょっと詰まってしまい、全部は終わりませんでした。

次回は、与えられた多項式の既約因子の係数絶対値の上界を見積もる方法の紹介から始めます。授業回数はあと3回ですが、最終地点である、多変数多項式の因数分解までなるべく踏み込みたいと思います。

計算機演習(第7回)

今日は、プログラミングということで、パターンマッチに基づくプログラミングを行いました。

レポート課題では、関数の微分を行うプログラムを作るということで、各種の微分のルールを定義していくわけですが、例題の微分がうまくできない学生さんの解答を見ると、必要な微分のルールが足りないというケースがほとんどだったようです。慣れないと難しいかもしれませんが、ルールをよく考えて、ちゃんと微分ができるプログラムになるよう、期待しています。

2010-02-10

線形代数III演習(第8回)

今日は、線形写像の性質、全射や単射の定義を使う問題を扱いました。基本的な問題が中心でしたが、そのような問題をきちんと解けるよう、身につけてほしいと思います。

この演習の授業も次回で終わりで、1週おいて期末試験となります。そろそろ復習が必要な人もいるかもしれませんが、頑張ってほしいと思います。

微積分演習(第26回)

今日は、前回に引き続き、数列の極限値や、上極限と下極限に関する問題を扱いました。

ここ最近の授業は、1問あたりの解答の量も増え、2段式黒板の上下にわたって答えを続けて書くケースも増えたので、昨夏に導入された2段式黒板が本領を発揮し始めたと感じます。

今日解いてもらった問題のうち、1問は、時間が足りなくて議論を次回に繰り越しました。この授業も次回が試験前の最後となりますが、演習の時間は、問題を議論する貴重な機会ですので、多少時間がかかっても、より多くの人達が理解できるように、解答をフォローしたいと思います。

2010-02-08

数理科学II(第24回)

今日は、ようやく1変数多項式のHensel構成の説明をしました。

次回は、これを踏まえた1変数多項式の整数環上の因数分解についてまとめたいと思います。

計算機演習(第6回)

今日の授業は、微積分の第2回ということで、Lagrangeの未定乗数法の計算を行いました。

でもって、レポート課題は、Lagrangeの未定乗数法を使って解く問題を「作る」というものです。問題を作る苦労を味わうことになると思いますが、頑張ってほしいと思います。

2010-02-03

線形代数III演習(第7回)

今日の授業では、板書がなかったので、前回時間切れになった「教科書を読む」デモンストレーションをやってみました。参考になっているとよいのですが。45分しゃべるだけでもしんどかったですが、講義をやることを考えるとまだまだですね。

講義の方は、線形写像もやり、基底の取り替えや、ベクトル空間の同型などの話に入ったようです。今回配布の資料には、演習問題の前に、写像の諸概念の定義を入れ、それから、線形写像の定義や、線形写像の行列表現などの説明を入れました。

この授業もあと2回なので、できれば線形写像の問題も扱いたいところです。頑張りましょう。

微積分演習(第25回)

今回も、実数の連続性に関する問題を扱いましたが、今日は、上限、下限を扱う問題を丁寧に見ていったため、2問で授業時間をほぼ使い切りました。

この授業も残りあと2回ですが、講義の方は、関数の連続性や一様連続性も扱ったということですので、次回は演習でも扱えるよう、準備したいと思います。

2010-02-01

数理科学II(第23回)

今日は、1変数多項式のHensel構成の準備ということで、素数pを法とした拡張Euclidの互除法などの道具の準備をしました。

その後、Hensel構成の導入として、いくつかの異なる素数をとり、有限体上の因数分解を行って、そこから中国剰余定理で多項式因子を構成・・・という話をしましたが、途中で時間がきてしまいました。

次回は、この話を踏まえて、Hensel構成の説明をし、1変数多項式の因数分解をなるべく終わらせられれば、と思います。

計算機演習(第5回)

今日の授業では、微分の計算に入り、今日は、関数の極限値やTaylor展開の計算などを扱いました。次回はLagrangeの未定乗数法を扱う予定です。

先週出題のレポートはなかなか手強かったと思われますが、採点の結果はどうなるでしょうか。

2010-01-27

線形代数III演習(第6回)

今日は、主に、ベクトルの線形独立性や線形従属性に関する問題を扱いました。

線形代数は、今日、この演習の時間よりも前に、講義の時間がありますが、学生さんの講義ノートを見せてもらうと、教科書のようにびっしりと書かれています。しかし、教科書のどの辺をやっているかはよくわかっていない人がいるようです。

とりあえず、板書をちゃんと写してみてはいるが、写すのが精一杯で、その中身の理解まで至っているか、疑問な人も多いようです。まず手始めに、今日の板書が教科書のどこを指すのかを探すだけでも、線形代数の中で自分の現在位置を知る手がかりになるはずですから、そのようなところから復習を始めるのも一つの手ではないかと思います。

その上で、今日は、教科書の読み方の一例として、ベクトル空間の基底を「延長」できるという定理の証明を読んでみたかったのですが、時間切れでした^^;というわけで、これはまた次回。

微積分演習(第24回)

前々回、前回と、関数の極限値に関する問題の解答が未完成だった学生さんが、3度目の挑戦で、今日はちゃんと解答を完成させることができました。よかったと思います。

その他、今日、主に扱った問題は、実数の連続性に関する問題でした。今やっている内容を実感するのはなかなか難しいかもしれませんが、頑張ってほしいと思います。

来週はもう2月で、試験までの授業回数もあと3回です。

2010-01-25

数理科学II(第22回)

今日の授業では、Berlekampの因数分解の最後ということで、f-reducing polynomialから実際に与えられた多項式の既約因子を計算する際の説明を補足し、計算例を提示しました。

次回からは、Hensel構成による整係数1変数多項式の因数分解の話題に入ります。今日はその導入をちょろっと話しましたが、授業はあと4回程で収める予定なので、なるべく話が収まるようにしたいと思います。

計算機演習(第4回)

今日の授業では、グラム・シュミットの直交化法の計算をやりました。

そして、今回のレポート課題のメインのお題は、グラム・シュミットの直交化法に基づく行列のQR分解で、例年、多くの学生が「上三角行列Rをどのように計算するか」で悩みます。禁じ手は、連立1次方程式の解法、逆行列の計算、直交行列Qの転置行列の利用、もしくはこれらと同値の行為です。

こうなると、グラム・シュミットの直交化法がRの各要素に結びつくことに気づく必要があるのですが、それが自明、もしくは自明に近い程明らかとすぐに見抜く学生は、過去の授業においてもほとんどいませんでした(数名ですが、いたことも確かです)。それでも、ほとんどの学生さん達は、最終的にはこのことを理解してレポートを出していますので、今年も頑張ってほしいと思います。

それから、先日集めた第1回レポートから、採点を始めましたが、学生さん達の感想の中に、「○○の方法がわからなかった」といったものも見られました。

授業に対する意見はなるべく今後の授業改善に役立てたいと思いますが、(周りに質問したりして)自分で解決可能な問題については、自分から動く積極性も身につけてほしいということを、授業の際に、学生に話しました。

2010-01-20

線形代数III演習(第5回)

今日の演習では、ベクトル空間の定義に基づく公式の証明や、線形結合に関する問題をやりました。

講義の方は、もうちょっと進んでいて、基底や次元、基底の延長などに入っているようですが、学生の反応は、まだ雲をつかむような雰囲気のようです。なるべく具体例などで頭の中に実体をイメージしながら学習を進められるよう、授業中も心がけていきたいと思います。

微積分演習(第23回)

今年に入ってから、微積分演習はこれが2回目ですが、講義の方は、昨日が月曜日の授業だったので、今年に入ってからはまだ先週の1回のみのようです。

そんな感じで、講義の方も、そろそろ実数の連続性に関する話をやりつつあるので、演習問題の方も、今日は、実数の連続性に関する問題をプリントにして配りました。

今日の授業では、関数の極限値に関して、教科書に載っていた定理の証明問題をやりましたが、証明はあと一歩・・・といった感じです。

発表している学生さんは頑張っているのはよくわかるのですが、いくつか浮かんだアイデアを持ちながら、それらを調べ尽くす、というところまではまだ到達していない模様です。そういった「調べ尽くす」ための時間というのは、今が貴重なチャンスだと思うので、ぜひ徹底的に取り組んでもらいたいと思います。

来週、進展が見られるよう、お互い頑張りたいものですね。

2010-01-19

数理科学II(第21回)

大学院の授業も今年は今日からです。

今日は、これまでに行ったBerlekampの算法を一通り復習した上で、行列(で定義される線形写像)の零空間の基底の計算について説明しました。その後に、Berlekampの算法の計算例をやりたかったのですが、零空間の基底の計算で時間になりました。

というわけで、計算例については来週またということになります。この授業も残すところあと5、6回ですが、なるべく行けるところまで行きましょう。

計算機演習(第3回)

今年の計算機演習の授業は今日からです。

前回のレポートは今日が締切ですが、多くの人達がすでに提出したようで、大体順調のようです。

今日と来週の2回で、線形代数のテーマを扱います。今日は、主に行列の対角化の計算です。次回はグラム・シュミットの直交化法を扱う予定です。

パソコンの操作はほぼ問題ないようで、静かに授業が進んでいますが、たまに、何だかわけのわからない操作とともに、レポートの解答が消えてしまったという人もいるようです。大変だと思いますが、将来もっと大きな失敗の予防につながるよう、ファイルをこまめに保存するとか、バックアップを取るとかいった対策を確認してほしいと思います。

2010-01-13

線形代数III演習(第4回)

今週の線形代数演習も、先週に引き続き、ベクトル空間上の線形写像の像 (image) や核 (kernel) の計算、線形独立/線形従属に関する問題を扱いました。

演習問題を解こうとして、しばしば、新しい記法を目にすると尻込みしそうになりますが、記号の定義をよく確かめた上で問題の内容をよく考えてみると、内容は大して難しくない場合もありますので、ぜひ、よく勉強して確かめてほしいと思います。

講義の方は基底等の話題に入っているようですので、演習問題の方も徐々に追いつきたいと思います。

微積分演習(第22回)

今日の演習では、先週に引き続き、関数の極限値(収束や発散などの証明)の問題をやりました。

なかなか大変なところだと思いますが、それなりに頑張っている人は頑張っているようです。解答に不備があったりして、保留になった問題もありましたが、また来週に向けて頑張ってほしいと思います。

2010-01-06

微積分演習(第21回)/線形代数III演習(第3回)

今日から新年の授業が始まりました。早速気を引き締めて・・・といきたかったのですが、急な業務で、4限の微積分演習は急遽自習、5限の線形代数演習の途中からの授業となりました。学生の皆さんには、新年早々、ご迷惑をおかけしました。

というわけで、板書もしてもらったので、線形代数演習の時間に、微積分演習の授業となりました。板書の問題はちょうど関数の極限値、ε-δ論法による証明問題で、まだ戸惑いのある人もかなりいるようです。そこで、説明をいろいろしたところ、時間切れとなってしまい、他の問題が残ってしまいました。

来週は時間をフルに取れるはずですので、まずは今日残った問題から、取り組みたいと思います。

2009-12-21

数理科学II(第20回)

今日の授業では、f-reducing polynomialの計算の部分を説明しました。ここが因数分解の計算の肝になる部分ですので、ここの部分を説明して一段落、といった感じです。

次回はまた時間が開いて1月19日ですが、零空間の基底の計算や、算法の正当性に関する説明になると思います。Berlekampの算法はたぶん次回で終わりになると思いますが、うまくまとめたいと思います。

計算機演習(第2回)

今日から、端末を使った計算機演習の授業が始まりました。

今日のところは、e-ラーニングシステムの使い方や、数式処理システムMathematicaの起動など、基本的な部分の説明が大半でした。次回はまた時間が開いて1月19日ですが、とりあえず今回のレポート課題をがんばってもらいたいと思います。

ところで、端末室の設備ですが、端末のリプレースに合わせ、液晶プロジェクタとワイヤレスマイクがついたようです。念のため、音響設備を借りて持参したのですが、助かりました。これで授業中の画面の投影と、しゃべりの部分については楽になりそうです。

2009-12-09

線形代数III演習(第2回)

線形代数演習も、今日から、3学期の実質的な授業が始まりました。

先週配布した演習問題の題材のうち、部分空間と線形写像の像 (image)、核 (kernel) は、今日の講義でやったばかりなので、まだよくつかめていない人もいるかもしれません。今日の授業では、新しい題材に対して、具体例を考えることと、数学的な論述を繰り返し復習することをすすめました。

早いもので、今年の授業も終わりです。履修者の多くは、今年大学に入学した人達なので、今年はそういう面で転機の年だった人もいるかもしれませんが、新年も、学生さん達によってよい年になることを願っています。

微積分演習(第20回)

今日から、3学期の実質的な授業に入りました。が、出足(=問題発表)はまだ慎重(=少数)のようです。演習問題には、ε-δ法のとっかかりになるような、易しいものもあるので、ぜひ積極的に解いてもらいたいと思います。

来週は私の出張で休講です。となると、次の授業は来年になります。ということで、今日は、新たに「関数の極限値」に関する演習問題も配りました。関数の極限値については、昨日の講義でやったそうですので、タイムリーでした。これで、先週配布したプリントを解き終えた学生さんもネタには困らないでしょうか・・・!?

また来年、学生さん達とよい授業を展開できればと思います。

2009-12-07

数理科学II(第19回)

今日から3学期の授業です。今日は、f-reducing polynomialの存在に関する議論で、中国剰余定理について説明しました。

次回は、f-reducing polynomialの計算の話題になると思います。

計算機演習(第1回)

今日から、3学期の授業「計算機演習」の始まりです。

この授業は、数学類の2年生が主な対象ですが、毎年、物理など、他の学類の人もちらほらみられます。内容は数式処理システムMathematicaの初歩で、Mathematicaを使った線形代数や微積分の計算、プログラミングの入門といった内容を扱います。

今日はガイダンスで、Mathematicaの紹介や、単位の取り方などについて説明しました。来週は出張で休講になるので、実際の授業は再来週からです。

2009-12-02

線形代数III演習(第1回)

線形代数演習の方は、3学期、これまでの微積分演習と同じクラスを担当することになりました。よろしくお願いします。

今日は、講義で、数ベクトル空間の定義、数ベクトル空間の線形写像、行列が線形写像を与えることなどをやったようですが、学生さんからは、これまでの計算中心の授業からいきなり抽象的になった、との声が聞かれました。

今日の講義の範囲では、今回用意してきた演習問題を特にはまだちょっと早そうですが、来週以降、問題が解かれることを期待します。

微積分演習(第19回)

今日から3学期の授業に入りました。

微積分の授業は、ε-δ論法に入るので、今日はとりあえず最初の演習問題をプリントで配りましたが、授業が終わるまで、先週の期末試験のように、静けさの中、各自問題に取り組んでいました。

来週からは、今日勉強した問題が多数板書されることを期待します。

2009-11-25

第2学期末試験

微積分演習、線形代数II演習とも、無事、2学期の期末試験が終わりました。

1学期の期末試験の際に書き忘れましたが、今年度から、答案用紙が、これまでのB4に加えてA4の用紙も加わったので、1学期、2学期と、A4の答案用紙を使いました。

A4の答案用紙はB4に比べて小さいので扱いやすいですが、小さくなった分、答案の書ける面積も減っていますから、使う枚数は増えます。これまでは、例えば問題数が4問の試験に対し、B4の答案用紙はデフォルトで2枚配っていましたが、A4になると、1問1枚ずつが切りがよいということで、配る枚数は4枚になります。ちょっと重たくなりますが、大きさの面ではかさばらなくなりますから、大きさの便利さをとることにしましょう。

これから採点しますが、学生さん達には3学期も頑張ってほしいと思います。

2009-11-18

線形代数II演習(第9回)

今日は、先週に引き続き、Cramerの公式、固有値・固有ベクトルの計算問題を中心にやりました。

この授業では、幸い、発表がたくさんあったので、発表回数を補うレポートを今日出題しましたが、あまり需要は多くないのではないかと思われます。来週は期末試験ですので、頑張って準備してほしいと思います。

ところで、今日は、授業中の質問に回っていて、同郷の学生さんと「バンカラ」の話に花が咲きました。幣衣破帽の応援団とか応援歌練習とか、入学式の直後に行われる対面式では、校歌と応援歌の紹介があるのですが、学校によって、新入生が正座するところや起立のまま目をつぶるところの違いなど、いろいろ話題には事欠きません。東北のバンカラはまだ健在みたいですね。以上、雑談でした。

微積分演習(第18回)

今日の授業では、(多重)積分の性質に関する問題と、積分順序の変更の問題をやりました。

2学期の授業は今日までで、来週は期末試験です。2学期は問題が難しくなったためか、発表の回数が1学期よりやや少なくなったように見えます。発表回数を補うレポート課題も出しましたので、来週に向けて頑張ってほしいと思います。

2009-11-11

線形代数II演習(第8回)

今日は2週間ぶりの授業でしたが、今日は、Cramerの公式から始めて、行列の固有多項式、固有値、固有ベクトルに関する問題を扱いました。

通常の授業は来週までで、再来週は期末試験ですので、なるべく来週中にたくさん問題を解ければと思います。

ところで、今日、教室内を回っていると、ドロップとおぼしき缶を発見。学生さんに聞いたところ「上州まんじゅうの飴」とのことで、「味はホントに(上州まんじゅうに)似てるんですよ」とのことでした。「先生もどうですか?」と聞かれたので「じゃ、授業が終わったら」ということで、再び黒板に戻りました。

その後、授業の終わりの方になって、その学生さんは帰ってしまったので、飴を食べるチャンスを逸して残念、と思ったのですが、授業が終ったところで、友達が、ティッシュペーパーに包んだ飴を届けてくれました。忘れてなかったんだ、と嬉しい思いで飴を食べてみると、たしかにまんじゅうの味がしました。なかなかおいしかったです。飴を忘れずとっておいてくれた学生さんに感謝、の授業でした。

微積分演習(第17回)

今日は2週間ぶりの授業でしたが、ようやく多重積分の問題を解きにかかりました。

来週で2学期の授業は終わりで、再来週は期末試験なので、来週までになるべく多くの問題が解ければと思います。

2009-11-09

数理科学II(第18回)

今日は、2学期最後の授業ということで、Fermatの小定理から始めて、因数分解に使うf-reducing polynomialの話までやりました。次回以降、因数分解の具体的な手順に入っていきたいと思います。

あと、今日は、先月出題した2学期分のレポートの締切もありました。これから採点したいと思います。

2009-11-02

数理科学II(第17回)

今日は、前回最後にやった無平方分解の計算例を示した後、有限体上の因数分解に入りました。

有限体上の因数分解にはいくつかの算法がありますが、今回はBerlekampによる算法を扱います。まずは有限体の諸概念の定義を復習し、有限体上の多項式の計算例を示しました。

次回は2学期最後の授業ですが、次回辺りまでかけて因数分解のための準備になると思います。

2009-10-28

線形代数II演習(第7回)

今日の授業では、主にCramerの公式に関連する問題をやりました。

講義の方は、今日、固有多項式と固有ベクトルをやったそうですので、次回は演習も固有多項式と固有ベクトルの演習問題を扱いたいと思います。期末試験前の授業回数があと2回ですので、なるべく履修範囲がカバーできるようにしたいと思います。

微積分演習(第16回)

今日の授業では、陰関数の微分と、条件付極値問題(Lagrangeの未定乗数法)をやりました。

条件付極値問題では、一般の極値問題との違いをまだ明確に理解していない人もいると思われるので、引き続き復習が必要です。頑張りましょう。

偏微分の演習問題も若干残っていますが、11月へ向けて、重積分の問題も解く必要があるので、今日は重積分の演習問題も配りました。また、来週11月4日は火曜日の振替授業で、期末試験前の授業はこれであと2回になったので、残った問題もなるべく解けるよう期待します。

2009-10-26

数理科学II(第16回)

授業は、今日から「多項式の因数分解」に入りました。今日は、因数分解のアウトラインを説明の後、無平方分解の説明をしました。

無平方分解の計算法の部分が、時間の都合でちょっと急ぎ足になったので、次回、計算とともに復習したいと思います。

2009-10-21

線形代数II演習(第6回)

今日は、行列式の計算と、余因子展開や余因子の性質に関する問題を取り上げました。

これで、これまでに配った演習問題はあらかた解き終えたことと、講義の方はクラーメルの公式まで進んだとのことで、授業の後半に新しい演習問題を配りました。来週以降は、これまでに残っている問題を片付けつつ、今日配った問題も取り上げたいと思います。

微積分演習(第15回)

今回は、極値の計算(極値判定)の問題と、陰関数の導関数の計算を取り上げました。

講義の方は多重積分に入ったとのことで、演習もそろそろ偏微分に区切りをつけたいところですが、まだ若干やるべき問題が残っているので、頑張りたいと思います。

2009-10-19

数理科学II(第15回)

前回の授業が木曜日だったので、また通常通り月曜日に授業となると、少々あわただしい感じがします。

今回は、これまでの内容に関するレポート課題を出しました。たぶんこれが2学期の成績評価の主要な資料になるので、頑張って提出してほしいと思います。

今回のレポート課題を解くにあたっては、多項式の計算が面倒なので、適当な数式処理システムの利用を勧めています。そのため、数式処理システムMathematicaを使って、多項式の計算を行うデモンストレーションを行いました。

残りの時間では、主に数式処理システムから見た数式処理の歴史を簡単に(といっても思ったより時間がかかりましたが)説明し、最後に、最近注目を集めている数式処理システムSage (http://www.sagemath.org/) を紹介しました。

次回からは、次のテーマである、多項式の因数分解の話に入りたいと思います。

なお、私の工房のホームページの中に、この授業のページを作りました。
http://www.math.tsukuba.ac.jp/~terui/ms2-2009
レポート課題のPDFファイルがダウンロードできます。Mathematicaのノートブックファイルは、使っているシステム(Dokuwiki)の都合でまだアップロードできていませんが、じきにやりたいと思います。

2009-10-15

数理科学II(第14回)

今日は木曜日ですが、体育の日の振替で、月曜日の授業になりました。

今日の授業では、部分終結式PRS算法を一通り説明し、春から続けてきた多項式GCDの計算に関する話が一段落しました。

次回は、数式処理システム等を含め、ここまでの話題に関連する話を若干する予定です。

2009-10-14

微積分演習(第14回)

今日の授業では、接平面と法線の方程式を求める問題を取り上げ、比較的時間をかけて説明しました。接平面や法線の計算の考え方は、線形代数のよい復習になると思います。

今日のもう1問は、楕円体(球をある軸に沿って引き延ばしたような、ラグビーボールのような立体)に内接する直方体で、体積が最大になるものを求める問題でした。こちらは関数の極値問題の典型的な例で、内接する直方体を式(関数)でどう表すかと、その極値の計算になります。

そんなわけで、今日は2問(実質、前半の1問)に授業時間いっぱいをかけました。講義の方は、多重積分に入ったとのことですが、演習の方は、陰関数の微分など、微分の方でまだやることがあります。頑張りましょう。

線形代数II演習(第5回)

今日も、行列式と余因子関連の計算を中心にやりました。

用意していた演習問題も、主な部分はほとんど解かれてしまったので、新しい問題を用意する必要がありそうです。ただ、難しい問題はいくつか残っているようですので、ぜひこちらにもチャレンジしてほしいと思います。

2009-10-07

微積分演習(第13回)

今日の微積分演習は、偏微分の計算が中心でしたが、どちらかというと、発表は少なく、自習や質問がメインの時間になったと思います。

たまにはこういう時間があるのもよいでしょう。学園祭も控えていますし、出番がある人は頑張ってほしいと思います。

線形代数II演習(第4回)

先週配布の演習問題もだいぶ解かれたので、今日も新しい問題を持って行きました。

今日は余因子展開の計算が中心でしたが、ここ数回続いた問題の取り合いは一段落したようです。次回は、引き続き、行列式や余因子の計算が中心になると思います。

2009-10-05

数理科学II(第13回)

今日の授業では、Collinsの縮小 (reduced) PRS算法の説明をしました。

次回、部分終結式PRS算法の説明をやって、このセクションの区切りにできると思いますが、どうなるでしょうか。頑張りましょう。

2009-09-30

線形代数II演習(第3回)

前回の授業から3週間空いた上、前回配った演習問題はあっという間にかなり解かれたので、今日も新しい問題を持って行きましたが、皆さん意欲が高いようで、今日の問題もあっという間に解かれました。

今日は主に3次の行列式の計算をやりましたが、これに関連して、行列式の定義に関する質問もありましたので、こちらも補足説明をしました。

授業前は、今日配る問題で次回まで持つかな〜と思ったのですが、いざ授業を終えたらそうでもなさそうなので、来週も追加問題の用意を検討しようかと思います。

微積分演習(第12回)

前回の授業から3週間空きましたが、今日は主に、(多変数)関数の連続性や、偏微分の計算の問題を解いてもらいました。

関数の連続性の問題では、実2変数の有理関数を極座標表示することにより、原点付近での関数の振る舞いを直感的に見る計算を行いましたが、やはり慣れないと難しい人もいるようです。頭を使う必要がありますね。

今週、講義の方は、Taylor展開などへ進んだそうですので、演習も次回は前進できるとよいと思います。

2009-09-29

ファイル名の変換

今回は、ちょっとしたバッチ処理の小技です(備忘録を兼ねて)。

ある仕事のファイルを、lzhアーカイブでもらいました。手元の環境がMacなので、StuffIt Expanderで解凍したところ、解凍されて出てきたファイルが

資料¥sample1.tex
資料¥sample2.tex
...
というように、以前所属していたディレクトリの名前とおぼしき文字列が、すべてのファイル名の先頭についていました。

今回はこれらのファイル名から、先頭の"資料¥"を取り除いて

sample1.tex
sample2.tex
...
としたいわけです。

解決策はいくつもあると思います。今回は C shell (tcsh) & awk でやってみました。

foreach i ( 資料* )
foreach? mv $i echo $i | awk '{sub(/資料¥/,""); print $1}' 
foreach? end
(なお、第2行と第3行の"foreach?"はtcshのプロンプトなので、入力はしません)
こんな風に、ファイル名が"資料"で始まるものをスキャンし、それぞれのファイル名から、先頭の"資料¥"を取り除いた文字列に、ファイル名を変更する作業を行います。

これで、今回の作業は終了・・・かと思いきや、変換後のファイル名をよく見ると、"報告書¥"で始まるファイルがいくつかあります。これらのファイルは「報告書」というサブディレクトリの中に入っていたのでしょうか。

これらに対しては、まず「報告書」に対応するサブディレクトリを作り(今回、名前を"report"としましょう)、そこへ移動します。

mkdir report
mv 報告書* report/
その後、報告書のディレクトリへ移って、上と同じ要領でファイル名を変換しましょう。
cd report/
foreach i ( 報告書* )
foreach? mv $i `echo $i | awk '{sub(/報告書¥/,""); print $1}'`
foreach? end
これでめでたくファイル名の変換が完了です。

今回は、この方法を学んで作業し、記録したので少々時間をとりましたが、バッチ処理だと(処理を正確に組む限り)手作業のような間違いは起こらないし、面倒もないので(これ重要!)、精神的には気持ちよいものです。今後はもっと手早く作業を済ませられるようになるともっとよいのですが・・・

2009-09-28

数理科学II(第12回)

先週の授業から週明けですぐ授業で、ちょっと慌ただしいですが、今日は「部分終結式の基本定理」の証明を何とか時間内に済ませました。

講義ノートのページ数はいつもの授業の半分程度ですが、定理には細かいインデックスが多く、板書もそれを写すのにもいつもより時間がかかるようです。所々、インデックスや符号の書き間違いがあり、学生さん達には失礼しました。指摘に感謝します。

次回は「部分終結式の基本定理」をもとに、多項式剰余列の係数膨張を抑える算法を紹介し、多項式のGCDや多項式剰余列の話のまとめとしたいと思います。

2009-09-24

数理科学II(第11回)

9月の連休も明けたところで、今日は木曜日ですが、月曜がよく休みになるため、今日は月曜日の授業とのことです。

というわけで、今日は、前回の補題の証明の残りと、もう1つの補題の証明をやりました。次回はようやく部分終結式の基本定理の証明に入ります。

が、今日の出席者は半分程度でしたので、次回、もしかしたら今回の復習をやるかもしれません。

2009-09-09

線形代数II演習(第2回)

前回、レポート課題として、この授業で単位をとるための「必要条件」「十分条件」について、答えてもらいました。

この課題は、例年、1年生の授業で出題するものですが、今回のクラスは成績がよく、全体の約半分の人が、必要条件と十分条件の両方を正しく答えていました。

2学期の履修範囲は行列式ということで、今日は、置換の計算をやりましたが、学生さん達は概して積極的で、先週配った演習問題のほとんどを解いてしまいました。

来週は出張、再来週は連休で、次回の授業は9月30日です。ネタがちょっと足りなくなった形ですが、教科書の演習問題も範囲に含まれますので、次回も多数の解答に期待します。

微積分演習(第11回)

今日の微積分演習では、主に、集合論で用いられる、内点や境界点、開集合、閉集合といった概念を中心に問題を解きました。

この話題、教科書では、多変数関数を導入する時点で説明があります。今はそれ程必要ではないかもしれませんが、数学類として、いずれは必ず使う概念ですので、早いうちに慣れておくのもいいだろうと思います。

来週は出張、再来週は連休で、次回の授業は9月30日になりますので、今日の部分の残りの問題はレポート課題にしました。当初、集積点は講義でやらなかったとのことで、集積点は必修課題から外そうかとも思いましたが、結構ちゃんと問題を解けそうだったので、集積点も必修としました。学生さん達の頑張りに期待したいと思います。

2009-09-07

数理科学II(第10回)

2学期の授業が始まりました。今日は、夏休み明けでしたので、夏休み中に行った国際会議の紹介などもして、授業に入りました。

1学期に部分終結式の基本定理の手前で終わったので、今日はその手前の補題の1つ目からでしたが、この補題の途中で終わりました。次週、定理まで行けるでしょうか。頑張りたいと思います。

2009-09-02

線形代数II演習(第1回)

今日から、2学期の間だけ、物理学類の線形代数演習を担当することになりました。

今日はガイダンスが主でした。学務システムの履修者数を見て、資料を25部程持って行きましたが、実際の履修者数は30人以上いて、資料が足りなくなりました。読みが甘かった(昨年も物理学類を担当したので、そのとき30人以上いたのを知っていたのです)。とりあえず、資料を何人かで見てもらって何とかしのぎました。やはり物理は30人以上見込んでおく必要がありそうです。

教室が広くて、教室後部の黒板までの距離が遠いので、板書や添削に困らないか、不安ではありますが、まぁ、その時になったら何とかしましょう。来週からが楽しみです。

微積分演習(第10回)

9月から2学期ということで、微積分演習の授業も始まりました。

教室に入ってまずびっくりしたのが、黒板が新しくなっていたこと。正面の黒板が、大教室のような2段組みの黒板になっていました。単純に考えて面積が2倍。これからの授業で、板書で埋まることを期待します。

今日は、前の学期末に提出されたレポートを返却し、期末試験の講評などを行いました。基本的に、授業のやり方は1学期と同じです。

授業内容は、多変数関数の微分に入りましたが、最初は、集合論の初歩(内点、外点、境界点、開集合、閉集合など)の内容です。今すぐでなくてもよいのかもしれませんが、いずれ必要になる内容なので、まずは、問題を解く中でこれらの概念に親しんでいければと思います。

ひとまずは、来週からの学生さん達の板書に期待です。

2009-08-27

工房(=大学)のホームページ公開

ついに、というか、ようやく、ですが、工房(=大学)のホームページを公開しました。

ここに至る状況はいろいろありましたが、とりあえずは、工作(=研究)の成果の発信です。研究内容については、できるだけ、日本語と英語で同じ内容を作りました。

というわけで、まずはご高覧いただければ幸いです。あと、内容は、時間の都合で、やはりプロ向けの書き方になっていると思います。ご質問等ございましたら「お気楽に」お寄せ下さいませ。

easy arithmetician / atelier aterui
http://www.math.tsukuba.ac.jp/~terui/

2009-07-24

出張

来週から、1週間半程、出張で仕事場を留守にします。国際会議への出席です。

時間がありましたら、随時レポートを書きたいと思います。ついでに、出張後はすぐに帰省するので、さらに1週間半、計3週間留守にします。

2009-07-22

サーバが到着

某プロジェクトで使用予定のサーバが到着しました。Dellですが、いつも見るのより箱がでかくて重たいです。たぶん1人では本体を出せないでしょう。

来週から出張と休暇で3週間程留守にするので、セットアップは来月の後半になりそうです。

サンダルがこわれた

いつも仕事場ではいているサンダルですが、ふと立ち上がったところ、どうも左の方がスカスカ・・・と足が沈む気が。

何気なくサンダルを裏返してみると、なんとソール(底)の一部が欠けてなくなっているではありませんか!あわてて仕事場を探してみると、ポットがある棚のそばに、欠けたソールが落ちていました。

ついでに、右も裏返してチェックすると、ひび割れが起きていて、割れるのは時間の問題、といった感じです。

このサンダル、かみさんから結婚前にもらったもので、ずいぶん経つわけですね。もう7〜8年になるかな。仕事場でずっと履いてきたわけですが、これまでの働きに感謝したいと思います。

2009-07-14

微積分演習:1学期の成績評価

期末試験の採点も何とかやり、1学期の成績を評価しました。

期末試験は、皆さんそれぞれ頑張ったと思いますが、論述問題で、1つ1つの事実をきちんと確認しながら先へ行くという点で詰めの甘い答案が結構ありました。ということは、これは授業の中でもっとこういう指導も必要だということでもあります。たしかに、1学期はどちらかというと計算が中心だったという面もありますので、これは指導する私の側の課題でもあります。

成績については、試験の得点に、これまでの授業での発表や、レポートの得点を加えて評価しましたが、試験の内容から見て、もうちょっと頑張ってほしいという人も見受けられました。ですので、落とした人はいませんでしたが、成績はA, B, Cとほぼ均等に分かれることになりました。といっても、Cの人もあと少しなので、休み明けはぜひ頑張ってもらいたいと思います。

試験の際に、1学期の授業の感想を書いてもらいましたが、授業のやりかたはおおむね好評だったようで、ホッとしました。また2学期も、お互いよい授業にできればと思います。

2009-07-13

数学特別講義I:オープンコースウェア公開

今年度、私も担当させてもらった数学特別講義Iの授業資料を一般に公開する「オープンコースウェア」のwebサイトがオープンしました。

オープンコースウェアは、大学や大学院などの正規の授業の情報を無償で公開し、「知」の公開の一つとして社会貢献していくことをねらいとした取り組みです(詳細は日本オープンコースウェア・コンソーシアム http://www.jocw.jp/index_j.htm 等をご参照下さい)。筑波大学でも、オープンコースウェアを提供するwebサイトを開設しています(http://ocw.tsukuba.ac.jp/)。

今回の「数学特別講義I」については、もともと、私が個人的に授業資料や授業風景を公開するつもりでおりましたが、この授業には多数の先生方がかかわっているため、世話人の先生に協力していただきながら、授業全体の概要もまとめて公開したものです。今回ご協力いただいた世話人の先生に感謝申し上げます。

というわけで、私の授業の概要と、講義に用いたプレゼンテーションのスライドも、オープンコースウェアに掲載しましたので、ぜひご覧下さい。なお、以前このブログに掲載した授業のスライドも引き続きご覧いただけます。